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ストーリー詳細 — 蒼い海のトリスティア ~発明工房奮闘記~

本作は、工房士ナノカの一年の仕事を軸に進む街発展アドベンチャー。前半は街の依頼と仲間との出来事が積み重なり、後半は帝国による接収やキングドラゴンの再来といった大きな事件へ向かう。結末は一つではない。このページは2002年のWindows版の内容に基づく。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

序章 — 代役の工房士

十一年前のドラゴン襲来から立ち直れずにいる海洋都市トリスティア。市長が復興を託した名工プロスペロの代わりにやって来たのは、十四歳の孫ナノカだった。落胆する街で、ナノカは人造狼スツーカと街を歩き、自分の手で街を元気にすると決める。その夜の噴水の修理が、最初の支援者との出会いになる。一年期限の証書を手に、プロスペロ発明工房トリスティア支店が開業するまで。

帝都の名工プロスペロ・フランカを迎えるはずだった市長と住民の前に現れたのは、神経痛の祖父の代役を務める孫娘ナノカ・フランカだった。プロスペロ流工房術の免許皆伝とはいえ、少女の姿に歓迎の空気は消える。ナノカは人造狼のスツーカと港、海岸通り、職人通り、各地の通りを見て回る。ドラゴン被害が最も大きかったクラン街は徹底して壊されたままで、ドラゴン記念碑には襲来した竜の骨と、帝国暦934年の犠牲者を悼む碑が残る。スツーカはドラゴンが破壊の途中で自滅したらしいと話し、ナノカは竜を倒した英雄がいたのではと想像する。

手持ちの資金をはたいて売れない店の品を買い込み、夜の公園で休んでいたナノカは、止まっていたマスケルの噴水を工房術で直してしまう。その一部始終を見ていたのが、リュナント神殿の司祭長レイグレットだった。

「街の人たちはどう思おうとも、このレイグレットは、あなたを信じます」(レイグレット)

レイグレットは職人街の空き工房を貸し、ナノカは「プロスペロ発明工房トリスティア支店」を開く。研究でレシピを得て製品を作り、品物と特許を安く店へ譲って技術を街へ広げる、というのがスツーカの説く復興の方針である。ナノカをまだ受け入れられない市長に代わり、側近のヴァルが一年期限の特例信任証書を出す。街の衰えを運命と呼ぶスツーカに、ナノカは祖父の口癖で答える。

「『この世に運命なんてものはない。困難な事柄に対抗するには、充分な準備をするか否かだ!』……おジイちゃんの口癖です」(ナノカ)

直った噴水を見た住民は、誰が直したのか知らないまま、街はまだ生きていると感じて仕事への気力を取り戻す。

工房の開業と仲間たち

神殿ののぼり、港の鼠退治、鮫退治。最初の依頼をこなすうちに、港を切り盛りするフォーリィ、祖父が送った機動城塞兵テンザン、帝都から追いかけてきた学友ネネが、ナノカの周りに集まってくる。投資の視察に来た財閥総帥グリフェンも、ナノカの才能に目を付ける。依頼を重ねるごとに、街の人々との縁と工房の信用が少しずつ積み上がっていく。

最初の依頼は、神殿の修復寄付を集めるための目立つのぼりだった。続いて、荷下ろし中にナノカ宛ての研究道具が爆発した件で怒鳴り込んできたのが、十五歳でキャラット商会の会長を務めるフォーリィである。レイグレットの仲裁で、ナノカは償いに港の鼠害対策を引き受ける。鼠用の地雷を受け取ったフォーリィは大喜びし、危険な道具を好む者同士で意気投合する。来訪から一月後、ナノカは祖父への手紙に、経験も実績も乏しい十四歳の正念場だと書く。

父の形見の人造オリハルコンのペンダントを見せて、父と同じ結晶を自分でも作りたいと夢を語った後、フォーリィから鮫退治の道具を頼まれる。鮫を釣ろうとして海に引き込まれたナノカを救ったのは、祖父が送ってきた蒼い機動城塞兵テンザンだった(道具を作らない展開では専門家が鮫を倒し、テンザンは港の荷物から現れる)。祖父の旧知の密貿易商人ミグも暮らしぶりを確かめに来て、開業祝いにEマテリアルを置いていく。

海底温泉の工事、港の宣伝人形「アトレリアたん」、クレーンの落下事故で怪我をしたナノカに命を大事にするよう諭したレイグレットの万能軟膏。仕事が続くなか、テンザンの飛行試験の墜落でクラン街の地下に空洞が開き、先史文明の文字と機械が見つかる。壁の文字は合金の組成と精製法らしかった。

やがて学院を休んだネネが帝都から現れ、ハンプデン家の支店レストラン「ハンプデンズ」を自ら経営し始める。ネネはナノカが幼い頃に作った手作りの目覚まし時計を、今も宝物として使っていた。投資の視察に来たアーサー・グリフェンは、才能こそ最高の権威だとナノカを称え、三日以内の時計修理という試験を課して、彼女の才能を事業に取り込もうと誘う。資金不足で捨てられかけたマリンタワーの計画は、ネネが行政に渡した無制限の銀行信用証で動き出す。

街興しの日々

規制された銃を注文する謎の男Q、料理を侮辱する食通ニューザン、市場で母を待つ少女ルーシー、森林公園を占拠する魔導士。研究費に追われて雑草を食べながら、ナノカは食べ物から観光の施設まで、街の困り事を発明で片付けていく。安い料理、観光の目玉、迷子の親捜しまで、発明の出発点はいつも住民の身近な困り事にある。

祖父の紹介状を持つ男Qは、規制された長射程の銃ロング・ドグラノフを注文する。ナノカは地下遺跡で精密な銃身材料を見つけて完成させ、人を傷つける用途なら渡せないと使い道を問いただす。Qは人を傷つけないと約束し、街に見えない危機が近づいていると警告して去る。

研究費を優先して雑草を食べるナノカを見かねたネネは朝食に招くが、ナノカは毎日の招待には甘えない。ハンプデンズに来た食通グルメバラ・ニューザンが料理と店を罵って帰ると、ネネは店を喜んでくれた客の舌を守るため再戦を決め、二人でクラーケンの墨を使った黒いトリスティアカレーを作る。墨は、ナノカがかつて海へ逃がした人語を話す魚ハッピーフィッシュの恩返しで届くか、テンザンが深海へ潜って取ってくる。カレーはニューザンを夢中にさせ、新聞で街だけの珍味として紹介される。

母親を待ち続けて市場に取り残された少女ルーシーを、神殿が保護する。フォーリィは両親が戻らなければ自分が育てると言い出す。ナノカはルーシーの名前と顔を載せた一ベルクのチョコレートを作り、特許を雑貨屋へ無料で譲る。菓子の評判が金策に出ていた両親に届き、菓子問屋の融資と共に両親が迎えに来る。

森林公園を占拠する魔導士への対処では、スツーカに任せると悲鳴の後に魔導士が街から姿を消す。ナノカ自身が出向くとテンザンで結界を破り、教授料を渡して退去を約束させ、のちに魔導士はナノカの仕事ぶりに打たれて新しい魔法の修行へ旅立つ。

ネネとのマリンタワーの外出を、ネネは本物のデートと受け止め、ナノカは恋人との予行演習と考えて楽しむ。護岸ばかりの街に人工砂浜を作る計画は、市長に費用で退けられた後、グリフェンの秘密の全額投資で実現する。グリフェンは独り、街の自治の喪失と自分の宿願を口にする。夏祭りでは、ナノカがグリフェンに頼まれた巨大なロクシャク玉花火が開花高度の計算違いで爆風を起こし、負傷者を出さずにクラン街の廃墟を薙ぎ払ってしまう。これをきっかけに廃墟の再開発が決まり、大資本の工事が始まる。泳げないネネのためには、薬や道具ではなく水泳教本と夜の特訓を選び、ネネは九月初めの海水浴でみんなと泳ぐ。

街を歩けば、店をたたんで帝都の娘の所へ移る鍛冶屋や、島の復興は無理だと帰郷を勧める八百屋のおばさんにも出会う。そのたびにナノカは、街を何とかしてみせると決意を新たにする。

父の研究と海底のカプセル

地下の文字から、ナノカは父が命を落とした人造オリハルコンの精製法に手が届くと知る。同じころ、ネネの店の往復船が海底から金属のカプセルを引き揚げる。中に眠っていたのは、少女の姿をした人工の存在だった。精製の研究は資金を生む一方で、思わぬ危険も呼び込む。工房に一発の銃弾が撃ち込まれ、スツーカが動き出す。

ナノカが生まれてすぐ、両親は高純度オリハルコンの精製実験の事故で亡くなった。父は人造の結晶を作ることに成功しており、ナノカの首のペンダントがその形見である。地下の文字を読み解いたナノカは、父の研究を継いで自分の手で結晶を作り、両親の墓に返すと決める。前段階として作った人工ダイヤモンドをミグは人工と承知で六万ベルクで買うが、相場を壊す大量供給と、金が太く動けば危険も寄ってくることを忠告する。テンザンの二度目の飛行試験の墜落では、地下のプラントから漏れ出すエネルギー「ビリビリ」が見つかる。

引き揚げられたカプセルの少女を、ナノカは分解して調べようとはせず、服を着せて工房へ運ぶ。父のペンダントを点検していたとき、少女は目覚め、結晶を求めてスツーカとテンザンを圧倒する。結晶が安全に覆われていると分かると返し、ラファルーと名乗る。大切な役目の記憶を失っており、正体が知られれば今の世の中ではモルモット扱いだと恐れるラファルーを、ナノカは困ったときはお互いさまだと居候に迎える。ラファルーは味覚がないことを明かし、小説を人生経験の代わりに読みあさる。ネネは作り物と呼んで嫉妬し、ナノカにたしなめられる。

人工ダイヤの取引の後、工房に一発の銃弾が撃ち込まれる。スツーカはダイヤモンド・シンジケートの警告と見て痕跡を隠し、研究をやめさせようとするが、ナノカは納得しない。スツーカはラファルーたちを護衛に残して自ら狙撃者を追い、ネネにはハンプデン家から組織へ圧力をかけるよう頼む。好物のビーフシチューを作って待つナノカのもとへ、スツーカは傷を負って帰ってくる。ナノカを守る使命を持つスツーカを見て、ラファルーは自分にもそんな使命があってほしいと願う。

港の大橋とフォーリィ

グリフェンを後ろ盾とする市長から、ナノカは島と陸を結ぶ大橋の設計を頼まれる。街全体の景気のための橋は、渡船と荷役で暮らす港の人々の仕事を奪いかねない。港を守るフォーリィとナノカは真っ向からぶつかる。帝都から訪れた大女優の来訪も、フォーリィの過去へつながっていく。仕事の成功が、友人の暮らしを脅かすこともある。

復興に橋は絶対に必要だと考えるナノカは、怒鳴り込んできたフォーリィに反対されても計画を止めない。貿易祭りの宴ではグリフェンに頼まれて速成醸造機で造った地元のワインが振る舞われ、酔ったナノカはフォーリィに口移しで接吻し、初めてを奪われたフォーリィは泣く。翌朝のナノカは何も覚えていない。

港を広げる資金を投機で得ようとして失敗したフォーリィは、ナノカの援助を見下されたと受け取って姿を消す。工房に来た商会の船長は、拾い子だったフォーリィが五、六歳のときにドラゴン襲来で養父母を失い、周りの大人が幼い会長の頑張りに甘えて責任を背負わせてきたと打ち明ける。足跡と匂いを追ったナノカたちは、森林公園でフォーリィを見つける。ナノカは自分の発明で宇宙の別の世界へ行く夢を語り、祖父が予告していた流星雨を二人で眺める。和解しても商会の資金難は残るため、ナノカは港湾拡張工事の計画を思いつき、仕事の面でもフォーリィを支える。

帝都一の大女優アリスン・ウェストウッドが公演に訪れるが、ハンプデンズの接宴で帝都風の料理を残してしまう。お忍びの婦人から、十五年前にこの街で食べた素朴な郷土料理の思い出を聞いたナノカは、トリスティアンシチューを作る。味見したフォーリィが家伝の調味料ニョクマパウダーを分けてくれ、シチューは婦人の思い出の味を再現する。工房に寄付に来た女優は、調味料をくれた十五歳の少女の名に動揺する。女優はかつて、女優になる夢のため、島が帝都の近海に来たときに産んだ娘を置いて去っていた。

「あたしを産んでくれてありがとう、お母さん。でも、あたしは、もうトリスティアの子だもん」(フォーリィ)

フォーリィは育ての父母と街の人々に大切にされて幸せだったと語り、母には夢を続けてほしいと願って街に残る。ナノカはこの対面を知らずに去っている。

大観覧車の事故

漁で亡くなった父に会いたいという少年の願いに、ナノカは工房術でも死者は戻せないと知る。代わりに楽しい思い出を作ろうと企画した大観覧車は、グリフェンの資金で驚くほど早く完成する。そして初運転の日、事故が起きる。発明が人を傷つけたとき、工房士はその結果とどう向き合うのか。街の人々の目も、ナノカに厳しく向けられる。

父に会いたいという少年ジャックの頼みを、ナノカは願いを取り違えたまま引き受け、父が半年前に漁で亡くなったと知って立ち尽くす。ラファルーの助言で、心を救う楽しい記憶を作る方へ考えを変え、トリスティア大観覧車を企画する。資金を出したグリフェンの請負会社が短い期間で建て、ヴァルの技術不足の懸念は退けられた。

初運転の日、ゴンドラが落ち、招待したジャックが両足を骨折する。死者は出なかったが、街の設備にも被害が出た。特別免罪権があってもナノカは謝ろうとするが母親に拒まれ、市長と群衆に責められ、石を投げられて雨の街へ逃げ出す。群衆の怒りは帝国人そのものへの排斥に変わり、ナノカを守るスツーカと衛兵がぶつかりかける。そこへ病身のレイグレットが現れる。

「働いて生きる人間の、どこに変わりがあるの!?」(レイグレット)

群衆を解散させたレイグレットは、失敗を恐れるより誇りを持って挑むようナノカを励まし、医師に運ばれていく。雨の街でナノカを励ます言葉は、会う相手によって異なる。フォーリィは失敗したまま終わらせるなと迫り、ネネは世界中が敵になっても味方だと言い、スツーカはマメだらけの小さな手と積み上げた努力を覚えていると告げる。ラファルーは結果を受け止めることを説く。

「いいかい……?自分自身のやった行動の結果を逃げずに受け止めるんだ」(ラファルー)

のちに、ヴァルとレイグレットの会話から、事故はナノカの設計ではなく、グリフェンの意を受けた請負会社の手抜き工事が原因だったと分かる(ナノカがこの会話を聞かない展開もある)。ヴァルは自分の判断の責任から逃げない。ジャックはその後、灰色の大きな犬に治療されて完治し、観覧車の頂上で父に似た雲を見たと話して、母を守ると決める。母親の話を聞いたナノカは、スツーカが自分の身体を保つための修復機械を少年に使い、身体の寿命を縮めたのではないかと案じる。

レイグレットの病

九月熱の秘薬を届けても、レイグレットの青い顔色は治らない。咳、立ちくらみ、苦しそうな息。街の人々には飲み過ぎと夏バテだと笑ってみせる彼女が、ついに倒れる。ナノカは現代医学で治せない病に、Eテクノロジーで挑む。最初にナノカを信じてくれた人を、今度はナノカの発明が救えるかどうかが問われる。時間は残り少ない。

毎年九月に街を襲う風土病の九月熱には、漁師たちがほとんどかからない。船の上で傷みやすい回遊魚のキモを食べる習慣に目を付けたナノカは秘薬を作り、九月熱は根絶されそうだと報告される。それでもレイグレットの顔色は悪いままだった。やがて倒れた彼女は、九月熱とは別の、全身に広がる血液の病を抱えていた。医師は現代の医療では治せないと言い、レイグレットは年を越せないと打ち明ける。ナノカは栄養剤、解熱剤、オルク線の照射機と段階を追って治療の道具を作り、病状はいったん持ち直す。

だが観覧車事故の日、病身で雨の中を歩き回ったことが体力を奪い、レイグレットは危篤に陥る。猶予は三日ほど。ナノカは体内に入って直接病を治す、超精密なマイクロ治療機に挑む。

治療機が実用に耐えた展開では、想定より性能が落ちても治療は効き、ナノカのおやすみのキスの後、レイグレットは二日眠って全快する。

「ついでに自分の命まで救ってもらえるとは夢にも思わなかったわ。……ありがとう」(レイグレット)

レイグレットは寄付金集めと神殿の仕事に戻り、弱った森林公園の木々の再生をナノカに頼む。

治療機の精度が足りず使えなかった展開では、死の床のレイグレットが自然の中へ出かける夢を語り、眠った後もそばにいてほしいとナノカに願う。

「わたしは……いつだってここにいます」(ナノカ)

ナノカに看取られてレイグレットの呼吸は止まる。住む人のいなくなったリュナント神殿は行政の管轄に入り、衛士がナノカに立ち去るよう告げる。

ドラゴンの再来と聖誕祭

絶滅したはずのドラゴンの新しい死骸が港に流れ着き、遠洋では火を吹く巨大な生き物を見たという噂が立つ。夜ごと屋根に上るラファルーは、何かの接近を感じ取っていた。十二月、街に迫る竜を迎え撃つ準備が始まる。Qの銃の改造依頼も、この戦いにつながっていく。迎撃の行方とラファルーの変化、そして常春の街に雪が降る聖誕祭までを追う。

Qは再び現れ、軍用の強装弾とビリビリを使う撃発に対応させる銃の改造を三日で頼む。標的は火を吹く三十メートルのクジラだという。改造を納めたナノカは、Qが祖父から預かっていた別の銃を受け取り、自分の体格に合わせたドグラノフ・ナノカSPを作る。ラファルーはナノカに設計図通りの機械を作らせる。夜歩き用の照明だと思われたそのライトは、掌から体内にエネルギーを送り、ラファルーを本来の力へ近づける装置だった。十月の末、ラファルーは二匹目の接近と、身体に湧き上がる力を感じ取る。

十二月、専門家が死骸をドラゴンと確かめ、迫る敵の秘密の迎撃が決まる。迎撃の準備が整っていた展開では、テンザンに乗ったナノカの初弾は弾かれるが、海の中の影が竜を転ばせた隙に、ナノカが頭を撃ち抜く。工房に残っていたラファルーは、あれが最後の一匹だろうと話す。準備がなかった展開では、ラファルーが記憶を取り戻したと告げて工房を出ていく。上陸の直前に海の中の光が竜を倒すが、ラファルーは二度と工房に戻らない。

聖誕祭の最終日、テンザンが上空八百メートルにスノーマシーンを運び、雪の降らない常春の街に人工の雪が降る。契約の終わりが近いナノカに、フォーリィはこのまま街に住めばいいと誘い、ネネは帝都へ一緒に帰ることを望む。

ネネの経済封鎖

祖父から、帝国による接収の危険と帰還の命令が届く。仕事が終わっていないナノカは帰らないと決めるが、市長が早期の帰還を勧めてきた裏には、ネネがいた。ナノカを帝都へ連れ帰りたいネネは、家の力で街を追い詰めていく。壊れた思い出の時計が、二人の関係を取り戻す鍵になる。友人として何を返せるのか、ナノカは問われる。

聖誕祭のケーキを納めた日、ネネのもとには本家の使者が来ていた。ネネは帰還と縁談を迫られていたが、ナノカは家族と年末年始を過ごす程度のことだと受け取り、ネネの苦しさに気づかない。祖父の帰還命令をナノカが拒み、スツーカも昔の主人より今の主人に従うと決めた後、市長が賞金とメダルを渡して早期の帰還を勧める。それを仕組んだのはネネだった。

「契約期限が切れても、仕事が終わってなければ、わたしは帰らないよ。何ヶ月だって、何年だって……」(ナノカ)

街が好きな人を奪ったと受け止めたネネは、ハンプデン家の名で街に経済封鎖を仕掛ける。伴侶は自分で選びたい、ナノカが一番なのだと叫んで、ネネは姿を消す。ナノカは、封鎖の問題より先に友人としての問題を解こうと、壊れていた思い出の目覚まし時計を修理してネネを捜しに出る。

マリンタワーで再会できた展開では、ネネは封鎖をもう自分で解いており、実害も小さかったと話す。直った時計を受け取り、ナノカにとって自分が友人であることを確かめる。家族の決める縁談から逃れるために移住したことを明かし、相手を自分で選ぶために家族と向き合うと決める。

「ナノカさん……わたくしは、ナノカさんを本気で好きです……愛してます」(ネネ)

ネネは答えをすぐには求めず、帝都へ帰っていく。捜しても会えなかった展開では、本家の命令で帰ったという謝罪の手紙だけが届き、封鎖が解かれた後も街の経済には大きな被害が残る。

このころ、記憶と正体を探すために各地のパシアテ文明の遺跡を巡る旅へ出るラファルーを見送る場面もある。ラファルーは何十年先でも必ず再会すると約束し、スツーカは出会った中で最強の戦士だったと送り出す。一月にはグリフェンが、投資に向かない街だったと言い残してトリスティアを去る場面もある。市長は帝国の接収の噂を前に、五百年続く自治の誇りと、かつて世界の海を動いていた島の復活をナノカに求める。

帝国の接収と移動する島 エンディング

産業が回復し、街は完全な復興を宣言する。不正工事の証拠で街を追われたグリフェンは、帝国元老院の特使として戻り、トリスティアの接収を宣言する。帝国兵とゴーレムの軍団が橋を渡ってくるなか、ナノカは街の自治を守る手を探す。工房への砲撃、橋で戦うテンザン、揺れる市長。かつて世界の海を動いていたという島の秘密が、最後の切り札になる。

特許の収入で外資に頼らない産業の回復が見え、ヴァルは観覧車と用地買収の不正の証拠をそろえてグリフェンに退去を迫る。追い出されたグリフェンは、帝国元老院の特使として島の接収を求める立場を明かす。狙いは島に残る未利用のEプラントと先史技術を独占し、自分の商圏を世界へ広げることだった。帰還を控えたナノカがフォーリィからお揃いのリボンを贈られた直後、帝国兵が接収を宣言する。議会では中央の判断に期待する市長に、レイグレットが言い返す。

「これは条約がどうこうという問題じゃない。私たちが自由な市民なのかどうかという問題です──」(レイグレット)

市長を緊急委員長に、街は抵抗の準備を始める。レインボーブリッジを約二百体のゴーレム軍団が進み、工房が砲撃されてナノカが傷つくと、テンザンは命令を待たずに戦い始め、市長をゴーレムから救い、橋で軍団を食い止める。ナノカの帰還命令にも、長い沈黙の後でこう答える。

「………………………………………………………………………………ノー・サー!!」(テンザン)

工具のS・インパクトを強化して自ら戦場へ向かおうとするナノカを、スツーカは力ずくで止め、キミの武器は頭だと諭す。ナノカは、かつて世界の海を動いていた島の航行機能を直し、帝国領の外へ出るという策を立てる。フォーリィと地下の閉ざされた扉を破り、中央噴水の下で航行中枢の制御ユニットを見つけるが、要の結晶が壊れていて、父のペンダントでは代わりにならない。市長は、二十五日の朝までにナノカを引き渡せと迫られて揺らぐが、市民と衛兵は恩人を捕らえることを拒む。

行方をくらませていたヴァルは、帝都でネネに助けを求めていた。戻ったネネは父の政治力で無差別の砲撃を止める時間を作り、祖父プロスペロが見つけた天然の高純度オリハルコンを届ける。改造したユニットを据える最中、私兵が爆弾を仕掛けるが、ナノカはスツーカの口の中の装甲で爆発を受け止めさせる。航行中枢が甦り、島は帝国領の外へ動き出し、テンザンが橋を壊して陸との道を断つ。島の遺産を自分の手で壊せず、ハンプデン家の圧力も受けたグリフェンは、ナノカに負けを認めて退く。

市民はナノカを英雄として迎え、警備兵は生まれてくる子にナノカの名前を付けると言う。市長は恩人を引き渡そうとしたことをナノカに詫び、レイグレットは後継の市長にしようという話を強く断る。再訪を約束したナノカは、ネネとスツーカの船とは別に、テンザンに乗って帰る。そして秘密で取り付けた長距離用の新しい飛行装置が失敗し、テンザンと共に海へ落ちる。

キングドラゴンとの決戦 エンディング

父の研究を継いだ人造オリハルコンの精製は、ついに突破口を見つける。だが結晶の輝きは、古い敵を呼び寄せる目印でもあった。ラファルーは自分の役目を思い出し、テンザンを連れて姿を消す。滅んだはずの竜が島に迫るなか、ナノカと工房の仲間たちは、それぞれの覚悟で決戦に臨む。研究の成果と仲間の命が、同じ天秤にかけられる。

二月、ナノカは精製研究の突破口を見つけ、ラファルーが古代の文章を翻訳する。後の人類が賢明であることを願い、七つの場所に遺産を託した古代人の言葉だった。人工の高純度オリハルコンが完成すると、スツーカは教えてきた歳月が無駄ではなかったと喜ぶ(研究が完成しないまま終わる展開では、ラファルーは自分の過去を探す旅に出て、ナノカは帝都でも研究を続けようと考える)。

ラファルーは精神感応でテンザンの制御核に呼びかけ、共に死ぬ覚悟の戦いへ誘う。二人は姿を消し、重い傷を負って戻る。ラファルーはついに自分の正体を語る。

「(……過去の遺産を守る不死身の自動人形……それがボクの正体……)」(ラファルー)

ラファルーはパシアテ文明の人々が遺産をドラゴンから守るために作ったトリスティアのガーディアンだった。守護者は四人で二百年ずつ交代して目覚めていたが、ほかの三人はもういない。キングドラゴンは生きていて、高純度オリハルコンの輝きを文明復活の目印として遺産を壊しに来る。眠る間に大切な仲間がいなくなることを恐れるラファルーに、ナノカは今は自分がそばにいると伝える。

救援は間に合わず、ナノカは島に残る。住民に平静と行動を呼びかけるレイグレットは、ナノカには一人で背負わず逃げるよう勧める。恐怖で耳を塞ぐフォーリィ、助けを求める市民を前に、ナノカは街を守ると決める。ミグが祖父への恩返しに、高価な大型銃メガ・ドグラノフ二門を一ベルクで、軍用の装甲を無償で持ってくる。無許可の兵器を使えば経歴に傷がつくと案じるスツーカに、ナノカは今いちばん大事なのはトリスティアを守ることだと答える。改装したアーマード・テンザンは、止めた原子炉の制御核が冷えすぎて動かない。決戦の前夜、スツーカは眠るテンザンに、ナノカに償いきれない負債があると語り、ラファルーを仲間と呼ぶ。

回復したラファルーがキングに挑むが、レッド・ドラゴンとブルー・ドラゴンも現れ、ナノカの弾も尽きる。呼びかけに応えてテンザンが再起動し、戦況を変える。致命傷を負ったキングは巨体ごと島へ落ちようとする。テンザンが体当たりし、ラファルーが動力をつなぎ、スツーカが誘導して、キングを高空へ押し上げる。

「……キミが世界最高の工房士を目指すかぎり、第2、第3の、いまより高性能のワタシたちが甦ってくるのだ!」(スツーカ)

空の爆発で街は救われる。喜ぶ市民の中で、ナノカは消えた仲間を思って立ち尽くす。ナノカはひそかに街の設備を直し、噴水の中枢もドラゴンを誘わない形にするが、無許可の兵器を使った嫌疑で帝都の審問に呼ばれる。最後の夜、ラファルーが生きて戻り、スツーカとテンザンの二つの制御核をナノカに渡す。守護者の役目から自由になったラファルーは世界を旅すると決め、旅立つ前に口づけを交わして告げる。

「……キミが好きだよ。……この世界のだれよりも……なによりも」(ラファルー)

港ではフォーリィが駆けつけ、ずっと凄いと思っていた、大好きだと伝える。市長は復興を自分の手柄のように祝い、レイグレットと市民がナノカを忘れるなと反発する。審問と仲間の復元のために帝都へ帰るナノカは、最後に修理したプラントを起動し、甦った街の姿を見せて再訪を約束する。

一年後の別れ エンディング

大きな事件の結末とは別に、一年の仕事を終えたナノカが工房を片付け、街を去る結末がある。別れの言葉にはいくつかの形がある。帝国の接収やキングドラゴンとの決戦を経ずに、一年の仕事そのものの行方で物語を閉じる結末で、工房を片付ける日に、ナノカは支えてくれた仲間と街の人々に別れを告げる。一年前に落胆の中で始まった仕事の、一つの区切りである。

一年が過ぎ、ナノカはプロスペロ発明工房トリスティア支店を片付けて、スツーカ、テンザンと共に街を離れる。一年の努力が実らず復興計画は失敗に終わり、その後の島がどうなったかは誰も知らない、と語られる形がある。

このほか、ナノカが祖父に、街の人々の協力と祖父に教わった工房術によって、トリスティアが観光都市、商業都市、工業都市、芸術都市、あるいは大都市として復興したと報告する形もある。ずっと残りたい気持ちを抱えながらも自分の仕事はここまでだとして、これからのトリスティアを街の人々に託し、別れを告げる。

一年の間には、五月末、八月末、十一月末に、店、住人、復興の度合い、公共施設、発明品、所持金を振り返る評価がはさまり、販売の地域を広げることや研究への投資が助言される。十二月半ばからの聖誕祭は、ナノカとスツーカにとって街興しの最後の追い込みでもあった。この結末は、そうして積み重ねた一年の仕事を終えたところで訪れる。

帝国の接収やキングドラゴンとの戦いのような大きな事件を経ずに、一年の仕事そのものの成果で終わる結末である。最初の日に落胆されながら工房を開いた少女が、一年後に自分の手で工房を片付け、街を後にする。

街が終わるとき ゲームオーバー

帝国の接収とキングドラゴンの襲来には、製作が間に合わず街そのものが終わる結末もある。発明が街を救う物語の裏側にある、救えなかった結末。強化工具、航行ユニット、テンザンの重装化。どれも期限との戦いで、届かなかったとき、トリスティアは自治か、街そのものを失う。工房士の仕事が間に合わなかった終わり方として記す。

接収の危機の中で、強化工具S・インパクトの改造が間に合わず、トリスティアが無差別の砲撃を受けて占領される結末がある。五百年以上続いた自治は終わり、その後ナノカの名を聞いた者はいない。地下の航行中枢の制御ユニットの改造が間に合わない結末でも、砲撃と占領で自治は終わり、ナノカの消息も絶える。

キングドラゴンの襲来を前に、テンザンの重装化が間に合わない結末では、キングドラゴンが街を焼き尽くし、海上都市トリスティアは消滅する。

強化工具は、地下の閉ざされた扉を破って航行中枢へたどり着くための道具だった。航行ユニットは、要の結晶が壊れていて、ネネが届けた天然の結晶が無ければ直せないものだった。市長は二十五日の朝までにナノカを引き渡せと迫られており、どちらの改造も時間との戦いになる。アーマード・テンザンは、現地の設備では作れない軍用の装甲と、ミグが持ってきた大型銃が無ければ形にならない改装だった。

いずれも、人を傷つけないことを条件に武器を作り、街のために兵器を使う覚悟までしたナノカの仕事が、期限に届かなかったときの終わり方である。死や死因がはっきり書かれることはなく、街の自治や街そのものが失われたことが告げられて終わる。

エンディング一覧

種別 結末 展開 結末概要
エンディング 移動する島 帝国の接収 航行中枢を直して島を帝国領の外へ動かし、接収を退ける。仲間に見送られて再訪を約束し、テンザンと海へ落ちる後日談で終わる。
エンディング キングドラゴン撃退 キングドラゴンとの決戦 キングを高空で倒し、生還したラファルーからスツーカとテンザンの制御核を受け取る。審問と復元のため帝都へ帰り、再訪を約束する。
エンディング 一年後の別れ 一年の仕事の終わり 工房を片付けて街を去る。復興計画の失敗が語られる形と、街の復興を報告して住民に後を託す形がある。
ゲームオーバー 占領 帝国の接収 工具または航行ユニットの改造が間に合わず、砲撃と占領で自治が終わる。
ゲームオーバー 海上都市の消滅 キングドラゴンとの決戦 テンザンの重装化が間に合わず、キングドラゴンが街を焼き尽くす。

このほか、物語の途中にも人物ごとの帰結が分かれる場面がある。レイグレットの全快と死、十二月の迎撃の後にラファルーが戻らない展開、研究が完成しないままラファルーが旅立つ展開、ネネと再会できる展開と手紙だけが届く展開などである。

作中で明かされないこと

以下は作中で明確な答えは示されていない。

  • 決戦の前夜にスツーカが語る、ナノカに償いきれない「負債」の理由。ナノカの両親の事故と結び付ける説明はない。
  • ラファルーがキングドラゴンを古い友人の一人と呼び、共に生き、食べ、眠ったと語る過去の関係の中身。
  • 子供の頃にドラゴンと光の剣で戦う戦士を見たという住民の話の、戦士の正体。
  • 一月にグリフェンが投資に向かない街だったと言って去る場面の、本当の理由。
  • キングドラゴンを倒した後の審問の判決と、スツーカとテンザンの復元が完成するかどうか。
  • ネネの告白に対するナノカの答え。
  • ルーシーの両親が見つかった後、工房に置かれていたオリハルクの紙袋を置いた人物。