半分はシコれるわ。残り半分がどうだったかは、クリアしてからもう一本のほうで確かめて。
本作のHシーンは9件。そのうち実際に実用性のある場面は半分以下よ。描写が省略されたまま後日談でしか語られないシーンが1件、未遂で終わるシーンが2件——エロゲーとして手に取るなら最初に言っておく数字ね。それでも7.0を出す理由は、シコれる場面が本当にシコれるから。女性主人公篇の陵辱展開は本作最大ボリュームで、テキストに独自性がある。エロゲーである必要はあった——ただし、条件付きよ。
スコア詳細
エロゲーとして手に取ったわ——前提を言わせて
1998年、C's ware。シナリオは剣乃ゆきひろ(菅野ひろゆき)。プレイしたのはWindows完全版(1998年CD-ROM版)。原作は1994年だが、Hシーンはこの完全版で初めて追加された。
なぜこれを手に取ったか。本作には1990年代の伝奇ADVの中で異質な評価がある——エロゲーとしてではなく、SF・サスペンス作品として語られることが多いのよ。私の興味はそこにある。「エロゲーとしてではなく語られる18禁作品」には2パターンある。「エロが完全な飾りで本当にストーリーだけで勝負している作品」と、「H評価者が少ない結果として相対的にストーリー評が高くなっている作品」。どちらに属するかを確かめたかった。
舞台は南海の孤島に建造された秘密研究施設《デザイア》。構造は特殊よ。アル(アルバート・マクドガル)という男性記者と、マコト・イズミという女性研究者——この2人を視点キャラとする2シナリオが順番に解放される。アル篇でヒロイン群とのHが展開され、マコト篇では女性主人公のHが展開される。同一作品内でHの主人公が交代する設計は、エロゲー全体でもほぼ見ないわ。この構造的珍しさは評価しているの。
9件のうち実用性があるのは半分以下——正直に言うわ
結論から。シコれる部分とシコれない部分が、明確に分かれているわ。
描写が省略されたまま後日談でしか語られないシーンが1件ある。エロゲーとして手に取った読者への返答として、これは誠実ではないわ。「Hがあったことにする」だけのシーンは評価対象にすら入れない。加えて、未遂で終わるシーンが2件——そのうち1件は酔いつぶれて何もできないまま終わるコメディ落ちよ。もう1件は別の意味で物語的に重要なシーンだけれど、エロとしての実用性はゼロ。
評価するシーンについて言うなら——女性主人公篇の陵辱展開は本物だわ。護衛役の男による発情誘導・後ろ手縛り・重厚なプレイの大ボリュームシーン。テキストに独自性があって、実用性も高い。シコれた。これを認めるから7.0を出しているの。
もう一点だけ言っておくわ。本作のHシーンが1994年原作に存在せず、完全版で後付けされた経緯は把握すべきよ。剣乃ゆきひろの本来の作風はSF・伝奇サスペンス側にある。Hシーンを「書き慣れた書き方」として書いていないのは実用ゼロシーンの多さからも明らか——評価の前提として持っておいて。
女性主人公視点の文体に、独自性があるわ
本作のH文体で特筆すべき点がある。女性主人公篇に入ると、書き方が変わる。
主人公のモノローグが行為描写と並走する形式よ。括弧に括られた一人称の内省が、行為の流れと同時進行で挿入される——「(イヤでイヤでたまらないのに、なぜ身体が動く)」型の自己分裂描写ね。ヒロインの感情を読者に押し付けるのではなく、主人公が自分で分析しながら崩れていく書き方。テキストの密度と実用性は正比例する——この原則を、女性主人公篇は満たしている。
一方、男性主人公篇のH文体は標準的よ。官能語彙は並、比喩描写は少なめ、感情描写は機能的。及第点は超えているが際立つほどではない。同一作品内でH文体のレベル差がある——これは評価を複雑にするわ。
バラエティはある。質の均一さはないわ
シチュの多様性という観点で整理するわ。
純愛系・鬼畜系・百合・処女喪失系——本作のH場面は複数の方向性を含んでいる。同じパターンを繰り返す粗製品ではないのよ。シチュの多様性は認める。
ただし質の維持ができていない。鬼畜系の重厚なシーンとコメディ落ちで終わる場面が同じ作品内に混在している。バラエティは7、質の均一さは評価できない——この折り合いがシチュの多様性7という数字よ。
処女喪失シーンは個別に評価するわ。男装キャラの女性化儀式という設計があって、行為中も一人称の口調が一貫している——「オレ」という一人称を保ったまま女性として目覚める描き方は、設計されたシコさね。ただしこのシーン、絶頂付近で台詞タグの誤記(別キャラの名前が混入)がある。没入を削ぐわ。言わずにはいられないわ。
最もシコいヒロインにHシーンがない——これが最大の問題よ
私の最大の不満を言うわ。
本作で最もシコいヒロインは誰かと言えば——答えは明らかよ。謎めいた研究責任者の麗人、マルチナ・ステラドヴィッチ教授。この人物が本作全体で最も強い存在感を持つ。情念と研究者としての矜持と孤独が一つの人物に凝縮されていて、最終章まで読まないと真相が分からない構造になっている。シコい——これは断言できる。
その彼女にHシーンがない。
エロゲーとしての構造的欠陥よ。作家の本来の作風がSF・伝奇側にあったこと、Hが後付けであること——経緯は理解する。でも理由は免罪符にならないわ。最大のヒロインがHシーンに絡まないのは、エロゲーとして設計の優先度を間違えた結果ね。彼女とのHがあれば、このスコアは確実に上がっていたわ。
7.0——マコト篇のHがこの作品を救っているわ
エロゲーである必要はあった。ただし、条件付きよ。
Hシーンの質6。最大ヒロインのHシーンなし、実用ゼロシーン複数あり。それでも女性主人公篇の陵辱展開だけが突出して良い——不均一さが6の内訳よ。
ヒロインの魅力7。マルチナが最大の存在感を持つが、Hシーンではシェリルとシルビアのキャラクターが引き出されている。最大ヒロインがHに絡まない構造は減点要素ね。
シチュの多様性7・文章力7。女性主人公視点のモノローグ文体は評価。シチュは多様だが質が不均一よ。
作品の尖り8。主人公が交代してHの担い手も変わる設計、女性視点の陵辱展開——1998年のエロゲーとして、これは尖っていたわ。
誰に勧めるか。鬼畜系・陵辱系が守備範囲に入る方には、女性主人公篇だけで投資に値するわ。純愛系を主に求める方には、2人のヒロインが及第点で応える。実用ゼロシーンへの耐性は必要ね。最大ヒロインとのHを期待して手に取ると失望するわ——それは先に言っておく。
各シーン別の評価、マルチナのH不在問題の詳細、どのシーンが本当にシコれたかの明示はネタバレあり版に書いたわ。プレイ後に読みに来て。
