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ストーリー詳細 — やるドラシリーズ Vol.1 ダブルキャスト

本作は一本の物語が選択によって細かく枝分かれし、Good 4種・Normal 6種・Bad 17種の計27種の結末を持つ。記憶のない少女と暮らす本筋のほかに、映研の同期の翔子と過ごす展開や、少女と別の形で出会う展開もある。以下では物語の流れを時期ごとにまとめ、その時期に迎える結末を添えた。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

飲み会の夜 — 三軒の店と、少女との出会い NORMAL

大学の映画研究部に入った主人公は、先輩たちとの飲み会に出る。同期には、カメラ担当の二村英樹やメイク担当の翔子がいる。会は「春眠」「秋のそら」「厳冬」と店を替えて続き、主人公がどこで、どう抜け出すかによって、その夜の行方が変わっていく。

そしてある夜、酔って倒れていた主人公は、一人の少女に助けられる。名前のほかは何も覚えていない、その少女との出会いが、物語の始まりになる。

飲み会のあと、遥に頼まれて、主人公が翔子を家まで送る展開がある。道すがら翔子は、人がだんだんきれいになっていくのを見ているのが楽しいと話し、メイクを仕事にしたいという夢を打ち明ける。

「本当は、メイクアップアーティストになりたかったんだ」(翔子)

親に反対されて大学へ来た翔子は、専門学校の費用を工面して海外でも学びたいと望みながら、始める前に夢を摘まれたことを諦めきれずにいた。主人公は、大学を出てから少し働いてお金を貯め、それから勉強すればいいと励ます。翔子は、捨て犬の引き取り手を探して大学じゅうを回った主人公の優しさを覚えていた。主人公もまた、迷子を助けて泣いた翔子の姿を覚えていた。

「自分が困るのも考えずに、犬を想って拾ってっちゃうなんて」(翔子)

NORMAL Normal 01「翔子」では、主人公が翔子に、身近にいてほしいと告げる。泣き出した翔子は、美月に悪いけれど、こういうこともあると答える。

帰り道、主人公は、倒れている人や、奥に見える人影、通りがかったマンションに気を引かれることがある。声をかけたり立ち寄ったりした先で、物語はそのまま幕を閉じる。NORMAL Normal 04「麻由」、Normal 05「マリア」、Normal 06「花織」の三つの結末で、題の名は、同じやるドラシリーズの『季節を抱きしめて』『サンパギータ』『雪割りの花』に登場する麻由、マリア、桜木花織の名と重なる。

酔いつぶれた主人公を助けたのは、明るい少女だった。

「カラスのエサになる前に助けといたんだよ!」(不思議な女の子)

少女は、自分がなぜここにいるのか、どこから来たのかを覚えていなかった。住所も生年月日も思い出せない。覚えていたのは「あかさか、みつき」という名前だけだった。

「へんなの…名前だけは覚えてるなんて」(美月)

美月は病院を嫌がり、警察へ行くことにもうなずかない。厄介者扱いされることにも敏感で、名前さえ本当に自分のものなのか自信がないという。主人公は美月を、海外旅行に出ている叔父夫婦の家へ招く。

「その名前だってホントに自分の名前なのか自信ないし…」(美月)

BAD Bad 01「少女」では、病院を嫌がった美月に、主人公がなおも警察を勧める。美月は礼を言って去り、主人公は振られたとこぼす。Bad 02「夢のつづき」では、警察を勧められた美月が去ったあと、主人公はすべてを夢だったと思う。けれども再び彼女の名前に気づき、今度はうまくできるかもしれないと語る。

もう一つの出会い — 美月と二村 NORMAL

飲み会の夜、主人公がハンバーガー店で、失恋したばかりの美月と出会う展開がある。この展開の美月は、主人公の同期でカメラを担当する二村英樹の元恋人で、記憶をめぐる本筋とは別の物語が描かれる。映画への出演をめぐって、美月と二村、そして二人のあいだに立つ主人公の気持ちが揺れる。飲み会の夜の過ごし方ひとつで、同じ名前の少女が、まったく違う立場で主人公の前に現れる。

撮影の場で美月の姿を見た二村は、カメラを回すことを拒む。美月もまた、自分の知らないところでスクリーンの自分を見られ、過去の女として思い出されるのは嫌だと打ち明ける。

「私の知らない所で、スクリーンの私見られるのイヤなんです」(美月)

主人公は、美月に出てほしいという自分中心の考えを反省し、美月へ手紙を書く。留守番電話に返事はなかったが、手紙を読んだ美月は、最後まで演じると決める。

「逃げてばかりじゃ、いつまでたっても子供のままだって、そう思って」(美月)

二村は遥に胸のうちを話す。以前は女性にすぐ飽き、約束を破っても平気だった。けれども美月は、いつも笑顔で迎えてくれた。好き勝手にふるまったのに、離れてみると気になってしかたがない。初めての気持ちが怖くて、別れたのだという。美月は二村に新しい恋人がいると思っていたが、二村の話はそれとは違っていた。

「美月と離れていると、すごく気になるようになってきて、落ちつかなくなって」(二村)
「自分に正直になりな、後で後悔することになるよ」(遥)

NORMAL Normal 02「映研」では、手紙を受けて撮影に戻った美月を、二村もカメラを引き受けて撮る。Normal 03「親友」では、遥に励まされた二村がカメラを主人公に渡し、自分は助手に回る。二人がよりを戻したかどうかは描かれない。

「今日からカメラはお前が担当、ぼくは助手にまわる」(二村)

共同生活と撮影の始まり — 旧脚本と同じ名の墓

叔父夫婦の留守宅で、主人公と美月の共同生活が始まる。美月は家事をこなし、生活費を稼ぐ仕事も自分で見つけてくる。映研では部長の篠原遥が、学園祭に向けて旧脚本『かこひめの寝屋』を撮ると決め、主演女優を探していた。主人公が美月を紹介すると、美月は経験の少なさを感じさせない演技で皆を驚かせる。けれども撮影が進むにつれ、美月の周りでは不審な出来事が起こりはじめる。

美月は交通費を惜しんで四時間歩き、二人で出かけた食事ではラーメンを喜び、ハンバーガーを山盛りに頼む。主人公の学生証を細工して写しを作り、保証人の印も借りて、生活費を稼ぐ仕事を決めてくる。主人公はその自立を祝いながら、どこか寂しさも覚える。

「いつまでも君のすねかじり続けるのも悪いしね」(美月)

二人で映画を観に行く場面で、主人公が候補に挙げる題名は『季節を抱きしめて』『サンパギータ』『雪割りの花』。いずれも、本作のあとに発売されたやるドラシリーズの作品の題名である。

主人公は新聞やテレビのニュースで美月の過去を探すが、手がかりは見つからない。テレビの番組「家庭の精神医学」には、南西総合病院の精神科医・森崎真奈美が出演し、ストレスによる警告反応を解説していた。

遥が撮ろうとしているのは、映研にいた元学生の作家・蔵夏樹が在学中に書いた脚本『かこひめの寝屋』だった。拾った「囲い女」に、男が財産も心も体も支配されていく物語である。遥は、結末を変えることを条件に使用の許可を得たと話す。

「ラストをハッピーエンドに変えてという条件で…」(遥)

この脚本には因縁があった。約十年前に映研がこの脚本を撮ったとき、女優と監督が亡くなり、映画は完成しなかった。朝に二人の遺体が見つかったことは事実として語られるが、二人が飛び降りたという経緯は、当時の噂として伝わっているにすぎない。部の存続をかけて賞を狙う遥は、美月を顔と表情で主演に迎え、撮影中の恋愛を禁じる部の掟を念押しする。

「スタッフは善意の出演者に手を出してはならない」(遥)

主演男優の佐久間良樹が加わる。稽古で美月は相手役の佐久間を引き込み、佐久間は美月の演技にのまれて台詞を受け損ねる。二村も、美月の演技を時々別人のようだと言う。一方で美月は、バイクに狙われたと訴え、主人公には、少女に関わるなと警告する電話がかかってくる。

「あの女に関わるな」(電話の声)

遥は部員を連れて旧作で主演した女優の墓に参り、映画の完成と撮影の無事を祈る。幽霊話が苦手な遥も、こういうことは気持ちの問題だと言う。墓地では、美月と同じ「赤坂美月」の名が刻まれた墓の名を、二村が読み上げる。

やがて、主人公をからかっていた美月の悲鳴が本物に変わる。美月を襲った相手が口にした「生きてるワケない」という言葉と、同じ名の墓とが重なり、美月は自分が本当に生きている人間なのかを疑いはじめる。

「ボク、この世に生きてたらいけない人間なのかな?」(美月)

翌日の美月は、ふだんどおりに撮影をこなす。ところが佐久間が仕事先で腕を折り、遥は主人公に、撮影の仕事と兼ねて男優の代役を務めるよう命じる。映画を撮りたくて映研に入った主人公は抵抗するが、撮影は遥の家の別荘へ移ることになる。

別荘ロケ — 鏡と植木鉢、炎の夜 BAD

遥の家の別荘で、泊まりがけの撮影が始まる。主人公は海を撮り、代役として美月と台詞の稽古を重ねる。撮る仕事と演じる仕事を掛け持ちする日々のなかで二人の距離は縮まっていくが、別荘ではひとつ、またひとつと不審な出来事が起こる。そしてある夜、別荘は大きな惨事に見舞われる。泊まり込んだのは、遥や二村、翔子、先輩の剛田と花園ら、映研の部員たちだった。

別荘で二村は、美月と旧事件の話をする。美月は、旅芸人の娘だの女優の隠し子だのと冗談を言い、演じているときは自分が演じている感じがしないとも漏らす。稽古では、主人公に台詞を暗記するより場面の流れをつかむよう助言し、失敗をからかっては励ます。

「それよりそのシーンの流れを掴んでおけば」(美月)

撮影と代役を掛け持ちした主人公は、稽古の最中に鼻血を出して気を失う。美月はそんな主人公に、近くにいてくれると安心できると伝える。

「きみが近くにいると思うと安心できるし、
ひとりじゃね…心細いから」(美月)

その励ましのあと、落下物と悲鳴が別荘を騒がせる。美月は衣装ケースの鏡の中に冷たい目を見たと言い、イスを投げて鏡を割っていた。外に人の姿はなく、美月自身も気のせいかもしれないと言う。主人公は落ちた植木鉢の跡とベランダを調べ、誰かが入り込んだのではないかと疑う。

「目を合わせたら、そのまま吸い込まれていきそうな、冷たい目…」(美月)

夜の稽古で、主人公は美月を守ると約束する。記憶の話をするうちに、稽古の台詞はいつしか本当の告白に変わっていく。

ある夜、別荘に悲鳴が響く。翔子の声だと思った主人公たちが翔子の部屋を訪ねると、寝室に翔子の姿はない。浴室を開けた二人は驚きの声を上げ、主人公は誰かに知らせようと動き出す。そして別荘から火の手が上がり、刃物を持った相手が主人公たちを襲う。剛田は遥を守り、主人公に遥を託して部員たちを先に逃がす。

「部長を頼むーっ!!」(剛田)
「肩かすわ、行きましょう」(遥)

この夜の出来事は、六つの結末に分かれる。

BAD Bad 03「狂気(1)」では、二村が相手を捕まえ、その姿を見た二人は驚く。主人公は相手に理由を問う。

BAD Bad 04「狂気(2)」では、主人公は悲鳴を寝言だと決めて眠ってしまう。やがてニュースが、男女数名の遺体が見つかり、放火の疑いがあると伝える。

BAD Bad 05「狂気(3)」では、遥は剛田が二人を逃がしたと話すが、美月の様子を尋ねられても答えられない。火傷で動けない主人公は、寒さを感じる。

BAD Bad 06「狂気(4)」では、剛田に遥の救助を頼まれても、主人公は立ち上がれない。遥が助けを求めるなか、逃げられなくなった主人公は相手に正体と理由を問い、驚く。一人で逃げたことを、先輩が責める。

BAD Bad 07「狂気(5)」では、剛田が二人を逃がし、足を痛めた主人公に遥が肩を貸す。けれども、その後にも悲鳴が上がる。

BAD Bad 08「狂気(6)」では、主人公は二人を逃がそうと叫ぶ。遥は相手に翔子のことを問いただし、驚く。

二村の語る旧事件 — 噂、推測、告白 BAD

植木鉢のことを相談された二村は、旧作の女優をめぐる噂を語りはじめる。主人公が美月と暮らしていると知ると、二村の話はさらに踏み込んでいく。ただし、二村がどんな話をするかは場面ごとに異なり、旧撮影の事件の経緯は一つにはまとまらない。噂、推測、友人から聞いた話、そして二村自身の告白が、別々の展開として語られる。

二村によれば、旧作の女優は美月に似ていたという。けれどもその噂の出所も真偽も、二村自身にも確かめられない。親族の復讐という筋書きは、冗談だと断る。

「ぼくもホントかどうか確認できないもん」(二村)

同居を知った二村は、旧撮影の消失説を語る。遺体は見つからず、カメラには飛び降りる姿が映っていたという噂がある。空のカメラのことを問われると、ここからは推測だと断ったうえで、女優は別の次元へ消え、監督も女優を独り占めできる世界を求めて死を選んだのではないかと話す。脚本の中だけに存在する女優なら、撮影が始まると現れ、完成が近づけば消える。撮影の前の記憶もいらない。二村はそう美月に重ねてみせたあと、これは自分の作った話だと明かし、もし彼女が飛び降りるなら離すなと言う。

「ここからはぼくの推測なんだけどね」(二村)
「これでもシナリオの勉強してるんだ」(二村)

別の場面では、二村は定食屋を営む家の友人の話をする。旧撮影を手伝っていたその友人は、女優と監督だけが残ったあと、優しい女優に頼まれて屋上へ上がった。何をするのか知らないまま、驚かせるつもりで命綱を緩めた。女優が飛び、怒った監督から逃げるために張ったロープの罠で、監督も転落した。こうして心中の形が整ったのだという。

「その時女優はちゃんと命綱つけてたんだ」(二村)

その友人について、二村の答えは主人公の問いかけによって変わる。バイク事故で死ぬ間際に聞いたという答え、告白したあとに自殺したという答え、もうこの世にはいないという答え。作り話ではないかと問われれば、それを認め、映画を作る者の嘘だと言う。

「映画作るものとして、これくらいのウソはつけなくちゃ…」(二村)

BAD Bad 09「かごひめの寝屋」は、二村がラッシュを見せる場面から始まる。二村は、旧撮影の監督が怖かったという自分の経験を語り、映画を完成させるために大学へ入り、映研に入ったと明かす。遥が信じた作者からの手紙も、自分が書いた偽物だった。旧作のラストには本物のフィルムを使い、ほかの場面は部員たちに自分のために働いてもらうのだという。結末の題字は「かごひめの寝屋」と表記される。

「ぼくの書いたシナリオ作者からのニセモノの手紙」(二村)
「ここだけは、この本物のフィルムを使わせてもらうよ」(二村)

別居と嫌がらせ、そして廃病院 BAD

別荘から戻った主人公と美月の暮らしは、遥に同居を見抜かれたことで終わりを迎える。美月は遥の父が経営するウイークリーマンションへ移され、一人になった主人公の家には嫌がらせが続く。撮影が終わったころ、佐久間から、美月の過去について話したいという呼び出しがかかる。指定された場所は、使われなくなった病院の跡だった。

主人公が入浴していると遥が入ってきて、そこへ美月も現れる。走り去った美月を追うと、美月は、記憶が戻ったら主人公と離れなければならないのではと恐れていた。主人公の優しさを同情だと思い、過去を知られれば離れられてしまうと怯えながら、今だけは頼りたいと言う。

「今だけちょっと寄り掛からせて…」(美月)

撮影のあと、テレビに森崎の番組が映ると、主人公は美月に見せまいとする。美月は同居させてもらったことへの感謝を口にし、記憶よりもこの暮らしを望むと語る。他人を演じることがこんなに楽しいとは思わなかったとも言う。

「それに、他人を演じる事がこんなに楽しい事なんて思いも寄らなかった…」(美月)

遥は同居を見抜き、旧撮影の事件と恋愛禁止の掟を理由に、美月を父のマンションへ移す。映画を無事に完成させて部を守ることが自分の使命であり、完成したあとなら自由だと告げる。

「でも、今回の撮影は死人を出したくはないの」(遥)

別居が始まると、主人公の家の玄関に落書きが現れ、郵便受けには猫の死体が入れられる。美月のいない家で、主人公は共同生活がどれほど大きなものだったかを知る。撮影は終わりへ向かい、ギブスをはめたままの佐久間も、顔のアップの撮影に復帰する。

呼び出された廃病院で、主人公は刃物を持った相手に襲われる。呼び出した佐久間を疑った主人公が、逃げる襲撃者を追っていくと、そこへ美月が現れる。美月は、佐久間から助けに来るよう電話があったと話すが、主人公はその説明の食い違いを問う。

BAD Bad 10「殺人鬼」では、足を痛めた主人公が、襲ってきた相手に理由を問う。

BAD Bad 17「真実は…」では、病院の事件の翌夜、佐久間が学校の屋上から飛び降りる。映画は佐久間の場面を主人公に差し替えて完成し、嫌がらせも収まる。佐久間がなぜ飛び降りたのかはわからないまま、美月は仕事に戻り、食事とライブに出かけていく。

利き腕の謎 — 診察記録が語る姉妹 BAD

廃病院の事件のあと、遥は美月を自宅で休ませ、けがをした主人公のことも気づかう。主人公は、撮りためた映像と写真、植木鉢のこと、事件のあった場所を、一つずつ考え直していく。編集した映像の中に、主人公は小さな違和感を見つける。それは、美月が誰なのかという問いにつながっていた。遥と二村も、主人公に力を貸す。

映像を見返した主人公は、美月の利き腕が場面ごとに右になったり左になったりすることに気づく。主人公は遥、二村、美月に電話をかけて協力を求め、映画の上映の場で、美月に利き腕と正体を問いただす。二村は、上映の最中に電話で遥が席を外す流れを作る。

BAD Bad 11「真犯人(1)」とBad 12「真犯人(2)」は、映画の上映の場面で迎える結末である。遥が二村のけがの様子を見に席を外したあと、主人公は映画のカットのおかしな点に気づく。説明しかけた主人公に、美月が「フン!!」と応じるのがBad 11。説明する前に襲われた主人公が、なぜ自分を殴るのかと美月に問うのがBad 12である。

佐久間が写真とともに残していった病院の封筒をたよりに、主人公は南西総合病院に連絡し、森崎真奈美に会う。森崎が明かしたのは、少女の本当の名前だった。

「美月ちゃんは志穂ちゃんのお姉さんよ」(森崎)

写真に写る右利きの少女が妹の赤坂志穂、左利きの少女が姉の赤坂美月。姉の美月は、すでに亡くなっていた。主人公と暮らしていた少女は、姉の名前を名乗る妹のほうだった。森崎は、主人公が恋人の立場にあることを確かめたうえで、志穂の診察記録を渡す。

診察記録の中で、志穂は姉妹の生い立ちを語っている。五歳のときに両親を交通事故で亡くし、中学を卒業するまで祖父母に育てられたこと。上京して別々の高校に進み、生命保険のおかげで暮らしには困らなかったこと。仲の良い姉妹だったが、恋人に騙された姉は男性を信じられなくなり、男と話す妹を殴るようになったこと。記録は志穂の名のまま、途中から語り口が、妹を罰して守ろうとする姉の立場へ変わっていく。

「あたしと同じ目にあわせはしない!!」(志穂(診察記録))

森崎の説明によれば、姉の虐待で志穂も心を病み、診療を受けていた。姉の遺体を見つけた悲しみと虐待とで人格が分裂し、記憶喪失によって本来の志穂は奥へ退いた。そのあいだに現れるのが、美月の名前だけを語る仮の人格と、姉の人格である。ふだんの明るい美月は仮の人格で、ショックを受けると姉の人格が現れる。嫉妬深い姉の人格は、妹が心を許した男性を襲うおそれがあると森崎は言う。

「普段現れている人格は、美月という名前だけ語っている仮の人格…」(森崎)

主人公は手がかりを組み合わせて、事件を考え直す。廃病院の襲撃者は素早く逃げ、刃物を左手に持っていた。腕を折ってギブスをはめた佐久間には、できないことだった。佐久間から電話があったという美月の説明も、自宅の電話の通話記録や留守番電話の暗証番号と合わない。佐久間が知っていたのは、主人公が持ち歩くPHSの番号だった。

問いつめられた美月の中から、姉の人格が現れる。姉の人格は、植木鉢も、玄関の落書きも、廃病院の襲撃も、すべて自分がやったと言い放つ。

「みーんなあたしがやったの…」(美月)
「あなたなんかに私の志穂は渡さないわよ!」(美月)

遥が明かした部員たちの罠を逃れ、姉の人格は屋上へ駆け上がる。志穂を渡すくらいなら飛び降りると告げる姉の人格を前に、主人公は、志穂が戻ってこなければ一緒に飛び降りるという計画に踏み切る。

BAD Bad 14「姉妹」では、美月が死にたくないと助けを求める。主人公が手を伸ばすよう促したあと、姉は、志穂を永遠に自分のものにすると告げる。

屋上のあと — 回復と、失われた記憶 GOOD

屋上での賭けのあと、物語はいくつもの結末に分かれる。少女が回復する結末もあれば、記憶や心に深い傷を残したまま続いていく結末もある。Good 4種はすべてこの屋上のあとに迎える結末で、同じ場面からバッドエンドに終わる道もある。主人公とともに落ちた少女がどうなったのか、そして主人公自身がどうなったのかは、結末ごとに大きく異なる。

BAD Bad 13「とどかぬ想い」では、姉の人格が志穂に戻ったふりをして、志穂に近づく男はすべて殺すと告げる。

志穂を呼び戻す場面で、佐久間は自分の事情を打ち明ける。彼もまた、志穂との仲を姉の美月に邪魔された一人だった。妹が姉を名乗り、自分のことを忘れていると気づいた佐久間は、志穂が学校を休んで通院し、家に帰らない事情を調べていた。近所では入院していると思われていて、捜索願いも出ていなかったという。美月に向けた「生きてるワケない」という言葉は、死んだはずの姉が現れたと思ってのものだった。廃病院には腕のせいで遅れて着き、追ってきた主人公に驚いて逃げたのだと話す。その説明の最中に、佐久間は姉の人格に骨を砕かれる。

「僕もホンモノの美月さんに、志穂さんとの仲を邪魔されたひとりでね」(佐久間)

GOOD Good 01「ダブルキャスト」では、主人公と一緒に落ちたことに志穂は驚き、それ以来、別の人格は現れなくなる。五日間徹夜した志穂は、完成した映画の上映中に眠ってしまう。志穂は、部員たち、とりわけ佐久間にけがをさせたことを悔やむ。主人公は、志穂自身として皆と仲良くなればいいと勧める。

「部員のみんなにもケガさせちゃったし、特に佐久間さんには…」(志穂)

港での二人の稽古は、二村がこっそり覗いて撮っていた。恋愛禁止だから見張っていたのだという二村に、志穂は撮るなら声をかけてと抗議し、自分にも好きな角度があると返す。二村は遥に、主人公への好意と、事情を知ったうえで守ろうとした気持ちが、美月を別居させ、主人公に編集を任せた理由ではないかと推理してみせる。遥は面白い推理だと返して口止めを確かめ、二村の求愛には考えておくと答える。

「もう! 撮るんだったらちゃんと声かけてよね!!」(志穂)

GOOD Good 02「志穂」では、志穂は姉妹のつらい記憶を失うが、主人公と一緒にいたいという気持ちは残る。ふだんの少女のように戻った志穂は、姉をすぐ近くに感じると言い、主人公のそばにいたくて手伝いを続ける。姉妹が互いを受け入れたのだと、主人公は考える。

「ずっと一緒にいたかったから…」(志穂)

GOOD Good 03「美月」では、飛び降りる前の記憶を失った少女が、遥に頼まれて主人公と初めてのデートをする。ほかの男に触られたら蹴りを入れるのに、主人公だと平気なのだという。人格の入れ替わりははっきりしなくなり、森崎は再び混乱するおそれを心配するが、主人公は二人の関係を一から作り直そうとする。

「ほかの男の人に触られたりしたら、その場でケリ入れちゃったりするんだけど。
キミだと平気なんだよね…」(志穂)

GOOD Good 04「とらわれた心」では、凶暴な人格でいる時間が長く、治療は思うように進まない。森崎から経過のよくないことを聞いた主人公は、亡くなったのは本当は志穂のほうではないかという考えにとらわれるが、それは妄想だとされる。泣く主人公を、遥は完成した映画を見せてやろうと励ます。

「だってこの映画には、あの娘の楽しい思い出がいっぱい詰まってるんだから」(遥)

BAD Bad 15「終焉」では、遥が、なぜ恋愛禁止の掟を守らなかったのかと嘆く。二人がどうなったのかは語られない。

BAD Bad 16「記憶」では、二村が飛び降りに間に合ったと話す。けれども主人公は、遥のことも、二村のことも、自分の名前さえもわからなくなっていた。志穂のその後は語られない。

作中で明確な答えが示されないこと

以下は作中で明確な答えは示されていない。

  • 約十年前の撮影で、女優と監督がどのようにして亡くなったのか。二人が飛び降りたという話は噂として伝わるだけで、二村の語る話も、推測、友人から聞いた話、作り話、自らの告白と、場面ごとに異なる。
  • 旧作の女優が美月に似ていたという噂が本当なのか。
  • 序盤に主人公へかかってきた、少女に関わるなという警告電話の主。
  • 主人公の家の郵便受けに入れられた猫の死体。姉の人格は、植木鉢・落書き・廃病院の襲撃は自分がやったと認めるが、猫の死体には個別に触れない。
  • Bad 17「真実は…」で、佐久間が学校の屋上から飛び降りた理由。

エンディング一覧

エンディングの種別と番号の順に並べた。Good 4種、Normal 6種、Bad 17種の計27種。いくつかの結末のあとには、剛田と花園が現れ、彼女の気持ちへの配慮や協力者の必要を主人公に説く。

種別 エンド名 場面 結末概要
GOODGood 01「ダブルキャスト」屋上のあと別の人格は現れなくなり、志穂は完成した映画の上映中に眠る。主人公は志穂自身として皆と付き合うよう勧め、二村が稽古を撮っていたこともわかる。
GOODGood 02「志穂」屋上のあと志穂は姉妹のつらい記憶を失うが、主人公と一緒にいたい気持ちは残る。
GOODGood 03「美月」屋上のあと飛び降りる前の記憶を失い、主人公と初めてのデートをする。主人公は関係を作り直そうとする。
GOODGood 04「とらわれた心」屋上のあと凶暴な人格でいる時間が長く、治療は難航する。遥は完成した映画を見せようと主人公を励ます。
NORMALNormal 01「翔子」飲み会の夜翔子を送る道で互いの優しさを語り、主人公は身近にいてほしいと告げる。
NORMALNormal 02「映研」もう一つの出会い手紙を受けて美月が撮影に戻り、二村もカメラを引き受ける。
NORMALNormal 03「親友」もう一つの出会い遥に励まされた二村が、カメラを主人公に渡して助手に回る。
NORMALNormal 04「麻由」帰り道倒れている人に声をかけたところで、物語が幕を閉じる。
NORMALNormal 05「マリア」帰り道奥に見える人影に声をかけたところで、物語が幕を閉じる。
NORMALNormal 06「花織」帰り道通りがかったマンションに立ち寄ったところで、物語が幕を閉じる。
BADBad 01「少女」美月との出会い警察を勧められた美月が礼を言って去り、主人公は振られたとこぼす。
BADBad 02「夢のつづき」美月との出会い美月が去り、夢だと思った主人公は、再び彼女の名前に気づく。
BADBad 03「狂気(1)」別荘の夜二村が相手を捕まえ、その姿に二人は驚く。
BADBad 04「狂気(2)」別荘の夜悲鳴を寝言だと決めて眠り、ニュースが男女数名の遺体と放火の疑いを伝える。
BADBad 05「狂気(3)」別荘の火災火傷で動けない主人公が寒さを感じる。遥は美月の様子に答えられない。
BADBad 06「狂気(4)」別荘の火災立ち上がれない主人公が相手に正体と理由を問い、驚く。
BADBad 07「狂気(5)」別荘の火災遥に肩を借りて逃れたあと、再び悲鳴が上がる。
BADBad 08「狂気(6)」別荘の火災二人を逃がそうと叫ぶ主人公の前で、遥が相手に翔子のことを問う。
BADBad 09「かごひめの寝屋」二村の告白二村が旧撮影への関わりと偽の手紙を明かし、旧作のフィルムで映画を完成させようとする。
BADBad 10「殺人鬼」廃病院足を痛めた主人公が、襲ってきた相手に理由を問う。
BADBad 11「真犯人(1)」映画の上映カットのおかしな点を説明しかけた主人公に、美月が応じる。
BADBad 12「真犯人(2)」映画の上映説明する前に襲われた主人公が、なぜ殴るのかと美月に問う。
BADBad 13「とどかぬ想い」屋上のあと姉の人格が志穂に戻ったふりをして、近づく男はすべて殺すと告げる。
BADBad 14「姉妹」屋上助けを求めた美月の中から、姉が志穂を永遠に自分のものにすると告げる。
BADBad 15「終焉」屋上のあと遥が、なぜ恋愛禁止の掟を守らなかったのかと嘆く。
BADBad 16「記憶」屋上のあと主人公は、遥のことも二村のことも、自分の名前もわからなくなる。
BADBad 17「真実は…」廃病院の事件のあと佐久間が学校の屋上から飛び降りる。理由がわからないまま映画は完成し、嫌がらせも収まる。