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用語集 — GAOGAO! 1st. ラジカルシークエンス

『GAOGAO! 1st. ラジカルシークエンス』に登場する固有名詞と設定語をまとめた。「ネタバレ詳細」を開くと、その語が最終的に何を意味していたかまで踏み込む。

人物・異名

シェラザード しぇらざーど 人物

序盤ではまったく語られない名。物語中盤、公園で老婦人・伊集院ゆかりの口から初めて出てくる。

ミィが猫だった頃の名前である。伊集院家で飼われていたアビシニアンで、子に恵まれなかったゆかりが我が子のように可愛がっていた。屋敷から姿を消したのち実験対象となり、猫娘へと姿を変えられた。

「シェラザードは子供に恵まれなかった私にとって我が子のような存在だったの」という一言でミィの記憶が戻るが、彼女は元の飼い主のもとへは帰らず、祐二のそばに残ることを選ぶ。

アルファ(α1号体) あるふぁ 人物

中盤、テレビが報じる「謎の獣」の噂として存在だけが先に知られる。街を騒がせる正体不明の脅威。

冒頭のニュースで盗まれたホワイトタイガーを、ウォーレンが改造して作り上げた二例目の成功例。高い知能と人間以上の身体能力、そして戦闘用の凶暴な本能を併せ持つ。首には意志制御用の金属製首輪がはめられていた。

ミィとは同じ実験から生まれた間柄だが、拾われて可愛がられたミィと、暗闇に一人で置かれ虐げられた自分との差が、そのまま憎しみになっている。首輪が壊れて暴走し、権三に重傷を負わせ、創造主であるウォーレンをも手にかける。最後はミィに寄り添われ、共に人間のいない場所へ去る。

アイテム・技術

バクテリオファージ ばくてりおふぁーじ 技術

屋敷編でウォーレンが語り出すまで、作中では一切触れられない。本作の超常現象すべての土台にあたる語。

ウォーレンが遺伝子を操作したウィルス。「その体のほとんどが遺伝情報だといっていい」という性質を運び屋として利用し、ヒトの遺伝情報を対象へ注入する。新陳代謝によって全細胞が入れ替わり、別の生命体へ「生まれ変わる」という理屈である。

ほとんどの個体は急激な変化に耐えられずに絶命し、成功は極めて稀とされる。ミィが第一の成功例、アルファが第二の成功例にあたる。作中では二次感染は起きない設計だと説明される。

意志制御用首輪 いしせいぎょようくびわ アイテム

終盤、アルファの首にはめられていることに祐二が気づく金属製の首輪。

凶暴な戦闘体であるアルファの行動を抑えるための装置。これが壊れたことでアルファは暴走し、物語は一気に終盤へ動き出す。造った側が制御装置ひとつで命を管理していたという事実そのものが、ウォーレンや香織の生命観を端的に表す小道具になっている。

赤い首輪 あかいくびわ アイテム

ミィが拾われたときに着けていた、鈴の付いた赤い首輪。素性を探る最初の手がかりになる。

ミィが飼い猫シェラザードだった証である。街を歩くなかでミィがこれを見て記憶を辿る場面があり、正体判明への道筋をつける。物語中盤でまふゆに盗み出される。

アルファの意志制御用首輪と対になる小道具で、片方は愛情の印、もう片方は支配の道具として、同じ「首輪」がまったく逆の意味で置かれている。

またたび またたび アイテム

猫の好物として知られる植物の実。まふゆがミィを無力化するために襲撃で用いる。猫の性質を残すミィには効果てきめんで、正体が猫であることを利用した搦め手として描かれる。

香織特製ブレンド超強力酩酊剤 かおりとくせいぶれんどちょうきょうりょくめいていざい アイテム

香織が自作した無味無臭の昏倒薬。伊集院屋敷を訪れた祐二に、みゆきが茶へ混ぜて飲ませ、その場で捕縛するのに使われる。名付けのセンスは祐二に酷評されるが、香織自身は「わかりやすくていい名前でしょ」と得意げである。

記憶消去剤 きおくしょうきょざい アイテム

正式には「香織お姉様特製超強力記憶消去剤」。ミィを取り戻したあと祐二を解放する前に注射する、と香織が脅しに使う薬。どうせ記憶を消すのだから何をしてもかまわない、という理屈を成り立たせる道具であり、屋敷編での香織の非情さを示す小道具になっている。

催眠眼鏡 さいみんめがね アイテム

香織の側仕えみゆきが掛けている特殊な眼鏡。相手に催眠をかけて意のままに操る道具で、屋敷編では祐二がこれで支配される。最終的に乱入したミィに割られて効力を失い、みゆきはその一件をいつまでも根に持つ。

護身術 ごしんじゅつ 技術

駅前スナックパークの売り子・白井あやのが祐二に教える体術。腕っぷしに自信のない祐二の数少ない武器で、まふゆら忍者相手には通用する。ただし大男の権三にはまるで歯が立たず、彼我の差を示す物差しにもなっている。

パイナップル爆弾 ぱいなっぷるばくだん アイテム

奈々子が持ち出す爆発物。祐二が伊集院屋敷に捕らわれた際、彼女がこれで門を吹き飛ばして救出に現れる。「ノートに書いてあった説明通りに使ってみたの」という説明のいいかげんさと、番犬の尻尾に引火する余波が、緊迫した屋敷編に息抜きを差し込む。

組織・家

光牙の里 こうがのさと 組織

まふゆが名乗る出身地で、香織に仕えるくの一たちの忍者の里。まふゆ・ナツ・アキがここに属する。「忍者の世界では、命令は絶対なんだ」という彼女たちの行動原理の出どころでもあり、香織陣営が反転すると、そのまま共闘側の実働部隊になる。

くの一 くのいち 組織

光牙の里の女忍者。作中ではまふゆ、ナツ、アキの3人が該当する。またたびや手裏剣を使ってミィを狙う香織の実働部隊で、現代の街並みに忍者が紛れ込むという取り合わせが、本作の雑多な題材づかいをよく表している。

綾小路家 あやのこうじけ

香織の姓の由来となる家。屋敷編で明かされるところによれば父方の家にあたり、両親の死後、香織は母の姉である伊集院ゆかりに引き取られている。「綾小路」と「伊集院」という二つの姓が別々に出てくる理由がここで説明される。

伊集院家 いじゅういんけ

高級住宅街にある大きな屋敷。探索中のミィが記憶で反応する場所として、早い段階から意味ありげに置かれている。

ミィ(シェラザード)の元飼い主・伊集院ゆかりの家であり、同時に香織を引き取って育てた家でもある。さらに離れにはウォーレンの研究室が置かれており、ミィが猫娘になった現場そのものでもある。物語の三つの謎——ミィの前身、香織の素性、変身の理由——がすべてこの一軒に集約している。

終盤には敵の本拠から一転し、家の総力(くの一たち・権三・吉田家の男たち)を挙げてアルファ討伐に加わる。

場所・地名

西新井大学 にしあらいだいがく 地名

祐二と奈々子が通う大学。付属図書館があり、探索パートの起点になる。香織が研究助手として現れる場所でもあり、大月教授が彼女の素性を祐二に語る場面もここで起きる。冒頭の自己紹介「俺の名前は柴田 祐二。西新井大学の2年生。」が物語の最初の一文にあたる。

友引病院 ともびきびょういん 地名

終盤に登場する病院。物語の重い場面が集中して起きる。

アルファに重傷を負わされた権三が搬送される先。憔悴した香織が付き添い、彼女の高慢さが完全に砕けているさまが描かれる。ウォーレンがアルファ逃走の責任を香織に浴びせ、そのまま最期を迎える場もここである。

そして結末で祐二が一人目覚めるのもこの病院である。敵味方が反転する場所であり、すべてが終わったあとに祐二だけが残される場所でもある。

スナックパーク すなっくぱーく 地名

駅前にある軽食店。ティラミスやクレープを売っており、売り子の白井あやのが働いている。祐二が護身術を教わるのもこの店先で、街歩きの合間に立ち寄れる息抜きの場所として置かれている。

M公園 えむこうえん 地名

奈々子を人質に取った香織一味が祐二を呼び出す公園。物語中盤の山場の舞台となる。

ここで奈々子はひどい仕打ちを受ける。その暴力がアルファの制御首輪を壊す引き金となり、暴走したアルファが権三に重傷を負わせて去る。祐二たちが戻ったとき、権三は血の海に倒れていた。

追う者と追われる者という構図が完全に崩れ、香織が味方側へ回る転換点がこの公園である。物語の空気がコメディから一気に切り替わる境目にあたる。

駅前デパート えきまえでぱーと 地名

序盤からミィと一緒に訪れる商業施設。何気ない探索先のひとつが、最後には決戦の舞台になる。

荒らされた祐二の部屋に残された血文字の果たし状「約束 12/24 駅前デパート α」が指定した場所である。クリスマスイヴ当日、香織率いる伊集院家の総勢が麻酔銃を手に1階から屋上まで階層ごとに攻め上がる。

屋上での死闘は大雪のなかで行われ、祐二・ミィ・アルファの三者が安全ネットを突き破って転落する。日常の買い物先だった場所が別れの場になるという配置が、この作品の落差をよく表している。

事件・作中作

ホワイトタイガー盗難事件 ほわいとたいがーとうなんじけん 事件

冒頭のテレビニュースが伝える、サーカスから白虎が檻ごと盗み出された事件。祐二は「虎を盗み出すって…世の中にはずいぶん物好きな人間もいるもんだなあ」と聞き流す。

ウォーレンが第二の実験体を得るために盗ませたものである。この白虎が改造されてアルファとなり、終盤の最大の脅威になる。

ミィを拾った夜のニュースが、そのまま最後の敵の出自になっているという構成で、物語の入口と出口が冒頭の数行で結ばれている。

アビシニアン あびしにあん その他

猫の品種のひとつ。ミィの正体を探る過程で、図書館や博物館で調べる対象として出てくる。

ミィ(シェラザード)の猫種である。公園で伊集院ゆかりが「いなくなったうちの子はアビシニアンという種類だったのよ」と語ることで、それまで集めてきた断片と老婦人の話が結びつき、ミィが伊集院家の飼い猫だったと判明する。地味な調べ物が伏線として効いてくる仕掛けになっている。

肉汁の雫 にくじゅうのしずく 作中作

作中に登場する架空の成人向け映画・官能小説のタイトル。図書館や映画館の探索で出てくるお色気コメディの小道具で、本筋には関わらない。ただし映画館の場面では、鑑賞中に香織とみゆきが祐二たちを追ってくるため、探索の息抜きから追跡劇へ戻る転換点にもなっている。