ストーリー詳細 — GAOGAO! 1st. ラジカルシークエンス
本作はヒロインごとの分岐を持たない一本道の物語で、街の各所を「見る/話す/移動」のコマンドで回りながら、猫娘ミィの正体を追う筋がひとつだけ進んでいく。ここでは冬休み前の出会いからクリスマスイヴの決着までを、時系列に沿って6つの区切りで追う。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
プロローグ — ゴミ捨て場の猫娘
西新井大学2年の柴田祐二が、語学試験を控えた深夜のコンビニ帰りに、猫の耳としっぽを持つ少女を拾う。同じ夜のテレビは、サーカスからホワイトタイガーが檻ごと盗まれた事件を伝えていた。
冬休みを目前にした12月。祐二は語学の試験勉強に追われ、夜食を買いにコンビニへ出る。レジで同じ大学の立川奈々子と顔を合わせ、他愛のないやりとりを交わして帰る道すがら、ゴミ捨て場で小さくうずくまる人影を見つける。近づいてみると、それは猫の耳としっぽを持った少女だった。
少女は自分の名前も素性も答えられず、ただ「ミィ」とだけ繰り返す。祐二はその一語をそのまま名前として与え、なりゆきで自室へ連れ帰る。風呂に入れ、食事を与えるうち、彼女が言葉をほとんど持たず、猫のように振る舞うことがわかってくる。人間の常識をひとつずつ教えるところから同居生活が始まる。
この夜のテレビニュースが、物語のもうひとつの発端になっている。
「昨日の夜、XX市で興業中の○Xサーカスからホワイトタイガーが檻ごと何者かに盗み出されるという事件がありました」(TVニュース)
ミィを拾った偶然と、白虎が消えた事件。無関係に見えるふたつが同じ研究室から出ていることが判明するのは、物語のかなり後になってからである。
街の探索と、追手の出現
ミィの正体を探して街を歩く日々に、軍装の令嬢・綾小路香織と、彼女に仕えるくの一まふゆ、大男の吉田権三が現れる。「その猫を返せ」という要求が、祐二の日常を追跡劇に変える。
祐二はミィを連れて大学・駅前・デパート・ペット屋・公園・高級住宅街を回り、手がかりを集める。道具のひとつとして首輪が見つかるが、この時点では意味がわからない。奈々子にはミィの姿を隠しきれずに打ち明けることになるが、彼女は驚きながらも受け入れる。
「ミィちゃん、よろしくね。わたしは立川奈々子っていうの。仲よくしましょうね」(立川奈々子)
やがて祐二の前に、軍服めいた出で立ちの令嬢綾小路香織が「やっと見つけたわ」と現れる。彼女は配下のまふゆを差し向け、またたびを使ってミィを酩酊させて連れ去ろうとする。まふゆは自ら名乗って正体を明かす。
「あたしの名前はまふゆ。香織様にお仕えする光牙の里のくの一さ」(まふゆ)
大学では大月教授が、香織を研究助手として紹介しつつ、その素性——綾小路家の令嬢で、飛び級を重ねてハバト大学院を出た才媛——を明かす。香織の追跡は日を追って露骨になり、コンビニでは強盗に扮してミィの引き渡しを迫り、大男の権三が力ずくで祐二を制圧する場面まで生じる。
「だったらおとなしく猫娘を引き渡せ」(綾小路香織)
まふゆは深夜に忍び込んで首輪を盗み出し、再侵入したところを祐二に取り押さえられる。この攻防のさなかに彼女は転落して救急搬送される。追手との衝突が、単なるドタバタでは済まない領域に踏み込んでいく。
シェラザード — ミィの前身
図書館や博物館でミィの記憶が少しずつ戻り、公園で出会った老婦人・伊集院ゆかりによって、彼女の前身が明らかになる。それは飼い猫のアビシニアン「シェラザード」だった。
探索を続けるうち、ミィは猫だった頃の記憶の断片を取り戻していく。図書館の資料や博物館の展示に反応し、自分がアビシニアンという種類の猫であったらしいことが浮かび上がる。
決定的な出会いは公園で訪れる。品のよい老婦人伊集院ゆかりが、いなくなった飼い猫の話を語り始める。
「いなくなったうちの子はアビシニアンという種類だったのよ」(伊集院ゆかり)
「シェラザードは子供に恵まれなかった私にとって我が子のような存在だったの」(伊集院ゆかり)
ミィはその名に反応し、自分がシェラザードであったことを思い出す。物語の常道であれば、ここは元の飼い主のもとへ帰る場面である。しかしミィが選んだのは、そうしないことだった。
「今はあたしのおうちは祐二のいるところなの」(ミィ)
正体が判明してなお祐二のそばに残るというこの選択が、結末での別れをいっそう重くする。前身がわかったところで、なぜ猫が娘の姿になったのかという最大の疑問は手つかずのまま残されている。
その後、まふゆとの決着がつき、翌朝のニュースは再び白虎の話題を伝える。そして祐二のもとに、伊集院家への招待が届く。
伊集院屋敷 — ウォーレンの告白
招かれた屋敷で祐二は捕縛され、香織の口から伊集院家との血縁が語られる。脱出の途中で辿り着いた研究室で、生物工学者フリッツ・ウォーレンがミィ誕生の真相を明かす。
伊集院屋敷を訪れた祐二は、側仕えのみゆきが出した茶に酩酊剤を盛られて昏倒し、目覚めたときには縛られて香織・権三・みゆきに囲まれていた。香織は記憶を消すと脅しをかけ、自らの立場を隠さず語る。
「あんた、自分の立場がわかってるの?あんたを煮るのも焼くのも私の自由なのよ」(綾小路香織)
「綾小路は父方の姓よ。両親が亡くなったから、私は母親の姉である伊集院ゆかりに引きとられて育ったってわけ」(綾小路香織)
公園で出会った老婦人と、ミィを追う令嬢が同じ家の人間だった。ここで二本の筋がひとつに繋がる。さらに香織は、変身そのものの実行者が自分ではないことを口にする。
「あの猫を実験対象に選んだのはあたしだけど、姿を変えたのは私じゃないわ」(綾小路香織)
祐二とミィは秘密の通路から脱出を図り、その途中で屋敷の奥にある研究室に行き着く。そこにいたのが、伊集院家に居候するフリッツ・ウォーレンだった。
「私の名前はフリッツ・ウォーレン。生物工学・遺伝子工学の第一人者と自負しておる」(フリッツ・ウォーレン)
ウォーレンは求められもしないうちから自らの業績を語り出す。遺伝子を操作したウィルス(バクテリオファージ)を運び屋として、ヒトの遺伝情報を猫へ感染させる——それが彼の研究であり、ミィはその成果だった。
「数え切れないほどの失敗を繰り返し、やっと成功したのがその娘なのだよ」(フリッツ・ウォーレン)
数え切れない失敗、という一言が意味するものを、ウォーレンは誇りとしてしか語らない。祐二にとってミィは拾った日から一緒に暮らしてきた相手だが、この研究者にとっては通し番号のついた成功例にすぎない。両者の断絶がそのまま本作の主題になる。
脱出の場面では権三との戦いになり、駆けつけた奈々子がパイナップル爆弾を投げ込む荒技で切り抜ける。逃げ延びた祐二たちはホテルへ避難し、そこでミィは実験を受けたときの記憶を自分の言葉で語る。前後してテレビは「謎の獣」の報道を始め、まふゆの妹分にあたるナツとアキが姉の仇討ちに現れる。
アルファの暴走 — 敵味方の反転
M公園での対峙の最中に、制御首輪の壊れた「第二の成功例」アルファが暴走する。権三は瀕死の重傷を負い、香織は崩れ落ちる。やがてアルファは創造主ウォーレン自身をも手にかける。
M公園で、香織の一党は奈々子を人質にとって祐二とミィを追い詰める。だがその対峙は、まったく別のものによって断ち切られる。行動を抑えていた制御首輪が壊れたアルファ(α1号体)が現れ、暴走したのである。冒頭のニュースで盗まれたホワイトタイガーが、ウォーレンの手でミィに続く二例目として改造された姿がこれだった。
アルファは味方も敵も区別せずに暴れ、権三に致命的な傷を負わせて去る。祐二たちが公園に戻ったとき、権三は血の海の中にいた。ミィが救急車を呼び、香織は半狂乱のまま泣き崩れる。追う者と追われる者という構図が、この一件で完全に崩れる。
祐二が香織にぶつけた言葉は、本作が終始かかえている対立をそのまま言い表している。
「俺は人間以外の生き物にも心があるってことに気がつかないあんたやあの研究者のことが認められないだけさ」(柴田祐二)
友引病院に権三を見舞うと、そこには憔悴しきった香織がいた。一方ウォーレンは、アルファを取り逃がした責任を香織に浴びせ立てる。その最中に襲撃を受け、研究室もろとも焼かれて死亡する。創造主に向けられたアルファの評価は、たった一言だった。
「コイツ、嫌イ」(アルファ)
黒幕が退場したことで、残された者たちには共通の敵だけが残る。祐二・ミィ・奈々子と、香織率いる伊集院家は、ここで共闘に向かう。
クリスマスイヴの決戦と別離 TRUE相当
血文字の果たし状が指定したのは、12月24日の駅前デパート。総力戦の末に屋上で決着がつき、祐二・ミィ・アルファは雪の中へ落ちていく。
クリスマスの準備が進むなか、祐二は子猫を伊集院ゆかりへ贈る。シェラザードを失ったままの老婦人に、せめて別の温もりを届けようとする場面である。だが自室に戻ると部屋は荒らされ、血文字の果たし状が残されていた。
約束 12/24 駅前デパート α
クリスマスイヴ当日、香織が率いる伊集院家の総勢——みゆき、快復したまふゆ、ナツとアキ、吉田家の男たち——が麻酔銃を手に、デパートを階層ごとに攻め上がる討伐作戦が始まる。抵抗は激しく、味方は次々と倒れていく。
この道中で香織が語るアルファ観が、本作でもっとも重い一節である。
「高い知能を持ちながら、受け入れてくれる社会がほしいと思いながら最も野蛮な本能をあわせもつ…これがどんなことかわかる?絶望的な孤独よ」(綾小路香織)
かつてミィを所有物としか見なかった香織が、いまは造られた命の孤独を言葉にしている。屋上での死闘は大雪のなかで行われ、ミィが斬られて倒れる。決着の瞬間、祐二・ミィ・アルファの三者は安全ネットを突き破って落下する。
「憎んで…憎んで…憎み続けて…やっと念願を果たしたのに…どうしてこんなに虚しいんだろう…」(アルファ)
次に描かれるのは、生死の狭間のような空間である。ミィとアルファは助かっていた。だがミィは祐二のもとへ戻らない。
「あたし、アルファと一緒に行く」(ミィ)
「人間のいない…あたしたちが耳やしっぽを隠したりしないですむような所…」(ミィ)
行き先がどこなのかは最後まで語られない。別の世界だとも、遠い土地だとも説明されず、ただ「人間のいない場所」とだけ告げられる。孤独なアルファに寄り添うために、ミィは祐二の隣を離れることを選ぶ。
「祐二、愛してる…」(ミィ)
祐二は病院で一人目覚める。雪の中を捜しても、ミィとアルファの死体はもちろん足跡ひとつ残っていなかったと知らされる。拾った日から続いた同居は、こうして痕跡もなく終わる。
「いつか必ず…会いに来いよ…。俺はいつだって待ってるから…」(柴田祐二)
再会は果たされないまま、待つという一言で物語は幕を閉じる。猫娘のかわいらしさとドタバタで進んできた作品が、最後に残すのは喪失の余韻である。
エンディング一覧
本作にヒロインごとの分岐はなく、到達する結末はひとつだけである。ゲームオーバーや別エンドにあたるテキストも確認できない。作中でエンド名が示されないため、当サイトでは内容にもとづき「別離エンド」と呼んでいる。
| 種別 | エンド名 | ルート | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| TRUE相当 | 別離エンド(当サイトによる呼称) | 本編(一本道・分岐なし) | クリスマスイヴのデパート決戦でアルファを止めた後、祐二・ミィ・アルファが屋上から転落。ミィとアルファは生き延びるが、ミィは孤独なアルファに寄り添うため「人間のいない場所」へ去る。祐二は病院で一人目覚め、雪の中に死体も足跡も無かったと知らされる。再会を願って幕。 |
補足 — シリーズ年表における本作の位置
※この項目は GAOGAO! シリーズ他作のネタバレを含みます。本作のみを読みたい方はここで引き返してください。
GAOGAO! シリーズ4作は主人公も物語も別個だが、世界観と時系列はひとつながりの年表として連続しており、本作はその起点にあたる。
第4作『カナン ~約束の地~』の冒頭プロローグには、西暦とドーム紀元を併記した年表が置かれている。その最初の項目が A.D.1993 の日本、すなわち本作の出来事である。同プロローグには香織・祐二・ミィ・アルファの台詞がそのまま再録されており、本編の年代がそこで確定する。
- A.D.1993 日本(本作) — ウォーレンが伊集院財閥の後押しで、ウィルスを媒介に遺伝情報を注入する研究を極秘に進める。実験体アルファの脱走が本編。ウォーレンの死後も研究は財閥に継承される。
- A.D.2014 アメリカ — 些細なミスからバイオハザードが発生。実験段階を遥かに超えたウィルスが風で全世界へ拡散する。
- およそ一世紀 — 各地でドーム都市の建設が進む。日本の伊集院財団が主導した人類最初のドームがイジュウインシティと名付けられ、その完成日がドーム紀元の起点となる。
- D.C.269(第2作) — ドーム内で変異遺伝子を持つ者が増え、動物の耳と尻尾を持つ「変異体」が生まれ始める。
- その後の数百年(第3作・第4作) — 地上では変異体が新たな文明を築き、人類の存在は伝説の彼方となる。第4作の舞台はイジュウインシティ攻略で、A.D.1993 の伊集院家が数百年越しに回帰する。
耳と尻尾を持ち、人語をうまく話せず、首輪をはめられて研究や捕獲の対象にされる——シリーズを貫く「変異体」というモチーフの原型が、本作のミィとアルファである。第2作のリアが、その直接の対応存在にあたる。