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用語集 — GAOGAO! 4th. カナン ~約束の地~

『カナン ~約束の地~』に登場する固有名詞と設定語をまとめた。「ネタバレ詳細」を開くと、その語が最終的に何を意味していたかまで踏み込む。シリーズ完結編にあたるため、他作とのつながりに触れる項目も含まれる。

世界観・概念

カナン かなん 概念

人類が語り継ぐ伝説の理想郷、「約束の地」。カイトが両親から聞かされ、旅の目的としている場所である。本作の題名であり主題でもある。

物語の結論として、カナンはどこかに存在する土地ではないことが示される。エルザが手記に残した一文が答えにあたる——「カナンとは求めて得るものではなく作り出すもの、この地球そのものがカナンなのだ」。

空を見たことのない少年が地上へ出て、伝説だと思っていた種族と出会い、共に生きる場所を作りはじめる。その過程そのものが答えだったという結びである。

クラブHT1 くらぶえいちてぃーわん 事件

人類をほぼ滅ぼした致死性のウィルス。これによって人類は地上を失い、ドーム都市を経て地下シェルターへと追い込まれた。

本作の冒頭プロローグで、その出自が明示される。1993年に生物工学者フリッツ・ウォーレンが伊集院財閥の後押しで進めた変異体製造研究のウィルスが、事故によって流出し、実験段階を遥かに超えた生命力を得て全世界へ拡散したものである。

シリーズ第1作の出来事が、そのまま世界を滅ぼす原因になっている。一人の研究者が開けた箱の顛末が、数百年後の本作まで続いていることになる。

変異体 へんいたい 概念

クラブHT1の影響で人間から変化した、獣の特徴を持つ種族。本作の時代には地上に新しい文明を築いており、人類のほうが伝説の存在になっている。

シリーズを貫く中心概念である。第1作のミィとアルファに始まり、第2作のリア、第3作以降の獣人たちへと連なってきた。第1作のWindows移植版の副題が「the mutia chronicle 1」=変異体年代記・第1章であることも、この語がシリーズの背骨であることを示している。

そして本作の結末で、人間と変異体はセイラムの村で共存を始める。滅ぼし合ってきた二つの種が同じ村で暮らしはじめるところに、年代記は着地する。

変異体因子 へんいたいいんし 概念

遺伝子レベルの変異。変異体であるかどうかを分けるものであり、本作ではこれが生死を分ける基準になる。

イジュウインシティが開発したREVシリーズは、この因子を持つ者だけを殺すウィルスである。

カイトのシェルターが全滅したのはこのウィルスによるもので、彼一人が生き残ったのは変異体因子をまったく持たない純粋な人間だったからだった。人間を守るはずの兵器が人間の居住区を消し、その設計ゆえに一人だけが取り残されるという皮肉な構図になっている。

共振/共鳴 きょうしん 概念

強い感情を持つ者どうしのあいだで、意識や記憶、傷の回復が共有される現象。本作では記憶や魂をめぐる場面でたびたび働く。

同じ名の能力はシリーズ第2作にも登場し、そこでは主人公ジャッキーが持つ「アンプリファイア(力の増幅器)」——他の変異体の眠った力を目覚めさせる能力として説明されていた。数百年を隔てて同じ語が受け継がれている。

霊媒体質 れいばいたいしつ 体質

他人の魂が体に入り込みやすい特異な体質。ラビィが持っている。

前作でも三つめの鍵の在り処を探る儀式でこの体質が使われていた。本作ではさらに重い役割を担う。

終盤、瀕死となったファーの魂をラビィが宿し、生体コンピュータの力を受け継ぐのである。一度死んでクローン体へ移された少女が、今度は他人の魂を受け止める器になる。「自分とは何によって決まるのか」という問いが、この一語を通して人物ひとりの上に二重に積み重なっている。

光喰い/闇喰い ひかりぐい/やみぐい 種族

前作『ワイルドフォース』に登場した種族の呼称。ブルーは光喰いにあたる。本作でも彼が生き延びていることで、この語が引き継がれている。

場所・施設

ドーム都市 どーむとし 地名

かつて人類が築いた大型の密閉都市。本作の時代にはほとんどが樹海に呑まれて廃墟となっている。

シリーズ第2作の舞台がこのドーム都市の時代にあたる。「外は危険」という虚構で人々を内側に留めていた社会が、数百年を経て打ち捨てられ、森に還っている。

イジュウイン=ドームシティ いじゅういんどーむしてぃ 地名

唯一現存するドーム都市。研究施設として機能しており、変異体殲滅計画の拠点でもある。物語の最終目標となる場所。

この都市は、人類最初のドームとして伊集院財団が主導して建設したものである。その完成日がドーム紀元の起点となった。

つまりシリーズ第1作に登場する伊集院家の名が、数百年を隔ててこの都市に残っている。1993年の日本にあった一族の名が、シリーズ最終作のクライマックスの舞台になるという構成である。

シェルター しぇるたー 施設

人類が逃げ込んだ地下の居住施設。空を見ることなく、外界から隔てられて細々と暮らしている。

変異体との勢力が逆転したのち、人類がドーム都市を放棄して逃げ込んだ先である。本作の結末では、カイトとウルフィが各地のシェルターに残る生存者を地上へ導く旅を計画しはじめる。閉じた場所から出るという第2作以来の主題が、ここでもう一度繰り返される。

ネオアリストシェルター ねおありすとしぇるたー 地名

カイトの故郷にあたるシェルター。物語の冒頭で住人が全滅する。

全滅の原因は「謎の流行病」とされていたが、正体はイジュウインシティが開発したREVシリーズだった。

その名は、シリーズ第2作の舞台アリストシティ、第3作の首都ニューアリストに続くものである。同じ語が三代にわたって受け継がれており、人類と変異体が交互にこの名を使ってきたことになる。

アンダーグラウンド あんだーぐらうんど 地名

前作『ワイルドフォース』の舞台となった地下世界。人工の空と太陽を持ち、変異体たちが暮らしている。ウルフィが英雄となった地である。

セイラムの村 せいらむのむら 地名

変異体たちが暮らす村。物語の道中で訪れる場所のひとつである。

後日談で、人間と変異体が共存を始める舞台となる。数百年にわたって滅ぼし合ってきた二つの種が、ひとつの村で暮らしはじめる。作中でカナンにもっとも近い場所として置かれている。

ミルキーダイナマイト みるきーだいなまいと 施設

セイラム周辺にある酒場。旅の道中で立ち寄る場所のひとつで、緊張の続く物語のなかの息抜きにあたる。

アイテム・技術

REVシリーズ/REV31 れぶ 兵器

本作で明かされる、イジュウインシティが開発していたもの。

変異体因子を持つ者だけを殺すウィルスである。ヴィアンカ——実際にはアリス——が変異体殲滅のために開発を進めていた。

カイトのシェルターを全滅させたのもこれで、彼一人が助かったのは変異体因子を持たない純粋な人間だったためである。かつてウィルスが人類をほぼ滅ぼした世界で、今度は人類の側がウィルスで種族を消しにかかっているという反復になっている。

生体コンピュータ せいたいこんぴゅーた 技術

有機コンピュータとも呼ばれる、生きた脳を情報体として用いる技術。物語の核心に関わる。

アンジェラとファーの正体がこれである。エヴァンズ博士が造った有機的な超情報体であり、姉妹のうち本体にあたるのはファーだった。

アンジェラは翼を切除され記憶を奪われていた。幼い頃にイジュウインシティの工作員へ連行され、その際に父を目の前で撃たれている。終盤ではファーが瀕死となり、その魂を霊媒体質のラビィが宿すことで、力はラビィへと受け継がれる。

スザク すざく 技術

イジュウイン=ドームシティを統括するマザーコンピュータ。都市のすべてを掌握している。

アリスは自分の思考パターンをこのコンピュータに仕込んでいた。最期の場面で、彼女はスザクに世界破壊のエマージェンシーモードを発動させる。そのうえでカードキーをウルフィに託し、自ら命を絶った。

滅ぼす手を打ちながら、止める鍵を敵に渡す。この矛盾した行為が、造られた従者の最後の意思表示だったといえる。ウルフィとカイトは二人で共にスザクを貫いて破壊する。人間と変異体が並んで同じものに刃を突き立てるこの場面が、シリーズ全体の主題をそのまま形にしている。

実験体 じっけんたい 生物兵器

各地に潜む黒い獣型の人造生物。旅人を襲い、道中の脅威となる。

イジュウインシティが造り出した生物兵器である。この存在が本作にもたらす最大の帰結は、ラビィを殺したことだった。その死の瞬間にブルーが魂を抜き取り、ウォーレンの技術で育てられたクローン体へ移すことで彼女は蘇っている。

無のアエラ むのあえら 人造存在

前作に登場した、感情を持たない人造の存在。アンドロイド的な機械人形にあたる。本作では別の人物がこれに該当することが示される。

前作では「無のアエラ」がミルド村を全滅させ、その正体が機械人形であることが最終盤に明かされた。造られた存在が意思を持たないまま最悪の加害を行うという構図が、本作のアリスやルゥリィにも形を変えて引き継がれている。

人物・組織

Aクラス市民/クローン身分 えーくらすしみん 制度

イジュウイン系のクローンに与えられる身分制度。都市の内側には、生まれ方によって定められた階層がある。

元研究助手のエルザがこの系統に連なる出自を持つ。人造の従者アリス、人工生命のルゥリィ、生体コンピュータのアンジェラとファー、クローン体のラビィ——本作には「造られた者」が数多く登場し、彼らが自分の立ち位置をどう引き受けるかが物語の底を流れている。この制度は、その問いを社会の側から示す設定にあたる。

伊集院財閥/イジュウイン卿 いじゅういんざいばつ 組織

変異体製造研究を後押しした財閥と、その当主。本作の冒頭プロローグに登場する。

シリーズ第1作で、生物工学者フリッツ・ウォーレンの研究を支援していた一族である。ウォーレンの死後も研究は財閥に継承され、やがて事故による流出を経て世界を滅ぼすことになる。

のちにこの財団が人類最初のドーム都市の建設を主導し、その名がイジュウインシティとして残った。本作のクライマックスの舞台がそこであるという点で、シリーズは始まりの一族の名に帰ってくる構成になっている。

アルファ あるふぁ 実験体

本作の冒頭プロローグに登場する、戦闘用の実験体。1993年の日本で脱走・暴走する。

シリーズ第1作『ラジカルシークエンス』に登場する存在である。サーカスから盗まれたホワイトタイガーをウォーレンが改造した二例目の成功例であり、制御首輪が壊れて暴走し、創造主を手にかけた。

本作のプロローグでは、その顛末が世界の始まりの記録として提示される。シリーズ全4作が一本の年表で結ばれていることは、この場面によって確定する。

エヴァンズ博士 えゔぁんずはかせ 人物

アンジェラとファーの父であり、生体コンピュータの創造者。

娘たちが幼い頃、イジュウインシティの工作員に踏み込まれ、アンジェラの目の前で撃たれて命を落としている。彼女の記憶が失われているのは、この場面ごと消された結果だった。

自ら生み出した娘たちが、その後どのような目に遭ったのかを彼は知らないままである。

その他

わくわくフォア・ナイン わくわくふぉあ・ないん 呼称

シリーズを通して使われる、ブランド名を冠したメニュー表記。マスコットは猫娘で、シリーズ第1作のミィを思わせる姿をしている。重い題材を扱う本編と、この軽やかな響きの落差がシリーズの持ち味でもある。