ストーリー詳細 — GAOGAO! 4th. カナン ~約束の地~
本作は人間の少年カイトと狼族の変異体ウルフィという二人の主人公の旅を交互に描き、終盤で二つの筋が合流する。ここでは冒頭のプロローグから共存の後日談までを、時系列に沿って6つの区切りで追う。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
プロローグ — すべての始まり
物語は遠未来から始まらない。西暦1993年の日本、一人の生物工学者が極秘に進めていた研究の場面から幕が開く。
※このプロローグはシリーズ第1作のネタバレを含みます。
生物工学者フリッツ・ウォーレンが伊集院財閥の後押しで進めていた変異体製造研究から、戦闘用の実験体アルファが脱走し暴走する——シリーズ第1作『ラジカルシークエンス』の出来事が、ここで年号付きの記録として提示される。香織・祐二・ミィ・アルファといった第1作の人物たちの台詞がそのまま再録され、4作すべてが一本の年表で結ばれていることが確定する。
そしてプロローグは、その後に起きたことを続けて語る。バイオハザードによってウィルスクラブHT1が世界へ拡散し、人類はほぼ滅んだ。ウィルスのキャリアーから生まれた獣人的な変異体が地上に新しい文明を築き、人類はドーム都市を捨てて空を見ない地下シェルターへ逃げ込んだ。数百年を経て、人間にとって変異体は日常であり、変異体にとって人間は伝説になっていた。
本編はその「数百年後」から始まる。
カイトの旅 — 誰もいないシェルターから
謎の流行病でシェルターの住人が全滅し、少年カイトだけが生き残る。彼は両親から聞かされた理想郷「カナン」を目指して地上へ出た。
ネオアリストシェルターで暮らしていた人間の少年カイトは、流行病によって住人全員を失う。ただ一人取り残された彼が頼りにしたのは、両親から聞かされていた人間の理想郷カナン——約束の地の話だけだった。生まれて初めて空の下へ出た少年の旅が始まる。
道中、彼は脱出ポッドの中で眠っていた記憶を失った少女アンジェラを見つける。彼女は記憶を失っており、自分に片割れ——双子の妹ファー——がいることだけを知っていた。二人はファーの行方を探しながら旅を続ける。やがて人間の親から生まれた変異体の少女ミラも同行するようになる。
行く先々には黒い獣型の実験体が潜み、旅人を襲っていた。それが自然の生き物ではなく造られたものであること、そして背後にイジュウイン=ドームシティがあることが、少しずつ見えてくる。
ウルフィの旅 — 伝説の「ニンゲン」を探して
前作でアンダーグラウンドを救った狼族の英雄が、恋人ラビィ、山猫族の戦士イリア、鳥族ニースと共に地上を旅している。
もう一人の主人公ウルフィの目的は、伝説に聞く「ニンゲン」を探すことである。変異体にとって人間はもはやおとぎ話の存在で、実在を疑う者すらいる。前作の仲間たちがそのまま同行しており、シリーズを追ってきた読者にはこの旅がそのまま続編として機能する。
だが道中、ウルフィは記憶を失う。英雄と呼ばれた男が自分が何者かも分からないまま彷徨うことになり、人魚型の変異体ティティ、元研究助手のエルザ、ウォーレンの傍らにいる少女ルゥリィといった人々と関わりながら、少しずつ回復していく。
この旅路で明かされるもう一つの事実が重い。恋人のラビィは、実は既に一度死んでいた。実験体に殺されたその瞬間、ブルーが彼女の魂を抜き取り、ウォーレンの技術で育てられたクローン体へ移すことで蘇らせていたのである。当たり前に隣にいた少女が、別の体に入った状態で旅を続けていたことになる。
前作で敵として立ちはだかった光喰いのブルーも生きており、敵とも味方ともつかない立場で物語に関わってくる。
REVシリーズ — 変異体だけを殺すもの
アンジェラの失われた記憶と、カイトのシェルターを全滅させた「流行病」。二つの謎が同じ一点で結ばれる。
アンジェラと妹ファーの正体が明かされる。二人はエヴァンズ博士が造った生体コンピュータ——生きた脳を情報体として用いる有機的な超情報体だった。アンジェラは翼を切除されたうえ記憶を奪われていた。幼い頃にイジュウインシティの工作員へ連行され、その際に父を目の前で撃たれている。記憶がないのは事故ではなく、消された結果だった。
そして、イジュウインシティの中心人物ヴィアンカ=A=イジュウインが進めていた計画が判明する。REVシリーズ——変異体因子を持つ者だけを殺すウィルスである。
カイトのシェルターを全滅させた「謎の流行病」の正体がこれだった。地下に隠れて生き延びていたはずの人類の居住区が、人類のために造られた兵器で丸ごと消えたことになる。そしてカイトが一人だけ助かった理由も同時に明らかになる。彼は変異体因子をまったく持たない純粋な人間だった。旅立ちの理由そのものが敵の仕業であり、生き残った理由もまた敵の設計どおりだった。
イジュウインシティ — 「ヴィアンカ」とは誰か
二つの旅が合流し、一行はイジュウインシティへ乗り込む。そこで待っていたのは、この物語で最も入り組んだ真相だった。
カイトとウルフィ、二つの旅がついに合流する。舞台は唯一現存するドーム都市イジュウイン=ドームシティである。
戦いのさなか、ファーは瀕死となる。だが霊媒体質を持つラビィがその魂を宿し、生体コンピュータの力を受け継ぐ。一度死んでクローン体に移された少女が、今度は他人の魂を受け止める器になるという流れである。
そして「ヴィアンカ」の正体が明かされる。シティを統べていた令嬢は本物ではなかった。正体は、本物の令嬢に仕えるため彼女の父——イジュウイン家の前当主——が造った人造の従者アリス=C=イジュウインである。
経緯はこうだった。8年前に前当主が死に、本物のヴィアンカの精神が蝕まれていく。7年前、アリスは研究所の事故を偽装した。アリスは死亡、ヴィアンカは重傷——という筋書きを作り、1年かけて主人に成り代わったのである。そしてシティ内で「ビィ」と呼ばれ、アリスを慕っていた少女こそが、精神を病んだ本物のヴィアンカだった。
ここで重要なのは、変異体殲滅がアリスの独断ではないという点である。その思想はもともと本物のヴィアンカが父の教えから抱いていたもので、アリスは「ヴィアンカ様がそう望んでいたから」代わりに引き継いだにすぎない。造られた従者が主人の願いを主人以上に忠実に果たし続けた結果が、種族ひとつを消しにかかる計画だった。
決着の場面で、本物のヴィアンカ(ビィ)はアリスをかばって電磁カッターに貫かれて死ぬ。仕えられていた側が、仕えていた側を守って先に逝く。
残されたアリスは、自分の思考パターンを仕込んだマザーコンピュータスザクに世界破壊のエマージェンシーモードを発動させる。そのうえでカードキーをウルフィに託し、光の剣によって自ら命を絶った。滅ぼす手を打ちながら、止める鍵を敵に渡すという矛盾した行為である。
約束の地 TRUE相当
スザクを止めた先に待っていたのは、探し求めた土地ではなく、これから作るものだった。
ウルフィとカイトは、二人でスザクを貫いて破壊する。人間と変異体が並んで同じものに刃を突き立てるという構図が、この作品の主題をそのまま形にしている。崩れゆくシティから一行は脱出した。ブルーもイリアの叱咤を受け、生きる道を選ぶ。
後日談では、人間と変異体がセイラムの村で共存を始める。数百年にわたって互いを滅ぼし合ってきた二つの種が、ひとつの村で暮らしはじめるところから、次の時代が動き出す。カイトとウルフィは、各地のシェルターに残る生存者を地上へ導く旅を計画しはじめる。
そしてエルザが手記に記した一文が、この長いシリーズ全体の結論になっている。
カナンとは求めて得るものではなく作り出すもの、この地球そのものがカナンなのだ(エルザの手記)
カイトが両親から聞かされ、旅の目的にしてきた理想郷は、どこかに存在する場所ではなかった。空を見たことのない少年が地上へ出て、伝説だと思っていた種族と出会い、共に生きる場所を作りはじめる——その過程そのものが答えだった。第1作で一人の研究者が開けた箱が、4作を経てここに着地する。
エンディング一覧
本作の到達する結末はひとつである。作中でエンド名は示されないため、当サイトでは内容にもとづき「共存の始まり」と呼んでいる。
| 種別 | エンド名 | ルート | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| TRUE相当 | 共存の始まり(当サイトによる呼称) | 本編 | ウルフィとカイトが共にスザクを破壊し、崩れゆくイジュウインシティから脱出する。ブルーも生きる道を選ぶ。後日談では人間と変異体がセイラムの村で共存を始め、二人は各地のシェルター生存者を地上へ導く旅を計画する。「カナンとは求めて得るものではなく作り出すもの」という一文で、シリーズ全体が締めくくられる。 |
補足 — シリーズ年表の全体像
※この項目は GAOGAO! シリーズ他作のネタバレを含みます。本作のみを読みたい方はここで引き返してください。
シリーズ4作を貫く年表は、本作の冒頭プロローグに西暦とドーム紀元を併記する形で明記されている。以下がその全体像である。
- A.D.1993 日本(第1作『ラジカルシークエンス』) — 生物工学者フリッツ・ウォーレンが伊集院財閥の後押しで、ウィルスを媒介に新生命体を生む研究を極秘に進める。実験体アルファの脱走が本編にあたる。ウォーレンの死後も研究は財閥に継承される。
- A.D.2014 アメリカ — フロリダの田舎町で些細なミスからバイオハザードが発生。実験段階を遥かに超えたウィルスが風で全世界へ拡散する。これがクラブHT1である。
- およそ一世紀=「恐怖の時代」 — 各地でドーム都市の建設が進む。日本の伊集院財団が主導した人類最初のドームがイジュウインシティと名付けられ、その完成日がドーム紀元(D.C.)の起点となる。
- D.C.269(第2作『パンドラの森』) — 樹海のクラブHT1は既に死滅しているが住民には隠蔽されている。ドーム内で変異体が生まれ始める。管理体制の嘘が暴かれ、一行は樹海へ脱出する。
- D.C.281 — 変異体の存在が公表され、人類による迫害の時代へ。だが変異体は増え続け、人類は減少していく。
- 勢力の反転 — 人類はドーム都市を放棄し、地下シェルターへ逃げ込む。
- それから数百年(第3作『ワイルドフォース』・本作) — 地上では変異体が新しい文明を築き、人類の存在は伝説の彼方となる。本作のクライマックスの舞台が、A.D.1993の伊集院家にちなむイジュウインシティの攻略である。
耳と尻尾を持ち、首輪をはめられて研究や捕獲の対象にされる「変異体」というモチーフは、第1作のミィとアルファに始まり、第2作のリア、第3作以降の獣人たちへと連なっている。第1作のWindows移植版の副題が「the mutia chronicle 1」=変異体年代記・第1章であることも、シリーズが一続きの年代記として構想されていたことを裏づけている。
その年代記の最後で、人間の少年と変異体の青年が並んで同じ敵を倒し、ひとつの村で共に暮らしはじめる。1993年に一人の研究者が開けた箱の顛末が、ここで閉じられる。