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ストーリー詳細 — 銀色(ぎんいろ)

本作は全5章のオムニバス構成。プレイ順は第一章 → 第二章 → 第三章 → 第四章 → 第五章「錆」で、全章クリア後にTrue Endが解放される。章ごとに主人公・ヒロイン・時代が変わり、「銀の糸」と「あやめ」というモチーフが章を越えて引き継がれていく。
▼ 核心を読む はネタバレを含む終盤・エンディング内容です。

第一章「逢津の垰」— 儀助と名無しの少女 固定悲劇
舞台:古代日本の山 / 主人公:儀助(山賊)/ ヒロイン:名無しの少女

疱瘡の流行で家族を失い、人里を離れて山に篭った山賊の儀助。彼が根城にする逢津の垰(おうつのたわ)に、ある日、色街から右足の腱を切られて逃げてきた少女が倒れ込む。痩せ細り、名前もなく、行く当てもない。儀助は最初こそ追い払おうとするが、拒絶しきれず小屋に匿うことにする。

少女には名前がない。儀助も自分を「俺」とだけ名乗り、互いに名を持たないまま日々が過ぎる。儀助は少女の髪を朱の糸で結い、夜には「銀の糸」のお伽話を語り聞かせた。

「それを持っているだけで、どんな願い事も叶うそうだ」「すげえだろ?」「ま、ただのお伽話さ」(儀助、銀の糸を語る)

儀助が贈れるのは朱の糸だけだった。銀の糸は伝説の中にしかない。それでも二人の間に、冬が来るまでの短い時間が積み重なっていく。

冬が来ると少女が高熱で倒れる。儀助は里へ薬を盗みに走るが、間に合わなかった。少女は死の直前、誰に向けるでもなく独白した。

「…誰も気付かなくてもいいの。…弱々しくてもね…光っていたんだよ…こんな、わたしでもね…確かに…確かに生きていたんだよ…」

少女が息絶えた後、儀助は雪の渓川に墓を掘る。そこに、季節外れに咲いた一輪のあやめを見つけ「『あやめ』なんてどーだ?」と初めて名前を贈る。そして自分も、初めて「儀助」と名乗る。物語を通じて「俺」とだけ語っていた男が、初めて名前を持つ瞬間。選択肢なしの固定エンド。

第二章「踏鞴の社」— 久世頼人と狭霧 Good / Bad
舞台:古代日本の山里・踏鞴の社 / 主人公:久世頼人(若き貴族)/ ヒロイン:狭霧(巫女)

地方の有力領主・久世家の末弟、頼人踏鞴の社へ赴く。表向きの目的は領地の農村調査だが、もう一つの密命として「銀の弦の琴」という秘宝の所在を探ることを命じられていた。銀の弦の琴は、弦を正しく奏でれば天が動くという伝説の宝器だ。

神社に着いた頼人は、神主の周防一輔と知り合い、10年前から神社に預けられ育った巫女・狭霧と出会う。狭霧は穏やかで控えめな性格で、「こうやって、舞い散る桜の下にいたかったのです」と語るように、小さな望みしか持たない人物として描かれる。

「こうやって、舞い散る桜の下にいたかったのです」(狭霧、初登場)

神社に逗留する中で頼人と狭霧の交流は深まっていく。頼人は里の人々とも関わりながら、神社と周辺の村に潜む秘密を少しずつ知っていく。やがて頼人は、次の干ばつが来た際に狭霧が村を守るための「人柱」として捧げられる運命にあることを知る。10年前から神社に預けられていたのは、その日のためだった。

グッドエンド:頼人狭霧を救うため、己の血を銀の弦の琴に捧げることを選ぶ。血を代価として琴を奏でた頼人の祈りが天に届き、雨が降る。人柱の必要はなくなり、狭霧は解放された。頼人と狭霧は共に里に留まることを選ぶ。この二人から生まれる子孫が、後の時代に登場する「久世家」となる。

バッドエンド:頼人は狭霧を背負って神社から逃げようとするが、四方を村人に塞がれる。逃げ場を失った二人は、共に穴に埋められる。

第三章「朝奈夕奈」— 志朗・朝奈・夕奈 Good / Death
舞台:近代帝国期・洋食店「佐々井亭」/ 主人公:鍋島志朗(軍人)・佐々井朝奈(二視点)/ ヒロイン:佐々井夕奈・佐々井朝奈

近代の帝国期、洋食店「佐々井亭」を切り盛りする姉妹がいた。姉の夕奈と妹の朝奈。帝国陸軍の近衛将校・鍋島志朗は、この店の常連客として通い続けている。

本章は本作唯一の二視点構成で、志朗の一人称「僕」視点と朝奈の一人称「あたし」視点が交互に展開する。同じ店での出来事を、軍人の目線と女給の目線からそれぞれ見ることになる。

朝奈は亡き母「あやめ」が遺した白石の銀首飾りを大切に持っている。母から「これはね、願い事をなんでも叶えてくれるの」と教わったこの首飾りが、本章における銀の糸モチーフの変形として機能する。

志朗は時間をかけて姉妹の信頼を得ていき、やがて妹・朝奈と距離が縮まっていく。姉の夕奈は普段は穏やかで、朝奈の面倒見もよく、店の切り盛りもしっかりこなす。しかし表向きの穏やかさの内側に、家族への強い独占欲が積み重なっていた。志朗と朝奈の親密さが増すにつれて、夕奈の内側の何かが少しずつ崩れ始める。

2000年の発売当時、「ヤンデレ」という言葉は存在しなかった。後年の評価で夕奈はヤンデレ表現の先駆例として認識されるようになった。

夕奈の内面に積み重なった狂気は、ある段階から具体的な行動に向かっていく。朝奈と志朗の仲を壊そうとする行動が激化し、店と家族の関係が緊張状態に達する。

グッドエンド:夕奈の暴走を収め、三人で佐々井亭を続けることを選ぶ。朝奈と夕奈の姉妹関係が改めて結び直される。

デスエンド:夕奈が志朗を刺殺する。朝奈は一人残される。

分岐死:グッドへの分岐手前の選択肢で失敗した場合のデッドエンド。三人の関係が別の形で壊れる。

第四章「銀色」— 古代と現代の並走 Good / Bad
舞台:古代(吉備大井跡)+ 現代(三井真也)の並走 / ヒロイン:あやめ(古代)・篠崎あやめ=銀子(現代)

本章は古代と現代の二つのパートが章内で並走するという独特の構成をとる。

古代パート:大陸から渡ってきた帰化人・吉備大井跡(きびのたいら)は、久世家から「銀糸創成」を依頼される。銀の糸を創り出す儀式には代価として創成者の命が必要とされていた。大井跡は「一花咲かせる」と決意し、村娘のあやめと出会って祝言を挙げ、共に初夜を迎える。死を覚悟した男と、それを知らない女の、静かな一夜。

「…一花咲かせる、というのさ」(大井跡、銀糸創成を決意して)

現代パート:大学生の三井真也は、引っ越したアパートの近くにある喫茶店で、失声症のウェイトレス・篠崎あやめと出会う。あやめは「銀子」という通称で呼ばれており、話すことができないため、ホワイトボードに文字を書いて会話する。笑顔でボードに文字を書くその姿に、三井はしだいに惹かれていく。

二つのパートは交互に進行し、古代の儀式と現代の恋愛が、時代を越えて響き合うように積み重なっていく。

古代パート(固定):大井跡は命を賭けて銀糸創成に臨むが、妻あやめへの未練が迷いを生み、糸はに染まってしまった。完全な銀の糸は完成せず、大井跡は命を落とす。「代価を払ってもなお純粋にはなれない弱さ」が第四章のテーゼ。

グッドエンド:三井銀子に想いを告白する。銀子はホワイトボードに「自分の声で好きって言いたいから…」と書き、声を取り戻すためのリハビリを誓う。古代のあやめとのエコーが響く演出になっている。

バッドエンド:三井と銀子が別れを選ぶ。

第五章「錆」— こずえ・久世・いすな 固定
舞台:古代日本(こずえ)/ 古代〜中世(久世・いすな)/ ヒロイン:こずえ・石切いすな(皇族の姫)

本章は二つの物語で構成される。

こずえの物語:旱魃が続く村で、親に捨てられた幼い姉妹がいた。姉と妹のこずえ。頼る親族もなく、年かさの姉がこずえを養うために身売りに出る。しばらくはこずえのもとへ仕送りが届いていたが、やがて途絶える。姉は梅毒を患い、死んだのだった。頼る人を失ったこずえは自分も街へ出るが、幼く小さな体では生き延びられなかった。身売りの場所を転々とし、疲弊し、ついに街の片隅で力が尽きていく。

久世・いすなの物語:第二章でグッドエンドを迎えた頼人狭霧の、数百年後の子孫にあたる地方領主「久世」が主人公。皇族の姫・石切いすな(いしきり いすな)と共に「失われた銀の糸を取り戻す旅」に出る。いすなは皇族として銀糸の伝承を守る使命を負っており、久世は先祖から受け継いできた縁でその旅に加わっている。長い旅の中で二人は共に苦難を越えていくが、旅の途中で久世が戦闘の負傷から瀕死となる。

こずえの結末:こずえが事切れる寸前、そばにいた街人が赤子を抱いており「この子の名前は?」と問いかけてくる。こずえは最後の力で「あやめ」と答え、息絶えた。選択肢はなく、固定。こずえが死際に名を贈ったこの赤子が、第一章で名無しの少女として育つ。「あやめ」という名の起源がここにある。

久世の遺言:瀕死の床で、久世は遺言を残す。

「やはりいかなる願いも…代価を払うからこそ価値があるのではないだろうか?」

久世が死亡した後、いすな踏鞴の社銀の弦の琴を献納する。そして海へ向かう前に、こう語った。

「忘れ物を捜しに行くだけです…それが約束ですから」

いすなはその後、千年以上にわたる放浪の旅を続ける。エンディングのいすなの独白。

「それが私に課せられた業ですから…いつの日か私の使命と、全てに終わりがくる日まで…ずっと…」

本章は固定エンドのみ。選択肢によって結末は変わらない。

True End — 統合エピローグ TRUE END
解放条件:全5章クリア後

全章のヒロインたちが幻のように同じ場に並ぶ統合エピローグ。各章で引き継がれてきた「あやめ」という名の連鎖が一堂に会する。儀助が握り飯を作る日常の光景、狭霧が桜の下に佇む姿、朝奈夕奈が店に立つ場面、そして現代の喫茶店。

第四章グッドエンドではホワイトボードでしか想いを伝えられなかった銀子が、True Endで初めて自分の声を出す。

「私の中の線が消えても、大切にしているボード。…今もあの人に向けられている…」(銀子)

銀の糸の伝承は完結しない。「代価を払い続ける」循環の中に置かれたまま、物語は静かに閉じる。

エンディング一覧
# エンド名 分類 結末概要
1少女の死第一章固定悲劇少女が高熱で死亡。儀助が「あやめ」と命名し、初めて自分の名も口にする
2こずえの死第五章「錆」固定悲劇こずえが力尽き、赤子に「あやめ」という名を贈って息絶える
3鷺宮グッドエンド第二章感動頼人が血を捧げ雨を呼ぶ。狭霧と里に留まる。子孫が第五章の久世へ
4鷺宮バッドエンド第二章BAD頼人と狭霧が共に穴に埋まる
5佐々井亭グッドエンド第三章感動夕奈の暴走を収め、三人で店を続ける
6夕奈デスエンド第三章鬱BAD夕奈が志朗を刺殺。朝奈一人残る
7第三章分岐死第三章BADグッドへの分岐手前でのデッドエンド
8銀子グッドエンド第四章感動銀子がリハビリを誓う。「自分の声で好きって言いたいから…」
9銀子バッドエンド第四章別離三井と銀子が別れる
10千年放浪ED第五章「錆」固定叙情久世が死亡、いすなが千年以上の旅へ
11True End 統合エピローグ全体TRUE END4組ヒロイン並列。銀子が自分の声で「三井さんが好きです」