ストーリー詳細 — 下級生
『下級生』は、卒業を間近に控えた高校生・けんたろうが、卯月町を歩いて同級生・下級生・町で働く女性たちと関係を結んでいく、スケジュール選択式の恋愛アドベンチャー。行事と季節が進むなかで誰にどれだけ時間を割くかが分岐になり、13人のヒロインそれぞれの結末へ収束する。ここでは各ルートの顛末と、隣室の転入生ティナをめぐる真エンディングまでを、真相を含めて追う。 ▼ネタバレ詳細 には各ルートの結末と真エンドの正体が含まれます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
スケジュール制で過ごす「卒業までの1年」
物語は卯月学園の始業式から始まる。主人公・けんたろうは3年C組に進級した卒業間近の高校生で、両親と離れて学園寮でひとり暮らしをし、親戚が営む喫茶店「土下座」で時給400円のアルバイトに酷使されている。派手な事件は起こらない。プレイヤーは日々の自由時間に「どこへ行くか」「誰と何時間一緒にいるか」を組み立て、町のあちこちで居合わせた少女と出会いながら関係を育てていく。
町歩きとスケジュールの反復:平日は学校とアルバイトに時間を取られ、自由に動けるのは日曜・祝日が中心。卯月町の各スポットへ移動すると、その場にいるヒロインと遭遇して会話・選択肢で好感度が動く。施設には閉店時刻があり、寮の門限(平日8時/日曜・祝日11時)と合わせて行動を縛る制約になる。滞在時間の指定や、夜の自室では電話・持ち物確認・思い出の回想といったコマンドが選べ、花束やアクセサリーを贈って距離を詰める要素もある。占い屋では特定ヒロインとの相性を見てもらえ、現在の手応えを確かめられる。
……1年後のあなたはどこで何をしてるのだろう…… ……それを決める事ができるのはあなただけ…… ……そう、未来は待つものではなく自分で創るものなのだから……
— 冒頭に提示される、本作の主題
行事が攻略の節目になる:時系列は、始業式(春)から夏休み(アルバイト漬け)・秋・クリスマスイブ・正月(初詣・着物)・バレンタインを経て、卒業式(土曜)へと進む。行事のひとつひとつが関係進展の山場になり、クリスマスイブのデート約束、正月の着物姿、バレンタインのチョコが節目として働く。物語全体が「卒業までの残り時間」という時限の上に乗っており、けんたろうがどのヒロインに本気で時間を割くかで、その相手の個別ルートへ収束していく。
並走する人間模様:町歩きの反復のなかで、いくつかのサブストーリーが季節と並行して動く。親友の稔が「土下座」で美夏に一目惚れして本気の恋に踏み出す成長譚、隣室に越してきたティナと弟ティムとの交流、資産家の御曹司晴彦や令嬢新藤麗子の横槍、病弱な慎二が三月静香への憧れから立ち直っていく姿。これらが軽妙な会話劇として日常を彩る。
各ヒロインルートの顛末(学園の少女たち)
個別ルートはどれも派手な事件ではなく、相手が抱えた立場や気後れ、言い出せない想いにけんたろうが寄り添っていく物語だ。18禁作品であり、各ルートには結ばれる場面が用意されているが、ここでは事実として触れるにとどめる。まずは学園に通う少女たちのルートをまとめる。
神山みこ — 神社の娘と、厳格な父
神山みこは指切り神社の娘で、話も思考もゆったりした天然の少女。当初は男女の区別なく誰にでも同じ態度で接し、けんたろうを異性として意識しない。御曹司の晴彦が神山みこに言い寄り、けんたろうの名を騙ってラブホテルへ呼び出す嫌がらせ電話をかけるが、神山みこは「あなたがけんたろう君ではないから」と退け、一途さを示す。クライマックスでは彼女の方から口づけし、夜の境内で結ばれる。グッドエンドでは厳格な父に背いてまでけんたろうについていく決意をし、卒業後は風呂もない狭いアパートで貧しくも幸せに同棲する。
「それは……あなたがけんたろう君ではないからです!!」
— 神山みこ、けんたろうを騙った晴彦の誘いを拒んで
結城瑞穂 — 奥手な優等生の独占欲
結城瑞穂は同じ学園に通うテニス部の同級生で、国立大進学を志す真面目な優等生。恋心では極端に不器用になり、「将来はけんたろう君と…」と切り出しては話を逸らす奥手さがある。一方で独占欲と嫉妬心も強く、「私以外の子には同じ事を言わないで」と本音を漏らす。好感度が上がると結城瑞穂の方から積極的に踏み込んでくる。グッドエンドは卒業3年後。けんたろうは仲間と小さな会社を起こし、結城瑞穂は大学3年生。二人でハワイ旅行に出かけ、結城瑞穂が結婚を促す将来が描かれる。
「けんたろう君は、私にとって最初の人で……そして最後の人なの。」
— 結城瑞穂、想いを打ち明けて
新藤麗子 — 高慢な令嬢の孤独
新藤麗子は新藤家の令嬢で、けんたろうを「一般庶民」と見下す典型的なお嬢様気質のツンデレ。だが幼少から「新藤家のお嬢様としてしか見てくれなかった」孤独を抱え、その裏返しで虚勢を張っている。地位に頓着せず「ただの麗子」として接するけんたろうに、口では拒みながら内心では救われていく。グッドエンドは卒業1年後、新藤麗子が「近所を通りがかったから」と言い訳しながらけんたろうの安アパートに入り浸る、素直になれないまま寄り添うツンデレ然とした結末。
「私がいくら友達に普通に接しようとしても、逆にみんなが新藤家のお嬢様としてしか見てくれなかったのよ。」
— 新藤麗子、虚勢の下の孤独を明かして
加納涼子 — 絵描きとヌードモデル
加納涼子はクールで近寄りがたい美術部の絵描き。出会った頃はけんたろうを彫刻・絵画のモデル候補として観察対象に据えるが、接するうちに恋愛感情へと変わっていく。自宅アトリエでヌードモデルをさせる場面もあり、その芸術家然とした距離感が世間話やデートを重ねるうちに崩れていく。グッドエンドは卒業3年後。描き続けた裸婦画で三科展に初入選を果たし、そのモデルがけんたろう本人だったと明かされ、芸術家とその支えとして生きていく。
橘真由美 — 派手な少女の切り替え
橘真由美は髪を染めた派手な見た目の遊び好きで、けんたろうを背後から驚かす「わっ!!」が挨拶代わりのムードメーカー。だが交友関係が派手で下着を売るなど危うい一面もあり、周囲の陰口に密かに傷ついている。けんたろうに下着販売を本気で叱られたことを機に「やめろって言ってくれたの、けんたろうが初めて」と過去を清算し、彼一筋に生きようとする。グッドエンドは卒業後、美容師となった橘真由美とけんたろうが卯月町を遠く離れた町で同棲し、過去から逃れるように二人だけの生活を選ぶ。
飯島美雪 と 南里愛 — 親友をめぐる三角関係
ボーイッシュで気が強い陸上部の後輩飯島美雪と、極度に内気なお嬢様南里愛は親友同士で、二人とも同じくけんたろうに想いを寄せているため、どちらのルートも親友を傷つけまいとする葛藤が影となる。飯島美雪ルートでは、晴彦が乗り換えを口説く場に飯島美雪が熱いコーヒーを浴びせ「下品で粗野なけんたろう先輩が大好きなんだよ、文句ある?」と啖呵を切る名場面がある。南里愛ルートでは、男性恐怖を残す南里愛が恐怖で何度も拒みながら、やがて覚悟を決めてけんたろうを選ぶ。どちらも正直さを貫いて自分の恋を選び取る筋立てで、成立後は将来を見据える関係に落ち着く。
「私はね……下品で粗野で理性がなくて家柄や環境もよくない、そんなけんたろう先輩が大好きなんだよ……文句ある?」
— 飯島美雪、晴彦に啖呵を切って
各ヒロインルートの顛末(町の女性たち・教師)
学園の外にも、それぞれの立場に根ざしたヒロインがいる。花屋の店員、魚屋の姉御、夜の店で二重生活を送る音大生、そして担任の女教師。立場が違えば、恋の障害も結末の色も変わる。
持田真歩子 — 花屋の店員と弟の誤解
持田真歩子は葉月学園の生徒で、町の花屋でアルバイトをするおっとりした少女。ナンパ者にからまれた彼女をけんたろうが救ったことが距離の縮まる契機になる。途中、持田真歩子が別の若い男といるのを目撃して動揺するが、その相手は道草癖のある弟たけしを寮へ送っていただけと判明する。グッドエンドでは卒業・短大進学を経て関係が続き、彼の部屋に泊まり込んで家事をするほど深い仲になる、穏やかな共同生活へ落ち着く。
皆川奈々 — 失恋からの立ち直り
テニス部の後輩皆川奈々は当初、テニス部にいた留学生ティムに片思いしており、手紙で告白までするが冷たく振られて泣く。先輩であるけんたろうが彼女を励まし、その優しさに支えられて立ち直る過程で、皆川奈々の想いはけんたろうへ移る。グッドエンドでは付き合って1年以上が経ち、テニス部を辞めて料理学校に通い始め、「私をけんたろう先輩のお嫁さんにしてくれますか」と将来を願う。けんたろうが一人前になるまでの猶予を求め、皆川奈々は「ずっと待ってます」と約束する。
緑谷麻紀 — 魚屋の姉御と婿養子の未来
緑谷麻紀は商店街の魚屋「江戸前」を切り盛りする年上の女性で、口が悪く威勢のいい姉御肌。だが本質は照れ屋で面倒見がよく、けんたろうが通い詰めるうちに態度が軟化していく。以前の彼氏から謝罪の電話が来ても「今、好きな人がいる」と断り、けんたろうを選ぶ。グッドエンドは卒業1年後、けんたろうが「江戸前」に住み込みで魚河岸通いの修行を積む若旦那となり、店を継ぐ婿養子の未来へ進む。
美夏 — 夜の店での二重生活と、親友との三角関係
美夏は音楽大学2年生でありながら、昼は喫茶店「土下座」で、夜は繁華街のキャバクラ「スターシア」で働く二重生活を抱えている。しかも彼女は、けんたろうの親友・稔が本気で惚れている交際相手であり、この三角関係がルートの障害になる。当初は「稔君に悪いから」とけんたろうを部屋に入れないが、水商売の客と腕を組む場面を見られる修羅場を経て、けんたろうが信じる姿勢を示すと心を許す。グッドエンドは卒業1年後、「あと1年で夜の仕事を辞める」と告げる美夏とけんたろうが同棲する。攻略に失敗すると美夏は最後まで稔の彼女のままで、けんたろうは片想いを諦める。
「私ってね、人を信じるのにすごく時間がかかる方だから。だから逆に、裏切られた時も普通の10倍ぐらい傷つくのよね。」
— 美夏、警戒心の強さを語って
三月静香 — 教師と女のあいだで
三月静香はけんたろうの担任格で、寮監も兼ねる女性教師。同じ寮の同フロアに住んでおり、けんたろうが繰り返し接触して距離を詰めると、「先生と生徒」の枠を超えていく。クリスマスイブや元日に「目立たないように」という条件付きで秘密のデートを重ね、約束の場所でも声をかけず別々の車両に乗るなど徹底して人目を避ける背徳的な逢瀬を続ける。「教師より女をとってよかった」と告げ、卒業後を仄めかす。エンディングでは卒業3年後、社会人一年目のけんたろうと夫婦として暮らし、三月静香の妊娠が判明して幸せな家庭に着地する。
「私ね、教師より女をとってよかった。」
— 三月静香、教師と女のあいだで選び取って
真エンディング — ティナと「夢の世界」の真相 真ED
13人のヒロインのなかで、ただ一人だけ性質の異なるルートがある。隣室に越してきた転入生ティナのルートは、本作の日常劇そのものの土台を覆す真エンディングへとつながっている。
心が読めない少女:ティナは南国の小国からの留学生とされ、けんたろうの隣席・隣室に住む同級生。天真爛漫で「やっほー!」とけんたろうに全身で懐く一方、空中に浮いたり、この国の生活に不慣れで炊飯器から煙を出したりと、どこか人間離れしている。占いばあさんにティナを占わせると「強烈なバリアが邪魔をして心の中を覗く事ができん」「普通のおなごではない」と匙を投げられ、彼女がただ者でないことがそれとなく暗示される。
「このティナという女性は……普通のおなごではないぞえ。…強烈なバリアが邪魔をして心の中を覗く事ができんわい」
— 占いばあさん、ティナの正体を示唆して
「フィアンセ」の正体:中盤、ティナには帰国後に結婚予定の「フィアンセ」がいると、晴彦の口から告げられる。動揺するけんたろうに、ティナは「フィアンセはいるけど、もしかしたら結婚できないかも」「その人の気持ちが最近わからない」と意味深に語る。実はこの「フィアンセ」こそけんたろう自身であり、彼女は彼の心(=他の女の子に流れず、自分だけを見てくれるか)を試していた。ティナがけんたろうの身につける金のペンダントに強い関心を示し、密かに同じものを持っているのも、二人が対の存在であることの伏線だった。ティナは合間に彼の肩幅や腕の長さを密かに採寸して何かを手作りしており、これもペンダントと並ぶ布石になっている。
目覚めると、そこは異星だった:けんたろうが誠実であれば、ティナは正体を打ち明ける。エンディングでは、卯月町での高校生活が実は「夢の世界」だったことが明かされる。目覚めたけんたろうは、カラシン系第三惑星テトラ王国の衛兵であり、ティナはその国の姫。二人はカラシン神の前で結婚式を挙げる。対になったペンダントを通じて互いの気持ちが伝わる設定が、ここで真の意味を持つ。物語は「下級生の世界は現実の中にも存在してる」とプレイヤーへ語りかけて締めくくられる。攻略を誤った場合、ティナは何も告げずに「バイバイ」と去り、けんたろうは地球に残ったまま終わる。
[神父]:それではこれからカラシン系第三惑星テトラ王国妃《ティナ姫》と、同じくカラシン系第三惑星テトラ王国衛兵《けんたろう》との結婚式を執り行う。
……確かにこれは夢の世界の出来事…… ……しかし下級生の世界は現実の中にも存在してるのです……
— 真エンディング、テトラ王国の結婚式で
エンディング一覧
1年を通じて最も関係を深めたヒロインと結ばれる個別エンド構成。到達条件は各ヒロインの好感度の積み上げに依存する。多くが卒業1〜3年後の後日談として描かれる。好感度が伸びなかった場合は、ただの友達のまま疎遠になる、あるいは関係が悪化して破局する苦い分岐も併設されている(下表では省略)。下表はヒロイン名で呼称し、結末の系統を整理して掲げる。
| エンド | 系統 | 結末概要 |
|---|---|---|
| 学園の少女たち | ||
| 神山みこエンド | 結ばれ | 指切り神社の娘・神山みこと夜の境内で結ばれ、厳格な父に背いてまで卒業後に貧しくも幸せな同棲へ。 |
| 結城瑞穂エンド | 結ばれ | 奥手な優等生・結城瑞穂と結ばれ、卒業3年後にハワイ旅行で結婚を約束する。 |
| 新藤麗子エンド | 結ばれ | 高慢な令嬢・新藤麗子が言い訳しながら安アパートに入り浸る、ツンデレ然とした結末。 |
| 加納涼子エンド | 結ばれ | 絵描きの加納涼子が、けんたろうをモデルにした裸婦画で三科展に初入選。芸術家とその支えとして生きていく。 |
| 橘真由美エンド | 結ばれ | 過去を清算した橘真由美が美容師となり、遠い町でけんたろうと二人だけの生活を選ぶ。 |
| 飯島美雪エンド | 結ばれ | 親友・南里愛との三角関係に正直さで決着をつけ、卒業3年後に賑やかで温かい半同棲へ。 |
| 南里愛エンド | 結ばれ | 男性恐怖を乗り越えた内気な南里愛が女子大生となり、プロポーズで結ばれる。 |
| 町の女性たち・教師 | ||
| 持田真歩子エンド | 結ばれ | 花屋の持田真歩子と、弟をめぐる誤解を解いて結ばれ、短大進学後も穏やかな同棲が続く。 |
| 皆川奈々エンド | 結ばれ | 失恋から立ち直った後輩・皆川奈々と結ばれ、料理学校に通いながら「お嫁さんに」と願う。 |
| 緑谷麻紀エンド | 結ばれ | 魚屋の姉御・緑谷麻紀と結ばれ、卒業1年後にけんたろうが「江戸前」に住み込む婿養子の未来へ。 |
| 美夏エンド | 結ばれ | 親友・稔との三角関係と夜の店の二重生活を受け入れ、卒業1年後に夜の仕事を辞めて同棲する。 |
| 三月静香エンド | 結ばれ | 教師と女のあいだで選び取った三月静香と、卒業3年後に夫婦となり妊娠が判明する。 |
| 真エンディング | ||
| ティナエンド | 真ED | けんたろうの誠実さが試され、卯月町の生活が「夢の世界」だったと明かされる。目覚めたけんたろうは異星テトラ王国の衛兵として、姫ティナと結婚式を迎える。ペンダントが真の意味を持つ、本作の到達点。 |