この六人、誰一人キャラがかぶってへん。
血の繋がってへん他人同士が、一軒の古い家で擬似家族をやる話。先に言うとくと、この家族の掛け合いがめちゃくちゃおもろい。ふざけた父役、天然の母役、チャイナ訛りの少女、能面の無口、愛想笑いの最年少、毒舌の家主——五方向から違う種類の笑いが飛んでくるから、長い日常パートが一個も単調にならへん。で、その賑やかさをさんざん見せといて、後半でしっかり泣かしに来る。笑かして泣かす、その両方ができてる作品やった。8.0。
スコア詳細
擬似家族モノで一番大事なんは、キャラがかぶらへんこと
他人同士が一つ屋根の下で家族ごっこをやる話。こういうのはメンバーのキャラが似てたら一発で死ぬねん。
誰がボケて誰がツッコむんかわからんようになるからな。でもこの高屋敷家は、役割の振り分けがちゃんとできてる。発案者の寛がふざけた父役で軽口をぶち込んで、その横で母役の真純が天然ドジで全部受け流す。父がボケて母が天然で受ける、この土台ができてる時点でもう安心して見てられる。
五方向から違う笑いが飛んでくる
子供連中がそれぞれ別種の笑いを持ち込んでくるのがええねん。
春花はチャイナ訛りと「カップラーメンより簡単」みたいな独特の言い回しでかき回す。準は能面で何言われても表情が動かへんから、逆に何を言うてもおもろい無口キャラとして成立してる。末莉は愛想笑いの達人で、父・母・兄って役割を強引に振っていく媒介役。この子がおるから家族の輪が回るんよ。で、青葉だけが家主特権で全部に冷や水をぶっかける毒舌係や。タイプの違う笑いが五方向から飛んでくるから、日常パートが長くても一個も単調にならへん。掛け合いの密度で言うたら、うちが触ってきた擬似家族モノの中でも上位やと思う。
主人公がツッコミながら巻き込まれていく
主人公の司、こいつもおいしいねん。
司はツッコミ気質でこの暴走を受ける側なんやけど、完全には捌ききれへんのがええ。「家族なんか要らん」言うてるくせに、頼まれたら結局この家に居着いてしまう。突っ込みながら巻き込まれていく主人公やから、ちゃんと家族の輪の中に居場所がある。傍観者やなくて当事者として混ざってるから、掛け合いに厚みが出るんよ。
夏の家の空気を、ちゃんと作り込んでる
この作品、笑いだけやなくて日常の空気感がしっかりしてる。
猛暑にセミ、夕立、真純の手料理、縁側の掛け合い——古い日本家屋で過ごす夏の空気が丁寧に積まれてる。日常パートを「テキストの水増し」で済ませてるゲームとは格が違うねん。この空気をちゃんと見せてくれるから、賑やかさが本物に感じられる。で、本作はずっとコメディで進むわけやなくて、要所で空気がぐっと重くなる緩急がある。笑かしといて、ふっと真顔にさせてくる手口がうまい。日常を軽く扱ってたら絶対できひん仕事や。
Hシーンだけノリが揺れる
全体のコメディの流れと、Hシーンのトーンの差は少し気になった。
わちゃわちゃした賑やかな流れで来てるのに、Hシーンになると急に別物のトーンに切り替わる場面がある。流れに乗ってるやつもあるんやけど、ノリの面では揺れが大きかったかな。コメディの空気を崩さんままやってるシーンのほうが、うちは好みやった。全体の評価を下げるほどではないけど、ここだけ少し浮いて見えた。
8.0——笑かして泣かす、その両方ができてる
コメディと掛け合いを楽しめる人なら、これはかなりアリな一本やと思う。
この家族の賑やかさをさんざん見せといて、後半でちゃんと泣かしに来る。笑かして泣かすっていう一番ずるい技を、ちゃんとやりきってる作品や。後半に重い話が固まって来る章でテンポが一旦詰まるのと、Hシーンのノリの揺れで9までは届かへんかったけど、日常コメディは本物やった。六人の掛け合いをまた見たいと思わせてくれたわ。8.0点。誰一人キャラがかぶってへん、この時点で勝ちや。
