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ストーリー詳細 — 舞-HiME 運命の系統樹 修羅

本作は、7月1日から始まる共通の日々のあと、7月19日の夜を境に天河朔夜・鴇羽舞衣・玖我なつき・美袋ミコト・深優・グリーアのいずれかの物語に進む構成をとる。Windows版で加わった藤乃静留の視点の「静留編」と、登場人物ごとの短編7本もある。記述はWindows版『舞-HiME 運命の系統樹 修羅』(2006年)の内容に基づく。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

着任と出会い(7月1日〜3日)

7月1日、大学院生の高村恭司は、行方不明の恩師・天河諭教授が追っていた媛伝説を調べるため、シアーズ財団の紹介で風華学園に着任する。坂道での事故、拳銃を構えた少女、11歳の理事長、木の上の少年と、初日から出会いが続き、財団が用意した下宿先は恩師の家だった。高村は教師としての勤めと、恩師の調査を継ぐ研究者としての勤めを掛け持ちすることになる。

学園へ向かう坂道で、高村は教科書代を嘆きながら下りてきた女子生徒とぶつかる。胸元を見られたと誤解した鴇羽舞衣は両頬に全力のビンタを見舞い、高村を変質者と決めつける。このとき高村は、舞衣の胸元に媛伝説の文献と同じ紋章を見ていた。騒ぎの場に現れた蒼い髪の少女は本物の拳銃を空へ撃ち、校則を告げて去っていく。

「知らないのならよく憶えておけ。風華学園校則第一条――恋愛禁止!」(玖我なつき・初対面の高村に)

理事長宅で迎えたのは、車いすに乗った11歳の理事長・風花真白だった。恋愛禁止の理由を尋ねても、真白は禁止されているとしか答えない。屋敷を出ると、木の上の少年が高村の名を呼び、炎凪と名乗る。夕方に訪ねた教会では、高村をこの地に招いたジョセフ・グリーア神父と、財団から派遣されたシスターの九条むつみに会うが、その前に高村は、亡くなった幼なじみの優花に生き写しの少女を見て動揺する。

宿へ向かう途中、高村を「お兄ちゃん」と呼び止めたのは、かつての家庭教師の教え子で教授の一人娘、天河朔夜だった。財団が用意した宿は教授の家で、朔夜は執事の嵯峨野と、小さな生き物ツキヨミと暮らしていた。

7月2日、高村は空腹で目を回していた中等部の美袋ミコトをいちご大福で助け、彼女にも紋章があることに気づく。生徒会室では会長の藤乃静留と副会長の神崎黎人、執行部の珠洲城遥と菊川雪之に、社会科準備室では同僚の杉浦碧と迫水開治に会う。受け持ちの1年3組には、舞衣と、拳銃の少女・玖我なつき、教会で見た少女・深優・グリーアがいた。放課後、裏山の神社で舞衣とともに化け物に襲われ、舞衣は手のひらから炎を出して身を守る。窮地を救ったのは、獣のデュランを従えたなつきだった。理事長に問いただしても、真白は関わらない方がいいと繰り返すだけで何も語らない。

その夜、朔夜の手料理を口にした高村は倒れ、7月3日を病院で迎える。病院で出会った長期入院中の少年・鴇羽巧海とはオカルト雑誌『ヌー』の話で意気投合し、「師匠」と呼ばれるようになる。夕方に入ったレストラン「リンデンバウム」では、舞衣と日暮あかねがウェイトレスとして働いていた。

教師と研究者の日々(7月4日〜18日)

授業をこなし、裏山の調査を進め、教会のシスターに報告を上げる日々。昼休みと夕方に誰のところへ行くかで出会う出来事が変わり、少女たちの力と媛伝説のつながりが、少しずつ高村の目に見えてくる。7月11日からは媛佐切湖への林間学校もあり、学園の外でも騒ぎが起こる。夜には、天河邸で朔夜と嵯峨野との食卓が待っている。

7月4日、実家から家宝の銅剣が届く。凪がそれを勝手に持ち出してみせたことから、高村は以後この剣を肌身離さず持ち歩くようになる。古典の授業では『古事記』を趣味全開で取り上げ、火之迦具土神、天の岩戸、八岐大蛇、卑弥呼と講義を進める。天の岩戸の回では、卑弥呼という名を「陽巫女」「日巫女」とも書けると板書してみせる。九条むつみへの定例報告は懺悔室の小窓越しに行われ、高村は凪から「一番地」という組織の名を聞かされる。

夜の月杜町では、中等部の結城奈緒が不思議な力を使うのを見かける。生徒会室では静留となつきの会話から、なつきが母の仇として一番地を追っていることを知る。7月9日の夜、裏山で碧とともに化け物に追い詰められた高村の前に、リンデンバウムのウェイトレス姿で矛を構えた「正義の味方」が現れ、愕天王という獣を呼んで化け物を倒す。どう見ても碧だが、本人は決して認めない。

7月11日からの林間学校には、海へ行くはずのミコトが紛れ込む。媛佐切湖のほとりで舞衣と星を眺めていた夜、化け物に襲われ、ミコトやなつきが駆けつけても敵わない窮地で、舞衣はカグツチを呼び出す。翌日、この騒ぎは理事長の指示で落雷として処理される。帰る間際には、崖から離れられなくなったツキヨミを助けようとした朔夜を、ツキヨミが逆に救う。

7月13日、林間学校の件を問いただしに行った高村と、舞衣・ミコトに、真白はHiMEを、高次物質化能力を持ち、オーファンと戦う存在だと説明する。物質化された武器がエレメント、物質化された僕がチャイルドだという。図書館の星時計の針は、ずっと止まっていた10時から12時に変わっていた。7月15日、自動車に轢かれかけたアリッサ・シアーズを深優が素手で止め、深優がアンドロイドであることが明かされる。7月16日には碧が銅剣の柄に媛伝説の紋章を見つけ、むつみからは、シアーズ財団の依頼で教授が「星詠の舞」という儀式を発見していたことを聞かされる。7月18日の夜、高村は教授の資料に、水晶宮のおまじないが昔の風習に似ているという付箋を見つける。

7月19日の夜 — 最初の犠牲と凪の宣告

終業式の夜、忘れ物を取りに学校へ戻った高村は、震える銅剣に導かれて裏山へ向かう。終業式を終え、学園は翌日から夏休みに入るはずだった。ここから物語は決定的に折れる。それまでの日々で誰とも距離が縮まっていなければ、高村はこの日に大学へ戻り、物語は夏休みのまま終わる(下の「7月19日に終わる物語」を参照)。

裏山には、すでに倒された化け物が横たわっていた。茂みから飛び出してきた日暮あかねが、それを自分のチャイルド・ハリーの名で呼ぶ。少し遅れて追ってきた恋人の倉内和也は、どこにも傷を負っていないのに、突然胸を押さえて倒れ、そのまま息を引き取る。

「――返事してよぉぉぉぉおおおおお!!」(日暮あかね・倒れた倉内和也に)

集まったHiMEたちの前に現れた炎凪が、HiMEの真実を告げる。チャイルドは大切な人への想いを拠り所に形を保っており、チャイルドが倒されると、死ぬのはHiME本人ではなくその大切な人=蝕媒である。そして300年の周期で地球に迫る媛星を還すには、12人のHiMEが戦い、最後の一人=舞姫を生み出さなければならない。

「君たちHiMEの持つ力──チャイルドは、君たちが大事に思う人への情念を触媒にして出現する……」(炎凪)
「それが……それが想い人、なのか? 古来、戦いに赴く姫巫女がその想い人の無事を祈ったというのは……それはつまり……」(高村恭司・自分の研究と目の前の現実が結びついて)

駆けつけた碧は、HiMEなのかと問われて「正義の味方」を名乗ることで、自分がHiMEであることを認める。宣告を聞いて驚かなかったのはなつきだけだった。あかねはこのあと一番地の手で病院に収容され、記憶を消される。誰がハリーを倒したのかは、深優の物語で明かされる。

海辺の親睦会とラグナロック作戦(7月20日〜21日)

翌日、真白は凪の言葉が本当だと認める。暗い気持ちで過ごす高村に、碧が名案を持ちかける。HiME同士でいっしょに海へ行って仲良くなり、戦わない約束を結ぼうというのだ。7月21日、駅前に集まった一行は海へ向かう。真夏の一日を遊んで過ごし、約束を交わせるかに見えたが、日が沈む前に事態は一変する。ふだん顔を合わせない者どうしも、同じ浜で一日を過ごす。

7月21日、碧の呼びかけで、なぜか静留と黎人まで加わった一行は海で一日を過ごす。帰り際、舞衣が日暮の見舞いに行きたいと言い出すが、なつきは日暮の記憶は消されているだろうと告げる。日没が迫るころ、アリッサと深優が一行の前に現れる。

「現在19時18分、日没まであと5分……。現時刻を以て、ラグナロック作戦を開始します」(深優・グリーア)

アリッサもまたHiMEで、シアーズ財団はHiMEの力を横取りするためにこの襲撃を仕掛けていた。戦いを拒む舞衣をよそに、HiMEたちはそれぞれの理由で応戦し、戦いを拒んでいた舞衣も、仲間を守るために天輪を構える。ところがアリッサのチャイルド・メタトロンは主から力を吸い上げ続け、アリッサの身体は崩れていく。深優の緊急蘇生も届かず、アリッサは息を引き取る。メタトロンは暴走して一行に襲いかかる。この戦いで指揮を誤ると、高村たちは光に呑まれて物語が終わる。

作戦は破綻する。ほとんどの物語で、シアーズ財団は教会から痕跡ごと姿を消し、グリーア神父と九条むつみは学園を辞めたことになり、深優も姿を見せなくなる。ここから物語は、高村がそれまで誰と過ごしてきたかによって、それぞれのヒロインの側へ分かれていく。

天河朔夜の物語 — 螺旋の心、絡み合って エンディングバッドエンド

同じ家で暮らす朔夜を中心に進む物語。朔夜はHiMEを天河邸に集め、戦わない約束を取りつけようとする。けれど、ある夜の出来事を境に、高村を守るという一点に朔夜の心が向かっていく。家では夕食の支度を手伝い、学園には昼の弁当を届けに来る朔夜の日常は、高村にとって帰る場所でもあった。林間学校でツキヨミに助けられた朔夜は、自分の不思議な力にも気づき始めている。

7月23日、朔夜はHiMEたちを天河邸に招き、プールで遊び、冷麺を食べながら不戦協定を持ちかけるが、具体的な約束にはまとまらない。朔夜のペットのツキヨミが朔夜のチャイルドであることは、すでに高村も確信していた。

8月2日、月杜町で朔夜と夕食に出かけた高村は、結城奈緒に誘われて路地裏に入り、襲われる。奈緒は、裏ではHiME同士の戦いが激しくなっている、高村と舞衣が付き合っている、と嘘を並べて朔夜を煽る。朔夜はツキヨミで奈緒のジュリアを倒してしまい、そこから、戦わなければ大切な人は守れないという考えに固まっていく。

「アタシは独りだッ! 誰がどこで死んだって知るもんかッ!」(結城奈緒・朔夜に敗れた直後)

8月3日、行方をくらました朔夜を舞衣と探し当てた高村は、ようやく自分の気持ちを言葉にする。この日、天河教授が監禁先から逃げ出したという知らせを伝えた九条むつみが、言葉を言い終えないまま急死し、遺体も消える。この日までに朔夜は杉浦碧と玖我なつきを倒しており、8月4日には菊川雪之を倒す。碧の戦いだけは描かれず、なつきの報告で知らされる。雪之が敗れたことで、雪之の蝕媒だった珠洲城遥が命を落とす。

「俺は、朔夜のことが好きだよ……。他の誰かではなく、俺は朔夜のことが好きだよ」(高村恭司・朔夜に)

8月5日、朔夜は藤乃静留と戦う。静留の清姫を倒したツキヨミは暴走し、その爪が、逃げ延びて駆けつけた天河教授を傷つける。教授は高村と静留をかばって致命傷を負い、最後のHiMEは生贄にされること、一番地がその力を得てきたこと、クサナギという剣が儀式に深く関わることを伝えて息を引き取る。実の娘のチャイルドが、父を死なせたことになる。

「朔夜……、運命に負けるんじゃないぞ」(天河諭・最期の言葉)
「私が生きている限り、誰かと闘い、その人の大切な人を奪ってしまうんだよ……」(天河朔夜・父の死の直後)

朔夜は命を絶とうとするが、HiMEは自ら死ぬことができないと知り、ツキヨミとともに姿を消す。8月6日、舞衣から連絡を受けて駆けつけると、朔夜と舞衣が対峙し、そこへ神崎黎人を伴った美袋ミコトが飛び込んでくる。ミコトは兄だという黎人に従い、残るHiMEをすべて倒すつもりでいた。

「HiMEだから、闘う。全てのHiMEを倒し、私が舞姫となることが兄上の願い!」(美袋ミコト)

この最後の戦いで、高村が下手に割って入ると、ツキヨミが高村をかばってミコトの弥勒の連撃を受けて力尽き、蝕媒である高村が命を落とす。高村が銅剣でミコトの弥勒を弾けば、朔夜はミコトを倒し、落ちた弥勒を拾おうとした黎人は刀に貫かれて死ぬ。弥勒と黎人の亡骸は、その後跡形もなく消える。朔夜は最後に舞衣のカグツチを倒し、舞姫となる。

図書館の鐘が12度鳴り、星時計の下に開いた階段の先、学園の地下の黒曜宮で、凪は高村の家が星詠の舞を代々取り仕切ってきた小野家の末裔であり、家宝の銅剣が霊剣クサナギであることを明かす。多くの犠牲を払った罪の意識から、朔夜は封印されることを望む。封印のための弥勒はもう無い。凪は、儀式に不具合が出たときに12人分の想いの力をクサナギに宿し、星繰の者が自分の命を代償に舞姫の代わりを果たす方法を示す。高村はそれを選び、朔夜とともに300年の封印に入る。

「それが……、罰なの? たった一人の大切な人を守りたかっただけの私が受けなければならない……罰なの?」(天河朔夜・黒曜宮で)
「この恋の続きは、また300年後にすればいい……」(高村恭司・封印の直前)

ツキヨミは光の粒になってクサナギに宿り、封印の力の一部になる。感覚だけの意識の中で、高村は朔夜を抱きしめる。媛星は地球を離れ、舞衣とミコトが空を見上げて、もう媛星が見えないことを確かめる。この結びの場面だけは、高村ではなく舞衣の側から描かれる。ミコトは7月の終わりごろからの記憶を失っている。

鴇羽舞衣の物語 — 未来への手紙 エンディングバッドエンド

弟の巧海の病室に通う舞衣とともに進む物語。大切な人がいる限り戦えないと言い続ける舞衣と、10歳の誕生日に海を見たいという巧海の夏が描かれる。病室の巧海は高村を「師匠」と呼び、オカルト雑誌の話で盛り上がる。舞衣とは、巧海を通じてようやく打ち解けた間柄である。アルバイトに追われながらも、舞衣は巧海の前では気丈に振る舞う。

巧海の姉が舞衣だと高村が知ったのは7月17日、病室で鉢合わせたときだった。それをきっかけに二人の間の壁は取り払われていた。7月22日、理事長に話を聞きに行った高村と舞衣は、凪の言葉が本当だったと確かめる。舞衣は初めて、巧海の病のことを打ち明ける。

「巧海、本当は5歳か6歳までしか生きられないって言われてたの……」(鴇羽舞衣)

7月26日の夜、巧海は姉へのプレゼントを取りに行こうとして雨に打たれ、危篤に陥る。翌7月27日、10歳の誕生日。自分の身体のことを分かったうえで海に行きたいと願う巧海を、高村と舞衣は病院から連れ出し、海岸へ向かう。巧海は夕陽を見ながら、舞衣の胸の中で息を引き取る。

「海……、行きたかった……。10歳の誕生日に、お姉ちゃんと師匠と一緒に、海を見たかった……。けど……」(鴇羽巧海・海岸で)
「オトナになるんじゃなかったの? 10歳になったら、あたしに馬鹿にされないようにオトナになるって約束したんじゃないの?」(鴇羽舞衣・危篤の巧海に)

葬儀のあと、舞衣はもう自分はHiMEではないと思い込む。ところが8月1日、オーファンに襲われた舞衣は必死の叫びでカグツチを呼び出す。巧海が死んだときにはすでに、舞衣の蝕媒は高村に移っていた。8月2日、高村が巧海に貸していた本を整理していると、巧海が生前に書いた手紙が見つかる。高村と舞衣の二人に宛てたその手紙を読んだ舞衣は、自分の気持ちに向き合う。

「あたし……先生のことが好きです」(鴇羽舞衣・巧海の手紙を読んだあと)

二人は唇を重ね、高村はこの日から彼女を「舞衣」と呼ぶ。8月3日、奈緒が静留に倒されたという知らせが入る。朔夜は高村と舞衣の会話を聞いたまま帰らず、街で見つかったときにはツキヨミを失い、ぼうぜんとしていた。8月4日、高村と舞衣は、静留が美袋ミコトに倒される場面に行き合う。ミコトの側には神崎黎人がいた。黎人に操られたミコトが舞衣に戦いを挑み、舞衣は高村を守るためにカグツチを呼び出す。カグツチの使い方を誤れば、ミコトにカグツチを貫かれ、蝕媒の高村が命を落とす。舞衣はミコトの手から武器を離し、傷つけずに勝つ。刀を拾おうとした黎人は、地割れに呑まれて消える。

最後のHiME=舞姫となった舞衣は、黒曜宮で真白から、星詠の舞が毒虫を壺で戦わせる呪法・蠱毒を模した儀式であることを聞かされる。真白の身体からは、儀式を作った古代の巫女・陽巫女が姿を現す。カグツチは陽巫女が実の弟を犠牲にして生み出した特別な鬼神で、その頭部に刺さった封印のクサナギを抜けば、儀式を変えられる可能性があるという。ただし代償がある。

「カグツチが食らうのは、そなた自身ではなく、存在そのもの。そなたを想う全ての人から、そなたの記憶を食らうのです」(陽巫女・舞衣に)

二人は学園への坂道の運命の木の下で、高村の祖先がこの木に封じた未来へのカギを開く。舞衣は、星詠の舞を変えるほうを選ぶ。

「もし運命に、この木と同じようにたくさんの枝があるなら、先生があたしのことを忘れずに覚えている枝があったっていいと思う」(鴇羽舞衣・運命の木の下で)

9月1日、二学期が始まる。高村は舞衣のことを思い出せず、胸にぽっかりと穴が空いたような感覚だけを抱えている。中庭で名前も知らない少女とすれ違い、なぜか懐かしくなって涙を流す。舞衣は消えたわけではない。ミコトは「私にルームメイトができたんだ」と話し、高村の手元には、覚えのない巧海の手紙が、なぜか封を切られた状態で残っている。遥は家庭の事情で退学を申し出ており、その届けを出したのは雪之だった。なお、この物語でなつきがどうなったかは、最後まで描かれない。

玖我なつきの物語 — たくさん、笑おう エンディングバッドエンド

一番地への復讐のために一人で戦ってきたなつきとともに進む物語。シアーズ財団が去ったあと、高村となつきは情報を持ち寄り、星詠の舞の全体像と、なつきの過去に近づいていく。バイクで街を走り、夜はバーで情報屋と会うなつきに、高村は振り回されながらも付き合っていく。散らかった部屋や、コンビニ弁当ばかりの食事も、高村は目にすることになる。

なつきは、自分の大切な人はもう死んでいるから、自分が負けても死ぬ者はいないと高村に言う。母を亡くしたと信じ、その仇を討つために力を使っていた。7月26日、なつきと連絡がつかなくなり、駆けつけた高村と舞衣の前で、なつきと奈緒が戦っていた。

「私の大切な人は死んでいる。……母さんはもうこの世にはいない……。だからチャイルドと共に消滅するものなど存在し得ないのだ」(玖我なつき)

7月27日、月杜町のバーで会った九条むつみは、自分がなつきの母・玖我紗江子だと明かす。紗江子は一番地でHiMEを研究していた主任だった。幼いなつきに紋章が浮かんだとき、紗江子は娘を隠そうとしたが露見し、一番地の研究員はなつきを母から引き離して嘘で誘い、なつきの目の前で母に暴力を振るい、なつきの飼い犬デュランを殺して、次は母の番だと脅した。なつきは母を守ると願って、HiMEとして目覚める。このとき蝕媒は母になった。なつきのチャイルドの名は、この日に殺された犬の名である。混乱の中で研究所は大破し、紗江子は死んだものとされてシアーズ財団に匿われていた。

「母親として何もしてあげられなかった私の……これが、せめてもの償いよ」(玖我紗江子・なつきを守ってほしいと高村に頼んで)

7月28日、碧が倒されたという知らせが入る。そこへ現れた静留は、なつきを戦いから降ろそうとして、母は生きていると告げる。7月29日、むつみの行方が分からなくなり、高村となつきは静留の隠れ家に向かう。むつみはすでに静留との戦いで深手を負っており、ようやく再会できたなつきの腕の中で息を引き取る。互いに、なつきを守りたいという同じ願いを持ったまま、それを知らずに戦った結果だった。その場に現れた迫水開治は、自分が一番地の人間であり、紗江子からなつきのことを託されていると明かす。蝕媒を失ったなつきの紋章は消え、なつきはHiMEではなくなる。

高村はなつきのマンションに泊まり込み、眠ろうとしないなつきに付き添う。8月1日、なつきは奈緒に襲われるが、そこへ再びデュランが姿を現す。なつきの新しい蝕媒は高村だった。高村は、あるHiMEの大切な人が別のHiMEだった場合の不具合に思い当たる。静留の蝕媒はなつきだった。最後に二人が残れば、勝った方は自分の大切な人を自分で殺すことになる。学園へ急いだ高村の前で、静留は毒を飲んで命を絶つ。静留の清姫はオーファンとなって襲いかかり、高村を蝕媒とするデュランがそれを倒す。

その夜、母と親友を相次いで失ったなつきは、一人で眠れないと高村に頼み、二人は同じベッドで夜を過ごす。高村が名前で呼んでいいかと尋ねると、なつきも高村を名前で呼ぶと返す。

「私にも恭司と呼ばせろ……」(玖我なつき)
「お前の想いが強ければ強いほど、俺もデュランも強くなれるさ」(高村恭司)

8月2日、運命の木の下に舞衣、凪、神崎黎人、美袋ミコトが顔をそろえる。高村となつきは凪を追って洞窟に入る。凪はオーファンを呼び出し、鬼道で高村を追い詰める。最後の一撃を避ければ、背後にいたなつきが命を落とす。高村は捨て身で突っ込み、クサナギで凪を貫く。凪の身体は一枚の人型の紙になって裂け、一番地の封印から解かれた那岐が姿を現す。凪は陽巫女の実の弟で、神崎家の式神として縛られていた。

「やめてよ、真白ちゃん。その名前はもう僕を縛りはしない。僕は那岐さ」(那岐・黒曜宮で)

洞窟を出ると、神崎黎人が死に、カグツチが暴走していた。黎人は舞衣とミコトの共通の蝕媒だった。静留が倒したはずの黎人は傀儡だったとされる。那岐とクサナギの力でカグツチは封じられ、高村となつきは星時計の下の天の岩戸から黒曜宮へ下りる。最後のHiMEとなったなつきは舞姫として媛星を還す。

後日、媛星は姿を消し、一番地はなくなり、学園の校則から恋愛禁止も消えている。高村となつきは名前で呼び合い、ともに暮らしている。年に一度、迫水とともに紗江子の墓に手を合わせ、学園の隅に建てられた、想い、想われた者たちを祀る石碑にも手を合わせる。一年に一度は存分に泣き、ほかの日は笑って暮らそうと二人は決める。天河教授は帰らず、ツキヨミもデュランも消えている。

「今日から、また、悲しいことは忘れないとな。思い出すと決めた、その日まで」(玖我なつき・石碑に手を合わせた帰り道)

美袋ミコトの物語 — もう一人の兄上/過ぎて行く日々 エンディング別の結末バッドエンド

生き別れの兄を探して風華に来たミコトとともに進む物語。戦うなと言い続ける高村と、戦うことでしか自分を見いだせないミコトがすれ違い、ミコトの家と兄の正体が明らかになっていく。最後の選択で結末が二つに分かれる。いちご大福が縁で懐いたミコトとの日々は、明るい昼食の時間から始まり、高村はミコトの兄探しにも付き合う。

7月20日、高村はミコトに戦う理由を尋ねる。物心ついたときには祖父と二人きりで、教え込まれたのは戦う技術だけだったこと。祖父からは兄に会ってはならないと言い渡されていたこと。一度だけ見た家族写真で、赤ん坊の自分と兄にあたる男の子が同じ首飾りをかけていたこと。ミコトはその首飾りを手がかりに兄を探していた。

「兄上にさえ会えれば、きっとすべてがわかるはずだ……」(美袋ミコト)
「私だって舞衣やみんなと戦いたくは無い。だが私にとって一番大事なのは兄上だ」(美袋ミコト・海での不戦協定の場で)

高村は戦うなと繰り返すが、その言葉はミコトを追い詰めるだけだった。

「闘うなと言うなら、闘わなくていい理由を教えてくれ」(美袋ミコト)

7月25日、奈緒がミコトに戦いを挑み、ジュリアを倒されて力を失う。7月28日、高村は理事長から一枚のメモを渡され、翌日なつきとともにその場所を訪ねる。そこは美袋家の実家で、すでに無人の屋敷になっていた。美袋家は古くからHiMEを出し、それを一番地に差し出すことで地位を得てきた家で、衰えた家の栄華を取り戻すため、祖父はミコトを一級のHiMEに育てて一番地と取引しようとしていた。

7月30日にはミコトが碧を倒し、碧の蝕媒だった恩師の教授が命を落とす。8月2日、朔夜から、ミコトが神崎黎人と一緒に歩いていたという電話が入る。ミコトは黎人に従い、HiMEを狩っていた。黎人こそがミコトの実の兄だった。8月4日、いちご大福でミコトをおびき出すという作戦に、ミコトは本当に出てくる。兄をひとりにはできないと告げて、ミコトは高村のもとを去る。

「ほんの少しの間だけ、胸を貸してくれ」(美袋ミコト・別れの前に)

8月5日、なつきを救おうと現れた静留がミコトに敗れ、自ら命を絶つ。8月7日、大切な人を失っても立ち直った碧が天河邸を訪ね、恩師の研究資料から黒曜宮の在りかを突き止める。8月8日、朔夜がミコトに倒される。遺跡へ向かう道で待っていた舞衣は、ミコトを止めるために高村とともに向かい、ミコトと戦う。その決着は描かれず、残ったHiMEは自分だけだというミコトの言葉で知らされるだけである。

黒曜宮で待っていた黎人は、高村の家系が星詠の舞に関わる星繰の者であり、銅剣がもとは儀式に使われる剣だと告げる。黎人はミコトを弥勒で封印し、媛星の力を手に入れるつもりだった。

「ようこそ……、星繰りの者」(神崎黎人・黒曜宮の入口で)
「星繰りの者と草薙を葬るんだよ。永遠に」(神崎黎人・凪に高村の殺害を命じて)
「兄上! 話が……違うではないか」(美袋ミコト・兄が高村に刃を向けたとき)

黎人は、ミコトのエレメントが大刀の弥勒ではなく、弥勒がはめ込まれていた柄・カムツカだと明かす。カムツカの力が弥勒の制御に使われているあいだ、ミコトはチャイルドを呼べない。チャイルドがいなければミコトは負けず、蝕媒の自分が死ぬこともない。黎人はそれを承知でミコトを使っていた。ここで立ち回りを誤ると、高村もミコトも弥勒に貫かれて物語が終わる。弥勒を奪われ、刃のないカムツカだけを手にしたミコトは、高村を守りたい一心でチャイルド・スサノオを目覚めさせる。

「カムツカ! 私の想いが聞こえるなら、チャイルドを呼び出せ! 私に、恭司を守る力を与えてくれ──!」(美袋ミコト)

兄と刃を交えるミコトを前に、高村は最後の選択を迫られる。

「それでも闘う!」を選んだ場合 — もう一人の兄上

高村はクサナギを構えて黎人に挑み、弥勒を叩き折る。折れた弥勒が黎人を貫き、ミコトの兄を殺したのは高村になる。すべての幕引きは理事長が行い、星は救われる。罪の意識から風華を去った高村のもとに、翌年の春、ミコトが追いかけてくる。首には兄妹の証の首飾りが二つ揺れていた。凪は折れた弥勒を拾い、黒曜の君も弥勒もなくなったと言い残して消える。

「──恭司! 私は、お前が大好きだ!」(美袋ミコト・翌春の再会で)
「見つけたぞ、もう一人の兄上!」(美袋ミコト)

「美袋を信じる!」を選んだ場合 — 過ぎて行く日々

高村は自分が出ても足手まといになると考え、ミコトを信じて身を引く。決着はあっけなく、ミコトのスサノオが兄を貫く。幕引きは理事長の手で行われ、星は救われるが、ミコトはその日から姿を消す。凪が拾った弥勒は折れていない。高村は、いつか笑顔を取り戻したミコトが姿を見せてくれることを願いながら日々を過ごす。

深優・グリーアの物語 — いずれ目覚める君へ エンディング

アリッサの護衛として生きてきた深優とともに進む物語。ほかの物語では姿を消すシアーズ財団の側に高村がとどまり、財団の計画と深優の生まれが明らかになっていく。表情を変えない深優と、深優に冷たいアリッサ、そして高村。教会で過ごす時間のなかで、高村は深優の姿に亡き幼なじみの優花を重ねてしまう。深優はやがて、高村を名前で呼ぶようになる。

7月20日、裏山にいた高村のもとに深優がやって来て、日暮あかねのチャイルドを倒したのは自分だと認める。7月19日に深優が口にしていた装置の性能実験とは、このことだった。7月21日のラグナロック作戦でアリッサが死ぬと、高村はむつみの助けで風華町へ戻り、グリーア神父から計画の概要を聞く。

7月22日、高村と深優は海の見える丘にアリッサを埋葬する。凪は、HiMEは12人で足り、それ以上は要らないと深優に告げる。その夜、グリーア神父は、深優の身体のもとに高村の幼なじみ・優花の生体部品と血液が使われていること、優花にも紋章があったことを打ち明ける。深優はアリッサの死に涙を流したあと、うなじに紋章を浮かべ、チャイルド・カマエルを呼べるようになっていた。凪は深優を偽物と呼び、神父はむしろ正当だと言い、どちらが正しいかは決着しない。

「もし……、私があなたに出会わなければ、私はアリッサ様の死に、涙を流すことなどできなかったでしょう」(深優・グリーア・高村に)

7月23日、深優は月杜町で奈緒と戦い、高村は奪うために戦ってはいけないと深優を止める。7月25日、逃亡中の天河教授から、すぐにその場を離れろという電話が入る。教会へ向かう途中、深優に似た少女に襲われ、たどり着いた教会ではグリーア神父が死んでいた。7月26日、高村はシアーズ財団の船の中で目を覚ます。星詠の舞に関わる者として捕らえられたのだった。救い出しに来た深優とともに脱出した高村は、海岸で深優に礼を言い、深優を大切な人だと改めて思って口づけを交わす。

その深夜、アリッサの姿をしたアンドロイドが、大量のオーファンを連れて襲ってくる。シアーズ本部が造った上位機で、深優を旧型、出来損ないと呼ぶ。

「我が子はメタトロンなどではない、メタトロンの能力を分析、さらに強化したもの……サンダルフォンだ」(アリッサの姿のアンドロイド)

相手がアリッサの声色を使った隙に、深優は貫かれる。

「アリッサ様の笑顔は……もっと可愛らしい!」(深優・グリーア・反撃しながら)

深優は偽物とサンダルフォンを倒すが、損傷が限界を超え、機能を停止する。首筋の紋章が消え、行き場を失ったカマエルはオーファンとなって高村に襲いかかる。止まったはずの深優はもう一度だけ起動してカマエルを斬り伏せ、完全に動かなくなる。

8月2日、媛星はもう見えない。星詠の舞は、高村の知らないところで終わっていた。高村はむつみの助けで取り出した深優のメモリーチップを、アリッサの墓に納める。墓の前で深優の幻と想いを告げ合った高村は、いつか深優が目覚めるときのために、決意を新たにする。

静留編 — ありがとう エンディングバッドエンド

Windows版で加わった追加シナリオ。語り手は高村ではなく生徒会長の藤乃静留で、地の文まで静留の京言葉で語られる。7月1日、水晶宮の手すりに結ばれたリボンの前で、静留は玖我なつきを守り抜くと誓う。なつきの側からは見えない、もう一つの夏が描かれ、本編の主人公の高村は、静留の目に映る一人の教師として現れる。

静留の蝕媒は、玖我なつきだった。なつきの側はそれを友情だと思っており、静留は自分の想いをなつきに告げないまま、なつきを守るために手を汚すと決める。物語の日付は、なつきの物語と重なっている。

「あの子は、あの子のままでおってほしい。ヨゴレになるんはうちだけで充分や……」(藤乃静留)

7月22日、静留は遥の用事と偽って奈緒を呼び出し、菊川雪之がHiMEだと教えて戦わせる。雪之は敗れ、雪之の蝕媒だった珠洲城遥が命を落とす。直接戦うのが不利な相手は、その大切な人を直接手にかけて無力化する。静留はそう方針を定める。

「堪忍な、菊川さん、珠洲城さん……。うちはこうでもせんとあの子を守れへんかったさかい」(藤乃静留)

7月28日、静留は男子として通っていた中等部の尾久崎を倒し、続いて、戦わずに済む方法が見つかるかもしれないという嘘で杉浦碧を裏山へ呼び出す。教師は教え子に手を出せないという立場を突かれ、碧は敗れる。

「でもあたし、大人として、教師、貫けたから……許してくれる、よね」(杉浦碧・静留に敗れる直前)

同じ日、静留はなつきに、母は生きていると告げて復讐の意味を奪い、戦いから遠ざける。夜にはシスター紫子を倒すが、紫子の一角獣が最後に見せた幻は、静留にとって最悪の光景だった。7月29日、隠れ家を訪ねてきたシスター九条むつみと戦う。一番地の手先と見ていた相手は、倒れたあとでなつきの母だと分かる。互いに守りたいものは同じだった。この戦いで立ち回りを誤ると、静留の側が敗れて物語が終わる。

「あかん……清姫! この人は、なつきのお母さんなんやで!」(藤乃静留)

その夕方には、父を匿っていると偽って天河朔夜を裏山の洞窟に呼び出し、倒す。7月31日、潜伏先を突き止めた神崎黎人に一人で挑む。刀一本の黎人が繰り出す符術に清姫は瀕死の傷を負い、ここでも敗れれば物語は終わる。なつきを守りたいという想いに応えて清姫は力を取り戻し、黎人を面影すら残さず消し去る。黎人を蝕媒としていた舞衣とミコトは、これで同時に力を失う。

8月1日、まだ夜も明けきらないなつきの部屋に忍び込んだ静留は、高村を呼ぶなつきの寝言を聞く。最後に奈緒を倒すが、奈緒には死ぬ想い人がいないため、命は取らずに追い返す。残るHiMEは、静留となつきの二人だけになった。最後の二人が互いを蝕媒にしている不具合を避けるため、静留は水晶宮で、自分のリボンをほどいて結び直し、なつきの生きる世界が、想うことが枷にならない世界であるようにと祈る。駆けつけたなつきと高村の前で、静留は母のことを泣いて詫び、なつきに赦される。

「――――なつきのこと、お願いします」(藤乃静留・高村に深く頭を下げて)

静留は毒を飲む。なつきの腕の中で、清姫はなつきへの想いから生まれたのだと明かし、生涯でただ一度の告白をして息を引き取る。媛星のことも、なつきのその後も、この物語では描かれない。

「――――愛してたんやもん」(藤乃静留)

7月19日に終わる物語 — 教師の夏休み エンディング短いエンディング

7月19日までに誰とも距離が縮まらなかった場合、高村は夏休みを前に一度大学へ戻ることにし、物語はそこで終わる。その日の夜、誰が高村を見送るかによって、短いエンディングが4本ある。大学へ戻るのは、学期中に集めた資料を整理するためで、見送りの場面は駅前や月杜町など、相手によって違う。どれも夏休みの入り口の、短い場面である。

この結末では、7月19日の夜の裏山の出来事は起こらない。日暮あかねの件は、恋人と駆け落ちしたという噂として高村の耳に入るだけである。

「でも、すごいよねぇ……。駆け落ちだよ?」(天河朔夜)

夏休みに入った高村は、次の学期の教材準備や授業計画の作成、媛伝説の調査研究に追われる。天河教授からの連絡はなく、媛星のこともHiMEのことも、何ひとつ解けないまま夏が過ぎていく。これが「教師の夏休み」である。7月19日の夜の場面には次の4通りがあり、どれもこの結末に合流する。

乗せてってやる(玖我なつき)

駅前で待っていたなつきが、バイクで本州まで高村を送ってくれる。

「言っただろう、お前を乗せたのはついでだ。礼の言葉はいらん」(玖我なつき)

運命は枝葉のごとく(杉浦碧)

碧が大学への帰り道に同行し、高村のアパートまで押しかけて料理を作る。4本の中で、その後まで描かれるのはこの1本だけで、高村は何かが変わっていくのを感じる。

行っちゃうんだ(鴇羽舞衣)

大学へ戻ると告げた高村を、舞衣はぶっきらぼうな口調で見送る。高村は振り返れば舞衣の前から動けなくなる気がして、足を止めずに風華を後にする。

翼を広げて(結城奈緒)

月杜町でおみやげを買おうとした高村は、また夜の街にいる奈緒を見つけて追いかける。足をくじいた奈緒を病院に運び、そのあとリンデンバウムで時間を過ごす。奈緒は紙ナプキンで折った鶴を高村に渡す。

登場人物ごとの短編(7本)

本編とは別に、日付を持たない短編が7本ある。日暮あかね・アリッサ・シアーズ・風花真白・杉浦碧・炎凪・結城奈緒・菊川雪之それぞれの側から、本編では描かれない場面や過去が描かれる。本編のどこかの時点と重なる場面もあれば、ずっと昔の出来事を描くものもあり、それぞれの人物の思いや来歴が補われる。杉浦碧の短編は、碧が風華学園に来るまでを描く。

特別な日(日暮あかね)

水晶宮のおまじないのリボンを執行部が撤去しようとする場面で、あかねが抗議し、碧と言葉を交わす。恋人との時間を大切にする側から見た恋愛禁止が描かれる。

深優ってば(アリッサ・シアーズ)

アリッサと深優の日常。深優はアリッサの学習と体調を管理し、アリッサはそれを疎ましがる。

始まりを告げる鐘(風花真白)

12人のHiMEがそろい、星時計の最初の鐘が鳴る。全部で八つの鐘を待つあいだ、真白とその身に宿る陽巫女が言葉を交わす。蠱毒の犠牲に反対する真白に、陽巫女は贄が必要だと言い切り、それでも真白が掲げた恋愛禁止を、覚悟のない者を不幸から守る助けになるかもしれないと評する。

杉浦碧、かくありき(杉浦碧)

風華学園に来るまでの碧の来歴と、自称十七歳の由来が描かれる。

姉弟という名の絆(炎凪)

陽巫女と弟・那岐の過去。カグツチを生み出すために、もうすぐ10歳になる那岐が贄となる最初の星詠の舞が描かれる。陽巫女には台与という子がいたことも語られる。現在の凪が病室の巧海と言葉を交わす場面もある。

末路(結城奈緒)

ミコトに敗れてジュリアを失った奈緒の独白。奈緒の母は、血のつながらない男を家に連れてきた。殴られて育ち、家出して補導されたとき、なぜか風花家が身元引受人になって風華学園に通うことになった。力を失った奈緒は繁華街で男たちに腕をつかまれるが、大声でお巡りさんを呼んで追い払う。同じころ、凪と真白は、奈緒の蝕媒がもう死んでいることを語り合っていた。奈緒は母の留守番電話に、そのうち帰ると吹き込む。

「母さん、奈緒です。また変な男に掴まってたりしませんか?」(結城奈緒・留守番電話に)

腹心の友(菊川雪之)

雪之の視点で、珠洲城遥との出会いと、『赤毛のアン』にならって交わした「腹心の友」の誓いが描かれる。雪之は自分を、アンを慕うダイアナになぞらえる。雪之のチャイルドの名はここから来ている。

作中で明確な答えが示されていないこと

以下は作中で明確な答えは示されていない。

  • 図書館の星時計の針が指す数字の意味。星時計そのものが天の岩戸の門の上に作られたものだとは語られるが、針については説明がない。
  • 風花真白が11歳の理事長であることと、真白が陽巫女と300年ごとに同じ問答を繰り返してきたと語られることの関係。
  • 結城奈緒の蝕媒が誰だったのか。もう死んでいることだけが凪と真白の会話で語られ、奈緒本人は大切な人などいないと言い張る。
  • 朔夜の物語で九条むつみが言いかけた言葉の続きと、消えた遺体の行方。
  • 巧海が話しかけてやめた「風華で初めての友達」が誰なのか。
  • なつきの物語で、那岐が黒曜宮に眠る「あの人」に語りかける場面があるが、その人物の正体。
  • なつきの物語では静留が倒した神崎黎人は傀儡だったとされるが、静留編にはその話が出てこない。
  • 深優を12人のHiMEに数えるかどうか。凪は偽物だと言い、グリーア神父は正当だと言う。
  • 迫水開治が、なつきの言う、オーファンを誘い出す「あのタヌキ」なのかどうか。
  • 美袋家の祖父を誰が手にかけたのか。黎人は始末させたと言いながら、殺したのは自分ではないとも言う。
  • 鴇羽舞衣の物語で、玖我なつきがどうなったのか。
  • どの物語でも、天河邸の執事・嵯峨野がその後どうしたのか。

エンディング一覧

種別 エンド名 物語 結末概要
エンディング 教師の夏休み 共通(誰とも距離が縮まらなかった場合) 7月19日に大学へ戻り、媛星もHiMEも教授の行方も解けないまま夏休みが過ぎる
短いエンディング 乗せてってやる 玖我なつき なつきがバイクで本州まで送ってくれる。教師の夏休みに合流
短いエンディング 運命は枝葉のごとく 杉浦碧 碧が帰り道に同行し、アパートで料理を作る。教師の夏休みに合流
短いエンディング 行っちゃうんだ 鴇羽舞衣 舞衣がぶっきらぼうに見送る。教師の夏休みに合流
短いエンディング 翼を広げて 結城奈緒 足をくじいた奈緒を病院へ運び、紙ナプキンの鶴を受け取る。教師の夏休みに合流
エンディング 螺旋の心、絡み合って 天河朔夜 舞姫となった朔夜とともに、高村が自らの命を代償に300年の封印に入る
エンディング 未来への手紙 鴇羽舞衣 舞衣が自分を想う人すべての記憶を代償に儀式を変えようとし、高村は舞衣を忘れる
エンディング たくさん、笑おう 玖我なつき 母と親友を失ったなつきが舞姫となって媛星を還し、高村と暮らす
エンディング もう一人の兄上 美袋ミコト(「それでも闘う!」) 高村のクサナギが折った弥勒が黎人を貫く。翌春、風華を去った高村をミコトが追ってくる
別の結末 過ぎて行く日々 美袋ミコト(「美袋を信じる!」) ミコトのスサノオが兄を討ち、ミコトはその日から姿を消す
エンディング いずれ目覚める君へ 深優・グリーア 深優は機能を停止し、高村はメモリーチップをアリッサの墓に納める
エンディング ありがとう 静留編 なつきと二人が残ったところで、静留が水晶宮で毒を飲み、なつきの腕の中で息を引き取る
バッドエンド — 共通(7月21日の海岸) アリッサと深優との戦いで指揮を誤り、光に呑まれる
バッドエンド — 天河朔夜 ミコトとの戦いに下手に割って入り、ツキヨミが高村をかばって倒れ、蝕媒の高村が死ぬ
バッドエンド — 鴇羽舞衣 カグツチの使い方を誤ってミコトに貫かれ、蝕媒の高村が死ぬ
バッドエンド — 玖我なつき 凪の最後の一撃を避け、背後のなつきが死ぬ
バッドエンド — 美袋ミコト 黒曜宮での黎人との戦いで立ち回りを誤り、高村とミコトが弥勒に貫かれる
バッドエンド — 静留編 九条むつみとの戦い、または神崎黎人との戦いで静留が敗れる