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中核概念
終ノ空 ついのそら 概念

作品タイトルにして最重要キーワード。音無が屋上で「青い空とは別の空が見える」と語る不可思議な現象として序盤に登場する。

真の意味
リルルが卓司に語る「無限の一種・対ではなく終」。生でも死でもない、ある/ないの彼方にある存在の至り。卓司の妄想体系では「兆し以後」とされる。Yルートでは卓司投身の瞬間に行人もそれを幻視する(信者には十字架・扉・鍵穴等に見える)。
Sルートでの再解釈
行人は「あってはいけないものが、ここにあった」「無限と有限という絶対に重ならない何かが重なった」と言い直す。
兆し きざし 概念

リルルが「卓司くんの兆しを・・・それ以後にするため」と語る言葉。卓司の自己定義の核心。

詳細
卓司用語。救世主としての自分の状態を指す。「兆しへの予還者」とは「世界終末を予感し、自らをそこへ至らせる者」の意。Tルートで繰り返し使われる自己定義であり、演説の中心概念となる。
予還 よかん 概念

卓司の演説で初めて登場する造語。「予感」に似た音で、信者の心の状態を指す。

詳細
心の中の「波紋のような揺らぎ」「沈んだ船が残した水面の波紋」のような余韻。終ノ空への呼応・救済予定者の心の状態を指す。没落講話で「予還を高める」という文脈で使われる。
兆しへの予還者 きざしへのよかんしゃ 概念

卓司の自己呼称。「世界終末を予感し、自らをそこへ至らせる者」という意味を持つ造語。

没落 ぼつらく 概念

卓司が「俗世に降りる」「汚れる」事を指して使い始める言葉。教団活動の中心教義。

実態
人間性を捨てケモノ→モノに堕ちる事で予還を高めると主張される。実態は強姦・公衆排泄・近親相姦・薬物乱用といった反社会行為の正当化。Tルートで清川・全信者・やす子(きよしへの近親相姦命令)と順々に拡大していく。
救世主 きゅうせいしゅ 役割

卓司が自分に付与した称号。終ノ空へ向かう道を拓く存在として自らを定義する。

七月二十日 しちがつはつか 日付

ノストラダムスの予言と卓司の教義が重ね合わされた、作中で「世界が終わる日」とされた日付。物語全体の時限となっている。

神さまの夢 かみさまのゆめ 概念

アニメ「魔法少女リルル」でリルルが世界中から集めるとされるもの。卓司はテレビでリルルが集め終えたとされた後も「まだ集まっていない」と信じ続ける。

終(字) つい 概念

リルルが「対ではなく終」と使う漢字。「対」の対義語として存在の「至り」を表すとされる独自の意味付け。

一億年 いちおくねん 概念

リルルが卓司の額に触れて体感させるとされる時間。生命発生からの全進化の記憶を一瞬で追体験させると卓司は主張する。

詳細
胎児の夢(母胎内で生命進化を追体験するという俗説)を根拠にしている。卓司がサクラメントを信者に施す際に「遺伝子の記憶」として体感させると称する体験の正体でもある。
卓司教団用語
サクラメント さくらめんと 儀式

卓司が信者に施す洗礼。きよしが「桜弁当」と取り違えた事がきっかけで使われ始めた名称。

詳細
キリスト教の秘跡を借用した儀式名。卓司が信者のおでこに手を当て「遺伝子の記憶」(生命発生からの一億年)を見せると称する。Tルートで武井・きよしに施行される。
ノストラダムスの大予言 のすとらだむすのだいよげん 引用

「七の月に恐怖の大王が降ってくる」という予言詩。七月二十日の根拠としてクラスメイトの噂やざくろの教義補強に使われる。

行人による批評
占星術を旧約聖書で禁じられた当時、詩集として発表したため解釈が無数に成立する。「解釈が100あればその一つは当たる」——それが大予言の正体だと行人は分析する(Yルート)。
胎児の夢 たいじのゆめ 引用

母胎内で胎児は生命発生からの進化を高速で追体験するという俗説。卓司が「一億年体験」の根拠として援用する。

Zルート用語
スパイラルマタイ すぱいらるまたい 儀式

Zルートに登場するカルトの中核儀式。聖書「マタイ」と「スパイラル」の合成名。

実態
「死すれすれの体験で次世代超能力が戻る」と称し、実態は屋上から飛び降りる事。Zルートでは実際に実行される(Z 0028)。
アタマリバース あたまりばーす カルト用語

Zルートの築川宇佐美らが使うカルト用語。前世記憶を取り戻す行為。「頭・リバース」の合成と思われる造語。

エンジェルリムーバー えんじぇるりむーばー カルト称号

Zルートで築川宇佐美に与えられた前世の称号。

エンジェルナイト えんじぇるないと カルト称号

Zルートで瑞緒亜由美に与えられた前世の称号。

エンジェルアドバイズ えんじぇるあどばいず カルト称号

Zルートで高島ざくろに与えられた前世の称号。

エロヒムロ えろひむろ カルト地名

Zカルトで主張される前世の故郷。ネブラ星雲のアウタースペースにあるとされる。聖書「エロヒム(神々)」から派生した造語。

ネブラ星雲 ねぶらせいうん カルト地名

エロヒムロが属するとされる星雲。Zカルトの宇宙論における前世の故郷の所在地。

アウタースペース あうたーすぺーす カルト概念

エロヒムロが属するとされる「もう一つの宇宙」。Zカルトの宇宙論で現在の宇宙とは別次元に存在するとされる。

ハル・メキド はる・めきど カルト用語

聖書のアルマゲドン(メギドの丘)のZカルト的呼称。七月二十日に起きるとされる最終戦争。

大いなる災い おおいなるわざわい カルト概念

Zカルトが設定する世界の敵。人々に先兵を取り憑かせ世界を滅ぼそうとする存在とされる。

詳細
「先兵」とは、小沢・宇佐美・亜由美を性的に虐待した男たちが指定される。被害者を「大いなる災いに選ばれた者」として取り込む教義の巧妙な構造になっている。
悪しき者 あしきもの カルト概念

大いなる災いの先兵。Zカルトによれば人々に取り憑き、ハル・メキドへの道を開く存在とされる。

次世代超能力 じせだいちょうのうりょく カルト概念

スパイラルマタイで飛び降りると「取り戻せる」とされる能力。Zカルトが儀式への参加を促す際に持ち出す概念。

哲学・文学引用
純粋理性批判 じゅんすいりせいひはん 哲学書

カント1781年の主著。行人が屋上で読書中の本として登場する愛読書。

作中での意義
アンチノミー(宇宙の始まりは在るとも無いとも言えない)を引用し、世界の根源には語り得ない部分があるという議論につながる。「終ノ空」のアンチノミー的性格の理論的根拠でもある。
アンチノミー あんちのみー 哲学概念

カントの二律背反。「Aである」と「Aでない」のどちらも論理的に矛盾なく証明できる事態。

作中での使われ方
「終ノ空」そのものが「あってはいけないがあった」というアンチノミー的存在として行人により再解釈される。
論理哲学論考 ろんりてつがくろんこう 哲学書

ヴィトゲンシュタイン1922年の主著。「世界とは成立している事柄の総体である」で始まる。

最終命題
「語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない」——この命題が「終ノ空」という言語化できない概念のメタファーとして機能する。
語りえぬことには沈黙 哲学命題

『論理哲学論考』最後の命題。「語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない」。言語で表せない領域の存在を認めるこの命題が、作品全体のトーンと響き合う。

氷の上の哲学者 こおりのうえのてつがくしゃ 引用

デレク・ジャーマン監督映画『ヴィトゲンシュタイン』のラストシーンでケインズが語るおとぎ話。行人が長く回想する。

内容
完璧な氷の世界を作った若者が「摩擦」を忘れていたため歩けず泣き崩れるという話。「不完全だからこそ世界は動く」という主題を象徴する。卓司の追い求める「完璧な終ノ空」との対比として機能する。
摩擦 まさつ 比喩

氷の上の哲学者のおとぎ話で若者が忘れたもの。ザラザラした不完全な現実世界こそが歩行(=生)を可能にするという逆説。

テーマとの接続
卓司の追い求める「完璧な世界(終ノ空)」は歩けない氷上と同義であり、行人が現実に留まる選択の根拠となるキーワード。
死にいたる病 しにいたるやまい 哲学書

キルケゴールの著書名。一般には「絶望」と訳される。

Sルートでの再定義
音無が「絶望?」と問い、行人が「生だ」と答え直す。「生まれるとは絶対的な死を約束される事」(Sルート)。タイトルを「死にいたる生」として読み替える鮮烈な台詞。
永久回帰 えいきゅうかいき 哲学概念

ニーチェの思想。あらゆる出来事は無限に繰り返されるという世界観。

Sルートでの暗示
「もしかしたら何億回もこれを繰り返したのかも」と音無に問われ、Sフィナーレで琴美と音無が二重発話する構造で視覚化される。
孤独な群衆 こどくなぐんしゅう 社会学書

社会学者リースマンの著書。Zルートの授業中に取り上げられる。現代人がマスコミに精神的な安定を求める姿を分析する。

作中での機能
ざくろが「私がアイツに脅されている事も誰も気がついてくれない」と授業内容を自分の状況に引きつけて聞く。孤立した人間がカルトに吸い込まれる構造を示唆する文脈で機能する。
他人志向型 たにんしこうがた 社会学概念

リースマンが『孤独な群衆』で提唱した人間類型。他者の目を過度に意識して行動を決める現代人の傾向。授業内で説明される。

友なる二羽の鷲 ともなるにわのわし 引用

リグ・ヴェーダおよびムンダカ・ウパニシャッドにある詩。卓司が行人への最後の独白で引用する。

詩の内容と意義
「つれだつ友なる二羽の鷲は、同一の木を抱けり/その一羽は甘き菩提樹の実を食らい他の一羽は食らわずして注視す」——卓司=世界を食らう鷲、行人=注視する鷲という対立構造を象徴する。
キャント きゃんと 引用

哲学者カント(Kant)の英米読み「キャント(Cant)」。音無が真顔でギャグを連発する場面で登場する。

詳細
「cunt(女性器の俗称)」と同音である事から、音無が「女性器」「出来ない(can't)」「女性器、出来ない本」と真顔でギャグを連発(Yルート)。本作の数少ないコメディシーン。
アドルフ=ヒットラー あどるふ・ひっとらー 引用

卓司が演説術の師として内心で参照する歴史人物。「声を徐々に大きくして聴衆を煽る」扇動術の手本として独白する。

クトゥルフ神話
這い寄る混沌 はいよるこんとん 神話存在

音無が行人に「暗い所からやってくる」存在として語る。卓司は新プール土台の奥の部屋一面にこれを描く。

出典と正体
H・P・ラブクラフトのナイアラトテップの異名「The Crawling Chaos」の直訳。卓司が見る「お父さん」やリルルの正体とも示唆される深淵の象徴。
ないあらとほてっぷ ないあらとほてっぷ 神話存在

卓司の落書きの間に描かれた「いるもの」として言及される。ナイアラトテップ(Nyarlathotep)の半カナ表記。

よぐよぐそうとう よぐよぐそうとう 神話存在

屋上の存在が卓司に呼びかける呪文のように使われる。ラブクラフト作品に登場する全知の神格の転写。

出典
ラブクラフト『時間からの影』の「Yog-Sothoth」(ヨグ=ソトース)の半カナ転写。「これに会う」と告げる存在として機能する。
てけり・り てけりり 神話存在

「不安」と書かれる存在が発する不気味な音声。卓司が街中で出会う化け物の声として描写される。

出典
ラブクラフト『狂気の山脈』に登場するショゴス(shoggoth)の鳴き声「tekeli-li」の転写。
場所
旧プール きゅうぷーる 場所

新室内プールの完成によって廃止された屋外プール。卓司が脇の機械室を秘密の隠れ家にしている。

詳細
機械室の壁にはリルルの絵が描かれている。脇のマンホールは下水道へつながり、さらに排水タンク・新プール土台へと通じる。Kルートでは琴美の監禁場所として、Yルートでは行人の侵入経路として機能する。
排水タンク はいすいたんく 場所

旧プールの下にある巨大な地下空間。元来はプールの排水を貯めるためのタンク。

詳細
プール廃止後に水が無くなり、卓司が椅子を並べて道場化している。上のマンホールを通じて新プール土台に出られる構造になっており、カルト活動の中心地・琴美の監禁場所として機能する。
新プールの土台 しんぷーるのどだい 場所

排水タンクの上、新室内プールの真下にある「トマソン地帯」の空間。

詳細
新プール建設時に排水タンクを残したまま上に新設したため、間に機能不明の「トマソン地帯」が生じている。卓司の落書きの間(這い寄る混沌の絵)があり、屋上へ至るハシゴが立てられている。
トマソン地帯 とまそんちたい 引用

赤瀬川原平「超芸術トマソン」由来の建築用語。卓司がきよしに教える言葉で、建物に残された機能不明の空間・構造物を指す。新プールの土台の呼称として用いられる。

人物・通称
リルル/魔法少女リルル りるる 架空人物

アニメ「魔法少女リルル」の主人公。テレビでは神さまの夢を全部集めて魔法の国に帰ったとされる。卓司が自室の壁に描き続けているキャラクター。

作中での実態
卓司は「まだ集め終えていない」と信じ続け、壁の絵に話しかけている。物語中盤以降、壁の絵が返答するようになり、卓司の幻覚パートナーとして機能する。這い寄る混沌(ナイアラトテップ)との関係性も示唆される。
ザジ ざじ 通称

三組の不良・小沢裕一の通称。本人が「小沢くんは無いだろ?ザジさんで良いぜ」と自称する。フランス映画『地下鉄のザジ』またはアフリカ系民族名に由来か。

ゲロタク/バカタク げろたく/ばかたく 蔑称

クラスメイトが卓司に向ける蔑称。「ゲロを吐いた卓司」「バカな卓司」由来と推測される。卓司が孤立している状況を示す。