ストーリー詳細 — 月姫
本作は5ヒロイン・複数ルート構成のビジュアルノベル。共通ルートから各ヒロインのルートへ分岐し、それぞれに複数のエンドが存在する。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
プロローグ — 八年前
9歳の遠野志貴が事故に遭い、蒼崎青子と出会うまでの過去回想。物語のすべての因縁はここから始まる。
9歳の遠野志貴は交通事故に遭い、胸にガラスの破片が刺さって瀕死の重傷を負う。回復して目覚めた病院のベッドで、世界中のあらゆる「線」が見えるようになっていることに気づく。試しに果物ナイフで「線」をなぞるとベッドがきれいに裂けてしまい、恐怖した志貴は病室を抜け出す。
街外れの野原で、自称「蒼崎青子」という女性と出会う。彼女は志貴の「眼」の性質を「直死の魔眼」と呼び、姉から奪ってまで作った「魔眼殺し」の眼鏡を手渡す。これをかけていれば「線」は見えなくなる。
「あったりまえよ。わざわざ姉貴の所の魔眼殺しを奪ってまで作った蒼崎青子渾身の逸品なんだから」(蒼崎青子)
別れ際、青子は「ピンチの時はまず落ち着いて、その後によくものを考えるコト」と告げて去る。志貴は彼女を「先生」と呼ぶようになる。
退院後、志貴は実家・遠野屋敷ではなく分家の有間家に預けられることになる。屋敷を出る前夜、裏庭で双子の片方の少女が「これ、持っていって。貸してあげるから返してね」と白いリボンを渡してくる。志貴はそのリボンを8年間カバンに入れたまま過ごす。
共通ルート — 一日目・二日目
8年後の秋(十月なかば)。父・遠野槙久の死を受けて遠野屋敷へ戻った志貴の最初の数日間。
17歳になった遠野志貴は、妹・遠野秋葉の呼びかけで8年ぶりに遠野屋敷へ帰還する。屋敷では良家のお嬢様に成長した秋葉、明るい侍女・琥珀、無表情な侍女・翡翠が志貴を出迎える。カバンから古い白いリボンを取り出すと、8年前に少女から渡されたリボンの持ち主が翡翠であったことに気づく。
学校では3年生の先輩シエルとの茶飲み話、同級生・弓塚さつきとの帰り道など、一見普通の高校生活。夜、犬の遠吠えに目覚めた志貴は、屋敷を徘徊する秋葉らしき影を目撃する。
二日目・五時限目:授業中に不意の貧血で気を失った志貴は、街で金髪の女・アルクェイドを見かけた瞬間、強い殺意に駆られる。気がつくと路地裏で8年ぶりに眼鏡を外し、果物ナイフで彼女の体を「十七箇所」、線に沿って解体していた。
「遠野志貴は あの女を 殺したい、と。それが、あの時の俺の意志だったハズだ」(志貴の独白)
翌朝、当の女が「殺し返しに来た」と再び現れ、自らを「真祖の吸血鬼・アルクェイド・ブリュンスタッド」と名乗る。街の吸血鬼を狩るために動いていたが志貴に殺されたせいで戦力を失ったため、身辺警護を頼み込んでくる。志貴は罪滅ぼしとして同行を受け入れる。
「ねっ、反省してる?」(アルクェイド)
ここから物語は5ヒロインのルートに分岐する。
アルクェイドルート TRUE GOOD
真祖の吸血鬼・アルクェイドと共闘して街の死徒事件を追うルート。「十七」という数字を軸に志貴とアルクの関係が深まる。
街で起きている吸血鬼の連続事件を、アルクェイドと共に調査する。犯人は二人いる——死徒二十七祖の一人「ネロ・カオス」と、十七回の転生を繰り返してきた死徒「ロア」(別名「蛇」)。
アルクェイドはロアを十七度滅ぼしてきた因縁の相手。そしてロアの十七人目の転生先は「遠野」の血筋——志貴の中に宿っていた。共闘する中で二人の距離は縮まり、志貴はアルクェイドへの想いを確認する。
「全部終わったあと―――吸血鬼を倒し終わったらさ。別れる前に、もう一回だけこうして遊ばないか?」(志貴)
志貴は直死の魔眼でロア(自分の中の人格)を断ち、アルクェイドはロアを完全に滅ぼす。
TRUE END:約束を果たすために、夕暮れの教室にアルクェイドが現れる。志貴は彼女との約束を覚えているかぎり、いつまでも待ち続ける。
GOOD END:登校途中の交差点で、ガードレールに腰をかけたアルクェイドと再会する。
シエルルート GOOD TRUE
先輩・シエルの正体と、彼女自身が抱えるロアとの因縁が明かされるルート。
シエル先輩の正体は、ロアを狩るために送り込まれた教会の代行者だった。さらに重大な真相——シエル自身がかつてロアの転生体だった過去を持ち、心の中の「ロアの記憶」と戦い続けている。
「それから現代まで、『蛇』が転生した回数は十七回。そのことごとくを、アルクェイド・ブリュンスタッドは殺害しています」(シエル)
志貴の中のロアが目覚め始め(「胸が、焼け、る」)、月夜の公園でシキ化した志貴の前にアルクェイドが現れる。シエルは志貴を庇い、代行者の使命と人としての気持ちのあいだで揺れる。
胸を刺された志貴をシエルが屋敷へ運び、命を救う。
「遠野くんは黙っていてください。……大丈夫、遠野くんの妹さんなら、きっと遠野くんを助けることができるはずです」(シエル)
GOOD END:志貴はアルクェイドにもシエルにも惹かれていると認め、アルクとシエルに挟まれた賑やかな日々を選ぶ。
TRUE END:志貴とシエルがアパートへ向かい、二人で生きていく決意を固める。
秋葉ルート TRUE NORMAL
遠野家の「混血」の真実と、妹・秋葉が抱える秘密が暴かれるルート。
屋敷で起きている連続「血の枯渇」事件の犯人は秋葉本人だった。遠野家の血筋には「混血」の体質——定期的に他者から熱(生命力・血)を吸わなければ発作で死ぬ遺伝的特性があり、父・槙久も同じだった。
秋葉は無意識のうちに発作の対象として兄・志貴の血を吸っており、本人には記憶が残っていない。発作時には「シキ」と呼ばれる獣のような姿に変貌する。
志貴は親父の書斎で手記を読み、遠野家の真実を知る。秋葉の発作が激化し、兄への愛着と獣の本能の間で揺れながら志貴に向かってくる。
「信じられる。もう、今の鼓動だけで十分だった。この先何があっても私は信じて、兄さんの帰りを待つ事ができると思えた」(秋葉)
TRUE END:志貴は「七つ夜」と刻まれたナイフを秋葉に預け、必ず帰ってくると約束して旅立つ。秋葉は兄を待ち続ける道を選ぶ。
NORMAL END:意識を失ったままの秋葉のそばで、志貴が笑顔で待ち続ける。
翡翠ルート TRUE GOOD
8年前の約束とリボン。無表情な侍女・翡翠との、静かな時間を経て辿り着くルート。
血の枯渇に苦しむ志貴に、翡翠は自身の血を与えて命を繋ぐ。
「これで少しはお体が動くようになる筈なんですけど……」(翡翠)
体調が悪化する中、志貴は高熱で寝込む期間を経て翡翠との関係が深まっていく。やがて志貴の中の「シキ」が暴走し、屋敷で解体劇が起きる。シキは秋葉ではなく、その横にいる琥珀へと跳ねる——翡翠が割り込み、姉を庇う。
翡翠は8年前から変わらずにいたもう一人の自分——屋敷を出る志貴を裏庭で見送り、リボンを手渡した少女——として、ここで志貴の前に立つ。
「翡翠は待ち続けた男の子を出迎えて、なんでもない事がただ楽しくて、お互いに笑いあう。それは飽きる事なく続く日々の欠片」(翡翠TRUE END)
TRUE END:遠野屋敷の門前で、待ち続けた男の子を翡翠が出迎える毎日。幼い頃に願っていた穏やかな日々を取り戻す。
GOOD END:「失ったものは大きかったけど、何もかもをも失ったわけじゃない」と翡翠の手を取り、野原で歩み出す。
琥珀ルート(裏ルート) TRUE
他のすべてのENDを見てから解禁される裏ルート。屋敷のすべての悲劇の根源が明かされる。
明るい琥珀の素顔が暴かれる。遠野家で過ごした歳月の中で、琥珀は遠野槙久から長期にわたって性的な被害を受け続けていた。表面の笑顔の裏には深い壊れと復讐の決意が隠されていた。
屋敷で起きていたすべての悲劇——秋葉の発作の悪化、志貴が屋敷に呼び戻された経緯、翡翠の無表情——その背後に琥珀の意志があった。
「志貴さん。どうして秋葉さまを好きだと言わなかったんですか?」(琥珀)
志貴は「俺が好きなのは秋葉じゃないだ、琥珀さん。俺は、一番好きな相手を偽る事だけは、したくない」と返す。
廊下に潜んだ志貴は、秋葉が通り過ぎる瞬間に直死の魔眼で「壁」を切る。すべてが終わる。
TRUE END:志貴は意識を閉じる夢のなかで、子供の頃の約束を果たすように、夏の花畑で琥珀に「おかえりなさい」と迎えられる。
「春は野草。秋は星空。冬は冷たい土だけの故郷。あと、夏は、たしか―――目を奪うような、明るい花。―――そこに、彼女が待っている」
エンディング一覧
| 種別 | ルート | エンド名 | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| TRUE | アルクェイド | アルクェイド・トゥルーエンド | 夕暮れの教室で約束のアルクェイドを待ち続ける |
| GOOD | アルクェイド | アルクェイド・グッドエンド | 登校路の交差点でアルクェイドと再会 |
| GOOD | シエル | シエル・グッドエンド | アルクとシエルに挟まれた賑やかな日々 |
| TRUE | シエル | シエル・トゥルーエンド | シエルとアパートへ向かい共に歩む決意 |
| NORMAL | 秋葉 | 秋葉・ノーマルエンド | 意識のない秋葉のそばで笑顔で待ち続ける |
| TRUE | 秋葉 | 秋葉・トゥルーエンド | 七つ夜のナイフを秋葉に預け、戻ると約束して旅立つ |
| TRUE | 翡翠 | 翡翠・トゥルーエンド | 屋敷の門前で翡翠が出迎える、穏やかな毎日 |
| GOOD | 翡翠 | 翡翠・グッドエンド | 野原で翡翠の手を取り歩み出す |
| TRUE | 琥珀 | 琥珀・トゥルーエンド | 夢の花畑で琥珀に「おかえりなさい」と迎えられる |
| BAD | 各ルート | バッドエンド(計10種+知得留先生コーナー) | シエルに刺される・通り魔に遭う・判断ミスで終わる等。知得留先生が原因を解説 |
バッドエンドコーナー — 「教えて!知得留先生!」
バッドエンド到達時に発生するコーナー。シエルのコスプレ姿の「知得留先生(ちえるせんせい)」が失敗の原因をボケとツッコミで解説する。
「メルシー! 二日目、五時間目の授業です。またもやバッドエンドを迎えてしまった薄幸な遠野くんの為のこのコーナー、"教えて!知得留先生!"の時間がやってきちゃいました」(知得留先生)
「知得留先生」はシエル(Ciel → ちえる)がコスプレで演じているメタ的存在。特別ゲストとして「ロア博士(ダークシキ)」が登場する回も存在する。
このコーナーはゲーム全体の構造を批評・解説する遊びパートとして機能しており、「知得留先生コーナー」形式の解説は全43パターン以上が収録されている。