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用語集 — 僕と、僕らの夏

『僕と、僕らの夏』の固有用語を解説します。▼ネタバレ詳細を含む項目はアコーディオン内に格納されています。タグをクリックするとカテゴリを絞り込めます。

場所・建物
集落 しゅうらく 場所

主人公・古積恭生が下宿する山間の小さな村。バスは1日4便程度、雑貨屋1軒、旅館1軒の小規模な集落。

真の意味
来春のダム貯水開始により水没する運命の村。住民は秋までに立ち退きを求められており、この夏が集落として過ごす最後の季節となる。
ダム(建設中) だむ 施設

バスで通過する巨大な工事現場。市村章が現場責任者を務めるロックヒルダム。来春から貯水開始予定で、集落の分断と消滅の象徴となっている。

本庄宅 ほんじょうたく 建物

英助爺さんの古農家。藁葺き屋根・縁側・五右衛門風呂・屋根裏部屋(旧養蚕室)が特徴。恭生の下宿先であり、山村留学以来の「もう一つの家」。

屋根裏部屋 やねうらべや 部屋

本庄宅の最上部にある旧養蚕室を改造した恭生の勉強部屋。英助爺さんが床を貼り替え、窓を直し、文机を置いて整えた。天井が低い。

戸田旅館 とだりょかん 建物

集落唯一の民宿。おばさんが女将として経営する。冬子が8月1日から滞在。浴衣の貸し出しもある。鍵もかけない不用心な構え。

小学校 しょうがっこう 建物

廃校間際の木造二階建て校舎。6教室。恭生たちが毎日穴を掘る場所として使われる。

真の意味
校庭に「埋めたもの」が眠る場所。台風夜には冬子と恭生の告白の場にもなり、裏①グッドエンドでは嵐の夜の小学校教室が二人の転換点となる。
河原 かわら 場所

集落脇の川沿いに広がる丸い石の河原。子供の頃の遊び場。恵がゴミ拾いをする場所でもある。

詳細
8月16日夜、恭生と恵の関係の決定的転換点となる場所。この夜が後のルート分岐に深く関わる。
弓道場 きゅうどうじょう 場所

貴理と有夏が練習に励む部活の拠点。貴理が選手として、有夏がマネージャーとして過ごす場所。

縁側 えんがわ 場所

本庄宅の象徴的空間。恭生が英助爺さんとお茶を飲み、有夏が訪れ、冬子と昼食を取る。川風が通り、集落での日常が凝縮される場所。

家系・集団
ダム反対派 だむはんたいは 集団

本庄家・和多田家・かつての小川家など集落古来の住民が中心。英助が最後まで粘ったが、行政・建設会社の前に敗北し、集落水没が決定した。

ダム推進派 だむすいしんは 集団

市村章・建設会社・行政が中心。集落の水没という結末をもたらした側。貴理の父・章が現場責任者として関わっており、市村家が集落で「余所者」扱いされる一因にもなった。

和多田家 わただけ 家系

ダム反対派の中心家系。英助と最後まで共闘した名家。恵と和典がその子供たち。本編では和典のキャラクターが独特の存在感を放つ。

倉林家 くらばやしけ 家系

有夏と和典の母子家庭。父を事故で亡くしており、集落の皆が父代わりとして関わってきた。英輝(原英輝)は別家系。

原家 はらけ 家系

恭生の集落の同郷友人・原英輝の家系。倉林家(有夏・和典)とは別家系であることが明記されている。

市村家 いちむらけ 家系

ダム技術者・章と娘・貴理の二人暮らし。外部からやってきたダム推進側として集落で長く「余所者」扱いを受け続けた家系。

小川家 おがわけ 家系

冬子の旧家。かつてダム反対派の一員だった集落の旧家。

詳細
父の不倫スキャンダルにより十数年前に集落を追われ、今は冬子だけが一時的に戻ってきている。かつての旧家の面影と、追われた側という複雑な立場が冬子の物語の背景をなしている。
弓道部 きゅうどうぶ 部活動

貴理が選手、有夏がマネージャーとして所属。秋の地方大会が貴理にとって現役最後の試合となる。

モチーフ・キーワード
探し物(埋めたもの) さがしもの・うめたもの モチーフ

子供の頃に貴理と一緒に小学校校庭に埋めたもの。恭生が集落を訪れる表向きの名目。

真の意味
表①グッドエンドでは「探し物の本当の正体は貴理自身だった」と恭生が気づく。一方、裏①グッドエンドでは「あれはそのまま、ダムの底に沈めておきますよ」と告げるシーンがあり、ルートによって意味が鮮やかに反転する、本作の中心モチーフ。
穴掘り あなほり 行為

恭生たち四人が校庭で毎日行う共同作業。「埋めたもの」を掘り出すための行為であり、夏の日常の中心となっている。

最初の夏 さいしょのなつ キーワード

集落にとっては「最後の夏」。水没を前にした別れの季節として語られる。

真の意味
表①グッドエンドのエピローグで貴理が恭生と結ばれて言い直す言葉。「(私たちにとっては)最初の夏」——集落が終わる夏を、二人の始まりの夏として読み替えるこのキーワードが、本作のタイトルの核心に触れる。
作中での使用
「最初の夏、だよね」(エピローグ最終)
余所者 よそもの 概念

集落古来の住人が外部者に貼るレッテル。章(外部のダム技術者)・貴理(その娘)・恭生(東京から来た男)がそれぞれ異なる形でこの境界線と向き合う。

ロックヒルダム ろっくひるだむ 構造物

コンクリート造ではなく、現場掘削の岩石を積み上げるダム形式。作中で章が説明する。集落の水没を決定づけた構造物。

アイテム・小道具
コーヒー こーひー 飲み物

章の好物で、貴理が父のために淹れ方を練習中。

台風夜での役割
台風夜に恭生へ振る舞われる重要な小道具。「恭生、本当はコーヒー嫌い?」という問いかけが、恭生の本音を引き出す契機となる。
弁当 べんとう 食物

貴理が子供の頃に恭生のために作っていた、白いご飯の上にキュウリとレタスだけが乗った弁当。

台風夜での役割
台風夜に「あの頃から、ずっと恭生に食べてほしくて」と語られる。酷い味でも食べ続けた恭生の記憶と、貴理の一途な想いを結ぶ伏線として機能する。
オープンカー おーぷんかー 乗物

冬子が都会から乗ってきた二人乗りの小型スポーツカー。冬子の都会人としての外装を象徴する。裏②のHシーン場所にもなる。

はっぴ はっぴ 衣装

夏祭りの運営側が着る、集落の名が染め抜かれた正装。英輝が着用。「集落の名前が染め抜かれたそれは、確かに僕も着てみたかった」と恭生が語る、余所者意識を映す小道具。

浴衣 ゆかた 衣装

8月9日の集落最後の夏祭りで全員が着用。貴理は白地に百合柄、冬子は緑のシックな浴衣で登場し、それぞれの個性を浮き彫りにする。

文机 ふみずくえ 小道具

屋根裏部屋に英助爺さんが置いた、恭生の受験勉強用の机。爺さんの気遣いが詰まった家具。

茶封筒(お小遣い) ちゃぶくろ 小道具

8月9日の夏祭り当日、英助爺さんから恭生へ渡される粋な心遣い。言葉ではなく茶封筒で示す英助の愛情表現。

ショーツ(貴理のもの) しょーつ 小道具

台風夜の告白の媒介となる衣類。「わたしのパンツ、あげるよ」という台詞とともに、貴理の決意と少女らしさが交差する印象的な場面で使われる。

コンドーム こんどーむ 小道具

冬子が都会の男には必ず使わせる、冬子の冷静さと大人の距離感を象徴する小道具。

サングラス さんぐらす 小道具

冬子のトレードマーク。都会人としての外装であり、集落の人間との距離感を保つための心理的な仕切り。

毛布(用務員室) もうふ 小道具

裏①グッドエンドの嵐の夜、小学校教室で恭生と冬子が使う毛布。台風の夜の親密さを象徴する。

キャンプ用ナイフ きゃんぷようないふ 小道具

夏祭りで和典が欲しがる小道具。少年らしさを象徴するアイテムとして描かれる。

枝豆 えだまめ 食物

英助が朝もぎる本庄宅の畑の産物。縁側での昼食として登場し、集落の農村的な日常を体現する。

おしるこ・かりんとう おしるこ・かりんとう 食物

英助の好物のお茶請け。縁側のお茶の時間を彩る、英助の人柄を示す細部。

五右衛門風呂 ごえもんぶろ 設備

本庄宅に備わる旧式の鋳鉄製風呂。木の蓋を踏んで入る昔ながらの設計で、集落の生活感を体現する。

出来事・制度
ファーストキス ふぁーすときす 出来事

恭生と貴理が子供の頃に小学校の教室で交わしたキス。二人の関係の原点。

詳細
台風夜のシーンで再確認される伏線。子供の頃の記憶として積み重ねられてきた感情が、この夜に言語化される。探し物・弁当とともに、恭生と貴理の「最初の夏」を構成するモチーフの一つ。
台風夜 たいふうよ 出来事

8月18日、台風が接近した夜。関係の決定的転換点となるシーン。

ルートによる差異
表①グッドエンドでは貴理の家が舞台となり、コーヒーと弁当の記憶を通じて二人が結ばれる。裏①グッドエンドでは嵐の小学校教室が舞台となり、冬子と恭生が向き合う。同じ夜が別の場所で別の結末へと分岐する、本作のルート構造の核心。
山村留学 さんそんりゅうがく 制度

市が主催した農村体験事業。恭生と英助宅・集落との縁の起源。この制度がなければ恭生が集落を訪れることもなかった。

地方大会 ちほうたいかい 大会

弓道部の秋(10月)の試合。貴理にとって現役最後の試合となる。8月4日の火傷によって出場が危ぶまれる緊張感が物語に加わる。

バス ばす 交通

1日4便・クーラーなし。集落と外部を結ぶ唯一の公共交通機関。その本数の少なさが集落の孤立した時間感覚を象徴する。