ネタバレゾーン — 僕と、僕らの夏
このゾーンにはネタバレが含まれます。
「最初の夏」という言葉の意味・恭生と貴理が結ばれる台風の夜・8月16日の河原での決裂・8月17日の教室での凄惨なバッドエンド・有夏の自己犠牲・貴理と有夏の百合的な関係・裏ルートで明かされる冬子の過去・校庭に埋めたものの正体・後日譚など、本作のすべてのネタバレを含みます。未プレイの方はまず作品トップページをご覧ください。
タイトルの「最初の夏」とはどういう意味か?
表①のグッドエンドで、台風の夜に貴理と結ばれた恭生が翌朝の別れ道で交わす言葉です。集落はダムに沈むため、誰もがこの夏を「最後の夏」と呼んでいます。それに対して二人が選んだのが「最初の夏」という言い方でした。終わってゆく集落を背景にしながら、これから始まる二人の関係の「最初の夏」だと言い換えることで、別離の物語を再生の物語へ反転させる、本作の主題そのものを表す台詞です。
恭生は最終的に誰と結ばれるのか?
表シナリオの本命グッドエンドでは幼なじみの市村貴理と結ばれます。台風の夜、貴理の家で謝罪と告白を経て初めて結ばれ、翌朝「最初の夏」を約束します。一方、表②は貴理視点で恭生を諦める結末、表③は恭生・貴理・有夏の三人が合意する関係に至ります。クリア後に解放される裏シナリオでは、相手は年上の小川冬子へと変わります。
校庭に埋めた「探し物」の正体は?
恭生と貴理が子供の頃に小学校の校庭に埋めたもので、ダムに沈む前に掘り起こそうというのが恭生がこの夏に集落へ戻った表向きの動機です。ただし作中で物体そのものより重視されるのは、それが「貴理に会いに来るための口実」だったという点です。裏ルートの嵐の小学校で冬子に「掘り出したいか」と問われた恭生は「もう、探す気はありません」「あれはそのまま、ダムの底に沈めておきますよ」と答え、過去の品ではなく目の前の相手を選ぶ姿勢を示します。
表①のバッドエンドはどんな結末か?
8月16日の夜、河原で恭生が衝動を抑えきれず貴理を強引に抱いてしまう場面です。「思い出より、貴理の方が大事」と口にしながらも自分の弱さに呑まれた行為で、傷ついた貴理は泣きながら拒絶します。ここで関係が決定的に決裂し、恭生は逃げるように帰京を決意しかけます。グッドエンドへ進むには、この後の友人・原英輝の説得と台風の夜の和解が必要になります。
8月17日の教室で起こるバッドエンドとは?
表③で特定の条件が積み重なったとき分岐する、本作で最も凄惨な結末です。8月17日の教室で恭生が有夏と結ばれてしまい、それを目撃した英輝が激昂して恭生を殴打します。「言い訳、しろよ」「バカ野郎」と泣きながら殴る英輝の姿で幕を閉じる救いのない場面で、条件を満たさなければ有夏が身を引いて回避されます。
有夏の自己犠牲とは何を指すのか?
8月17日の教室で、慕う先輩・貴理を泣かせないために、有夏が自分の身体を投げ出してでも恭生を引き留めようとする行動です。「先輩だけは泣かさないで」「あたしの身体なら、いくらだってあげるから」と訴える場面で、恋愛感情というより貴理への献身が動機になっています。条件によって恭生がこれを受け入れてしまうと8月17日の教室バッドエンドへ、拒絶すると貴理との和解への道が残ります。
貴理と有夏の百合的な関係はどう描かれるのか?
表②と表③で深まります。弓道部の選手とマネージャーという姉妹のような間柄だった二人が、恭生をめぐる夏を経て互いへの感情を見つめ直します。表②は貴理視点で恭生を諦めて有夏との関係を選ぶ結末に至り、表③では貴理が「好きよ、有夏」と受け入れ、エプロン姿で抱き合う場面まで描かれます。有夏の「先輩、愛してます」という告白がその到達点です。
裏ルートの冬子とは何者なのか?
かつてこの集落に住んでいた、恭生より二学年上の女性です。表シナリオをクリアすると解放される裏シナリオの主役で、いまは都会で行きずりの男を渡り歩く荒んだ暮らしを送っています。集落に戻ったのは「ここから何もかも消え去る」のを見届けるためでした。恭生の真っ直ぐさに触れるうち、一線を越えないと決めていたはずの関係に本気で惹かれていきます。物語の鍵を握る「真のヒロイン格」として評価される人物です。
冬子が集落を追われた理由は?
父親の不倫スキャンダルです。父の女遊びが集落中に知れ渡り、同い年の子供までもがそれを知っていたため、冬子は「お前もスケベな血」といった心ない扱いを受けて居場所を失い、家族とともに集落を離れました。この過去がダムに沈む故郷への複雑な感情と重なり、「ここから何もかも消え去ってほしい」という願いの源になっています。
裏ルートで冬子と恭生はどう結ばれるのか?
台風の夜の小学校で結ばれます。同じ夜、貴理は冬子と出会い「古積くんを、よろしくお願いします」と恭生を託します。冬子は宿を引き払い、公衆電話から恭生に学校で待つと告げ、嵐の小学校の教室で互いの想いを確かめ合います。恭生が「失恋を祝われているみたいだ」とこぼすのに対し、冬子は「新しいこれからを祝ってもらっていると思えばいい」と返す、別離と再生が同居する結末です。
表シナリオと裏シナリオはどの順で解放されるのか?
まず表シナリオ(恭生・貴理視点)を進めます。表①〜③など表側の各エンドをすべて見終えると裏シナリオ(冬子視点)が強制的に解放され、冬子の過去と現在が描かれます。さらに裏シナリオを完走すると後日譚が解放される構造で、視点が「僕(恭生)」から「僕ら(集落の人々)」へと広がっていく作りになっています。
後日譚はどんな内容か?
すべてを見終えた後に解放される、数年後を描く短編です。語り手は友人の原英輝で、完成したダムの式典の場が舞台になります。かつての集落が水の底に沈んだことを噛みしめる人々の中で、有夏の弟・和典が「なんで、ボクたちの場所に、こんなもの作るんだよ!」「こんなダム、絶対ぶっ壊してやるからな!」と叫び、本編の叙情を重い余韻へと裏返します。失われた故郷への怒りと哀しみを、子供の口を借りて突きつける後日譚です。