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ストーリー詳細 — CROSS†CHANNEL

本作は毎週日曜に世界が揺り戻るループ構造のADV。プレイヤーは群青学院放送部の七人が人類消失後の無人の世界に閉じ込められる状況から出発し、送還を繰り返す太一の物語を追う。各ルートを通過するたびにループの深部へと進み、最終的にタペタムの正体と母の記憶が開示される。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

このページはクロスチャンネルの全内容のネタバレを含みます。
タペタムの正体・七香が太一の実母であること・新川家殺傷事件の全容・各ヒロインの送還過程・真エンドの永遠の放送者エンドまで、すべてのネタバレを含みます。未プレイの方は作品トップページからご覧ください。

LOOP1 — プロローグ・放送開局 LOOP1

合宿を終えた群青学院放送部の七人が上見坂市の街へ戻るところから物語は始まる。主人公黒須太一は、下山の途中で自転車の少女七香と出会う。七香は初対面であるにもかかわらず、太一の名前をはじめから知っていた。

放送部の七人体制:主人公・黒須太一を中心に、島友貴宮澄見里桐原冬子佐倉霧山辺美希桜庭浩が合宿から戻った後、群青学院の放送部として活動を再開する。誰もが何かを欠いたまま群青学院に集まった少年少女たちだった。

七香との遭遇:下山の途中、太一は白い自転車に乗った少女七香と出会う。初対面のはずの七香は太一の名前を当然のように口にした。この一点が、物語全体を貫く最初の違和感として積み重なっていく。

CROSS†CHANNELの命名:屋上で、友貴が放送局の名前に「CROSS」を提案する。そこに桜庭が「†」の文字を加えた。こうして「CROSS†CHANNEL」という名が生まれ、太一の第一声——「こちら、群青学院放送部」——と共に放送が始まった。

「こちら、群青学院放送部。」
— 太一、CROSS†CHANNELの開局第一声

地の文に刻まれた「すがりついて生きていく」という一節が、本作の主題を先取りするように響く。太一にとって放送部への所属は、変性意識を抱えながらも人と繋がろうとする、最後の綱だった。

LOOP2 — 人類消失と滅亡の街 LOOP2

合宿から下山した七人が街に入ると、人の気配がまったくない。電気は止まり、虫の声さえ聞こえない。「人類は滅亡していた」——この単純な宣告の前に、七人は立ち尽くす。

無人の世界:街には食料も物資も手付かずのまま残されているが、人間の姿は一人もない。七人以外の人類がなぜ消滅したのか、その理由はゲーム中で直接は語られない。七人が「残された」という事実だけがある。

ループの発覚:数日が過ぎると、毎週日曜の深夜に「揺り戻る」現象が起きることに気づく。一定の記憶を保ったまま、同じ週が繰り返される。これがループの全容だった。脱出の手がかりは、山中のにある。

七人の日常:終わらない週の中で、七人はそれぞれの形で「日常」を続ける。食事を作り、ラジオを流し、笑い、眠る。無人の街で続く生活は、外から見れば奇妙だが、七人の内側では確かな温かさを持っていた。それがやがて壊れていくことを、太一は知っている。

太一は、自分の適応係数が高すぎるがゆえに、自分だけが祠のゲートを「観測」できることを徐々に理解していく。仲間を一人ずつ送還することで、ループを終わらせることができる——だが、送還した者は二度と戻らない。

見里ルート ROUTE

宮澄見里 — メガネと依頼と、取り残される者

宮澄見里は放送部に太一を引き入れた張本人だった。太一は見里に直接詰め寄る——「適応係数が高すぎる俺を、なぜ部に引き入れた」と。

太一と見里の対峙:太一が見里のメガネに手をかけようとすると、見里は小さく抵抗する。「外さないで……見えなくなるの、いやです」——その一言が、見里という人間の輪郭を縁取る。弱さを隠すためにメガネをかけているのではなく、世界をちゃんと見たいから、メガネが必要だった。

関係の深化と送還:二人は性的な関係を結ぶ。しかしループの中で太一が選べる行動は一つだ。太一は見里を母方の家へと送還する。祠のゲートを通して「向こう側」へ消える見里の背中を、太一は見送る。

「外さないで……見えなくなるの、いやです。」
— 宮澄見里

送還は「救い」として行われる。だが太一はそれが自分の痛みでもあることを知っている。仲間を向こう側に還すたびに、この世界での孤独は深くなっていく。

冬子ルート ROUTE

桐原冬子 — 依存と崩壊の重さ

桐原冬子適応係数46という数値が示す通り、脆く、すぐに揺れる。ループの閉鎖空間は、彼女の依存をより濃くする。

依存の露呈:無人の世界での生活の中で、冬子の太一への依存は隠しようのない形で現れる。ループが繰り返されるほどに、「ここから出たくない」という気持ちと「出なければいけない」という現実の間で、冬子は引き裂かれていく。

「ばかっ……ばか太一。」
— 冬子

送還:太一は冬子を屋敷へ送還する。感情を言葉にできない冬子の怒りと寂しさが入り混じった叫びを背に受けながら、太一はゲートを閉じる。

LOOP3 — 太一の出自開示 LOOP3

「最古の記憶は」——この一節から始まる回想が、LOOP3の核心だ。太一の過去、新川家での「お人形さん時代」、そして一心同体の誓いが結ばれ、壊れた夜の記録。

新川家のお人形さん:孤児だった太一は新川という富豪の家に引き取られ、「一姫」という少女の名前を与えられて女装させられ、家人の慰みものとして扱われた。太一はその状況を「人形」として受け入れた。感情を切り離し、自分が何者かを問わない——それが変性意識の始まりだったかもしれない。

曜子との出会いと「一心同体」の誓い:新川家には同じく「人形」として囚われていた少女がいた。後の支倉曜子だ。太一と曜子は互いを支えとして、「わたしは太一、太一はわたし」という一心同体の誓いを交わした。

「わたしは太一、太一はわたし。」
— 幼い曜子と太一が交わした誓い

復讐の実行と絆の崩壊:曜子が口にした新川家への復讐——しかし実行したのは太一一人だった。11歳頃、太一は罠と炎と刃物を使い、新川家の人々を一人残らず殺害した。返り血を浴びた太一が曜子の前に立った瞬間、曜子は本能的な恐怖を示した。「わたしは太一」と誓った曜子が、太一を怖れた。その瞬間に、二人の絆は崩れた。

睦美への引き取りと、癒えない傷:事件の後、太一は睦美という女性に引き取られ、人間らしい生活を学び直した。食事をし、言葉を交わし、笑う——そういった当たり前のことを、太一は睦美の元で少しずつ取り戻した。しかし変性意識は治らなかった。太一はずっと、自分が「人」であることを信じることができないままだった。

霧・美希ルート(FLOWERS) ROUTE

FLOWERS — 霧と美希、二人一対の送還

FLOWERS——霧と美希は二人一対のコンビとして放送部に在籍している。ループの中での彼女たちの日々が描かれ、それぞれの送還へと至る。

霧の退学と社会復帰:はループの中で群青学院を「退学」するという形での送還が描かれる。社会に戻ることは、霧にとって群青学院という閉じた世界から出ることを意味する。霧の送還は「元の世界に戻す」というより、「霧が生きるべき場所に還す」という色合いを持つ。

美希との海の日々:山辺美希の送還の前には、太一と二人きりで過ごした日が積み重なる。海でのデート、カップ麺を食べた夜、太一の家での初めての夜——美希が「赤ちゃん……できた……です……」と呟いた瞬間は、ループの中でもっとも穏やかで、もっとも残酷な一点だ。

「赤ちゃん……できた……です……」
— 美希

美希の送還:祠でのゲートを前にして、美希は引き留めようとした。「やだ!」——その声は、ゲートが閉まるまで続いた。太一はそれでも手を離す。離すことが、送還であるから。

桜庭ルート ROUTE

桜庭浩 — 親友という言葉の重さ

桜庭浩との別れは、恋愛の形ではなく友情の形で訪れる。「俺たちは親友じゃないか」——その言葉が刺さるからこそ、太一は送還を選ぶ。

桜庭との対峙:桜庭は放送局名に「†」を加えた男だ。太一とは別の形で外側にいながら、それでも確かに繋がっていた。「俺たちは親友じゃないか」という言葉が出るとき、太一は答えを返さない。答えではなく、行動で返す。

送還:太一は祠から桜庭を送還する。男同士の関係に余計な言葉は要らない——という省略の中に、逆説的に多くが詰まっている。

LOOP4以降 — 送還の連続と孤独の深化 LOOP4+

ルートを重ねるごとに、太一の周囲から仲間の数が減っていく。送還は完了し続け、世界に残るのは太一と、最後に残った曜子だけとなる。

各ルートでの送還が積み重なり、最終的に太一は一人でループの世界に立つ。マイオトロン(静音性のスタンガン)を手にした太一は、残された最後の相手——支倉曜子——との対決を前にしている。

この段階で太一がわかっていること:六人を送還した。世界には曜子と自分だけが残っている。曜子を送還すれば、自分は一人きりになる。そして太一には、この「閉じた世界」から自分自身が出る手段がない。

曜子ルート — 最終対決 ROUTE

支倉曜子 — 一心同体の崩壊と、真実の全告白

支倉曜子は、太一の過去の全てを知る唯一の人物だ。二人の「最終対決」は、戦闘ではなく告白の場として訪れる。

マイオトロンによる奇襲の失敗:太一はマイオトロンで曜子を奇襲しようとするが、失敗する。逆に曜子に捕まり、一週間の監禁が始まる。

一週間の監禁と水曜の「拷問」:監禁された太一に対して、曜子は水曜日に口腔愛撫による「拷問」を行う。これは暴力でも愛でもなく、曜子が太一を支配できるという証明であり、かつて「わたしは太一」と誓った絆の歪んだ残滓だった。

太一の全告白:日曜、ループが揺り戻るその日、太一はすべてを話す。

「全員、俺が殺した。」
— 太一、新川家殺傷事件の告白

新川家の人々を殺したのは自分だと。曜子が口にした復讐を、曜子の代わりに一人で実行したのは自分だと。そして——

「君はあの日、ただの一人も殺していないんだからね。」
— 太一、曜子に向けて

この言葉が曜子に届くまでに、二人は何年もかかった。

「人は皆、ね。死ぬまで、一人でいるんだよ。」
— 太一

曜子の崩壊:真実を受け取った曜子の精神は壊れる。「胸、痛いんだ……失恋って……知らなかった……」——曜子が抱えていたのは、太一への憎悪ではなく、ずっと消えなかった何かだった。その何かに名前をつけるとしたら、失恋という言葉しかない。

「胸、痛いんだ……失恋って……知らなかった……」
— 支倉曜子

曜子の送還と、七香の正体への言及:太一は曜子を送還する。そして祠の前で、太一は一言だけ呟く——「うん……ありがとう、母さん」。七香に向けて。それが、太一が七香の正体を初めて言語化した瞬間だった。

エピローグ — 向こう側からの受信

送還された六人は、それぞれの場所でラジオの電源を入れる。周波数を合わせると、太一の声が届く。

向こう側に戻った六人:友貴見里は母方の家で「あの子です……」と二人で何かを確認するように呟く。冬子は屋敷の一室で「会いたいよ……太一……ばか」と号泣する。美希はアイスを食べながら、穏やかに話す。

「先輩は、望んでたんだと思う。一人になることを。」
— 霧(美希との会話)

太一への心の声:屋上で眠る太一を囲む声が聞こえる——「ご機嫌よう」「さやうなら」「ばいばい」。それは声ではなく、送還された者たちが向こう側から届ける心の波紋だ。太一には聞こえない。それでも太一は眠り続け、来週もまた放送を続ける。

真エンド — タペタムの解明と永遠の放送者 TRUE END

「X週目」と呼ばれる最終ループ。「最古の記憶は」が三度繰り返され、太一は狂気の渦の中で真実へと辿り着く。

狂気の独白とフェンスの縁:真エンドでは太一の意識は限界まで追い詰められる。屋上のフェンスを破壊し、落下寸前まで追い詰められた太一は、それでも踏みとどまる。

タペタムの正体判明:タペタムの正体がここで開示される。乳幼児期に、暗闇の中で母・七香に長時間抱かれ続けたことで形成された眼の異常な反射層——猫科の動物が持つ輝膜(タペタム・ルシダム)と同じ仕組みが、太一の眼に生まれていた。それが太一だけが祠のゲートを「観測」できる物理的な根拠だった。

七香の真相:七香は太一の実母だった。若くして太一を産み、出産の直後に死亡していた。太一の傍らに繰り返し現れていた七香は、太一の潜在意識が作り上げた母の幻だった。実体を持つ存在ではなかった。

「ごめんね……それだけしか残してあげられなくて……」
— 七香(出産時の言葉、太一の記憶の中で)

七香が太一に残せたのは、タペタムだけだった。暗闇の中で長時間抱き続けたことによって形成された、眼の反射層。それが太一に与えられた、母から子への唯一の贈り物だった。

「俺は人なんだ」:タペタムの正体を理解した太一は、初めて自分の口から言葉を出す——「俺は人なんだ」。変性意識の中に長く沈んでいた太一が、自分が人間であることを、初めて認識した瞬間。

ゲートの消滅と絶叫:のゲートが消滅する。送還の手段が失われた——太一はもうここから出ることができない。その事実の前で、太一は空に向かって叫ぶ。

「うわああああああああああああああああ!!」
— ゲート消滅後、太一の空への絶叫

「ざまあみろ」:絶叫の後、太一の口から出てくる言葉は呪詛ではなかった。

「ざまあみろ、だ。」「トゥルー俺、ざまあみろ。」
— 太一

この言葉は、太一が自分の運命を嘲笑しているのではなく、ずっと「人間ではない何か」として存在してきた自分に対して、「人間として終われた」という勝利宣言だ。

永遠の放送者:ゲートを失い、誰もいない世界に一人取り残された太一は、放送機材の前に座る。マイクのスイッチを入れ、言葉を発する。

「生きている人、いますか?」
— 太一、最後の放送

応える者は誰もいない。それでも太一は放送し続ける。来週も、再来週も、いくつもの週を越えて——「また来週」と告げるために。

「いくつもの週を越えて。また来週と告げるために。」
— 最終モノローグ

誰もいない世界で、太一は永遠に放送し続ける。「すがりついて生きていく」と冒頭に刻まれていた言葉は、ここで完成する。太一がすがりつく相手は、もういない。それでも太一は生きている。