用語集 — DESIRE完全版
《デザイア》の世界観・装置・思想を構成する用語の詳解。各エントリには序盤の意味と真相を併記し、核心的な真相部分はアコーディオンに格納している。
場所・施設
グランチェスタ財団が南海の孤島を改造して建造した秘密研究施設。本作の舞台。全長約2kmの島に124人の職員が勤務する。研究所・飛行場・メディカルセンター・宿舎の4区画から成り、デュプレクスシステム制御。タイトル「DESIRE(欲望)」は、ここで研究者たちが追求する欲望(知的探求心・人類進化・延命・愛)の総称。
《デザイア》を運営する巨大民間財団。世界屈指のデータバンクを保有。表向きは生体工学・反応装置研究の支援者だが、本心ではマルチナの研究をB兵器(生物兵器)応用へ進めることを目論んでいる。カズミは財団系の工作員。財団会長は直接登場せず、A篇終盤エピローグで謝礼の差出人として言及されるのみ。
アルが所属する新聞社。《デザイア》初の取材権を獲得した報道機関。A篇エピローグでアルはSNTを退社しフリー記者としてティーナ捜索の旅に出る。
ドクター・ゲーツが責任者を務める医療施設。エレナが医療助手として勤務。表向きは職員の医療を担うが、真相ではゲーツの「人間の究極進化」研究の隠れた拠点。エレナの「40歳超でも若い肉体」を保つ若返り処置もここで行われていたと示唆される。デュプレクスシステムの3つの制御拠点の1つ。
飛行場の主・予備格納庫と離発着帯。第1格納庫はシルビアが管理しハイパーカーボン製、彼女が寝泊まりする自宅同然の場所。第1格納庫はA篇終盤で爆破事件発生の現場。第2格納庫はA篇終盤以降アル・シルビアが避難する場所で、クライマックス前の静けさの場。
アルがティーナを発見・保護する海岸。「私はティーナ」と少女が名乗る場面の舞台。
本作のループ起点となる聖地。C篇終盤の「私はティーナ‥‥‥‥‥‥」と目覚める場面とA篇序盤の発見場面が完全同一であり、永遠ループの収束点にして再開地点。
装置・技術
物語核心の研究設備。停止したT粒子に加速度ベクトルを加え、波長の極めて短い電磁波に似たエネルギーを取得する装置。マルチナが発明・実用化。表向きは新エネルギー源の探索。研究室正面の球体ドームが本体。
財団はB兵器応用を目論み、ゲーツは人類進化の道具として使おうとし、マルチナ自身はループ全体を成立させるために起動する。マルチナの主観計画はティーナをアルへの想いと共に装置に通し、装置の異常出力を経て異国の地(過去世界)へ送り、再び《デザイア》へ戻ってくる流れを継続させること——同時にマルチナ自身も装置に巻き込まれて若返り、数日前の浜辺へ送られて物語冒頭のティーナとなる。各勢力の思惑が交錯する装置。
反応装置の動力源となる素粒子。停止状態の素粒子に加速度ベクトルを加えることでエネルギーを取得する。マルチナの説明「停止したT粒子にある一定の加速度ベクトルを加え、そこから放射される、波長の極めて短い電磁波に似たエネルギーを取得する装置」。
装置暴走時に発生する物理現象。空間位相がずれることで時空越えが起こる機序。マルチナの真の目的は「ティーナを直接過去へ送ること」ではなく、ループ全体を成立させること——ティーナとアルを異次元《デザイア》へ転送し、外的介入(グスタフの撃墜)を経てティーナが過去世界へ漂着する流れを継続させること。同時にマルチナ自身も装置に巻き込まれて若返り、数日前の浜辺へ送られて物語冒頭の「浜辺のティーナ」となる。ゲーツの人類進化研究・エレナの実行犯行為が重なって空間位相の大規模ずれが発生し、マコト&シェリルの装置収束作業で爆発は回避されるが、転送そのものは成立する。
生物兵器(バイオウェポン)。マルチナの開発理論はテオドラ研究所時代から「B兵器応用」へと進められてきた。財団がマルチナの研究を支援する真の動機の一つで、「テオドラの頃から、私の開発理論はB兵器応用へと進められてきた」(マルチナ)と告白される。
多重冗長制御系。「ここと、シルビアのいる1番格納庫と、メディカルセンターが同時に異状事態に陥らない限り、どこからでも制御可能」(レイコ)。終盤この「3地点同時異常事態」が現実化し、システム限界がクライマックスの危機を演出する。
マルチナがマコトに託したお守りに隠されたデータ媒体(装置制御の暗号鍵)。B篇終盤のクライマックスでマコト&シェリルが装置収束を成功させる鍵。お守りはマルチナとマコトの信頼関係の象徴であり、マルチナがマコトを研究の継承者として選んでいた布石でもある。
B篇終盤でエレナがマコトに託す装置真相を記録した記憶媒体。ゲーツの「人類進化研究」の証拠データ。エレナは最終局面でゲーツの真の意図に疑問を抱き、マコトに本物のデータディスクを託す——若返り・進化研究の証拠を未来へ残すため。
A篇終盤で装置事故からアルが目覚めた直後に語られる、現実時間とは一致しない6年分の記憶。「誰もいない《デザイア》で、ティーナと一緒に、6年も‥‥」と語る通り、外部から見れば事故直後の数分でもアルの中には実時間6年分の体験が刻まれている。マコトは「気が触れたのか」と錯乱として処理するが、C篇真相により、これはアルとティーナが装置作用で異次元《デザイア》に転送され、そこで実時間6年を共に過ごしてきた結果であることが示される。
人物・固有名詞
序盤での意味:マルチナの公式肩書き表記。レイコの履歴に「マルチナ・T・ステラドヴィッチ教授」と書かれる。Tの意味は曖昧化され、読者は「ミドルネーム不明」として読み流すよう誘導される。
真相:「T」=「ティーナ」の頭文字。
思想・テーマ概念
「環境と人類の融合」はマルチナが取材で言及するグスタフの代表論文。生体兵器(B兵器)開発を表向きの動機としつつ、奥にある思想として登場する。
これがドクター・ゲーツ(=グスタフ)が追求する核心思想に発展。「ドクターは、あれこそが人間本来あるべき姿だとおっしゃっていたわ。あれこそが進化した究極の人間なのだと」(エレナ)。エレナは40歳超でも若い肉体を保つ生きた実験成果。本心ではこの思想を企てていた。
マコトの自己分析的キーワード。「凄いエゴイストかも」と独白し、「フフ、知的探求心というのは、究極のエゴイズムかもしれないわね」と自省する。物語全体に渡る通底テーマで、マコトの研究欲・マルチナのアル再会欲望・ゲーツの人類進化欲・エレナの若返り欲望——すべてが「DESIRE(欲望)」というタイトルに収斂する本作の核概念。
マルチナが終章でティーナに告げる、自身の運命を表す語。「永遠ともいえる時間の呪縛を逃れるため‥‥‥‥次元の壁を越えて、アルに出会うために‥‥‥‥」。彼女がループを完遂させる(ティーナをアルと異次元へ送り、自身も若返って浜辺へ戻る)行為の動機にして、本作のCorrupt Spiralの本質を一言で表す概念。
マルチナがティーナに告げる時空越えの境界。「次元の壁を越えて、アルに出会うために」。空間位相のずれが生じる際にティーナとアルが越えて異次元《デザイア》へ転送される境界であり、マルチナ自身も装置作用で越えて過去の浜辺へ送られる。SF設定としての厳密な定義は本作では与えられず、「アルへの再会」という物語的動機に従属する概念として機能する。
本作のサブタイトル「背徳の螺旋」に対応する英語表記「Corrupt Spiral」。主題詩で繰り返される「悠久の螺旋」の異称。
終盤判明する真の意味はマルチナ=ティーナの永遠時空ループそのもので、「to be continued ... forever」の永遠継続を表す本作の物語構造の核。マコトの繰り返される性的隷属の螺旋、と二重の意味で回収される。
主要事件
A篇終盤で発生する大爆発。カズミが画策(生体兵器開発阻止が動機)するも自身も瀕死の重傷を負う。アルに濡れ衣がかけられ容疑者扱いされる。シルビアと共に第2格納庫へ逃げ込む契機となるA篇クライマックス前の重要事件。
A篇中盤でカズミがクリスを殺害したと示唆される事件。クリスはエレナ&ゲーツの実験協力者・薬物使用者で、財団スパイとしてのカズミがゲーツ計画阻止のため抹殺。A篇中盤の展開を急加速させる引き金。
A篇中盤で装置事故装い処理されるレイコの死。マコトを精神的に追い詰める中盤の最大の打撃。
実行犯はエレナでゲーツの指示。「レイコの調査をやめさせなさい」(エレナ→マコト)と、マコトに薬物的脅迫を伴う警告として機能する。
B篇冒頭の日付字幕「D/199×−06−01 研究職員ジョアン・ロイド、事故のため死亡‥‥」で報告される事件。マコト篇の発端で「この装置は危険すぎます!」(マコト)の根拠。
後にゲーツの「進化した究極の人間」実験の犠牲者の一人であったことが示唆される。
B篇中盤の日付字幕「7月30日《デザイア》放棄」で発令される施設放棄命令。装置暴走直前に職員大半が脱出。施設として放棄された後にも装置の暴走と真相劇が繰り広げられる構造的舞台装置。
A篇冒頭機内シーンでアルが新聞報道で目にする《デザイア》方面の謎の輸送機消失。「テロの可能性もあり、か‥‥」(アル)。作中では明確な真相解明はないが、空間位相のずれによる時空越え(=反応装置の異常出力の前兆)の可能性が暗示される伏線として機能する。
公式発表:マルチナの娘ティーナ・夫グスタフが死亡したとされる過去の研究事故。「教授の娘ティーナは、テオドラ研究所事故の際、父親のステラドヴィッチと一緒に死んでいる」(アル)。
真相:公式発表「夫グスタフ・娘ティーナ共に死亡」のうち、娘ティーナの死亡は事実(公式データ:身長145cm/体重35kg)。ただし夫グスタフは偽装死で生存しており、後にゲーツとして《デザイア》に潜伏、A篇終盤で瀕死再登場・C篇終盤で正体露見する。マルチナはループ構造の中で過去世界に飛ばされた後、グスタフと結婚し娘ティーナを出産・自分のミドルネーム「ティーナ」を娘に命名した経緯があり、その娘がこの事故で実死亡している。本作開始時に浜辺で発見される「ティーナ」は、ループによって戻ってきたマルチナ自身(装置で約30年若返った姿)であり、実死した娘とは別人物。
おまけ・システム
タイトルメニューのおまけコーナー。「LADY’S ROOM」はCG鑑賞モード。「C’s ROOM」はシェリルがナビゲーターを務め、突撃インタビュー(マコト・シルビア・ティーナ・カズミ・アル)/DESIREクイズ/開発スタッフコーナー(梅本・剣乃・野口・やさまた・居塚・奥村)を収録。「C」はC's wareの社名にも掛けてある。
突撃インタビュー(抜粋)
シェリルが各キャラに「アルが用意した台本」で攻めるコーナー。本編では絶対出ないノリで進行する。
マコト:
「シーズは、浣腸にこだわっているというご指摘が、幾つかのお便りの中にあったようです。その辺はいかがでしょう?」
「そうね、まさか私がやることになるとは、思わなかったわ‥‥」
——本編のシリアスを完全に放棄したマコトのコメント。
シルビア:
「そのガサツな性格は、先天的なものですか?」
「な、なんだよ、その質問は!」
——シェリルとの胸サイズ口論に発展、最終的に伏字(****)の応酬で打ち切り。
ティーナ:
「アルバートさんとの6年間、幸せでしたか?」
「えぇ、とっても‥‥とっても素敵だった。」
「私はずっとアルに出会うことができるの。これはこれで、1つの幸せなのかもしれないわ。」
——おまけコーナーの中で唯一しんみり。本編のループ構造を哲学的に肯定するティーナの独白として読めるため、おまけ越しに本編へ反響する。
カズミ:
「カズミさんが、ご自分の部屋に招いた初めての男性、に関してです。」
「父親よ。」
——徹底的に質問をかわす冷血カズミ節。シェリルが冷や汗をかきながら退散する。
アル:
「よしよし、よくがんばったぞ、シェリル。」
——インタビュー直前にシェリルにキスを迫り、シルビアとカズミに見つかって窓から逃走。シェリルの独り相撲で終了。
DESIREクイズ
アンケート葉書での懸賞付きクイズ。当時のパッケージソフトならではの企画。
- 第1問:本作BGMのいくつかに作曲者・梅本竜が埋め込んだ文字列/メッセージがある。曲名と内容を答えよ。
→ ヒントはモールス信号、と梅本本人がスタッフコーナーで明かす。 - 第2問:呈示画像に隠された単語を5秒で読み取れ。
- 正解者には設定資料集および原画を進呈。
開発スタッフコーナー(抜粋)
スタッフ6名のうち、姿は出ずテキストのみ登場。本編とは無関係な楽屋話。
剣乃ゆきひろ(企画・脚本):
「僕はオッパイが好きなのではなく、オッパイが付いた女性が好きなのです。マニュアルを謹んで訂正させて戴きます。」
梅本竜(音楽):
「ヒントはモールス信号になっています。よろしく。」
「いえ、多分正解者はいないでしょう。フッフッフ。」
居塚(CG):
「次回作も買ってね。買わないと、○にかわってお仕置きよ!」
——某セーラー服戦士のパロディで締め。
奥村(CG):
「私はホモじゃありません。一応、女です。」
——他は野口・やさまたが野球ネタ・画集告知などで登場。
※ 上記はあくまで抜粋。実物は各キャラ・スタッフごとにさらに長尺のやり取りが収録されている。本編とは無関係なメタ・楽屋ノリのコーナーとして位置づけられているが、ティーナの「ずっとアルに出会うことができるの」発言だけは本編ループ構造への裏側からの肯定として機能している。