チエのレビュー — EVE burst error

チエ
チエ
笑い担当
7.5/10
7.5 / 10

プリンがおもろすぎて、シリアスも引っ張られた。

コメディが主軸の作品やないのはわかってる。1995年のハードボイルドスパイスリラーで、テーマは謀略と国際陰謀やねん。でも——プリシア=クライム、通称プリンっていう金髪の女の子が居候するとこから始まるコメディ面が笑えてなあ。キャラが立ってる時はコメディ密度が薄くても引っ張れるっていう実例やと思う。テンポも悪くなかった。7.5はそういう評点。

スコア詳細

コメディ・日常 7
テンポ・緩急 8
キャラ間の関係性 8
ヒロインの魅力 8
序盤の掴み 8
Hシーンの質 6

プリンっていう金髪ちびっ子が、うちをこのゲームに引き込んだ話

笑いで評価するうちからしたら、EVEってどう向き合えばええか最初わからんかった。

1995年にC's Wareが出した作品やねん。主人公が二人いる——倉庫街に事務所を構える私立探偵・天城小次郎と、警察庁の一級捜査官・法条まりな。この二人の視点を、プレイヤーが任意に切り替えながら進む「マルチサイトシステム」っていう仕組みが売りの作品やねん。

スパイスリラーって書いてあって、実際そういう雰囲気はほんまにある。国際謀略、暗殺者、架空の国家、陰謀——笑えるとこどこやねんって話なんやけど。あったんですよ、これが。序盤からずっと、うちはあるキャラのせいで笑い続けてた。

プリン——このキャラを「おいしく使う」って、こういうことやん

プリシア=クライムというキャラがいてな。

プリシア——小次郎が序盤に倉庫街で拾ってくるっていう、なんで探偵が拾うんていう経緯で事務所に居候することになる金髪の外国人少女やねん。小次郎が「プリン」って呼び出して、それがそのまま通称になる。

このプリン、プレイ始めてすぐ「あ、このキャラおもろいわ」ってなった。入浴中の小次郎の部屋にドア開けて入ってきてな。「お背中をお流し致しますわっ」。ためらいなし。出身がイスラム文化圏の国やから混浴はダメなはずやんって小次郎がツッコむと、「でも日本ではいい習慣なのですよね?」って真顔で返してくる。

あの「習慣なのですよね」のひとことで全部持ってった。そのあとの小次郎のパニックも含めて、間の取り方が気持ちよかった。めっちゃわろた。

プリンは小次郎の事務所に「ご飯になさいますか、それともお風呂に?」って新婚みたいなノリで居候してるんやけど、本人は大真面目やねん。イスラム戒律と日本の文化の認識のズレを、ひとつひとつボケとして使ってくる。小次郎がツッコミ役。小次郎って基本的には渋いハードボイルド探偵やのに、プリンと喋ってるとこだけノリが変わる。そのギャップが笑えるし、どっちの顔もキャラとして機能してる。

キャラが「おいしい」ってこういうことやと思う。プリン一人でこの作品のコメディが成立してる。

小次郎のぼやきと、まりな側の笑えるとこ

小次郎の語り口もテンポの良さに貢献してる。

「景気が悪い」って最初からぼやいてる探偵なんやけど、そのぼやきのリズムが気持ちええねん。長々と状況説明するんやなくて、短い独白でぱっと切って次に行く。そのテンポが読んでて疲れない。

まりな側にも笑えるとこがあった。本部長という、まりなの上司がいてな。おちゃらけた口調で絡んでくるんやけど、あの二人のやり取りがちゃんと笑えた。まりなが真面目に返せば返すほど本部長がズレた反応するっていうパターン、安定しておもろかった。

それから。小次郎の幼馴染で、仕事の紹介のたびに50万円要求してくる女なんやけど。友達なんか詐欺師なんかって感じで、小次郎がそれでも絡み続けるのが更に笑える。茜はキャラとして「おいしく」使われてた。

マルチサイトシステムについて——A系(小次郎視点)とB系(まりな視点)を切り替えながら進めるんやけど、この切り替えのリズムが全体のテンポとして機能してた。コメディ的な「間」とはちょっとちゃうけど、読み進める動力になってた。テンポ8はそういう評点。

語彙が足りんけど、後半は重かった

正直に言うと、うちはシリアス部分を語るのは得意やない。

EVEって後半になるにつれてがっつりシリアスになってくるねん。謀略が動いて、人が死んで、複雑な家族関係が絡んで——「おもろいかどうか」の軸で語るのが難しかった。笑えるかどうかとは別の次元の話やから。

ただ、プリンが序盤のコメディパートから中盤以降でどんな立ち位置になっていくか——そこだけは、コメディで引き込まれたキャラが真剣な顔するシーンとして刺さった。笑わせてたキャラが重い顔してるとこ、なんか反則感ある。でもいい話やった。

シリアス部分の詳細はネタバレ版で話すわ。ネタバレなしでは「後半は重かったけど、ちゃんと着地した」くらいしか言えへん。

Hシーンは4件——キャラのリアクションはまあ正解やった

18禁やからHシーンもある。

全部読んだ。うちの評価軸はキャラのリアクションがそのキャラらしいかどうかやねん。詳細はネタバレ版に回すけど、キャラが一貫してた場面は良かった。実用性も普通にあったし、変に浮いてる感じもなかった。ただ、4件という量自体は多くも少なくもないかな——という感じ。

7.5——また読みたいと思えた

正直に言うと、EVEは「コメディが強い作品」ではない。

でも7.5。笑えた時の質が高かったんやわ。プリン×小次郎の掛け合いがほんまに良くて、キャラが立ってる時の笑いって量より質やと改めて思った。あのキャラが事務所にいる間はずっとテンポが良かった。

シリアスが強くなるにつれてうちの語彙は足りへんくなってくるけど、それでも読み切れた。1995年の作品やけど、プリンはいまでも笑えるキャラやと思う——作った人わかってるやん。

また読みたいと思えたか。まあ、思えた。プリンがいる間はずっと楽しかったし。

「プリンがおもろすぎて、シリアスも引っ張られた。」

— チエ