プリンがおもろすぎて、シリアスも引っ張られた。
ネタバレあり版では、プリン乱入Hシーンの件、本部長との人質ジョーク、それから真弥子のラストについて話すで。笑えたとこと笑えなかったとこ、両方ちゃんと書いた。
スコア詳細
コメディのピーク——プリン、Hシーンに乱入する
ネタバレ版やから言える。
この作品で一番笑えたのは、船上でのHシーンにある。小次郎と弥生——弥生は小次郎の元恋人で、桂木探偵事務所の所長やねん——のHシーン中に、プリン(プリシア)が乱入してくるんやわ。
プリシア、状況を把握して去っていく。それだけなんやけど、あの「入ってきて、見て、去る」の間が絶妙でめっちゃわろた。しかも本人はあまり動じてない。イスラム文化圏の国の女王(後でわかる話やけど)が、日本の民間探偵の船のプールサイドでこういう状況になるの——「なんでやねん」が止まらなかった。
プリンが絡む場面はこういう笑いの流れがある。キャラのリアクションがキャラ通りで一貫してる。入浴乱入から始まってHシーン乱入まで、プリンというキャラが崩れない。それがおもろさの根拠やと思う。
本部長——まりな側のコメディ担当
まりなの上司・本部長(甲野)はちゃんとおもろかった。
まりなが本部に呼ばれて尋問みたいな状況になるシーンがあるんやけど——「俺が人質みたいやな」みたいなノリのことを言い出してな。真剣な局面でそのズレ方がおもろい。まりながつきあいきれん顔で返す、っていうパターンがこのキャラと安定してる。
おちゃらけた口調やけど判断は慎重、って設定がちゃんとキャラ行動に出てて、単なるギャグキャラになってないのが良かった。ちゃんと機能してる笑いやから評価できる。
Hシーン4件——コメディ文脈ありとなし
全部読んだ上での話やで。
4件のHシーンは、小次郎サイドが2件(シリア、弥生)、まりなサイドが1件(桂木源三郎=オジサマ)、それから弥生×小次郎の本番。
うちが一番おもろかったのは弥生サイドのやつやね。さっき言ったプリン乱入絡みの流れで、緊張感の抜け方と乱入のタイミングが笑いとして機能してた。
まりな×オジサマ(桂木源三郎)は——まりなが「オジサマ」って呼んでる人物が実は源三郎という重要人物やってわかった後に読み返すと、「あのHシーンはそういう位置づけやったんか」ってなる。実用性はある、というのが正直なとこ。笑える要素はそんなになかったけど、キャラの感情として積み上げが出てたので悪くなかった。
シリア×小次郎は一番笑いが薄かった。悪くはないけど、うちの軸では素直に笑えへんかった。全体として6点はそういうバランスの評点。
真弥子のラスト——笑えなかった
ここだけは「おもろかった」の話ができない。
御堂真弥子——エルディア大使の娘で、まりなの護衛対象やった黒髪の少女やねん。この子の正体がμ-101という有機ヒューマノイドで、プリシア(エルディア女王)の遺伝情報から作られた存在やって終盤に明かされる。
ラスト、豪華客船トリスタン号が沈み始める中、小次郎・まりな・プリシア・真弥子の4人が船倉に閉じ込められる。酸素ボンベが3本しかない。真弥子は自分のボンベを譲って、一人で海中に飛び出して救援を呼びに行く。「皆と笑いたかった」という言葉を残して。
……笑えなかった。わらえへんかった。
序盤のプリンの賑やかさで引き込まれて、プリンが笑いの中心やと思ってたら——真弥子がこういう退場の仕方をする。真弥子は序盤からちゃんと描かれてた子やのに、うちはプリンに注目しすぎてて、真弥子のこと後追いで理解した感があった。それも含めて、ラストは効いた。
「笑わせといて泣かせんのは反則やで」——でも、まあ、泣けた。ええ話やった。
コメディと謀略が噛み合ってた、って言えば言いすぎかもしれんけど
ネタバレ版まで読んで、改めて思うのはプリシアっていうキャラの使い方の上手さやねん。
笑い役として序盤を引き込んで、中盤以降は「女王としての責任」という重いポジションに移っていく。笑わせてたキャラが真剣な顔するの、落差が効くやん。プリンの笑いが序盤に積み上がってるから、後半のシリアス場面が「あのプリンが」ってなる。
真弥子のラストも同じ構造やと思う。普通の護衛対象の女の子やったのに、正体を知った上で読み返したら——全部ちゃんと書かれてた。「皆と笑いたかった」っていう一言が効いたのも、そこに至る描写があったから。
うちが7.5つけるっていうのは、「コメディが良かった」だけやなくて「コメディがちゃんと全体と繋がってた」って意味でもある。プリンがおもろかったことが、後半の重さに効いてた。そういう作品やったら、コメディ密度が多少薄くても7.5はあげられる。
「プリンがおもろすぎて、シリアスも引っ張られた。」
— チエ
