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キャラクター詳細 — EVE The Lost One

内閣調査室の見習い調査官桐野杏子を軸に、ハッカー少年工藤雄二・調査員見城・真の首謀者桜把が交差する物語の登場人物詳細。桜把=アドニスの正体・見城が起こした爆発事件・御堂真弥子(<EVE>)の身代わり死・プリシア生存トリック・人工ウイルス<LOST ONE>などを含む全ネタバレ記述。

主人公 桐野 杏子 きりの あんこ

桐野 杏子
読みきりの あんこ
役割主人公・メインPOV
年齢22歳(牡牛座)
CV今井由香
外見童顔。普段はミニのワンピやフレアースカート、ピンク系の口紅

内閣調査室の見習い調査官。研修明けの初仕事を控えた休暇最終日、買い物中にワールドインポートタワー1階の爆発に巻き込まれて重傷を負う。それでも翌朝、満身創痍のまま「桐野杏子。入ります」と甲野本部長のもとへ初出勤した。「機械って苦手なのよ。だって、よく壊れるじゃない」と公言する筋金入りの機械オンチで、ビデオの録画予約もできない。怒りの原動力は不条理に対する個人的な「くやしさ」で、爆発で意識を失う直前ですら「あのスーツ、けっこう高かったのにぃ……」と私的な悔恨を優先する。一方でシリアスな局面に切り替わると決断が驚くほど早く、自分が動くしかないと知ると即決する。元教官のまりなには「相手がこちらにみせたがっている姿しか見ていない」と痛いところを突かれる。序盤は水族館「ジェネシス・シー・ワールド」に併設された望月生物学研究所の研究員・瀬野尾靖夫殺害事件の捜査を任され、バイト高校生の雄二、女子大生の綾乃、所長の望月、所長と密談する若い男・桜把と接触し、徐々に国際謀略の一線へと押し出されていく。

真犯人が先輩・見城だと自室に届いた爆破画像から思い込み、本部長の前で口を滑らせる。その後まりなに庇われ、「真犯人は見城ではなく桜把=アドニス、見城はスケープゴート」と知らされる。自分自身と雄二も内調から指名手配され、まりなの手引きで天城小次郎氷室を経由してエルディア共和国に渡航する。

エルディアではホテル・ルカンシェに潜伏。隣室のマイナ経由で女王プリシアと密会し、エニア村の教会で<EVE>覚醒儀式に立ち会う。終盤、氷室から送られた研究所データの解析で人工ウイルス<LOST ONE>を発見し、マイナの知識を借りてアンチセンスDNAを用いたワクチン製造法を導出する。棺を抱えて砂漠に逃れたモニカを雄二と二人で追い、力尽きたモニカの遺体と<EVE>の棺をベドウィン村で発見し、その場でワクチンを合成する。

桜把との最終決戦では銃口を向けられても怯まず、「わたしたちのうちの誰かが……その先の道を受け継いで、きっと、たどりつく……」と返す。見城に庇われて難を逃れた直後、自分も雄二も既に感染していると悟りつつ、氷室と見城との約束を抱えて砂漠の道を引き返す。

「桐野杏子。入ります」— 一晩入院した翌朝、ボロボロのまま初出勤
「わたしは<LOST ONE>に効くワクチンをつくるために、ここまできたのよ」— 桜把の銃口の前で
「あなたが1人でどんなに悪いことをしたって、わたしをここで殺したって……わたしたちのうちの誰かが……その先の道を受け継いで、きっと、たどりつく……」— 桜把への返答
「帰らなくっちゃ……」— 感染を悟った後、砂漠の帰路で

関係としては、雄二は当初「クソガキ」扱いだが終盤は互いの命を預け合う相棒となり、まりなは元教官で追い詰められた局面で唯一頼れる人物、氷室は日本に残った命綱でその最後の電話が砂漠を歩く動機になる。見城は慕う先輩で一時は犯人と誤認するが最終的に命を救われ、桜把は序盤から「うさんくさい」と直感した相手で終盤は銃口を突きつけられる立場になる。

主人公 工藤 雄二 くどう ゆうじ

工藤 雄二
読みくどう ゆうじ
役割主人公・杏子の相棒/ハッカー
年齢17歳
CV陶山章央
外見無愛想な高校生。ハッキング用PCを詰めたリュックを常に背負う

ジェネシス・シー・ワールドでバイトをする高校生にしてハッカー。ハッキング用コンピュータ一式を詰めたリュックを常に背負い、エルディアへの逃亡時でも「逃げるなら、これ持ってかないと……」と最優先で持ち出す。朝は新聞配達をしていたため朝に強く、寝相は悪い。工藤社長を母に持ち、後輩の玲奈とは幼なじみという家庭事情がある。表面的にはぶっきらぼうで「キレイな女の人には無愛想」だが、ハッキングを「犯罪っていうのは、誰かに迷惑をかける行為のことだろ? オレは誰にも迷惑かけてないよ」と本人なりの倫理で正当化する。共感の表現は不器用だが行動は早く、杏子が困っているときには即座に隠れ場所を提供する。中盤以降は「だからって、誰のことも信じなかったら、どこへも行けるわけないだろう」と本心を口にし、徐々に「相棒」へと変化していく。序盤では水族館で杏子と最初に接触し、望月所長と桜把の密談を盗み聞きして見つかりかけた杏子を機械室に隠し、その場でセキュリティをハッキングして杏子の指紋データと死んだ瀬野尾のデータを入れ替え、研究室への侵入を可能にした。

まりなに連れられた天城探偵事務所で「杏子が無事に帰ってこないと、オレもずーっとここにいなきゃいけない」と憎まれ口を叩きつつ、自分の意志で杏子とのエルディア行きを決める。エルディアでは杏子と「駆け落ちカップル」として偽装で泊まり、氷室との通信窓口を担当する。

マイナと出会うと、氷室から送られた<LOST ONE>のウイルス画像を「オレの知り合いがつくった、想像上のウイルスだよ」と偽って遺伝子工学知識を引き出し、ワクチン製造に必要な機材・薬品を単独で調達する。モニカ追跡では砂漠を杏子と踏破し、ベドウィン村で<EVE>の棺を発見してワクチンを合成。自分も感染している可能性を「きっと、モニカから感染したんだ……」と冷静に推察し、「オレたちは戻る。さぁ……手、出せよ」と杏子に注射器を差し出す。

「だからって、誰のことも信じなかったら、どこへも行けるわけないだろう」— 杏子に本心を漏らす夜
「人間の肉眼でみれば簡単にわかることが、コンピュータにはみえないことが多いんだ」— セキュリティデータを書き換えた直後
「ここで離れたら、もう二度と会えないような気がするんだ」— ワクチン投与後、出発前
「オレたちは戻る」— ベドウィン村でワクチンを合成して

杏子はもう一人の主役で、最初は「クソガキ」扱いだったが終盤は本心を漏らせる相手になる。玲奈は幼なじみ・後輩で人前では装いつつさりげなく庇い、工藤社長は実母。マイナはワクチン製造の最大の協力者、氷室はパスポート偽造とウイルス解析で恩を受けた相手。

主人公 見城 みしろ/ハンドルネーム「スネィク」

見城
読みみしろ
役割内閣調査室・調査員/POV②
正体爆発事件の真犯人/ハンドル「スネィク」
CV池田秀一
外見がっちりした体育会系。胸板が厚い。素敵な時計を身につける

杏子の上司・本部長から「君の先輩の見城くんだ」と紹介される、後輩思いの好青年。担当事件はワールドインポートタワー1階の爆発。「モーニングステーキ」というあだ名を持つほどの大食漢とまりなに紹介されるが、本人申告では「血のしたたるレアはダメ」という意外性のギャップで杏子に親しまれる。表向きはフットワークの軽い優秀な調査員だが、内心は鬱屈と自嘲を抱える。「知ってることと、実行できることのあいだには、百億光年ものへだたりがあるんだ」と独白する。インターネット上の匿名性に「未知の物を手に入れた気分」を覚えていたが、「ちょっと、ムシャクシャしてたから……」の出来心が破滅を呼ぶ。

爆発事件の真犯人は見城自身。インターネット上で出回っていた爆弾製造法を自宅で組んだものが、「椅子一つ吹っ飛ぶくらいのつもり」の計算外の威力を発揮した。アドニス(=桜把)に「火遊びは……たのしかったかい?」と脅迫され、ハンドルネーム「スネィク」を強制的に与えられて手駒にされる。桜把の指示で鈴田夏海から「茶色の小瓶」を奪取に向かうが、現場では既に桜把が夏海を殺害済みで、見城に殺害容疑がかぶせられる構図ができあがっていた。

死の間際の夏海から「これは……大事なもの……だ/エルディアへ……」と託され、死者との「約束」を理由に小瓶を桜把に渡さない選択をする。米国防省特別部員の肩書きでエルディアに渡航し、王宮の陰謀に巻き込まれる。後にプリシア生存の隠れ家へたどり着き、長い告白を聞いた後「やり残したことがあるんだ」と去る。桜把との最終決戦では銃口を向けられる杏子を庇って撃たれるが、「鬣鬥鬧(さくらわ)、おまえは……自分を恐れてるんだ」と相手との決定的な違いを語りつつ意識を失う。

「あんなヤツに弱みを握られたからって……自分の好きなことしかやらない/そんな考えは幻想だったのかな」— 脅迫を受けた夜の独白
「世界を変えるっていうのはな、いい方向へ変えていく力のことをいうんだ」— 桜把との最終対決
「おまえは……自分を恐れてるんだ。(中略)だから、世界を自分の道連れにしようとしてる…」— 桜把の動機を看破する
「ふいに……1人の女に会いたくなって、探して、会えたら……それだけですごく安心する。」— 自分なりの倫理にたどり着いて

桜把(アドニス)は「自分とよく似た男」と思い込まされるが、最終的に「オレはちがう」と決定的に否認する闇の鏡像。鈴田夏海は死体に対面し勝手に「約束」を受け取ってしまった相手、杏子は当初は単なる後輩だが最終決戦で命を懸けて庇う対象。プリシアはエルディアで再会し長い告白を聞く相手、モニカは米国防省経由の協力者で終盤その遺体の手に見城と「同じ時計」が握られている。

真の首謀者 桜把 さくらわ/ハンドルネーム「アドニス」

桜把
読みさくらわ
役割アルタイル・コーポレーション役員/POV③
正体ハッカー「アドニス」/本作の真の首謀者
CV置鮎龍太郎
外見若い男。やや英語かぶれの口調。終盤は顔の半分を失う

アルタイル・コーポレーション役員で、工藤社長の直属の部下。「ね、社長」を口癖に社長を完全にコントロールしている様子を見せる。表向きは社長の補佐役を装うが、玲奈には「親切ぶってアドバイスしながら、社内のことをママを通して牛耳ろうとしてる」と評される。「日本人的ないいまわしは、僕はあまり感心しませんね」と自分の有能さを誇り他人を見下す傾向がある。序盤では望月生物学研究所の所長室で「あの男がもって逃げたのか」と密談しているのを杏子に立ち聞きされ、アルタイル社長室での接見では爆発事件をあえて軽視する発言で見城・杏子の捜査を抑えにかかる。杏子と廊下で会うたびに「君を静かにさせるために、食べてしまいたいよ」と威嚇まじりに揶揄する。

真の正体はハッカー「アドニス」。見城の出来心の爆発を目撃して脅迫し、見城を「スネィク」と命名して操り、<ADD>をめぐる小瓶争奪戦の実行役にする。鈴田夏海を直接刺殺した犯人でもあり、後に「女を殺すのは二度目だな」と告白する。<ADD>研究データに人工ウイルス<LOST ONE>を密かに同梱し、インターネット経由で世界中に解放した張本人。「そのボタンを押したのはオレだ。オレが世界を変えたんだ」と語る。

動機の核心は復讐心と顕示欲。かつて何らかの事故で多くを失い、「半分残ったって、全部なくしたのと同じだ」と自嘲する。異名「アドニス」状態では幼児退行的なエクスタシーに浸るしゃべり方になる。見城との最終対決では「鬨鬩鬪(みしろ)。オレをすごいと言え/オレに許しを乞え」と他者からの承認を強迫的に求めるが、「おまえは……自分を恐れてるんだ」と看破される。スクリプト末尾では生死は明示されず、見城・杏子・雄二が生還するエンディングに至る。

「火遊びは……たっ、たのしっ……たのしかったかい?」— 見城への最初の脅迫
「僕のハンドルネームは、A……DONIS」— 自己紹介
「君はきっと闘わない。僕にひれ伏す/どうしてわかるのかって? 僕は君だからさ」— 見城に対する最大の告白
「オレが世界を変えたんだ」— <LOST ONE>をばら撒いた後

工藤社長は傀儡として操る相手、望月は研究所側の表向きの責任者として指示下に置く。瀬野尾は「記憶」を持ち逃げした処分対象、鈴田夏海は「記憶」を託された相手として直接殺害。見城(スネィク)は手駒にしたつもりが「兄弟のような鏡像」として相対し、杏子は終盤に銃口を向ける相手となる。

杏子の元教官 法条 まりな ほうじょう まりな

法条 まりな
読みほうじょう まりな
役割元内調エージェント/現新人教官/杏子の元教官
備考旧『EVE burst error』主人公の一人
CV岩男潤子
外見不敵な笑みとスタイルの良さ。挨拶は「はろはろー」

かつて内閣調査室のエージェントとして「達成率99.9%」を誇った腕利き。現在は退職して新人教官を務める、杏子の元教官。「失礼ねぇ。このナイスなボディは100%天然よ」と自賛する軽妙さの裏に、鋭い論理を隠す。プリシアの評では「彼女の行動は一見ハチャメチャに見えますが、じつは非常に論理的」。本部に顔を出した際に杏子と再会し、見城を「モーニングステーキ」と命名する。杏子の指名手配後はいち早く見城真犯人説に気づき、杏子と雄二を自分の車で隔離して天城探偵事務所まで連れていく。その過程で内調を辞めた本当の理由を後輩に明かす。

達成率の「残りの0.1%」とは、数年前に護りきれなかった御堂真弥子の護衛任務。「彼女のボディは記憶を後から抽入されたために、しだいに壊れていってしまったの」「真弥子ちゃんはいま、エルディアの王宮で眠り続けているわ」と、<EVE>=真弥子の橋渡しを杏子に行う。天城小次郎・氷室と接触して杏子のパスポート偽造を実現させ、杏子をエルディアに送り出した後は本部に戻り「杏子たちがアラスカ行きの便に乗るところをみた」と虚偽報告で時間を稼ぐ。最終局面の砂漠には合流しない。

「護衛任務を任された相手を、護りきれなかったの」— 内調を辞めた本当の理由
「とってもいいコだった。だから……だからせめて、王宮で静かに眠り続けていてほしかったのよ……」— 真弥子について
「あなたたちもエルディアに渡るのよ/見城より先に、なんとかして<EVE>に近づいて……」— 杏子に渡航を促す
「グッドラック!」— 杏子を送り出す最後の言葉

杏子は教官・元上司・後輩、見城は「コイツ」呼ばわりする後輩。天城小次郎は腐れ縁で弱みを掌握している相手、氷室は旧知、プリシアは「ええ、昔ね」と語られる旧知の仲。

前作主人公 天城 小次郎 あまぎ こじろう

天城 小次郎
読みあまぎ こじろう
役割私立探偵/旧『burst error』主人公/プリシアの初恋の相手
所属天城探偵事務所
CV子安武人
外見前髪が長く顔がよく見えない、二枚目風の輪郭

倉庫を改造した男所帯の事務所を構える私立探偵。「浮気調査に行方不明の文鳥探し」でしのぐ軽口屋で、まりなには頭が上がらない。まりなが連れてきた杏子・雄二を見て即座にニュースで指名手配中と見抜く。

まりなの依頼で氷室を呼び、杏子と雄二のパスポート偽造を引き受ける。報酬を受け取らず、代わりに「向こうについたらプリン……いや/プリシア女王に、よろしく伝えてくれ」と頼む。本編には以後合流しないが、この伝言が終盤までエルディアでのプリシアとの関係性の鍵として作用し続ける。プリシアにとっては「ほんの数日間だけ……プリンという名前の、ただの女のコ」だった頃に出会った初恋の相手。

「向こうについたらプリン……いや/プリシア女王に、よろしく伝えてくれ」— 報酬の代わりの依頼
「あぁ。おまえら……気をつけてな」— 杏子と雄二を送り出して

氷室は事務所の所員、法条まりなはかつての同業者・腐れ縁、プリシア(プリン)は「数日間だけ」のかつての相手。

天城の助手 氷室 ひむろ

氷室
読みひむろ
役割天城探偵事務所所員/パスポート偽造・データ解析担当
CV松井菜桜子
外見呼ばれてすぐに現れる、仕事の速い女性

天城探偵事務所の所員。「電話で呼ばれてすぐにすっ飛んできた」とまりなに評されるほど仕事が速く正確。杏子に対してはぶっきらぼうだが信頼で動く。天城探偵事務所で杏子と雄二のパスポート偽造を担当する。

杏子と雄二がエルディアに着いてからのメール・電話通信窓口を担当。望月生物学研究所のデータのロックを外して侵入し、<LOST ONE>の構造を解析する。「感染後死に至るまでの日数は……5日なのよ」「5つのコピーはどれもが少しずつ、ちがう遺伝配列になっている」「これはおそらく、人工的につくられたもの」と人工ウイルスの全貌を突き止めるが、解析の最中に自身も<LOST ONE>に感染する。最後の電話で「わたしは、信じてる。あなたはきっと帰ってくる……」と告げた後、途中で意識が途切れ、消息は明示されずに終わる。

「あれが<LOST ONE>よ!」— ウイルスを解析中に
「人は、約束なんてしなくたって生きていけるのよ/(中略)そんな言葉を聞かなくたって、人は、人を信じられる……」— 杏子への最後の電話
「わたしは、信じてる。あなたはきっと帰ってくる……」— 感染して意識が途切れる前に

天城小次郎は上司/同じ事務所の所員、法条まりなは旧知。桐野杏子はパスポート偽造を依頼された新人で、最終的に命がけの通信相手になる。

エルディア女王 プリシア ぷりしあ/旧名「プリン」

プリシア
読みぷりしあ
役割エルディア共和国女王
年齢21歳(18歳で即位)
CV水谷優子
外見浅黒い褐色の肌に、はっきりした顔立ちのエルディア人。肌のツルツルした、かわいい顔立ちの若い女王。私服だと普通の女のコに見える。<EVE>=真弥子は彼女の遺伝コピーで、同じ顔・同じ褐色肌の瓜二つ

エルディア共和国の女王。旧名「プリン」。マイナの説明では「とても聡明な方」だが「とても若い」がゆえに、陰で誰かが糸をひいているという噂も根強い。女王としての強さと、「私は昔、ほんの数日間だけ……プリンという名前の、ただの女のコだったことがあるんです」と漏らす個人としての弱さを併せ持つ。反プリシア勢力のバスキーヤ派ロメオス大司教の存在を恐れている。ホテル・ルカンシェに潜伏する杏子と雄二のもとへ、マイナの仲介で来訪。翌朝「必ず“記憶”をもってきてくださいね」と落ち合う約束をする。エニア村の小さな教会で<EVE>覚醒儀式を行い、バルコニーから全世界に向けて<ADD>解放を宣言する。

王宮の安置室での「プリシア暗殺」は身代わりトリック。本物のプリシアは<EVE>の棺に隠れ、<EVE>自身がプリシアとして死ぬという交換を承諾していた。「死んだのは……<EVE>よ/私の分身/彼女が……私の代りに死んだの」と告白する。真弥子(=<EVE>)が「あと数時間の命よ。惜しくないわ」と告げて先に逝った後、モニカの手引きで隠れ家へ脱出。見城との再会と別れを経て、新生エルディアを担う決意を固める。「私は、絶対に死なない。生き続けて……使命を果たします」。

「プリンという名前の、ただの女のコだったことがあるんです」— 杏子に素の自分を語る
「この新薬……<ADD>を……私は皆さんに解放いたします」— エニア村のバルコニーから全世界へ
「死んだのは……<EVE>よ/私の分身/彼女が……私の代りに死んだの」— 身代わり死の真相を語る
「もう、私の命は私一人のものではないのです」— 女王としての覚悟

<EVE>/御堂真弥子は自分の遺伝コピーで身代わり死の相手、モニカは10年来の幼馴染で米国防省内部の協力者。マイナは同郷のブレーン、天城小次郎は初恋の相手、ロメオス大司教は政敵。見城は王宮潜入時に出会い、最終的に全てを語った相手。

プリシアのクローン 御堂 真弥子/<EVE> みどう まやこ/コードネーム「イヴ」

御堂 真弥子/<EVE>
読みみどう まやこ/イヴ
役割物語核心の鍵人物
正体前国王の意識を移植された有機ヒューマノイド/プリシアの遺伝コピー
年齢クローンの実年齢1歳(外見・記憶は17歳)
外見プリシアと同じ顔の瓜二つ(遺伝クローン)。浅黒い褐色の肌・金髪のエルディア人。ただし作り物のように整って無機質で、感情の出るプリシアと見分けがつく
CV岡本麻弥

数年前、まりなが護衛任務を果たせなかった少女。前国王の意識回路を移植された有機ヒューマノイドであり、プリシアの遺伝コピーでもある。物語前半では杏子も「眠り続ける<EVE>」としてしか認識しない、エルディア王宮安置室で眠る存在。マイナの解析では「あのボディには制御機能が欠けている。前国王が全知全能な存在として生まれ変わるために、人体を改造したのだと思います」とされる。

エニア村教会の儀式で覚醒し、<ADD>の記憶を取り出される。実は王宮で自我を持って覚醒した後、ロメオス大司教の暗殺計画からプリシアを守るため、女王と衣装を交換して自ら女王として死ぬことを選択した。寿命は「あと数時間」と本人とプリシアの双方が認識した上での決断だった。「気にしないで。あと数時間の命よ。惜しくないわ/役に立ててうれしいって言ったら、信じてくれる?」と告げ、「わたし、いつも傍にいる人の笑ってる顔を見ていたいの」と遺して逝く。死後、棺を抱えてモニカが砂漠を渡り、最終的にベドウィン村で杏子・雄二が回収。そのクローン体の組織が、<LOST ONE>のワクチン製造に唯一作用する素材として人類を救うことになる。

「気にしないで。あと数時間の命よ。惜しくないわ」— プリシアの身代わりを選ぶ
「だって、わたしはあなたなんですもの」— プリシアへ
「わたし、いつも傍にいる人の笑ってる顔を見ていたいの」— 最期の願い
「さよなら、プリシア」— 先に逝く別れ際

プリシアは遺伝上の「本体」で、自分は「分身」。前国王は自分の脳に意識回路を移植した張本人。法条まりなは「護れなかった0.1%」の対象として、まりなの過去最大の悔恨と結びつく。

米国防省員 モニカ・セレッティ もにか せれってぃ

モニカ・セレッティ
読みもにか せれってぃ
役割米国防省特別部員/(真の素性)プリシアの幼馴染
年齢26歳前後(プリシアより5歳上)
CV折笠愛
外見肩に届く金髪の美人。大柄

米国防省特別部員。望月生物学研究所事件にアメリカ側として介入し、内調本部長室で杏子に「ふふん」と挑発的に振る舞う。強気・尊大に振る舞うオンの顔と、酔うと甘えるオフの顔の二面性を持つ。

真の素性は10年前までエルディアにいたプリシアの幼馴染。家族を内戦で失ったエルディア人として、プリシアを守る個人的な動機で動いていた。プリシア生存後の隠れ家までの脱出を支援し、<EVE>の棺を「完全に人の手から隠し消し去るために」抱えて単身砂漠に脱出する。ベドウィン村で力尽き、<EVE>の棺を抱えたまま絶命。その手の中には、見城のものと「同じ時計」が握られていた。残された棺と組織が結果的に人類を救うワクチン素材になる。

「ごくろうさま、桐野杏子さん。あなたの任務は今日で終了したわ」— 本部長室で杏子を突き放す
「眠りを妨げるのはよくないぞ」— 王宮安置室で見城を遠ざける
「はい、プリシアさま」— プリシアへの忠誠

プリシアは10年来の幼馴染にして最大の主君、マイナは同じプリシアのブレーン仲間。見城は米国防省経由の協力者で終盤に同じ時計を握って死ぬ描写が何らかの関係性を示唆し、杏子は序盤の本部長室で対立する。

留学生 マイナ まいな

マイナ
読みまいな
役割エルディア辺境出身/日本留学中・遺伝子工学専攻/プリシアのブレーン
年齢学生(留学生)
CV渕崎ゆり子
外見浅黒い肌に大きな目。まだ若いエルディア人

エルディア辺境出身の留学生で、遺伝子工学を専攻する。朗らかで人当たりが良く、「人恋しくって、つい……」と長話を喜ぶ。自国愛が強く「わたしのような留学生が、最先端の科学や学問を携えて世界中から帰ってくる。そしたら、エルディアは変わる」と信じている。日本では東京のカフェでバイトをし、ホテル・ルカンシェでは杏子の隣室客として登場する。

実は<EVE>覚醒チームの一員にして、プリシアの「よきブレーン」。ダンスホール奥の控室で杏子・雄二と再会し、<LOST ONE>のウイルス図を見せられると「初めて見る形態だわ」と即座に正体を見抜く。「<EVE>から取り出された制御機能のないDNAを組み替えて……アンチセンスDNAにする」というワクチン製造法を考案し、書き起こす。家族を前国王の圧政時代の内戦で失った過去を持つ。

「わたしのような留学生が、最先端の科学や学問を携えて世界中から帰ってくる/そしたら、エルディアは変わる」— 同胞への思い
「方法はあります。1つだけ……」— ワクチン製造法を切り出す

プリシアは「私のよきブレーン」と評される相手、モニカは同じプリシアの協力者で東京のカフェでも仲が良い。杏子・雄二はエルディアでも東京でも接点を持つワクチン製造の協力相手。

研究所所長 望月 もちづき

読みもちづき
役割望月生物学研究所所長/<ADD>研究の表向きの責任者
CV野島昭生
外見表情の読めない、薄笑いを浮かべる中年男性

望月生物学研究所所長。のらりくらりとした応対で、杏子に対しては当初「バイトの学生と区別つきませんな」と侮りを含む対応をする。瀬野尾殺害事件について「殺されるのはこの私ですよ」と研究との関連を強く否定するが、桜把との密談シーンでは「桜把さん。それは確かです」と敬語を使う立ち位置が露呈する。

<ADD>研究の表向きの責任者として桜把の指示下にあった。終盤、爆発後の水族館から望月所長らしき遺体が発見されたと氷室の連絡で杏子に伝えられる。

「瀬野尾君は一介の研究助手でしかない。私たちの研究が関係しているとしたら/殺されるのはこの私ですよ」— 杏子に研究との関連を否定する
「桜把さん。それは確かです」— 密談で立ち位置が露呈する

桜把は表向きの研究責任者として指示下にある相手、瀬野尾は表向きは「優秀な研究員」と評しつつ密談では「あの男」呼ばわり。杏子は警戒対象。

瀬野尾の恋人 鈴田 夏海 すずた なつみ

鈴田 夏海
読みすずた なつみ
役割パソコン展示会コンパニオン/瀬野尾の恋人/第二の被害者
年齢21歳
CV天野由梨
外見キレイな人。流行の外巻きのセミロング

パソコン展示会のコンパニオン。明るく社交的で、機械音痴の杏子に「だったらなおさら教えてあげるわ」と新製品の説明を申し出る。爆発事件に対して「卑劣だわ/イタズラで爆弾を置いたり……わたし、許せない……」と強い義憤を見せる。瀬野尾靖夫の恋人で、彼から「茶色の小瓶」を託される。

瀬野尾から託された茶色の小瓶を持っていたために、桜把に直接刺殺される。桜把は後に「女を殺すのは二度目だな。1人目は……苦しんで死ぬようにわざと少し急所をはずして刺してやった」と告白する。死後、桜把は彼女のハンドバッグを杏子のベッド下に仕込み、杏子に殺害容疑を着せる小道具として悪用する。

「杏子さん? わたしは鈴田夏海」— 展示会場での自己紹介
「イタズラで爆弾を置いたり……わたし、許せない……」— 爆発事件への義憤

瀬野尾靖夫は恋人、桐野杏子は偶然出会った同世代の女性、桜把は殺害犯。

研究所助手 瀬野尾 靖夫 せのお やすお

読みせのお やすお
役割望月生物学研究所助手(医動物学)/第一の被害者
年齢28歳
外見端正な顔立ち

望月生物学研究所の助手。専門は医動物学で、寄生虫やウイルスを研究していた。望月評では「口も固いし、正義漢」。物語開始時点で既に夜の公園で絞殺されており、杏子の最初の調査対象となる。

望月生物学研究所で開発中の<ADD>、およびその完成キーである「茶色の小瓶」を持ち逃げし、恋人の鈴田夏海に託していた。死の間際、夏海に「これは……大事なもの……だ/必ずとりにく……/約束する……/君の手に……頼む……/エルディアへ……」と遺言のように手渡した。彼の死が、すべての連続殺人の発端となる。

「これは……大事なもの……だ/必ずとりにく……約束する……君の手に……頼む……」— 夏海への遺言
「エルディアへ……」— 小瓶を託す最後の指示

鈴田夏海は恋人で「記憶」を託す相手、望月は表向きの上司、綾乃は研究所バイトの後輩。

社長の娘 工藤 玲奈 くどう れな

工藤 玲奈
読みくどう れな
役割工藤社長の娘/雄二の幼なじみ・高校の後輩
年齢高校生
CV宮村優子
外見小柄だがスラッとして足が長い。くっきりした顔立ち(ハーフ)

工藤社長の娘で雄二の幼なじみ。父はアメリカ人、母は日本人。「反抗期の真っ盛り」と母に評され、大人にも臆さず桜把を「あの嫌味な桜把」と本能的に嫌う。3年前に父を亡くし、社長になってから変わってしまった母を「昔のほうが幸せだったのよ。わたしもママも」と複雑な思いで見ている。桜把については「親切ぶってアドバイスしながら、社内のことをママを通して牛耳ろうとしてる。ママはあの男に利用されてるの」と鋭く見抜いている。

雄二のハッキングで杏子のセキュリティを書き換える一連に副次的に関わる。見城のFAX画像の場面では杏子と一緒におり、ショックを受ける杏子に「杏子さん……大丈夫?」と寄り添いながら、自身も涙の跡を残していたと描かれる。

「親切ぶってアドバイスしながら、社内のことをママを通して牛耳ろうとしてるのよ/ママはあの男に利用されてるの」— 桜把を見抜く
「昔のほうが幸せだったのよ。わたしもママも」— 母の変化を語る

工藤社長は母で複雑な関係、雄二は幼なじみ・高校の先輩、桜把は嫌悪の対象、杏子は家族のグチをこぼせる年上の女性。

その他の登場人物

甲野 本部長

こうの ほんぶちょう 内閣調査室本部長

内閣調査室本部長で、杏子と見城の直属の上司。ヒゲをたくわえた中年男性。軽口と冗談が止まらないタイプで、杏子の包帯姿に最初に大笑いするが、職務には真面目で、事件の組み合わせを「製薬会社であれば、そんな新薬の開発にはもっと二の足を踏むはず」と冷静に分析する。杏子の初仕事を「根性あるね。それでこそ我が内閣調査室の調査官だ」と素直に評価する。アメリカが事件情報を先に握っていることに違和感を表明する役回りも担うが、最終局面の砂漠には合流しない。

「根性あるね。それでこそ我が内閣調査室の調査官だ」— 杏子の初仕事を評価して
綾乃

綾乃

あやの 水族館バイト・女子大生

ジェネシス・シー・ワールドでバイトをする大学2年生で、瀬野尾の後輩。肌の手入れの行き届いた清潔な印象のメガネっ娘。「法律さえ許したら、イルカと結婚したいくらい」というほどのイルカ偏愛家で、頭が水玉模様のイシイルカ「マーブル」と意思疎通ができると本人申告する。無愛想な雄二を「悪気はないんですよ。キレイな女の人には無愛想なの」と擁護する寛大さを持つ。終盤、マーブルが水槽の外で起きた銃撃事件を目撃したという設定が、犯人特定の手がかりとして機能する。

「法律さえ許したら、イルカと結婚したいくらい」— イルカへの愛を語る
工藤社長

工藤社長

くどう しゃちょう アルタイル社長/雄二・玲奈の母

アルタイル・コーポレーション社長で、雄二と玲奈の母。3年前に夫を亡くし、元秘書・元専業主婦から社長の座を継いだ。完璧主義者だったが社長就任後に「変わった」と娘の玲奈に評される。見城・杏子の訪問には爆発事件をテロと認めない強気な対応を貫くが、桜把がやってくると一気に頼り切った態度に変わり、杏子に「桜把のほうが社長より偉いのか」という疑念を抱かせる。桜把の暴走を実質的に止められなかった経営者で、終盤には「見城が“記憶”を持っている」旨を杏子に叫んで伝える役割を担う。

「わたしの直属の部下ですわ/彼にはいろいろ任せています」— 桜把を紹介する
ルカ

ルカ

るか ホテル・ルカンシェ女主人

エルディアの宿「ホテル・ルカンシェ」の女主人で、バスキーヤ派の信者。30歳くらいの大柄でグラマーなエルディア人女性。杏子と雄二を即座に「愛の逃避行カップル」と決めつけて、目立たない部屋を提供する直感型のお節介。料理が完全にできず、固ゆで卵を朝食に出す愛嬌もある。終盤、追っ手の合同捜索に対し「そんなカップル泊まってないわ。いくら言ったらわかるのよ!」と杏子・雄二を必死で隠して逃がす。

「だいたい、逃避行なんてしゃれてるじゃないの!」— 杏子と雄二を出迎えて

ロメオス大司教

ろめおす だいしきょう バスキーヤ派代表

反プリシア勢力「バスキーヤ派」の代表にして民族主義者。エルディアの国政を完全に掌握しようとし、女王プリシアを「ストッパー」として邪魔に感じている。本人の発話は本作中で極めて少なく、主にプリシアとマイナの語りによって輪郭が描かれる。王宮で女王プリシアの暗殺を計画したことが、結果として<EVE>=真弥子の身代わり死を引き起こす。終盤、プリシアの語りから自身もすでに死亡しているとされる。

(直接の発話は乏しく、プリシアとマイナの言及によって存在が描かれる)— 反プリシア勢力の指導者

大佐

たいさ 米国防省・現地上官

米国防省の現場指揮官で、モニカおよび見城のエルディア現地での上官。王宮潜入後の見城のサポート役として登場し、王宮内部で「なくなった棺」の情報を見城に共有する。その棺が実はプリシアの棺で、<EVE>が女王として安置されたものだったという二重トリックの伏線を担う発言をする。

(王宮の「なくなった棺」をめぐる情報共有が、後にプリシア生存の謎解きにつながる)— 見城の現地上官

前国王

ぜんこくおう 故人・エルディア前国王

エルディア前国王。自分の意識回路を御堂真弥子のクローンに移植して延命を図ったが、現在は地上から完全に消滅したとプリシアが宣言する。圧政時代に内戦を起こし、マイナの家族を奪った張本人でもある。直接登場しない「不在の核」として、<EVE>をめぐる悲劇の根を植えた人物。

(劇中で直接の発話はなく、関係者の証言を通じてのみ存在が浮かび上がる)— 物語の前史を担う人物

マーブル

まーぶる イシイルカ

望月生物学研究所地下水族館の、頭が水玉模様のイシイルカ。綾乃が「いちばん仲良し」と呼び、意思疎通ができると主張する存在。物語のクライマックスで、水族館で起きた銃撃事件を目撃したという設定が、犯人特定の手がかりを提供する。

(綾乃を通じて、水族館の銃撃事件の目撃者として物語に関与する)— 綾乃の「いちばん仲良し」