用語集 — EVE The Lost One
『EVE The Lost One』の世界観・組織・技術・概念を構成する固有名詞の詳解。表向きの意味(基本説明)と核心の真相をアコーディオンで分離して掲載する。
- 安置室
- アドニス
- <ADD>
- 天城探偵事務所
- アルタイル・コーポレーション
- アンチセンスDNA
- <EVE>
- エルディア共和国
- エニア村
- ワールドインポートタワー
- 駆け落ちカップル
- 「帰らなくっちゃ」
- カフェ cafePOSE
- 海棲ほ乳類保護法
- CDとCD-ROM
- 「記憶」
- クローン体
- ジェネシス・シー・ワールド
- 制御機能
- セキュリティシステム
- スネィク
- 前国王
- 達成率99.9%
- 茶色の小瓶
- 内閣調査室(内調)
- 「眠りを妨げるな」
- 残りの0.1%
- ハッカー仲間
- ハッキング
- ハラハラ時計
- バスキーヤ派
- 控え室の死体
- 卑劣
- burst error
- 物欲の塊の男
- ベドウィン村
- 米国防省
- プリン
- メッセンジャーRNA
- マーブル
- 望月生物学研究所
- モーニングステーキ
- 有機ヒューマノイド
- イベントコンパニオン
- イルカの脳は2キロ
- <LOST ONE>
- ホテル・ルカンシェ
- コジ・ロー
場所・施設
物語冒頭、桐野杏子が買い物中に1階の爆発に巻き込まれる港湾都市のシンボル的高層複合ビル。50階から上の階はアルタイル・コーポレーションのオフィス。パソコン展示会場・ブティック・最上階のオフィスがすべてこのタワー内にある。
- 真相
- 冒頭の爆発事件の真犯人は、内調エージェント見城の「出来心の手製爆弾」だった。後にこの事実が見城自身の罪悪感を炙り出す核心となる。
「水族館を管理しながら研究所を運営している」大型水族館。地下に望月生物学研究所がある。綾乃のイルカ「マーブル」やセキュリティシステムなど序盤の中心舞台。終盤、水族館も爆発の被害を受け、望月所長の遺体が発見される。
ジェネシス・シー・ワールド水族館の地下にある研究所。所長は望月。「秘密の多い機関」と評され、瀬野尾事件の中心地となる。
- 真相
- アルタイル・コーポレーションが資金提供する<ADD>研究の拠点。桜把の手で人工ウイルス<LOST ONE>が同梱されていた。終盤、爆発後の水族館から望月所長の遺体が発見される。
「倉庫を改造してある」男所帯っぽい小規模事務所。所長は天城小次郎、所員は氷室。表向きは「浮気調査に行方不明の文鳥探し」で生計を立てる。
- 真相
- 裏ではパスポート偽造などもこなす。まりなが杏子をエルディアへ送り出すための中継地点として機能する。
見城が常連にしているカフェ。マイナのバイト先。見城POVの安らぎの空間にして情報収集の場で、ここでモニカとマイナがエルディア絡みで合流し、見城が「エルディア/前国王/記憶」の手がかりを得る。
「中東。小さな国だし、石油もでないから、聞いたことないのはムリない」と評される架空の小国。物語後半の主な舞台。
- 真相
- 旧作『burst error』の舞台にして、前国王の意識回路移植実験<EVE>の発祥地。過激な民族主義派閥バスキーヤ派と、女王プリシアの対立構造を抱える。
エルディア下町の古い宿屋。女主人はルカ。杏子と雄二のエルディアでの拠点となる。
- 真相
- 女主人ルカはバスキーヤ派の信者だが、駆け落ちカップルを装う杏子と雄二を匿う。隣室の客マイナがプリシアと繋がる重要な接点になる。
エルディアの街外れにある小村。「バスキーヤ派ではありませんから、小さくてさびれている」小さな教会がある。プリシアと杏子が落ち合う場所。
- 真相
- <EVE>覚醒儀式と<ADD>解放宣言の舞台。後にモニカが<EVE>の棺を抱えてこの村を通り、砂漠へ向かう。
エルディア王宮で<EVE>の棺が安置されていた部屋。王宮内部章の中心的場所。
- 真相
- 終盤、プリシアが「私は空になった安置室の<EVE>の棺に、服を脱いで入りました」と告白する、身代わりトリックの現場。「眠りを妨げるな」というモニカの台詞が、その時棺の中身を隠していた伏線となる。
物語ラストの砂漠の村。「イ……ブ……?」と村人が短く反応する場面のみ本編に登場する。
- 真相
- モニカが力尽き、<EVE>の棺と共に絶命した終着点。杏子と雄二がワクチンを合成する最終地点でもある。
組織・勢力
桐野杏子と見城が所属する日本の情報機関。「我が内閣調査室の調査官だ」と本部長が誇る役所。見習い調査官の杏子が本作冒頭で任務に就く。
- 詳細
- 終盤、内部の<ADD>情報がアメリカ経由で流れ込んでいた構図に、本部長自身が「どうしてアメリカのほうが、日本の我々よりも先につかんでいるのかな」と疑念を呈する。
ワールドインポートタワーの50階以上を占める複合企業。社長の座を経営にうとい社長夫人が継いでから株価も下がり、取引銀行も遠巻きにし始めている。
- 真相
- 望月生物学研究所への資金提供元。桜把=アドニスが社長(雄二・玲奈の母)を介して実権を握り、<ADD>の権利を取りに行こうとしていた。
アメリカ国防省。モニカ・セレッティの表向きの所属機関。中盤、杏子の任務を強引に打ち切る勢力として登場する。
- 真相
- モニカの実態はプリシア女王の幼馴染で、彼女を守る個人的協力者。米国防省という地位を、対プリシア工作を隠れ蓑にする形で利用していた。
エルディア国内の「過激な民族主義を唱える」宗教界の大御所派閥。「この国の三分の一はバスキーヤ派」と言われる規模を持つ。
- 真相
- 代表のロメオス大司教がプリシア女王の暗殺を企てる反女王勢力。ホテル・ルカンシェの女主人ルカもこの派の信者である。
見城のもとに「例の爆弾情報だけど、流したのはアメリカの男だし、使ったのはテキサスの小学生だけど」などのメールを送ってくる、顔の見えない仲間達。「未知の物を手に入れた気分」を共有する文化圏の象徴で、見城の精神的背景を示すサブ要素として機能する。
用語・概念
法条まりなが杏子に明かす「エルディアの王宮で眠り続ける」存在。本作のすべての要素の結節点となる謎。
- 真相
- 御堂真弥子のクローン体に前国王の意識回路を移植した有機ヒューマノイド。プリシアの遺伝コピーでもある。本作で覚醒し、終盤プリシアの身代わりとして死亡。そのクローン組織が<LOST ONE>ワクチン製造の唯一の鍵となる。
- 結節点
- <ADD>・「記憶」・プリシアの生死・モニカの砂漠行・終盤のワクチン、すべてが<EVE>へ収束する。
「人間の免疫機能を高める新薬。商品化できればかなり画期的なもの」と説明される開発計画。桜把・望月研究所・アルタイル社の表向きの開発目標。
- 真相
- もともとエルディア前国王が開発していた研究。「あの研究の最後の部分だけはデータに入っていなかった。前国王の記憶のなかにだけ入っていた」とされ、完成には<EVE>覚醒が必須。桜把はその中に<LOST ONE>ウイルスを密かに同梱していた。
終盤、氷室の解析で初登場する脅威。タイトル『The Lost One』の由来。
- 真相
- 人工的に設計された殺戮ウイルス。感染後5日で死亡、5つのコピーがそれぞれ遺伝配列を変えながら自己複製し、通常の抗体製造では追いつかない。桜把(アドニス)が<ADD>データに同梱し、インターネット経由で世界中に解放した。終盤のパンデミックを引き起こす本作の真の脅威。
望月所長と桜把の密談で「“あれ”」と呼ばれる正体不明の品。物語全体を駆動する最重要マクガフィン。
- 真相
- <EVE>の脳に移植された前国王の記憶回路を強制的に覚醒させる薬品。「みんなが<EVE>を求め、<EVE>の中の前国王の記憶をよびさまそうとしている。そのために“記憶”を探している」のが事件の構造。物理的には「茶色の小瓶」として存在する。
<EVE>の本体構造そのものを指す技術。中盤のまりなの大ブリーフィングで提示される。
- 詳細
- クローン体に意識回路を後付けで移植し、記憶ごと別人格として運用する技術。「彼女のボディは記憶を後から抽入されたために、しだいに壊れていってしまった」と、その短命さも合わせて語られる。
まりなが語る<EVE>の成り立ち、「ある女性のクローンをつくって、そのボディに自分の記憶回路を移植させた」の核となる肉体。
- 真相
- 終盤、「あのウイルスはただ1つ……クローンのボディにだけは作用しないことがわかった」と明かされ、<LOST ONE>ワクチン製造における人類救済の唯一の手がかりとなる。
マイナが提案する<LOST ONE>ワクチンの基幹技術。「光っている部分のDNAと相性のいいDNAを、こちらで人工的に組み合わせてつくる」手法で、メッセンジャーRNAの遺伝情報をせきとめる役を果たす。<EVE>から取り出した制御機能のないDNAを組み替えて製造する。
「カプセルをつくる役目を果たすもの」とマイナが説明するウイルスの組成。<LOST ONE>は中身の部分を変化させて抗体を翻弄しながら増殖するが、メッセンジャーRNAの遺伝情報だけは変わらない。この不変点がアンチセンスDNAの標的となり、ワクチン製造原理の中核を成す。
「通常の人間のボディには制御機能というものがある」とマイナが説く、人体の能力を出し惜しみする機構。<EVE>のボディはこれが欠如しているため、急成長と短命を引き受けている。終盤のワクチン製造原理の説明でも中心的役割を担う。
エルディアのかつての専制君主。「専制君主制ですごく遅れた政治体制」の象徴として語られる。
- 真相
- 自分の意識回路をクローン体に移植して延命を図ったが、人格そのものは「5年前の死と同時に、地上から消えた」とプリシアが宣言する。マイナの家族を内戦で奪った圧政者でもあり、<EVE>・<ADD>・「前国王の記憶は生きている」という噂、すべての源泉となる。
雄二と見城(スネィク)が用いる主要な調査・攻撃手段。雄二は「杏子さんのデータと、死んだ瀬野尾靖夫のデータを入れ替えた」と説明する。終盤は警察データベース・セキュリティ会社の録画データ・政府データバンクへの侵入に多用され、真相究明を支える両刃の技術として描かれる。
望月生物学研究所の入り口に設置された「指紋で人を判別する」認証システム。雄二がハッキングで指紋データを瀬野尾と杏子で入れ替えることで突破され、杏子の単独立ち入りを可能にする手段となる。
杏子が語る法条まりなの内調エージェント時代の任務成功率。「まりな先輩の達成率は99.9%」というまりなの強キャラ性を示す数値であり、同時に残り0.1%の傷を浮かび上がらせる表現でもある。
まりな本人の自己言及「残りの0.1%ってわけよ。あの事件が……」。
- 真相
- 御堂真弥子の護衛失敗=<EVE>化を許してしまった唯一の任務。本作で真弥子の最期に立ち会うことなく、まりなは「眠り続けていてほしかった」と願いながら本部に居続けるしかなかった。
ダンスホール奥の控室でマイナが「床に転がって寝てる人がいて……」と遭遇する人物。
- 真相
- <LOST ONE>感染による最初の死亡者。後に再訪したとき遺体は消え、すでに片付けられていた。パンデミックがすでに始まっていることを杏子に確信させる伏線となる。
モニカが見城に対し王宮安置室で告げる「眠りを妨げるのはよくないぞ」という台詞。
- 真相
- その時棺の中にいたのは<EVE>ではなくプリシア女王本人だったというトリックの伏線。「あのときすでに、棺の中には<EVE>ではなく……プリシアが……」と終盤の真相告白で何度も振り返られる重要台詞。
ホテル・ルカンシェの女主人ルカが杏子と雄二に押し付けた偽装設定。「逃避行なんてしゃれてる」という勢いの設定だが、終盤、追っ手から「日本人の2人組」を探されることになる隠れ蓑としても機能する。
綾乃が日本のイルカ缶詰文化を批判する文脈で持ち出す「アメリカではとっくに海棲ほ乳類保護法が制定されてる」という法律。綾乃のキャラクター描写の一要素として機能する。
綾乃の力説「ホントに賢いんだってば。だって、イルカの脳は2キロもあるのよ」。マーブルを溺愛する綾乃のキャラクター描写を支える小ネタ。
雄二が杏子を機械音痴と評する決まり文句。「CDとCD-ROMの区別もつかない人間に自分の運命を託すなんて、恐くて」。杏子の機械音痴ぶりと、それでも雄二が同行を申し出る逆説を成立させる。
鈴田夏海が爆発事件について発する一言「卑劣だわ」。
- 真相
- 見城がハッキング映像でこれを聞き「卑劣? オレが卑劣?」と自問するきっかけとなる、自身への評価。手製爆弾を仕掛けた張本人である見城の罪悪感を炙り出すキーワードとなる。
ワールドインポートタワーのパソコン展示会で鈴田夏海が務める役割。「こういうところって男の人ばっかりだから」と本人が言う、夏海と杏子の出会いの場の設定。
旧作タイトル。本作中で明示的に作品名は出ないが、まりな・天城小次郎・氷室・プリシア(プリン時代)・御堂真弥子の関係性として旧作の文脈が引用される。
- 詳細
- 本作はその数年後を描くスピンオフ。「小次郎はね、女王の初恋の相手なのよ」「真弥子ちゃんはいま、エルディアの王宮で眠り続けている」といった台詞が、旧作既プレイ層への内輪ネタとして、また真弥子=<EVE>のバックボーンとして作用する。
アイテム・道具
瀬野尾が殺される前に夏海に託した小さな瓶。「ちょっとした文房具みたいなもの」を装って手渡された。
- 真相
- <EVE>を覚醒させる特殊な薬品「記憶」の物理的形態。「エルディアの王宮で眠り続ける<EVE>を覚醒させる、特殊な薬品」であり、桜把・アメリカ・内調・見城=スネィクが奪い合うマクガフィンとなる。
「普通の目覚まし時計を使うから『ハラハラ時計』」と通称された、学生運動家向けの本に載っていた手製爆弾のレシピ。
- 真相
- 見城が「未知の物」と信じて作った爆弾は、実は赤軍派時代に学生運動家が使っていた古いレシピだったという落胆を見城に与える。見城が自分の犯行へのモチベーションを失う重要な精神的転機となる挿話。
綾乃の最愛のイシイルカ。頭が水玉模様で、「水族館ではめったに見れない種類」。
- 詳細
- 終盤、雄二と綾乃が「マーブル、水族館でピストルを撃った犯人を見てるんでしょ。どんな人だった?」と問いかけ、銃撃の犯人を特定する手がかりとなる。シリアスな捜査線にイルカが介在するシュールな繋ぎ。
人物・呼称
アドニスが見城に呼びかける呼称。「ス、ス、ス、スネィク スネィクになるんだ」と連呼される。
- 真相
- 「楽園の果実を渡した蛇」の引用通り、爆弾レシピを実行に移してしまった見城を、罪を後ろ盾に支配するためにアドニス(桜把)が押し付けた名前。
ボイスメールで自称する「僕のハンドルネームは、A……DONIS」。
- 真相
- 桜把の裏の顔。インターネット上の脅迫や<LOST ONE>のばら撒きを実行する人格で、見城に「スネィク」の名を押し付けた張本人。
天城小次郎がプリシアに伝言を頼む際の言いさし「向こうについたらプリン……いや、プリシア女王に、よろしく伝えてくれ」。
- 真相
- プリシア女王が「ほんの数日間だけ」名乗っていた、ただの女のコ時代の呼び名。プリシアの「もう一つの素顔」を示すキーワードとなる。
プリシアによる解説「“コジ・ロー”とはエルディア語で牛糞のことなんです」。杏子が「小次郎の知り合い」と伝えた時のマイナの困惑反応の理由であり、旧作主人公の名を異国の言葉でずらすコメディ要素。
まりなが見城につけたあだ名。「朝っぱらからステーキをたいらげるの。それがこの体のヒ・ミ・ツ」。本人は後に「血のしたたるレアはダメ」と暴露し、あだ名の根拠そのものが怪しくなる、見城の体格を笑い飛ばすジョーク。
パソコン展示会で見城に話しかけてくる男。「オレは物欲の塊だ! ここにあるものみんな欲しくて欲しくて……ねえ、買ってくれない?」とせがむ。物語進行には絡まない、見城POVの日常パートに彩りを添えるコメディリリーフ。
杏子の物語終幕の独白。
- 真相
- 氷室・見城との約束を抱え、<LOST ONE>に感染したまま日本へ戻る決意の最終形。作品全体を締めくくる最後の発話となる。