用語集 — 晴れのち胸さわぎ
『晴れのち胸さわぎ』の固有設定用語を解説します。▼ネタバレ詳細を含む項目はアコーディオン内に格納されています。タグをクリックするとカテゴリを絞り込めます。読みは作中でふりがなや音写が示された語だけを添えました。
舶用神社が奉る二柱の龍。紅龍と蒼龍のことで、正面から争えば町ごと消し飛ぶ力を持つ。
- 序盤での意味
- 舶用神社が奉る神。月美は「龍神様の使い」としてタマタマを説明し、かずひこは「不定形生物で、舶用神社の奉る神様のシモベらしいぞ」と受け売りする。この時点では土地の信仰の対象という以上の説明は無い。
- 真相・詳しい意味
- 実在する二柱の龍で、紅龍と蒼龍の夫婦である。数千年前は舶用町の地にあった二つの湖にそれぞれ住んでいた。かなめ夫人は「龍神様の力は強大です。龍玉の無い姿でさえも、この舶用町を壊滅させる事はたやすい事でしょう」と述べる。人の営みを一撃で消し得る存在として一貫して描かれる。
- 作中での使用
- かなめ夫人が語る社の縁起の主役。終盤では蒼龍自身がかずひこの体内から口を利き、龍神が単なる伝承ではないことが実演される。二龍が正面から全力で戦えば「この辺りのヒトの営みは全て消滅してしまう」ため、蒼龍は紅龍から逃げ回っていた。
二柱の龍神の一方で、蒼龍の妻。夫の不貞に激怒して人間を滅ぼしかけた過去を持つ。紅涼子として人の世に現れる。
- 序盤での意味
- 名前だけが神話の中で挙げられる二柱の一方。かなめ夫人の縁起では「いつしか2つの龍神様は相争い始め」としか語られず、争いの理由も、どちらに非があったかも示されない。蒼龍は序盤から「紅龍の目がドコで光ってるのかも判らんのに、出る訳にはいかん」と怯えており、追う側の恐ろしい存在として提示される。
- 真相・詳しい意味
- 蒼龍の妻である。「私こと紅龍と、その蒼龍は、数千年前にお互いに惹かれあい、契りを結んで夫婦になったの」。人間が二龍を神と崇め始めてから蒼龍が変わり、人間に処女の娘を求めて不貞を重ねたため、紅龍は激怒して人間を絶滅させようとした。すなわち神話の「争い」の原因は蒼龍の不貞であり、紅龍は被害を受けた側である。 蒼龍を追い回していたのも封印のためではなく、浮気の詰問である。
- 作中での使用
- 人の姿では紅涼子として現れ、終盤には千尋の身体を乗っ取る。すべてが決した後、紅玉から涼子の声で語りかけ「あやまるくらいなら逃げないで。迷惑なんだから‥‥」と蒼龍を叱り、そのうえで「まぁいいわ。久しぶりにいいもの見られたし‥‥許してあげる」と赦す。千尋は「くす‥‥ホントは仲がいいのね‥‥紅龍と蒼龍って‥‥☻」と評する。
二柱の龍神の一方で、紅龍の夫。不貞を繰り返した当人であり、いまはかずひこの体内に潜んでいる。
- 序盤での意味
- 神棚の青い玉から声だけを発する存在。「我が名は蒼龍‥‥」と繰り返すのみで、かずひこは面白がって手を触れたり離したりして遊ぶ。
- 真相・詳しい意味
- 紅龍の夫であり、神話の争いを招いた当人である。人間に崇められるうちに「願いを叶えるから」と言って人間に処女の娘を求めるようになった。盟約で不貞を禁じられた後も「数百年に一度、精神体ダケで封印から抜け出し、人間に乗り移る事で浮気してた」。しかも「舶用の巫女は代替わりしてすっかり蒼龍の妾になってた」。 かずひこの体内にいるのは、この「精神体で抜け出して憑依する」習性そのものによる。
- 作中での使用
- 紅龍に追われて天を駆けていた折、たまたま波長が似ていたかずひこが神木に登っていたため、そこへ入り込んで隠れた。その落雷が御神木を二つに裂けさせた出来事である。以後かずひこの身体を勝手に動かして女性に触れようとし、そのたびに殴られるのはかずひこという構図が繰り返される。終盤にはかなめ夫人の祝詞でかずひこから抜け、蒼玉へ戻る。
蒼龍を崇めるときの呼び名。巫女の拝詞に現れ、蒼玉へ魂を戻す祝詞でも名指しされる。
- 序盤での意味
- 拝詞に出てくる神名。月美が玉串を振って唱える「掛けまくもかしこき津安留迂神、府安留迂神の大前に恐み恐みも白さく」の一句として、意味の説明なしに繰り返される。
- 真相・詳しい意味
- 蒼龍を崇めるときの呼び名である。かなめ夫人が「名前を、紅龍様を“ファンルー”、蒼龍様を“ツァンルー”と呼びました。私達は津安留迂神、府安留迂神と崇めております」と明言し、さらに終盤の祝詞が「津安留迂神の御霊を、御身蒼玉の龍へ戻さんと恐み恐みも白さく‥‥‥‥!!」と両者を直結させる。すなわち 津安留迂神=蒼玉の龍=蒼龍=ツァンルー。音写の対応(ツァンルー→津安留迂)とも整合する。
- 作中での使用
- 巫女が神の力を借りるときの定型句に必ず対で現れる。単独で現れるのはかなめ夫人が儀式に入るときの詞と、蒼龍をかずひこから蒼玉へ戻す祝詞で、いずれも蒼龍に限って呼びかける場面である。この使い分けが同一性の裏づけになっている。
紅龍を崇めるときの呼び名。津安留迂神と対で唱えられ、二柱そろえて招くのが舶用の作法。
- 序盤での意味
- 津安留迂神と対で唱えられる神名。7件すべてが拝詞・浄化の詞の中にある。
- 真相・詳しい意味
- 紅龍を崇めるときの呼び名。 根拠は津安留迂神と同じく の対応表明と、音写の対応(ファンルー→府安留迂)である。 続編の用語集はこの2神を「日宮の巫女が拝詞で招く神」とだけ記して紅龍・蒼龍との関係を確定できていない。本作が両者の同一性を明言している。
- 作中での使用
- 単独で現れる例は無く、常に津安留迂神と対で唱えられる。二柱そろえて招くのが舶用の作法であることが、詞の形からわかる。
かなめ夫人が語る社の縁起。争う二龍を巫女が祈りで鎮めたとするが、これは整えられた版で真相ではない。 - 続編との齟齬: 続編の用語集は、巫女が二龍を仲裁する際に時之龍の力を借りたと説明する。しかし本作の神話では巫女は祈りだけで鎮めており、時之龍は全文検索で0件である。続編による書き換えである。
- 序盤での意味
- かなめ夫人が語る、社と町の成り立ち。数千年前の舶用町は巨大な沼地で、その中の二つの美しい湖にそれぞれ龍神が住んでいた。二龍がいつしか争い始め、湖は一夜で消え、沼地も枯れ、永遠に続くかのような嵐が起きた。人々は成す術もなかったが、天から選ばれし巫女が現れ、純真無垢な祈りを捧げると龍神は我を取り戻して地の底へ潜った。跡には巨大な荒れ地だけが残り、巫女はこの地に留まって龍神に仕え、人々を導いた。それが「私と月美さんの先祖、舶用神社の始祖」である。
- 真相・詳しい意味
- これは縁起として整えられた版であり、真相ではない。 二龍が夫婦であったこと、争いの原因が蒼龍の不貞であったこと、紅龍が人間を絶滅させようとしたこと、巫女が果たしたのが「祈り」ではなく盟約の提案という仲介であったこと、その後も蒼龍の不貞が続き舶用の巫女が蒼龍の妾となっていたことは、いずれもこの版から抜け落ちている。
- 作中での使用
- かずひこが「難しいよォォ〜〜ッ」と遮ったため、かなめ夫人は「では、要点を簡単にお話ししましょう」と要約版に切り替えて語る。縁起を要約で聞かされるという形自体が、後に真相が覆すことの伏線になっている。聞き終えた博子は「だからこの神社の宮司は巫女で女系家族なワケね」と受け止める。
二龍が交わした取り決め。身体を三つに分かち、龍力は共同管理し、蒼龍は不貞をしないと誓った。 - 続編との齟齬: 続編は仲裁に時之龍が関与したとするが、本作の盟約に第三の龍は出てこない。 仲介者は舶用の祖先巫女ただ一人である。
- 序盤での意味
- 龍玉の由来を説明する語として、蒼龍の口から一度だけ出る。「龍玉は龍神が地に封印される時、盟約により互いの身体と能力のほとんどを龍玉として精神と分離したモノだと言う」。この時点では封印にともなう技術的な取り決めとしか読めない。
- 真相・詳しい意味
- 紅龍が人間を絶滅させようとしたとき、舶用の祖先巫女が「強い盟約」を結ぶことを提案したのが起こりである。内容は「身体を3つに分かち、身体は舶用巫女が預かり、龍力は互いが共に管理し、二度と浮気をしないと蒼龍は誓う」。 この「身体を3つに分かつ」が三つの玉(龍玉=紅玉・蒼玉)と龍神の三要素の由来である。 すなわち盟約は封印の副産物ではなく、人類滅亡を止めるための取引であり、その中身は蒼龍への不貞禁止の誓約である。 ただし蒼龍は数百年に一度、精神体で抜け出して破り続けていた。
- 作中での使用
- もうひとつ、龍神と巫女の間にも同じ語が使われる。儀式の騎乗位の最中、蒼龍が唱える「汝の御魂を振りて我の御魂を受け入れよ。されば汝の中に全ての理を授けよう。コレが我と巫女の盟約なり」である。二龍どうしの盟約と龍神と巫女の盟約は別物であり、作中では同じ語で両方を呼ぶ。後者は性交そのものが盟約の執行である。珠美も「眠りにつく時の盟約に従ったばかりにね★」と、龍神の三分割を盟約に帰している。
龍神を地に鎮める処置。精神体だけは抜け出せる抜け穴があり、記憶を閉ざす術にも同じ語が使われる。
- 序盤での意味
- 神話では龍神が「この地の底に潜ってゆきました」と表現されるだけで、封印という語は当てられない。語として出るのは、かなめ夫人が「紅龍様、蒼龍様、2つの龍神様の魂をそろえて封印しなければ、いつ暴れ始めるか判りません」と述べる場面から。
- 真相・詳しい意味
- 二龍を地に鎮める処置であり、盟約とセットで行われた。封印下でも精神体だけは抜け出せるという抜け穴があり、蒼龍はそれを使い続けていた。ゆえに封印は完全な拘束ではなく、龍力を龍玉として取り上げることで実効性を持たせている構造である。
- 作中での使用
- 物語の目的そのもの。「では早速紅龍様を儀式で探し出し、封印しましょう蒼龍様」が儀式を行う理由になる。 もうひとつ、記憶に対しても同じ語が使われる。 蒼龍は「万が一この男が我の事を喋り回らないよう、念のために今日までの記憶を封印するとするか」「我がまた再び蒼玉を手にする時、記憶は蘇ろう」と述べ、かずひこの2日間の記憶を閉ざす。物語の中盤で記憶が戻るのは、この条件が満たされたためである。結末では二龍そろって封印へ帰り、紅龍が「そのかわり、封印に帰ったら‥‥ね」と含みを持たせる。
盟約で龍神の精神から切り離された身体と力の器。紅玉と蒼玉の総称で、持つ者に龍の力を与える。
- 序盤での意味
- かなめ夫人が「龍神様の魂につられて地脈が揺らぐのは、龍玉の力でなんとか防げそうです」と口にする。社を守っている道具という顔で登場する。
- 真相・詳しい意味
- 盟約により龍神の精神から切り離された「身体と能力のほとんど」である。珠美の説明では龍神の三要素のうち「龍神の身体。物理的な存在で、龍神本体の感覚や物理的干渉能力の事よ。具体的に言えば、龍玉の事よッ★」にあたる。紅龍のものが紅玉、蒼龍のものが蒼玉で、両者の総称が龍玉である。
- 作中での使用
- 蒼龍は「幸いな事に偶然にも我は龍玉を手にする事が出来た。コレにより力の均衡が崩れた今、一気に紅龍を捜して封印できるぞッ★」と勝機を語る。一方で「龍玉を持つと人より気力が高すぎて、紅龍から丸見えになってしまい、先手をうたれる可能性がある」ため、常時携えるのは危険でもある。かずひこは首から提げて肌身離さぬよう命じられ、押絵に取り上げられて取り戻しに向かう展開もある。オオタマがかずひこの首を掴んで「龍玉を差し出せ」と要求したのもこれである。
蒼龍の龍玉。青い龍のペンダントの形をしており、かずひこが首から提げて持ち歩く。
- 序盤での意味
- 舶用神社の祭儀の間、神棚に置かれた青い龍のペンダント。触れると「我が名は蒼龍‥‥」という声が聞こえ、手を離すと止まる。
- 真相・詳しい意味
- 蒼龍の龍玉である。かなめ夫人の祝詞が「津安留迂神の御霊を、御身蒼玉の龍へ戻さん」と唱えることで、蒼玉が蒼龍の身体そのものであることが確定する。
- 作中での使用
- 台座に付いた鎖ごとかずひこの首に掛けられ、物語の大半を通じて彼が身に着けている。かなめ夫人は「もしも、蒼玉が紅龍様の手に落ちた場合、蒼龍様の御身も貴方様の御身も保証しかねます」と警告する。終盤、かずひこが手渡した蒼玉へ蒼龍の魂が戻り、彼は「長い間ご苦労様でした」と場から下がるよう告げられる。
紅龍の龍玉。舶用神社の結界に守られていたが奪われ、最後は千尋の手の中で紅龍の声を発する。
- 序盤での意味
- 蒼龍が紅龍の行動を推し量る文脈で初めて出る。「覚醒する為の鍵は霞に持たせておき、紅玉を捜させているのだろう」。つまり紅龍側が探している物として提示される。
- 真相・詳しい意味
- 紅龍の龍玉である。舶用神社の社に納められており、かなめ夫人は「紅龍様から紅玉を守る社の結界も、いつまで効果があるかわかりませんから‥‥」と述べる。結界は紅玉を守るためのものだった。終盤、紅玉は珠美の裏切りによって涼子から引きちぎられ、最後はタマタマが掛けているのを千尋が手に取ると精気が宿り、涼子の声で紅龍が語り出す。 - 二重の注意(両方を必ず併記すること): 紅玉は実在の語である。 上記のとおり紅龍の龍玉というアイテム名としてのみ現れる。 紅玉という名の人物は登場しない。 中身は地の文・かずひこの独白・効果音で、清水の台詞にまで付いている。アイテム名が話者として誤結合された結果と考えられる。
- 作中での使用
- 物語の最終盤、社に残るかなめ夫人が「私は大丈夫ですよ、蒼龍様もいらっしゃいますし、紅玉の結界もありますし」と言い残す。紅玉を守る結界であったものが、いつしか紅玉が張る結界として語られており、二龍の力が社の守りそのものになっていることがわかる。
かずひこが振るう龍神由来の力。三要素のうち「力」にあたり、物語中盤で珠美に奪われる。
- 序盤での意味
- かずひこがタマタマを消し飛ばせる、正体不明の力。本人も「オレの中にあるらしい龍の力でタマタマを浄化してるんだよ」としか説明できず、井闇に「では、龍の力とは一体なんだね。なぜキミにある☆ 家系かね☆ 本当にそんな力あるのかね☆」と追及されて答えに窮する。
- 真相・詳しい意味
- 龍神の三要素のうち「龍神の力。純粋なエネルギーで、全ての神のワザはコレで起こしてる超越した力」にあたる。かずひこが振るえるのは蒼龍が体内にいるためで、かなめ夫人は「かずひこ様の中にいらっしゃる龍神様の御力の一端です」と説明する。 物語の中盤で珠美に奪われ、以後かずひこは力を使えなくなる。「そのうちの龍神の力を頂いたの。はっきり言って、かずひこの中にいる蒼龍はすでに神でもなんでもないわ」。
- 作中での使用
- 出るか出ないかが安定せず、肝心な場面で不発になるのが基本形である。オオタマ戦では「やっぱり龍の力が効かないッ!?」と空振りし、オオタマからも「人間を通して出す弱々しい力など、我には無力。姉妹達なら別だがね‥‥」と一蹴される。逆にかなめ夫人は、かずひこが自分の意志で力を出せたことを「貴方の中にある龍の力が、貴方の意志の力で出せたワケですから。これほど嬉しい事はありません☻」と喜ぶ。力そのものより、誰のために出そうとしたかを問うという扱いになっている。
人にも龍にも宿る生命の力。憑依や変化の燃料になり、奪われると巫女は御祓いもできなくなる。
- 序盤での意味
- 月美が急に元気を失った理由を説明する語として現れる。かなめ夫人は「精神支配ですね。‥‥極度に気力が下がってたのはそういう事だったのですか」と見抜く。
- 真相・詳しい意味
- 人にも龍にも霞にも共通する生命の力であり、本作の超常現象はすべてこれを燃料にしている。①紅龍が人の姿を保つには宿主の気力を消耗する。「更に身体の持ち主の気力を消耗するので、千尋嬢に気力が満ちている時でなければ無理だ」。②龍玉を持つと「人より気力が高すぎて、紅龍から丸見えになってしまう」。③紅龍は月美から気力を吸って姿を維持していた。「日宮の巫女の気力を奪うか‥‥それなら2日連続出現したのもうなずけるな」。④珠美も気力を蓄えることを目的として明言する。
- 作中での使用
- 巫女の力量そのものを測る尺度でもある。かなめ夫人は月美に「自分の御力は龍神様の手を煩わせず、自分で修行して回復するようにして下さいね☆」と厳しく命じ、のちには外出を禁じて禊と鎮魂を課す。気力の増減が、力を使えるか使えないかを決める。
盟約で分けられた龍神の構成。意識・力・身体の三つで、身体にあたるのが龍玉である。
- 序盤での意味
- 語としては存在しない。龍玉が「身体と能力のほとんどを精神と分離したモノ」であるという蒼龍の一言だけが伏線になっている。
- 真相・詳しい意味
- 珠美が高笑いしながら整理してみせる。「龍神様はね、3つの要素に身体を分けてるんだよ。知ってる☆ 眠りにつく時の盟約に従ったばかりにね★」 1. 龍神の意識 — 「他の2つの要素を統合する基本的な存在」。かずひこの体内で眠っていた蒼龍がこれ。 2. 龍神の力 — 「純粋なエネルギーで、全ての神のワザはコレで起こしてる超越した力」。かずひこがまぐれで使っていたもの。 3. 龍神の身体 — 「物理的な存在で、龍神本体の感覚や物理的干渉能力の事」。すなわち龍玉。
- 作中での使用
- この整理が示された直後、珠美は「そのうちの龍神の力を頂いたの」と宣言し、かずひこは以後まったく力を使えなくなる。 「身体を3つに分かつ」という盟約の文言と、この三要素の内訳は同じ事柄の裏表である。 敵の目的(二龍の力の簒奪)が具体的に何を集めることなのかも、ここで確定する。
龍神が人の内に潜んだり身体を乗っ取ったりすること。蒼龍は潜むだけ、紅龍は姿ごと変える。
- 序盤での意味
- 月美が涼子について進言する場面で語として出る。「かなめ叔母様。紅龍様が憑依していらっしゃる御人に、私、心当たりがありますぅ」。
- 真相・詳しい意味
- 二龍がそれぞれ違う形で人に入り込んでおり、その差が筋の仕掛けになっている。蒼龍は「たまたま波長が似ていた」かずひこの内に潜むだけで、身体は借りるが乗っ取らない。時おり勝手に手足を動かし、かずひこに「オレの身体を勝手に動かすなっての〜〜ッ!!」と抗議される。紅龍は「入り込んだ人間を完全に乗っ取って、更に姿を変えている」。そのため紅涼子という人物は「御姿を含めてこの世に存在してません」。乗っ取りは宿主の気力を大きく消費するため「短時間でないとその人間の命に関る」。
- 作中での使用
- 蒼龍が隠れているから紅龍に見つからない、紅龍も人の中にいるから見つけられない、という相互の隠れんぼが物語の骨格になる。「完全に眠ると人間の波長の方にかくれてしまい、見つけられないのだ。我がこの男の中にいると奴から見えないようにな」。終盤には紅龍が千尋の身体に移り、蒼龍が「紅龍の乗っ取った身体が千尋嬢に違いないぞ」と気づく。
龍玉の力で社に張る守り。紅龍を近づけず、社に納めた紅玉を守るために設けられる。
- 序盤での意味
- 蒼龍の指示として現れる。「あと、この社に紅龍が入って来れないよう、龍玉を使って結界を張るのだ」。かなめ夫人は「わかりました。紅龍様をこの社に近づけないようにしておきましょう」と応じる。
- 真相・詳しい意味
- 単に紅龍を締め出す囲いではなく、社に納めた紅玉を守るための守りである。終盤にはかなめ夫人自身が「私は結界を作らねばいけないので、あまりお話は出来ませんよ☆」と作業にかかり、「結界があると言えども、安心は出来ませんので‥‥命を賭ける事になるでしょう」と覚悟を口にする。
- 作中での使用
- かなめ夫人がかずひこを社から遠ざける理由になる。「舶用神社の者ではない者を巻き込みたくない‥‥と、解釈して結構です、かずひこ様」。守る側の覚悟を示す装置として使われている。
龍神の魂を宿している間のかずひこの立場。儀式では「出しても御子ではない」と中出しを正当化する語でもある。
- 序盤での意味
- 語として現れるのは2箇所のみで、いずれも儀式の場面。
- 真相・詳しい意味
- 龍神の魂を宿している間のかずひこの立場を指す。かなめ夫人は儀式の性交中、膣内射精を求めたあと「貴方は今は、蒼龍様の御神体なのです‥‥。ですから出しても貴方の御子ではありません」と告げる。人が一時的に神の器として扱われる、という社の考え方が、中出しの正当化としても使われる語である。
- 作中での使用
- かずひこがなぜ月美から「御主人様」と呼ばれ、かなめ夫人から「かずひこ様」と敬称で呼ばれ続けるのか、その理屈をひとことで説明する語になっている。呼称の全体系がここに接続している。
蒼龍がかずひこに施した処置。再び蒼玉に触れると解け、失われた二日間の記憶が戻る。
- 序盤での意味
- かずひこは物語の開始時点で、蒼龍と初めて会った2日間の記憶を失っている。 本人にその自覚はなく、「気がつくとみんな忘れてて、自分の部屋のベッドの上で千尋に殴られてたんだよなッ」と回想するのみ。
- 真相・詳しい意味
- 蒼龍が施した処置である。「万が一この男が我の事を喋り回らないよう、念のために今日までの記憶を封印するとするか」「心配するな。我がまた再び蒼玉を手にする時、記憶は蘇ろう」。
- 作中での使用
- かずひこが再び蒼玉に触れた瞬間に条件が満たされ、「5日前、月美ちゃんと初めて会った金曜日の夕方。オレはこの祭儀の間で蒼龍に会ったんだッ‥‥!!」と失われた記憶が一気に戻る。 本作の中盤の大きな種明かしは、この記憶封印の解除によって行われる。 読者にとっても「主人公はすでに真相の一部を知っていた」という構図の反転になる。
龍神の魂に引かれて揺らぐ土地の気。龍玉の力で押さえているが、応急処置にすぎない。 ---
- 序盤での意味
- かなめ夫人が儀式中に述べる一語。「龍神様の魂につられて地脈が揺らぐのは、龍玉の力でなんとか防げそうです」。
- 真相・詳しい意味
- 龍神が地の底に潜っているという神話と直結する概念で、龍の魂の動きが土地そのものを揺るがすことを示す。かなめ夫人はこれを「あくまで応急処置でしかありません」と述べ、二柱そろえて封印しなければならない理由につなげる。
- 作中での使用
- 「龍神様の力は強大です。龍玉の無い姿でさえも、この舶用町を壊滅させる事はたやすい事でしょう」という警告と対になる。
定まった実体を持たない生き物の総称。霞はその一種で、形を失っても死ではないとされる。
- 序盤での意味
- かなめ夫人がタマタマの正体を説明する一語。「この、かずひこ様方が“タマタマ”と呼ぶ生物は、魑魅〔スダマ〕の一種で、霞〔カスミ〕といいます」。
- 真相・詳しい意味
- 定まった実体を持たない生き物の総称である。かなめ夫人は「霞は魑魅ですから空気と同じです。近くならともかく、ココから見つけ出す事は不可能でしょう」、「霞は魑魅ですから形を失ってもそれは死では無いのです」と説明する。すなわち魑魅は肉体を持たないため、消滅も死ではなく「悪意持ち集まった固まりが、浄化されただけの事」となる。 敵役である珠美もこの種族である。 彼女は「私達魑魅の理想郷を作るのも悪くないかもッ★」と語り、人間と龍神の双方を消したうえでの魑魅の世を望む。
- 作中での使用
- 浄化の詞にも組み込まれている。「魑魅“タマタマ”の天津罪、国津罪を浄化し清浄な御霊にし給へーーーーっ!!」。魑魅であることが、消しても罪にならない根拠として機能している。
龍神様の使いとされる魑魅の一種。物を食べると分裂して増え、暴れる個体は祓いで神の元へ帰される。
- 序盤での意味
- タマタマの正式な呼び名。千尋が「カスミって‥‥仙人の食べ物の☆」と問い返し、かなめ夫人が肯定する。かなめ夫人は「今はこの姿で安定していますが、モノを食べて一定時間経つと自己増殖の為に分裂し始めます」「その分裂時に手にとり食すのが一番美味しいタイミングと伝えられてます」と、食用としての伝承まで語る。ただし「この舶用神社では神の使いとして崇めておりますので、食す事はないでしょう」。
- 真相・詳しい意味
- 龍神の使いであり、龍神と不可分の存在である。蒼龍は「あの霞は紅龍の嫉妬と破壊的衝動が作用して、性格が成り立ってるのであろう」と述べ、霞の気質そのものが紅龍の感情の影であることを示す。 紅龍は霞を使って紅玉を探させていた。 「覚醒する為の鍵は霞に持たせておき、紅玉を捜させているのだろう」。
- 作中での使用
- かなめ夫人は「元来は悪さをするような御子達じゃないハズなんです。なにか、大きな力で操られてるんでしょう‥‥」と述べ、暴れる霞を保護するよう依頼する。これが物語の初期の目的になる。かなめ夫人が手を触れて祓詞を唱えると霞は消えるが、「案ずる事はありません。カスミは元々実体は無いのですから。これは神の元に帰してあげただけの事です」と説明される。
鳴き声から取った霞の呼び名。丸くて何でも食べ、分裂のたびに近くの人の感情を写し取ってしまう。
- 序盤での意味
- 白く丸い生き物。かずひこ達が鳴き声「タマタマ〜〜ッ★」からそう呼ぶ。かずひこは「不定形生物で、舶用神社の奉る神様のシモベらしいぞ☆」と説明する。作中でくり返し呼ばれる、本作でもっとも耳にする語である。
- 真相・詳しい意味
- 霞〔カスミ〕の俗称である。手足が爪になっていてブヨブヨした感触で、無機物でも何でも食べる。暴れているのは本来の姿ではなく、分裂の際に近くにいた人の感情を写し取ってしまう性質による。御祓いを受けると「御祓いにより、悪しき呪縛から開放されたんですよっ。これが本来のタマタマの姿なんですぅ☻」と温厚に戻り、尻尾を振る。
- 作中での使用
- 本作の学園側の事件はすべてタマタマに帰着する。 下着泥棒は季桜の姿に化けたタマタマであり、根倉が正気を失ったのもタマタマを目撃したためである。かなめ夫人の依頼で生徒会が保護を引き受け、「タマタマは今回の事件のカギかもしれませんから、生徒会が責任持って保護しますッ★」と千尋が宣言する。捕らえた個体は舶用神社が引き取る。
悪しき自我が芽生えた霞。井闇の恨みに応えて現れた人型の巨体で、その正体は珠美である。
- 序盤での意味
- 会議室の壁を吹き飛ばして現れた、人型の巨体。「グレーの巨体が羽を動かす度に疾風が巻き起こる」。かずひこが「大っきなタマタマ‥‥オオタマってトコかァ☆」と名づけ、千秋が「せめてビッグ・タマタマにしといた方が、カッコイイと思うんだけどねぇ〜ッ」と対案を出し、千尋は「デカタマ」と呼ぶ。
- 真相・詳しい意味
- 悪しき自我が芽生えた霞である。蒼龍は「高度に成長した霞を追おうと思っておるが。邪悪に囚われ、自我が芽生え始めておる」と述べ、かなめ夫人は「一刻も早く悪しき自我が芽生えしオオタマ様を浄化し」と指示する。 その正体は珠美である。 根拠は三点。①オオタマが「人間を通して出す弱々しい力など、我には無力。姉妹達なら別だがね‥‥」と語り、珠美も「そういやそうね。姉妹達も喜ぶわ★」と同じ語を使う。②珠美の正体が露わになった際、かずひこが「耳と尻尾が変になってる以外は、そのまま珠美ちゃんなんだけど‥‥ドコかで見た事ある耳だなァ☆」と述べる。③かなめ夫人の「オオタマ様を浄化し」という命令が、珠美の浄化として果たされる。
- 作中での使用
- 呼び出したのは井闇である。 かずひこの退学動議が多数決で退けられた直後、彼は「神の使いか悪魔の使いか知らないが、僕のこのどうしようもない心の衝動を晴らしてくれると言うのかね‥‥!!」と語りかけ、「巨神よ★ 僕の願いは彼、早乙女かずひこの駆除だ★ 学校に来れない身体にしてやってくれたまえッ!!」と願う。月美は「井闇様の御主人様に対する恨みの思念が、この大きなタマタマを呼び出したんでしょうっ」と解する。しかし千尋と月美がかずひこをかばって前に立つと、オオタマは戦意を失って引き上げる。
霞の群れの元になる個体。珠美が自ら名乗る立場で、成長すると人間の姿を取れるようになる。
- 序盤での意味
- 語としては終盤まで現れない。
- 真相・詳しい意味
- 珠美が自ら名乗る立場。「私が霞の素体よ。昨日はまだ人間体に成長してなかったから、かずひこから龍の力を頂けなかったけどね」。群れの霞たちの元になる個体であり、成長すると人間体を取れるようになる。
- 作中での使用
- 珠美が「姉妹達も喜ぶわ★」と言うとき、彼女から分かれた霞たち全体を指している。 タマタマが町中に湧いていたことと、珠美が神社にいたことが、この一語で結び付く。
霞が増える仕組み。分裂の瞬間に近くにいた人の感情を写し取るため、事件の性質がそこで決まる。
- 序盤での意味
- かなめ夫人が霞の生態として説明する。「モノを食べて一定時間経つと自己増殖の為に分裂し始めます」。
- 真相・詳しい意味
- 本作の学園側の事件の真犯人はこの性質である。 かなめ夫人は「タマタマ様は分裂する際に、身近にいた人物の感情に大きく行動を影響される性質があるのです」と説明する。千秋は「インプリンティングとか‥‥そういうものなのかしらッ☆」と受け止める。したがって、 - 下着泥棒 — 「分裂した時、近くにその御人がいて、丁度女の子の下着の事を考えていたのでしょう」。無機物を食べるのは霞の習性なので、下着を食べたのもその延長である。 - 博子を襲った個体 — 「その女の子が下着を脱がされた時に、少なからず強姦を連想されたに違いありません」。 - 校内を荒らす個体 — 「学校を荒らす事を考えた者の意志で動いてる訳ね☆」。
- 作中での使用
- この説明によって、事件の犯人捜しは「誰が悪いか」ではなく「誰の心が写ったか」という問いに変わる。 霞そのものに悪意はない、というかなめ夫人の当初の主張が、ここで裏づけられる。
素体から分かれた霞たちの、互いの呼び方。オオタマと珠美が同じ語を使う点が同一性の証しになる。
- 真相・詳しい意味
- 素体から分かれた霞たちの、互いの呼び方。 オオタマと珠美が同じ語を使うことが、両者の同一性を示す手がかりになっている。
- 作中での使用
- 終盤、珠美が千尋を責める場に「タマタマの壁」を作らせる場面など、霞たちが珠美の指示で動く根拠になっている。
霞から採る液。儀式では性器に塗り、疲れを癒し勃起を保たせて連戦できるようにする。 ---
- 真相・詳しい意味
- 霞から採れる液。かなめ夫人は「これはカスミの液です。コレを塗ると、疲れを癒してくれます」「長時間不眠不休で儀式を行いますので‥‥でも、こうしておくと大丈夫ですから安心して下さい」と説明する。塗る対象は地の文どおり互いの性器である。効果は疲労回復に留まらず、射精後も「当分は萎える事はありません」と勃起が維持され、儀式が連戦できる理由になる。
- 作中での使用
- 神の使いである霞が、儀式の道具としても用いられる。霞が舶用神社の信仰体系に深く組み込まれていることの傍証になる。
舶用神社に仕える女系の役。龍神を奉り怒りを鎮める、いわゆる龍神様の花嫁の家系である。 - 続編との齟齬: 続編は巫女が二龍を仲裁する際に時之龍の力を借りたとするが、本作では祈りだけである。また本作の巫女は舶用の家系であり、日宮は月美の実家の名にとどまる。続編が日宮に与える時間にまつわる役割は本作に存在しない。
- 序盤での意味
- 月美の身分。かずひこは「巫女☆ この清楚可憐な女の子が舶用神社の巫女だってェ?」と驚く。月美は日々の勤めを「休日には境内を掃除したり、ヤシロの拭き掃除‥‥あとは、困った人の為に神様から神託を得て御伝えしたりしておりますぅ‥‥」と説明する。
- 真相・詳しい意味
- 舶用神社の巫女は女系で、宮司も巫女が務める。かなめ夫人は自らの家系をこう定義する。「私達の家系は龍神様を奉り、怒りを静める巫女の家系。龍神様の花嫁の家系とも言いましょうか☆」「血族を絶やさない為に夫を持つ事はあっても、心は龍神様ダケのものなのですよ」。かなめ夫人と校長(鮒紀)の関係もこれにあたる。 さらに紅龍の証言により、この家系が代替わりのうちに蒼龍の妾となっていたことが明かされる。神話で「純真無垢な祈り」を捧げたはずの巫女の家系が、実際には神との私的な関係に取り込まれていたという反転である。
- 作中での使用
- 月美は「私は巫女であり供物なのです、御主人様ぁ」と言い切り、自らの血を神託の代価にしようとする。かずひこがそれを止めることで、彼女は「私はもう2度と自分を賭して御神託を頂いたりいたしません」と誓う。 巫女という役目に人としての線を引き直させることが、月美をめぐる筋の中心にある。
舶用の巫女の家系を指す、かなめ夫人自身の言い方。夫は血筋のために取るが心は龍神のものとされる。
- 真相・詳しい意味
- かなめ夫人が自分たちの家系を説明するために使った言い方。月美が「じゃ‥‥あの方が、私の仕えるべき御主人様だったのですかぁ!?」と気づき、かなめ夫人が「平たく言えばそういう事ですね」と認める流れの中で出る。 月美が蒼龍の許嫁であること、かずひこを御主人様と呼ぶことは、すべてこの家系の性格から出ている。
- 作中での使用
- 婿は血筋を継ぐためにのみ取るという説明は、校長とかなめ夫人の関係にも当てはまる。それでいて結末では、倒れたかなめ夫人を校長が抱き起こして離さず、千尋が「校長って‥‥なんかいいわね。優しくて‥‥」と洩らす。家系の建前と、実際の夫婦の情が食い違って描かれている。
月美が蒼龍との間にあると言う関係。かずひこを御主人様と呼ぶのは、蒼龍が彼の内にいるためである。
- 序盤での意味
- 月美がかずひこを「御主人様」と呼ぶ理由として出す言葉。「それはですねぇ、御主人様が“許嫁〔いいなずけ〕”だからでございますぅ」。千尋は「0.5秒で本人が決める許嫁があるかぁぁーーッ★」と一蹴し、この時点では月美の思い込みか、かずひこの戯れ言にしか見えない。
- 真相・詳しい意味
- 月美は蒼龍の許嫁である。 彼女自身が儀式の場で「私は蒼龍様の許嫁ですぅ。ですから儀式は私が‥‥」と申し出る。かずひこを御主人様と呼ぶのは、その蒼龍が彼の体内にいるからである。すなわち呼称は最初から正しかったことになる。
- 作中での使用
- 儀式の実行者を決める場面で、かなめ夫人は月美の申し出を退ける。「初めての貴方には無理です。ここは熟練者に任せなさい。」。月美は「でも‥‥‥‥わかりましたぁ」と引き下がる。 実行者はかなめ夫人であり、月美ではない。 この点は記事化のさいに取り違えやすい。
月美がかずひこを呼ぶ語。彼の内に許嫁である蒼龍がいるためで、続編にも呼称だけが引き継がれる。
- 序盤での意味
- 月美がかずひこを呼ぶ語。本文で511件と、固有名詞を除けば最頻出の語である。初対面の翌日から使われ、千尋は「100歩譲ったって、御主人様なんて呼ぶ関係が、普通の関係だなんて信じないからネッ!」と反発する。
- 真相・詳しい意味
- かずひこの体内に蒼龍がいるためである。 月美が真相を知った瞬間の台詞が「じゃ‥‥あの方が、私の仕えるべき御主人様だったのですかぁ!?」。以後は蒼龍とかずひこを区別して「龍神様の御主人様と御主人様ですぅ☻」と呼び分ける場面もある。
- 作中での使用
- 月美の信条そのものを表す語でもある。「私は御主人様に仕える者。御主人様の御言葉は私の全てであり、‥‥私の命です。」。博子はこれを「“巫女の決意”って事で、さっきの言葉は使わせてもらうよッ☻」と新聞の見出しに借りる。 続編でもこの呼称は引き継がれるが、由来は説明されない。本作が唯一の説明である。
龍神の御魂を性交で招き、絶頂の中に紅龍の姿を見る神事。実行者はかなめ夫人。
- 序盤での意味
- 月美が神託を得るために行う神事。生徒会室でタライに水を張り、玉串を振り、祝詞を唱えるところまでが描かれる。この段階では失せ物や困りごとを神に問うための手段である。
- 真相・詳しい意味
- かなめ夫人が行う儀式は月美の神託とは別で、龍神の御魂を性交で身に招き、絶頂の中に紅龍の姿を見る神事である。場所は舶用神社の祭儀の間、実行者はかなめ夫人、相手は蒼龍を宿したかずひこ。手順は次のとおり。 1. カスミの液を互いの性器に塗る。長時間の連戦と勃起維持のための備え。 2. 拝詞を唱え、かなめが騎乗して挿入する。かなめは「今は何も言わずにただ儀式に集中しましょう」「SEXのセオリーはおわかりですよね」と、行為そのものが儀式だと明示する。 3. 蒼龍が盟約の文言を唱える。「汝の御魂を振りて我の御魂を受け入れよ。されば汝の中に全ての理を授けよう。コレが我と巫女の盟約なり」。 4. かなめが「中に、私の中に」と求め、膣内射精する。「出しても貴方の御子ではありません」。 5. 液の効果で萎えず連戦する。かなめは「子種ではなく、気そのものが放出されるようになった時が儀式も行いやすい」と、射精の先にある気の放出を本番と定義する。 6. かなめ自身の説明: 「こうして龍神様の御魂を身体に招き入れ無心に得た絶頂の中に、紅龍様の御姿を見つける事が出来るのです」。 初回は5日前の回想で、地の文は「2日もかかんないで、実はかなめサンが欲求不満だったダケ」と疑う。二度目は儀式を行った場合で「2時間ほどで終わりますよ」。鎖を首に掛けて再開し、気力のみにされた状態で突き上げたあと、かなめが「涼子‥‥紅涼子様なる人物はこの世にいません」と神託を告げる。 この神託と、紅涼子が紅龍の変身体であるという蒼龍の推論は、儀式を行う分岐にしか無い。 分岐Aで儀式を断ると、対応する記述は出ない。
- 作中での使用
- 実行者はかなめ夫人であり、月美ではない。 月美が「私は蒼龍様の許嫁ですぅ。ですから儀式は私が‥‥」と申し出たのに対し、かなめは「初めての貴方には無理です。ここは熟練者に任せなさい」と退ける。月美は入口で人払いを担当する。かずひこは二度目を「やっぱ、儀式はしないよ」と断れ、その場合は蒼玉を提げてタマタマを追う。 「儀式」の実体は性交である。 記事のネタバレ側ではこの対応を書く。非ネタバレでは月美の神託(血)と「龍神の御魂を招く」まで。
部外者に儀式の中身を明かさない呼び方。実体は性交で、博子の「エッチな儀式」という推測は当たっている。
- 序盤での意味
- 作中では序盤に出ない。二度目の儀式の直前で、博子が内容を探ったときに初めて使われる。
- 真相・詳しい意味
- 儀式の中身、つまり性交そのものを部外者に明かさないための呼び方。博子が「もしかしてエッチな儀式か何かかい☆」と当てに行くと、かなめ夫人が「博子様、その辺は秘儀ですので、御教えはできかねますが。」と遮る。博子は「ちぇ、巧いねぇかなめサンは。かずひこなら絶対喋ると思ったのにさッ☻」と引き下がる。 博子の推測は正しい。 秘儀という語は嘘ではなく、社の側が行為の名前を伏せるための語である。直後、博子と月美は下がらされ、祭儀の間で再儀式が始まる。
- 作中での使用
- かなめは博子(新聞部)に対してだけこの語で門を閉じる。かずひこ本人には「SEXのセオリー」とまで言う。 作中の秘匿と、調査資料での秘匿は別である。 記事の非ネタバレ側では、かなめが「秘儀」と遮った事実まで書いてよい。行為の中身はネタバレ側。
神から得られる告げ。月美は血を供え、かなめは性交の絶頂を媒体にする。手段は巫女で異なる。
- 序盤での意味
- 月美の仕事のひとつ。千尋は「神託って‥‥占いの様なモノなのよね☆」と理解しようとするが、月美は「神様にお伺いする訳ですから、占術のように統計や確率、直感で語る訳じゃないですよぉ」と否定する。
- 真相・詳しい意味
- 月美の方式は、生徒会室にタライを持ち込み水を張り、鈴の付いた玉串を左右左に振って祝詞を唱え、自らの血をタライに注いで神に供えるというものである。「私の血をタライに注ぎ、神様に供えるんですよ、御主人様。供えれば私に神託を与えて下さります」。千尋は「ブゥードゥーのイケニエみたいねッ」と評する。かなめ夫人の方式は別で、性交によって龍神の御魂を身に招き、無心に得た絶頂の中に紅龍の姿を見る。二度目の儀式の成果が「紅涼子様なる人物はこの世にいません」である。 同じ社の神託でも、巫女によって手段が異なる。 月美=血の供物、かなめ=性交と絶頂。
- 作中での使用
- かずひこがこれを止める場面が、彼の人物像の要になっている。 「バッカヤロウッ★ なにが供物だよッ★」「月美ちゃんの身体は月美ちゃんのモノだろ☆ 神様だろうが何だろうが、可愛い娘を傷つけていいワケが無いってッ! 絶対ヤメロッ!」。直後に下心を口にして千尋に殴られるが、清水は「けど、そのヘンが会長のいいトコロですよ★ 惚れ直したっスよ★」と評する。結果として神託は得られず、犯人捜しは自力で行うことになる。
榊に鈴を付けた祭具。霞に反応して位置を知らせ、同時に龍神の力を集めやすくする。
- 序盤での意味
- 月美が手にする、枝に鈴を付けた祭具。かずひこが「その手に持ってるのは何☆ 枝に鈴つけて」と尋ね、月美が「これはお呼びした神様のお力をお借りする為の玉串ですぅ」と答える。素材は榊である。
- 真相・詳しい意味
- 本作でもっとも実用性の高い祭具である。 かなめ夫人がかずひこに渡す玉串には二つの機能がある。「この玉串は特殊な鈴を付けてますので、タマタマ様に反応して位置を知らせてくれます」「また、玉串ですので龍神様の力を集めやすいと思います。かずひこ様の力をバランス良く引き出してくれるでしょう」。すなわち探知機であり増幅器である。
- 作中での使用
- 鈴の鳴り方が危険度の目安になる。「この鈴が止まらないほど鳴り響く時は逃げて下さい」。この警告はオオタマ出現の場面で反復ギャグとして繰り返され、かずひこが正しく思い出したときには「へぇ〜、かずひこがまともに覚えてるなんて珍しいじゃんッ☻」と博子に驚かれる。 渡されなかった理由も語られる。 「かずひこ様に自分を守れる御力が無かったからです。あと、居場所を教える事にもなりますし‥‥」。終盤では玉串が光を放ち、枯れた花を蘇らせる。
神を招く拝詞、霞を祓う祓詞、儀式で唱える祝詞。用途によって呼び分けられている。
- 序盤での意味
- 巫女が唱える詞。地の文は「さ〜っぱりワケのわからない祝詞が、雑然とした生徒会室を聖域に変えてゆく」と描く。
- 真相・詳しい意味
- 用途によって語が使い分けられている。 - 拝詞 — 神を招く定型句。「この玉串に招き奉りませ奉る、掛けまくもかしこき津安留迂神、府安留迂神の大前に恐み恐みも白さく」。月美は巫女としての日課を語る際に「毎日拝詞を奏上したり」と挙げる。 - 祓詞 — 霞を祓う詞。かなめ夫人がタマタマに手を触れて唱えると、その個体は消えて神の元へ帰る。 - 祝詞 — 儀式の場で唱える詞。終盤、かずひこの手を両手で包んで唱え、蒼龍の魂を蒼玉へ戻す。
- 作中での使用
- 祓詞が唱えられなくなることが、月美の危機を示す指標になる。 「祓詞が‥‥祓詞が思い出せないんですぅ!! ことばにならないんですっ!!」。かずひこも「‥‥でも、なんで急に御祓いができなくなったんだろう。不思議だッ」と訝る。原因はけがれ(よどみ)による気力の低下である。
身を清める行。力を失った巫女は外出を断ち、鎮魂とあわせてこれを行うよう課される。
- 序盤での意味
- 月美が神託の支度に手間取った理由として口にする。「禊〔みそぎ〕に時間がかかってしまいました。あと、いるモノを持って来るのが大変で‥‥」。神事の前に身を清める行である。
- 真相・詳しい意味
- 力を失った巫女が回復のために課される行でもある。かなめ夫人は月美に「当分の間、外に出ず禊を行い、鎮魂を行わなければ本来の力を取り戻せないでしょう☆」と申し渡す。
- 作中での使用
- 月美は「‥‥いけない。御主人様方の禊を忘れてましたが‥‥まぁ、なんとかなるでしょう」と、参列者の分をうっかり省く。手順に厳格なかなめ夫人と、抜けの多い月美という対比が、この語の扱いに出ている。かなめ夫人の側は、社に入る前にかずひこと博子を手水舎で清めさせ、「わざわざ手順を踏まさせてしまい、申し訳ございません。これも、念の為ですので‥‥」と断りを入れる。
禊と対で行う、巫女が力を取り戻すための行。かなめ夫人が月美に外出を断って課す。
- 真相・詳しい意味
- 禊と対で行われる、力を取り戻すための行。一度しか触れられないが、巫女の力が失われうるもので、行によって取り戻すものであるという本作の前提を示している。
- 作中での使用
- かなめ夫人が月美に外出禁止を申し渡す場面でのみ使われる。月美が物語の後半で御祓いを使えなくなるのは、この処置を経ていないためである。
暴れる霞を鎮め、清らかな御霊に戻すこと。消滅させても魑魅にとっては死ではないとされる。
- 序盤での意味
- 暴れる霞を鎮める手立て。月美が拝詞に続けて「魑魅“タマタマ”の天津罪、国津罪を浄化し清浄な御霊にし給へーーーーっ!!」と唱えると、霞は正気に戻る。
- 真相・詳しい意味
- 霞を消滅させることも浄化に含まれる。かずひこが龍の力でタマタマを消してしまったと詫びると、かなめ夫人は「いえ、かまいません。霞は魑魅ですから形を失ってもそれは死では無いのです」「悪意持ち集まった固まりが、浄化されただけの事なのです。‥‥むしろ私は嬉しく思ってますよ☆」と受け入れる。 浄化は殺生ではない、というのが本作の立場である。
- 作中での使用
- 御祓いを受けた霞は「悪しき呪縛から開放されたんですよっ。これが本来のタマタマの姿なんですぅ☻」と温厚になる。 月美が御祓いを使えなくなることが、物語中盤の危機の指標になる。
巫女の力を奪う心の濁り。かなめ夫人は一目で見抜き、月美に禊と鎮魂を課す理由となる。
- 真相・詳しい意味
- 巫女の力を奪う心の濁り。かなめ夫人は月美を見た瞬間に見抜く。「月美さんっ★ どうしたのですか、そのよどみはっ!?」。続けて「ごまかせるとお思いですか、月美さん。アナタは今、けがれを受けて心の中がにごっておりますよ☆」「どこで心をにごしたのか知りませんが、これほどのよどみは、我が家系において類を見た事はありません。」。
- 作中での使用
- 月美が祓詞を唱えられなくなる原因である。 かなめ夫人は理由を厳しく問い詰め、千秋が「まだ転校して来たばかりで環境に馴染んでないのかもしれないし‥‥」ととりなしても、「これは、かずひこ様の安全にも関る重要な事なのです」と譲らない。結果として月美は外出禁止・禊・鎮魂を課される。
浄化の詞で挙げられる罪の名。月美が霞を祓うときに、拝詞と対で唱えられる。
- 序盤での意味
- 浄化の詞に含まれる罪の名。「魑魅“タマタマ”の天津罪、国津罪を浄化し清浄な御霊にし給へーーーーっ!!」。
- 真相・詳しい意味
- 祓われる罪の総称として、拝詞と対をなす形で唱えられる。本作では説明されず、詞の形式として置かれている。
- 作中での使用
- 3件すべてが月美の浄化の場面である。 かなめ夫人の祓詞にはこの句が示されず、代わりに手を触れるだけで霞を消している。 唱える者によって作法が異なることが読み取れる。
舶用神社の社の内。神棚に蒼玉があり、かなめの性交儀式が行われる部屋。
- 序盤での意味
- 舶用神社の社の内部。月美が「祭儀の間って言いますぅ、御主人様ぁ☻」と教える。「神社の中も、外と同じくぼんぼりで明かりを取っている」。
- 真相・詳しい意味
- 神棚に蒼玉が置かれ、かなめの儀式(性交)が行われる部屋。 かずひこが記憶を失っていた2日間の舞台であり、蒼龍と初めて出会った場所でもある。地の文は「オレの肌とかなめサンの肌が激しくぶつかる音が静粛な祭儀の間に響き渡り、闇に消えてゆく」と、神事と性行為が同じ空間で重なることを示す。
- 作中での使用
- 物語の要所がすべてこの部屋で起こる。かずひこが蒼玉に触れて蒼龍と出会い、記憶を封じられ、記憶を取り戻し、最後は珠美との決着がつく。終盤にはかずひこと千尋が発した光が「祭儀の間にあふれ、社を包み込んでゆく」。
社に入る前に手と口をすすぐ水場。同じ台詞の反復が、封じられた記憶を読者に示す仕掛けになる。
- 序盤での意味
- 社に入る前に手と口をすすぐ水場。かなめ夫人が「かずひこ様と博子様は月美さんと一緒に手水舎で清められ、社の入口でお待ち下さい」と指示する。
- 真相・詳しい意味
- 手順としての清め。かずひこは「こんなのめんどうだなァ」と面倒がるが、月美は「でもぉ、付いて来られるんなら手水で清めて頂かないと困るんですぅ」と譲らない。
- 作中での使用
- かずひこが同じ台詞を二度言う場面が、記憶の封印の解除を示す仕掛けになっている。 現在の場面と、思い出された5日前の場面で「こんなのめんどうだなァ」が繰り返され、月美が「くすっ☻ 先日と同じ事言ってますねぇ、御主人様ぁ☻」と洩らす。月美の側は覚えており、かずひこだけが忘れていることが、この一言でわかる。
祭儀の間にある棚。蒼玉が置かれており、かずひこが何となく触れたことから物語が始まる。
- 序盤での意味
- 祭儀の間にある棚。「薄暗い中に浮かぶ神棚のシルエットは、何もしなくても神々しく神秘的に見える」。
- 真相・詳しい意味
- ここに蒼玉が置かれていた。かなめ夫人が「神棚に有る青い龍のペンダントを降ろして来て、オレに差し出す」。かずひこが5日前にひまつぶしで触ったのもこれで、そこから物語が始まっている。
- 作中での使用
- 「オレはヒマを持て余して仕方なかったから、神棚で気になってた蒼い玉に手を出した。べつに、取ってどうしようと言う訳じゃなく、何となく触りたくなったんだ」。 本作の発端は、主人公の悪意のない手癖である。
神を奉る建物。舶用神社では紅玉を納めて結界に守られ、終盤に損壊して炎上する。
- 序盤での意味
- 千尋の語釈で読みが示される。「‥‥社〔ヤシロ〕ってのは神社とかの神様を奉ってる建物なんかを言うのよ」。かずひこが「ムシロ」「釧路」「野の城」とボケ倒したのを訂正する場面である。
- 真相・詳しい意味
- 舶用神社の中心の建物で、紅玉を納め、結界に守られている。 終盤に損壊し炎上する。 「社の外にはヒトが集まってるらしく、社が燃える音と混ざって野次馬のざわめいた声が聞こえて来る」。
- 作中での使用
- 続編はこの損壊した状態から始まる。 続編が「龍神事件」として繰り返し言及する出来事の実体が、本作の顛末である。
神に捧げるもの。月美は自らをそう呼ぶが、かずひこがそれを真っ向から否定する。
- 真相・詳しい意味
- 月美が自らを指して使う語。「私は巫女であり供物なのです、御主人様ぁ。私は全然平気ですので、御手をどうかお下げになってください」。神託を得るために自分の血を捧げるという行いを、彼女はこの一語で正当化する。
- 作中での使用
- かずひこが真っ向から否定する。「バッカヤロウッ★ なにが供物だよッ★」。 月美が「もう2度と自分を賭して御神託を頂いたりいたしません」と誓うのは、この否定を受けてのことである。
儀式に供える道具の総称。失せ物探しにもこれが要ると月美が語るが、中身は説明されない。 ---
- 序盤での意味
- 月美が失せ物探しの相談に答える際に一度だけ使う語。「神器さえ供えて儀式を行えば、すぐに見つけられると思いますぅ」。
- 真相・詳しい意味
- 儀式に供える道具の総称。具体的に何を指すかは作中で説明されない。月美が生徒会室に持ち込むのはタライと玉串であり、これらが該当すると読める。
- 作中での使用
- 儀式が道具立てを要する手続きであることを示すだけの語で、それ以上の説明はない。
物語の舞台となる町。数千年前は二龍が住む二つの湖を抱く沼地で、争いのあとに残った荒れ地が今の町。
- 序盤での意味
- 物語の舞台となる町。学園通りと商店街があり、「この辺りには百貨店が無いので結構繁盛してるらしく、人通りが多い」と描かれる。田舎めいた地方の町である。
- 真相・詳しい意味
- 二龍が住んでいた土地そのものである。 「数千年前までこの私達が住む舶用町は、巨大な沼地でした」「沼地の中に2つの美しい湖があり、その湖にはそれぞれ“龍神様”が住んでいました」。二龍の争いで湖は一夜で消え、荒れ地だけが残った。その荒れ地が今の町である。
- 作中での使用
- 危機の規模を測る単位として使われる。「龍神様の力は強大です。龍玉の無い姿でさえも、この舶用町を壊滅させる事はたやすい事でしょう‥‥」。 町の名を冠する固有名詞が多い(舶用学院・舶用神社・舶用商店街・舶用図書館・舶用新聞)ほか、巫女の家系そのものが「舶用」姓である(かなめ・鮒紀)。町と社と家系が同じ名で結ばれている。
かずひこ達が通う学校。隣が舶用神社で、理事長のかなめ夫人と校長の鮒紀は夫婦である。
- 序盤での意味
- かずひこ達が通う学校。3階に生徒会室と新聞部があり、体育館・体育倉庫・女子更衣室・プール・中庭・花壇・図書室・昇降口・職員室・会議室が舞台として使われる。隣が舶用神社である。
- 真相・詳しい意味
- 理事長はかなめ夫人、校長は鮒紀で、二人は夫婦である。 井闇はこれを承知のうえで「夫人は‥‥理事長は、今まで学院の事に関してはまったく関与されてません。それにこれは祭事ではなく風紀の問題だと考えますがな☆ 校長」と、かなめ夫人の介入を封じにかかる。学校と神社が人事の上でつながっていることが、事件の処理に影を落とす構図になっている。
- 作中での使用
- 表記ゆれがある。 「舶用学院」5件に対し「舶用学園」1件。「舶用学院」を正とする。 なお学校名を伴わない「学園」の語は井闇の演説(「学園生活」「学園の品位」)に集中しており、人物の口ぶりの差として残っている可能性がある。
学院の隣にある龍神の社。巫女の女系が代々仕え、紅玉を納めて結界で守っている。
- 序盤での意味
- 学院の隣にある神社。「舶用学院の隣にある“舶用神社”の社が正面に見える。その左手には2つに割れたままの神木がある」。鳥居をくぐると「さっきまでの暑苦しさがウソのように感じるほど、境内はヒンヤリと静かだ」。
- 真相・詳しい意味
- 龍神を奉る社であり、巫女の女系の家系が代々仕えている。宮司も巫女が務める。 紅玉を納め、結界で守っている。 霞(タマタマ)を「神の使いとして崇めております」。境内には手水舎、社(祭儀の間)、校長の自宅がある。
- 作中での使用
- 事件の相談先として繰り返し訪ねる場所になる。千尋は「引っ掛かるわねェ‥‥この動物も“舶用神社”が関係して来るなんて」「神木の事は偶然と思ってたけど‥‥」と、学園の異変と社の結び付きに気づく。 涼子(紅龍)が「境内を散策してよろしいですか☆ ついでにいろいろといわれをお教え頂ければと思ってますけど」と、建築デザイナーを装って社を調べに来るのも、この社が紅玉を隠しているためである。
学園通りの先に続く商店街。田舎めいたアーチをくぐった先にあり、日常の場面に使われる。
- 序盤での意味
- 学園通りの先に続く商店街。「“舶用商店街”とデカデカと書かれた田舎っぽいアーチをくぐる」。喫茶店などがある。
- 真相・詳しい意味
- 特別な意味は無い。町の日常の側を担う場所である。
- 作中での使用
- かずひこがナンパを試みては千尋に殴られる場面に使われる。 龍神の筋とは無縁の、学園ものとしての日常が置かれた場所であり、本作の二層構造(学園コメディと神話)のうち前者を代表する。
町の図書館。結末後の会話に一度だけ名が出る、日常が戻ったことを示す場所。
- 真相・詳しい意味
- 町の図書館。結末後の会話にだけ名が出る。「根倉は嫌がってたけど清水は明日、一緒に舶用図書館に行くらしいぜッ☻」。
- 作中での使用
- 騒動が済んだあとも学校の人間関係が続いていることを示す小さな後日談として置かれている。
月美の実家の神社。本作では名前だけの存在で、役割も格式も語られない。 - 続編との齟齬: 続編は日宮を時之龍の力を受け継ぐ巫女の家とし、日宮雪美・刻美といった人物を置く。本作にその設定は一切無い(時之龍0件・刻美0件・雪美0件)。続編で日宮に与えられた役割は、すべて後付けである。
- 序盤での意味
- 月美の姓「日宮」に由来する、彼女の実家の神社。
- 真相・詳しい意味
- 本作では名前だけの存在である。 結末で月美が去るときにかずひこが「まぁ‥‥実家の日宮神社から帰るように言われれば、帰るしかないよね」と言うのが実質的な唯一の言及である(END01)。舶用神社との関係、格式、役割はいずれも語られない。
- 作中での使用
- 月美が舶用に来た理由も、「御神木落雷の件に関係して、私はこの学院に転校して来たんじゃないかなぁ‥‥と思いますぅ」と本人の推測にとどまる。 本作の日宮は「月美の実家」以上の意味を持たない。
落雷で二つに裂けた社の木。その落雷の正体が蒼龍で、かずひこに宿った瞬間そのものである。
- 序盤での意味
- 舶用神社の境内にある、二つに割れたままの木。4日前の落雷で裂けた。千尋の説明は「突然、暗雲立ち込めたと思ったら、割れんばかりの雷鳴を轟かせて御神木に電光が落ちたの」「気がついてみたら、御神木はまっぷたつに割れてるのに青葉はそのままだし、私達も無傷だったの」。
- 真相・詳しい意味
- 落雷の正体は、紅龍に追われて天を駆けていた蒼龍である。 蒼龍自身が語る。「紅龍に追われて天を駆けていた時に、たまたま波長が似ていたコイツが神木に居たから入り込んで隠れた迄は良かったんだが‥‥」。かずひこはこのとき覗きのために木に登っていた。すなわち本作のすべての発端がこの一件である。
- 作中での使用
- 千尋は「覗きの為に神社の御神木に登ったりするんだもん、いつかはかずに神罰が下るとは思ってたけど」と皮肉り、かずひこは「あのカミナリはコイツだったのか‥‥」と後に納得する。月美は自身の転校もこの件に関係すると考えている。 裂けた神木は結末後もそのまま立っており、続編の舞台に引き継がれる。
舶用神社の入口と敷地。赤い鳥居の下に倒れていた涼子が、紅龍の憑代として物語に入ってくる。 ---
- 序盤での意味
- 舶用神社の入口と敷地。「鳥居を入るとさっきまでの暑苦しさがウソのように感じるほど、境内はヒンヤリと静かだ」。月美は日課として境内を掃除している。
- 真相・詳しい意味
- 涼子(紅龍)が最初に倒れているのがこの赤い鳥居の下である。 「清水の案内で鳥居の方向に走る。赤い鳥居の下にもたれ掛かるように倒れている影」。介抱の直後に彼女は「私、建築デザインが専門なんです。ココの建築にインスピレーションを感じました」と名乗り、社を調べ始める。倒れていたのは、紅龍が人の身体を保つのに気力を消耗するためである。
- 作中での使用
- 「‥‥‥‥青い空にそびえる赤い鳥居は何となく寂しげだった」という地の文が、涼子=紅龍の孤独を暗に示す形になっている。
学院で続く下着泥棒とロッカー荒らし。犯人は季桜の姿に化けたタマタマだった。
- 序盤での意味
- 学院で続いている下着泥棒とロッカー荒らし。千尋が「とにかく、ロッカー荒らしや下着泥棒が学院内にいる事は確かなワケよ」と整理する。 かずひこは容疑者扱いされている。 千尋は「犯人が見つかんなかったら、“かずが犯人扱い”だって事よッ★」「下着泥棒になりたいのッ!? ロッカー荒らしや窃盗犯になりたいの☆ かずッ!」と迫る。これが調査に乗り出す動機になる。
- 真相・詳しい意味
- 犯人は季桜の姿に化けたタマタマである。 かずひこがかなめ夫人に報告する。「オレは、下着泥棒が季桜に化けたタマタマだった事、タマタマは分裂した後女の子を凌辱した事」。そのタマタマがそういう振る舞いをした理由は、分裂の瞬間に近くにいた人物が女の子の下着のことを考えていたためである。無機物を食べるのは霞の習性なので、下着を食べたのもその延長にすぎない。
- 作中での使用
- 事件の解決が「犯人を罰する」形にならないのが本作の特徴である。 霞に悪意は無く、写し取られた感情の出どころも特定されない。かなめ夫人は「元来は悪さをするような御子達じゃないハズなんです。なにか、大きな力で操られてるんでしょう‥‥」と最初から言っており、それが正しかったことになる。
かずひこが会長、千尋が副会長、清水が書記を務める。学園の事件を追う調査班にもなる。
- 序盤での意味
- かずひこが会長、千尋が副会長、清水が書記を務める。生徒会室は3階にあり、机の上の意見箱に苦情が殺到している。
- 真相・詳しい意味
- 本作の調査班そのものである。 千尋は「タマタマは今回の事件のカギかもしれませんから、生徒会が責任持って保護しますッ★」と、神社からの依頼を生徒会の仕事として引き受ける。学園の事件と龍神の筋が接続する蝶番になっている。
- 作中での使用
- かずひこは会長でありながら仕事をせず、「オレは自然の摂理に従って生きる男だから、高い所から下へしか行けない」などと言ってサボっている。それでも退学の危機には千尋が「私がモットしっかり監視しますから、退学だけは‥‥」と、清水が「会長を犯罪者にするくらいなら‥‥ボクは身体を張って止めるッスよォォ〜〜ッ」と庇う。
生徒会に苦情が殺到している箱。片づけのために神託を試みたことが、月美との場面につながる。
- 序盤での意味
- 生徒会に寄せられた苦情の箱。「清水の言うように、オレの机の上にある意見箱にはあふれんばかりの苦情が殺到してる」。
- 真相・詳しい意味
- 特別な意味は無い。かずひこの人望の無さと、千尋の苦労を示す道具である。
- 作中での使用
- 苦情の中身は「選挙の時言った“公約”を違反してるって苦情」などで、かずひこは「それはオレの責任じゃないぞ。千尋が妨害するんだもんな」と開き直る。 月美と初めて生徒会室で神託を試みるのも、この苦情の山を片づけるためである。
かずひこの生徒会長選挙の公約。スカートの丈を膝上30にするというもので、当然守られていない。
- 序盤での意味
- かずひこが生徒会長選挙で掲げた公約。「だれが好き好んで“スカートの丈を膝上30にする”なんて公約を守らせなきゃイケナイのよ★」と千尋があきれる。月美は「膝上30っていうと‥‥見えちゃうんじゃあないんですかぁ☆」と素で受ける。
- 真相・詳しい意味
- かずひこの人物像を一行で示す装置である。 実行されていないため苦情の的になっている。
- 作中での使用
- 退学動議の場でも顔を出す。校長は「別にいても良いんじゃない☆ 退学させるなんて面倒だよ。生徒会長の公約も守って欲しいしね。」と、のんきに擁護に回る。 校長のとぼけた人柄を示す一節でもある。
かずひこが口から出まかせで作った肩書き。失せ物捜索と未来予知の部隊で、結果的にそのとおりになる。
- 序盤での意味
- かずひこが月美を清水に紹介するときに口から出まかせで作った肩書き。「今日づけで生徒会特殊部隊に配属した、日宮月美ちゃんだッ」。清水が「な、なんスか☆ その“特殊部隊”って」と問うと、「しらんのか☆ 生徒会室に依頼される失せ物捜索や未来予知する部隊の事だよ」と続ける。千尋は「無い無いッ」と即座に否定する。
- 真相・詳しい意味
- 嘘のはずが、実質そのとおりになる。 月美は実際に失せ物探しの神託を頼まれ、生徒会はタマタマの保護を引き受け、龍神の騒動を追いかけることになる。
- 作中での使用
- 出まかせが結果的に的中するという、本作の軽い書き味を示す一例。
博子が身を入れている部と、そこが出す新聞。記事が誤解を解きもすれば、攻撃材料にもなる。
- 序盤での意味
- 博子が所属する部と、そこが出す新聞。3階の生徒会室と同じ階にあり、部室は「窓を閉め切り薄暗い」うえ「奥の方には現像室らしい部屋も見える」。
- 真相・詳しい意味
- 博子の取材が事件を動かす。 井闇は「徳永君の新聞を見て、僕は様々な思い違いをしていたと反省すると共に、ある結論に達しましたよ」と述べ、かずひこの計画的犯行という見立てを撤回する。ただし同じ新聞を根拠に、今度は「風紀が乱れる」という理由で退学を主張する。 記事は誤解を解きもすれば、別の攻撃材料にもなる。
- 作中での使用
- 博子は取材相手に趣味や好きなものを聞いて回り、「やっぱ部数出すにゃ読者の知りたい事載せるが一番だからさ☻」と語る。月美の台詞「私は御主人様に仕える者。御主人様の御言葉は私の全てであり、‥‥私の命です。」を「“巫女の決意”って事で」見出しに借りようとする場面もある。オオタマ襲来のさなかにも一眼レフを構えて「一石二鳥のカメラフラッシュだよッ★ 今のうちにッ★」とシャッターを切る。
押絵が校内で見たと主張する未確認の生き物。誰も信じないが、その正体はタマタマである。
- 序盤での意味
- 押絵が校内で見たと主張する未確認の生き物。「そうですの。屋根の上にUMAがいたんですのッ★」。千尋は「UMAなんて、あの娘の戯言よ」と取り合わず、博子も「UMA☆ ト〜スポじゃないんだからそんなネタは扱わないよ、あたいは」と記事にしない。
- 真相・詳しい意味
- 押絵の目撃は正しい。 かずひこは早い段階で「押絵ちゃんが見たって言った“UMA”って“タマタマ”の事なのかなァ‥‥」と気づく。終盤、千尋は「フンッ、名前も出所も正体も判ってるから、UMAなんかじゃ無いわよッ☻」と言い返すが、これは押絵が嘘をついていなかったことの裏返しでもある。
- 作中での使用
- 押絵の「UMAはいます白石押絵様〜」って頭下げて、私を崇めるんですのッ☻」という勝ち誇りに至るまで、信じない側と信じる側の言い合いとして繰り返し使われる。 タマタマと触れ合った押絵は「UMAと触れ合ったなんて夢のようですのッ★ 帰ったらさっそく日記に書き記しておくですの〜ッ!!」と喜ぶ。
季桜が誰彼かまわず勧める運動で、彼の口癖。姿を真似た偽物との違いが出る場面もある。 ---
- 序盤での意味
- 季桜が誰彼かまわず勧める運動。「さぁ★ キミ達も一緒にスポォッツしよう★」。本文中50件。
- 真相・詳しい意味
- 偽物を見分ける手がかりになりうる語である。 下着泥棒の正体は季桜の姿に化けたタマタマであり、その個体は「私はそんなもの持ってないゾォ☆ 徳永ちゃんッ」「この身体に覚えのない事を聞かれても困ってしまうぞォ、徳永ちゃんッ☆」と、本人らしからぬ受け答えをしている。
- 作中での使用
- 季桜は退学動議の場でも「はっはっはっはッ!! そうだぞッ★ スポォッツする前に辞めてはイカンッ★」と的外れに擁護し、千秋に「季桜先生‥‥それはちょっと関係ないと思うのよねぇ〜ッ」と流される。オオタマに単身で挑んで殴り飛ばされた直後も「は‥‥はっはっはっはッ」「キミ、スポォッツしてみないかい〜〜ッ☆」と言う。