ネタバレゾーン — 晴れのち胸さわぎ
このゾーンにはネタバレが含まれます。
早乙女かずひこの体内に潜む蒼龍と封印された記憶、下着盗難事件の真犯人、紅涼子の正体、二柱の龍神が争った本当の理由、敵役・珠美の目的、そして結末まで、すべて明かしています。未プレイの方はまず作品トップページをご覧ください。
早乙女かずひこに宿る「龍の力」の正体は?
体内に龍神・蒼龍(ツァンルー)が潜んでいる。5日前、紅龍に追われて逃げていた蒼龍が、波長の似ていたかずひこに入り込んで隠れたのが始まりである。かずひこが使う龍の力はその蒼龍に由来するもので、本人は使い方を理解しておらず、感情の込め方が条件だと後から気づく有様である。3日目に蒼玉へ触れたとき、蒼龍自身がかずひこの体内から口を利いて正体を明かす。
なぜかずひこは自分に潜む蒼龍を知らなかった?
蒼龍がかずひこの記憶を封印していたから。自分の存在を言いふらされては困るという理由で、5日前の出来事ごと封じられていた。解除の条件も蒼龍自身が決めており、「我がまた再び蒼玉を手にする時、記憶は蘇ろう」と告げられている。つまり物語の冒頭から3日目までは、記憶を封じられた状態の視点で語られていたことになる。読者はそれを終盤で知らされる。
下着盗難事件の犯人は誰だった?
タマタマである。体育教師の季桜が一時は疑われるが、真犯人は季桜の姿に化けたタマタマだった。つまり学園ミステリとして始まった事件は、最初から超常の側の話だったことになる。白石押絵が「自分はUMAを見た」と主張し続けていたのも正しく、彼女が見たものこそタマタマだった。かずひこは序盤でそのことに薄々気づく。
紅涼子とは何者?
デザイナーを名乗る女性だが、この世に存在しない人物である。かなめ夫人が調べても「紅涼子様という方は、御姿を含めてこの世に存在してません」という結果しか出てこない。正体は龍神・紅龍(ファンルー)の憑代で、蒼龍によれば紅龍は入り込んだ人間を完全に乗っ取ったうえ、姿まで変えているのだという。人の姿を保つには宿主の気力が要るため、日宮の巫女である月美から気力を奪って維持していた。
二柱の龍神が争った本当の理由は?
蒼龍の不貞である。紅龍と蒼龍は数千年前に契りを結んだ夫婦で、人間に崇められるようになった蒼龍が「願いを叶えるから」と人間の娘を求めるようになったため、紅龍が激怒して人間を滅ぼそうとした。舶用神社が伝える「相争う二柱を巫女の祈りが鎮めた」という縁起は、夫婦喧嘩とその後始末を神話に整えたものだったことになる。蒼龍が紅龍から逃げ回っていたのも、封印を恐れてではなく浮気を詰められるのを避けていただけである。
三つの玉(龍玉・蒼玉・紅玉)とは?
盟約の産物である。夫の不貞をきっかけに人間を滅ぼしかけた紅龍を止めるため、二龍は身体を三つに分かち、身体は舶用の巫女が預かり、龍力は互いが共に管理する、という取り決めを結んだ。その分けられた身体が三つの玉にあたる。蒼玉は蒼龍の龍玉で、かずひこが首から提げて持ち歩く青い龍のペンダントである。かなめ夫人の祝詞が「御身蒼玉の龍へ戻さん」と唱えることからも、玉が龍の身体そのものだと分かる。
本作の敵役は誰?
珠美である。舶用神社のメイドを自称するが嘘で、正体は魑魅の一種、タマタマと同類の霞のうち悪しき自我が芽生えた個体にあたる。中盤に会議室へ現れる巨大なオオタマも珠美である。目的は取引でも復讐でもなく、二龍の力を奪ったうえで二龍そのものを消し、邪魔な人間も消して「魑魅の理想郷」を作ることだった。つまり龍は敵ではなく、珠美にとっては消す対象でしかない。
月美がかずひこを「御主人様」と呼び、許嫁だと言うのはなぜ?
思い込みでも冗談でもない。日宮の巫女は蒼龍の許嫁にあたる家系で、その蒼龍を宿しているかずひこは、月美にとって文字どおりの相手だったからである。かなめ夫人は巫女の家系について「龍神様の花嫁の家系とも言いましょうか」「血族を絶やさない為に夫を持つ事はあっても、心は龍神様ダケのものなのですよ」と説明する。校長が婿養子であることも、この原則の実例になっている。
井闇は物語にどう関わっている?
単なる対立役ではない。かずひこの退学を主張して裁定の場を作るが、博子の乱入と証言で覆される。その恨みの思念が巨大なオオタマを呼び出してしまうのである。月美は「井闇様の御主人様に対する恨みの思念が、この大きなタマタマを呼び出したんでしょうっ」と説明する。中盤の危機の原因そのものが、退学を潰された教師の逆恨みだったことになる。
選択肢によって内容は変わる?
ルート分岐はないが、3日目の儀式を行うか否かの選択で得られる情報が変わる。どちらを選んでも直後に同じ場面へ合流するのだが、紅涼子がこの世に存在しないという説明と、紅龍が人間を乗っ取って姿まで変えているという蒼龍の推論は、儀式を行った側にしか出てこない。行わなかった場合、終盤の真相を支える説明が抜け落ちたまま進むことになる。もう1箇所、タマタマ捜索の組み分けを選ぶ場面もある。
エンディングは何種類?
ひとつだけである。バッドエンドも分岐エンドも存在しない。複数のヒロインが並び立つ作りだが、ヒロインごとの個別エンドは用意されておらず、結ばれるのはメインヒロインの千尋である。珠美が退けられ、二龍は和解して共に封印へ帰り、後日談には博子と月美も合流して幕が下りる。
続編『晴れのちときどき胸さわぎ』とのつながりは?
本作の結末が正史として引き継がれている。続編は「前作での騒動をきっかけに恋人同士となったかずひこと千尋」という前提から始まる。人物では千秋・博子・かなめ・月美が続投し、白石押絵と校長は登場しない代わりに日宮雪美が加わる。もっとも大きな変化は珠美で、本作の敵役が続編では舶用神社のメイドとして神社に仕える側に回っている。本作で嘘として名乗った肩書きが、続編では実際の立場になっているわけである。