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キャラクター詳細 — 晴れのちときどき胸さわぎ

読みは作中でふりがなが示された語と、前作から引き継がれる語のみを確定として扱っている。舶用・日宮・木塔・根倉など、作中で読みが確認できないものは推測を避けた。

早乙女かずひこ

早乙女かずひこ さおとめ・かずひこ 主人公
早乙女かずひこ
役割主人公・視点人物
立場舶用学院の生徒会長
住まい桃木家のアパートに一人暮らし。千尋とは大家と店子の関係
一人称オレ
関係前作の騒動をきっかけに桃木千尋と恋人同士になった

女の子が三度の飯より好きな生徒会長。授業を抜け出す、月美に抱きつく、博子や千秋にも手が出るという素行を千尋に並べ立てられては制裁されている。それでいて「オレが心底惚れ込んでるのはお前だけだよッ」と言い切るあたりが彼の調子のよさである。物語は、生徒会室でうたた寝した彼が幼少期の夢を見るところから動き出す。

かずひこには前作から持ち越した龍神の力がある。時之龍が彼を「龍に選ばれし者」と呼ぶのはそのためで、時間への干渉が可能になっているのもこの力による。かなめはその力を「かずひこ様が本当に必要となるその時まで封印しておいたのです」と述べており、彼女の判断が絡んでいたことが分かる。

そしてかずひこの前世破導法師である。終盤で本人がそれを認める。前世の相関は四人分がそろっていて、月美の前世が破導法師の想い人キミ、千尋の前世が破導法師を封印した巫女、木塔の前世がその巫女と結ばれた相手にあたる。現世の関係が前世でねじれているという構図になっている。

もっとも、かずひこはそれに縛られない。前世を気にする千尋への答えが、この作品の姿勢そのものになっている。

「前世は前世。今は今だよ。」/「未来は変わるんだ。なんだかんだといちいち制約されてたまるか。」エピローグ、千尋へ

幼少期に刻美と会っていたことも判明する。夢の中の出来事ではなく、実際にあったことだった。幼いかずひこが意味も分からず口にした「絶対に守ってやるよッ 約束するから」という言葉が、そのまま結末を決める一手になる。最後に刻美が実体を得られたのも、かずひこの龍神の力によるものである。

象徴的な台詞
「ときみちゃん、もう遅いから家まで競争して帰ろうッッッ」プロローグ、幼少期の夢で
「お姉ちゃんは間違ってないよ。何だかわからないけど、お姉ちゃんが正しいよ。」泣く刻美へ、幼い姿のまま
「結局、誰も刻美ちゃんを救えなかった……」「オレは約束を守れなかったんだ。」エピローグで悔いて。この直後に刻美が現れる

桃木千尋

桃木千尋 ももき・ちひろ 恋人
桃木千尋
読みももき・ちひろ
立場舶用学院の生徒。かずひこの恋人。アパートの大家の娘
家族姉は同学院の現国教師・桃木千秋
関係前作の龍神事件を経て、かずひこと恋人同士になった

気が強く、かずひこの素行に即座に反応する。「生徒会の仕事さぼって熟睡しないでよッッッ 生徒会長でしょッッ」と叱りつける一方、暴走する彼に歯止めをかける常識人でもある。月美が話に巻き込まれそうになれば「聞いちゃダメよ、月美ちゃん」と庇う気配りもある。

強気な表向きとは裏腹に、千尋は自分たちの関係の始まりに引け目を抱えている。

「逆に言えばあの事件が起こらなかったら……かずに龍神が乗り移らなかったら、もしかしたらかずはずっと私に振り向いてくれなかったのかも……。」桃木千尋

千尋が自分とかずひこの前世をしきりに知りたがるのも、この不安の延長にある。博子はそれを見抜いて、鈍いかずひこに向かって「千尋が何で、自分とかずひこの前世を知りたがったのか、考えりゃ判るだろうがッ」と言い放つ。

そして千尋の前世は、破導法師を封印した巫女である。つまり前世では、かずひこの前世を封じた側にあたる。しかも同じ巫女と結ばれた相手の転生が、現世で千尋に言い寄る木塔なのだから、前世の縁だけを見れば現世の関係は逆立ちしていることになる。

中盤では一人で抱え込み、月美に対しても警戒を強める局面がある。それでも終盤には、かずひこの真剣さを認めて彼の判断を後押しする側に回る。

「かずが、何を考えてるのかはわからないけど……でも、このかずがこんなに真剣なのよ。」桃木千尋

なお別の時空には眼鏡をかけた千尋が存在し、地の文はその違いで今どの時空にいるかを見分けている。

天津船刻美

天津船刻美 あまみつね・ときみ 物語の発端
天津船刻美
読みあまみつね・ときみ
年齢14歳(作中で明記)
立場舶用神社に保護されている。雪美が世話役
関係かなめと月美の遠縁。かずひこを「お兄ちゃん」と呼ぶ

プロローグの夢に現れ、幼いかずひこの前から消えていった少女。それが現実に姿を見せるところから物語が動き出す。事件の解決に手を貸すと申し出て、かずひこの懐中時計を貸してほしいと言う。素性はかなめが説明するが、月美が天津船家の断絶に触れると、かなめはそれをはぐらかす。

刻美の正体は月美の死の瞬間に弾き出された、月美の心の一部である。実体を保っていられるのは時之龍の力によるものでしかない。だから彼女の存在と月美の生死は、そのまま表裏になっている。

「お兄ちゃんだってそうでしょッッ 月美が死んでもいいのッッッ その時になれば、今の私もいなくなるのよッ」刻美

そして彼女がなぜ時を越えてきたのか。その答えが物語の核心にあたる。

「私は……一番幸せだった時間の中で、いつまでも暮らしたかっただけなのに……それはいけないコトなのッ」幼いかずひこの前で泣きながら
「私は間違っていたのッ お兄ちゃん……」刻美

もっとも幸せだった時間に留まりたい、という願いが、時間への干渉も、学院の事件も、旅先の騒動もすべて呼び起こしていた。幼いかずひこは意味も分からないまま「お姉ちゃんが正しいよ」と応え、守ると約束する。

終盤、かなめは刻美の処遇を裁定する。「あなたを産み出した事故の日まで舶用と日宮の名の元に保護しましょう」。ただし「その“時之龍の力”は規制させてくださいな」という条件が付く。

そしてエピローグ。時之龍の力は月美の内へ戻ったが、刻美はかずひこの龍神の力で実体化して再び現れる。力を失ったことを彼女はまるで気にしていない。

「時之龍の力は無いかもしれないけど、お兄ちゃんとまた一緒に居られるんだもんッ ゼンゼン平気よッッ」刻美

なお、幼なじみのなぎさも幼少期に刻美と会った記憶を持っている。ただし刻美本人は人違いだと否定しており、この食い違いは解消されないまま残る。

日宮月美

日宮月美 つきみ 巫女
日宮月美
読みつきみ(「日宮」の読みは作中で確認できない)
立場舶用神社の巫女。もとは日宮神社の巫女
住まい現在は桃木家に下宿している
関係かなめの姪。かずひこを「御主人様」と呼ぶ

前作の龍神事件に際して日宮神社から赴任してきた巫女。柔らかな話し方は前作から変わらず、かずひこを「御主人様」と呼び続けている。日宮の役目については本人がこう説明する。「日宮の役目は龍神様の嫁になる事の他に、時之龍様を暴れさせない使命もあるのですぅ。」

月美は日宮の「一番目の巫女である。日宮には時之龍の力と時之龍を知る力という二つの力が伝えられており、その時点で最も能力の高い巫女の中に封印される。それが一番目の巫女という言葉の意味で、当代がこの月美だった。

「私は、正当な後継者の証たる“時之龍の力”と、“時之龍を知る力”を持ち合わせた、日宮の一番目の巫女なのですかずひこ様。」日宮月美

遙か昔に紅龍と蒼龍を仲裁した日宮の巫女が用いたのも、この時之龍の力だった。そして前作で彼女が舶用学院へ招かれた本当の理由も、そこにあったと明かされる。

「龍神様事件の時、私が舶用学院に呼ばれた真の理由は、私にその力があるからなのです、かずひこ様。」日宮月美

そして月美には死の運命が定められている。本人はそれを取り乱すことなく受け入れている。

「人はいつか死にますけど、それが私の場合明日だと、ただそれだけのことだと思うんです。」日宮月美

刻美は、その死の瞬間に弾き出された月美の心の一部にあたる。つまり月美を救えば刻美が消え、刻美を存えさせれば月美の死が動かないという二択が生じる。終盤の葛藤はここに集約される。結末で月美が漏らす「……運命って……変わるんですねぇ……」という一言が、その二択に対する答えになっている。

もうひとつ。月美の前世は、破導法師の想い人「キミ」である。作中の最終行を語るのがそのキミで、語尾が月美とそっくり同じであることが対応を示している。現世では結ばれなかった二人が、前世の側では並んで歩いている、という締め方になっている。

なお別の時空には人格の異なる月美がいて、地の文は「笑わない月美ちゃん」と呼び分ける。敬語ながら硬い口調で、かずひこに懐中時計を返して送り出す。

日宮雪美

日宮雪美 ゆきみ 保健医・巫女
日宮雪美
読みゆきみ(「日宮」の読みは作中で確認できない)
立場日宮から赴任した巫女で、舶用学院の保健医。校内では「日宮先生」
役目刻美の監督役
口調「〜ですわ」で統一された勝ち気で断定的な話し方

本人の希望で舶用学院へ赴任してきた巫女。歯に衣を着せない性格で、かずひこを一貫して警戒対象として扱い、「早乙女君、刻美さんに近付かないで欲しいですわッッ」と正面から拒む。かなめを「姉ェさん」と呼ぶ。日宮系列では前作の事件が語り草になっており、「魑魅暴走事件を解決した煩悩男と鉄拳娘、それを見守るのんきなNO.1」という言い回しで知られている。

雪美が口にする「のんきなNO.1」という綽名は、のちに判明する月美の一番目の巫女という立場と符合している。前作の時点で日宮の側には、月美が何者なのか分かっていたことになる。

破導法師との対峙では、封印ではなく別の決着を選ぶ判断を下し、「この時代で命を閉じる」という誓いを引き出す。ただし動機は明確に線を引いている。

「破導法師を封印するのは、早乙女君のためではありませんわ。逆に、早乙女君には迷惑してるんですわっ。」日宮雪美

厳しさの由来は終盤で本人の口から語られる。父に厳しく鍛えられ、立派な巫女になれという願いに応えようと修行を重ねてきたこと。その父は彼女が正式に巫女になる前に死んでしまったこと。そして自分に厳しくあり続けた結果、それを他人にも押しつけていたと気づく。

「……でも、それは単に私の価値観でしかなかったんですわね。いつの間にか、自分を人に押しつけるようになってしまったようですわ……」日宮雪美

事態が動かせなくなった局面では、無力を率直に口にする。「結局、そうなってしまったのね……私に出来ることは、もうありませんわ……」

⛔ 雪美は前作には登場せず、本作から加わった人物である。

かなめ

かなめ かなめ 宮司・理事長
かなめ
読みかなめ
立場舶用神社の宮司であり、舶用学院の理事長
関係月美の叔母。刻美からは「かなめ叔母さん」、雪美からは「姉ェさん」
外見和服姿で描かれる。地の文は「和服の似合う大人の色気のかたまり」と評する

常に落ち着いた敬語で話し、かずひこを「かずひこ様」と呼ぶ。月美を厳しく諭すこともあるが、それは身内としての情からである。雪美の言葉が過ぎたときには「雪美さん、あまりかずひこ様を見下したような言い方はさけて下さいな」と制止する。規律だけで人を測らない姿勢を持つ人物として描かれる。

かなめは刻美の素性を最初に説明する人物であり、同時に核心を伏せている人物でもある。月美が天津船家の断絶に触れたときに話をそらすのがその表れで、千尋からも「かなめさん、すごく重要な事を隠してないッ」と疑われる。

時間干渉の是非については原理的な整理役を務める。破導法師の力は修行で体得したものだから本人ごと封印するしかないこと、刻美は時之龍の力がなければ時間へ干渉できないこと、そして「人為的に歴史を変更する行為は欲につながりやすいものです」という戒め。

かずひこが時之龍の力を扱えるようになった経緯にも、彼女の判断が関わっている。前作由来の力を「かずひこ様が本当に必要となるその時まで封印しておいたのです」と述べており、意図して伏せていたことが分かる。事件との距離のとり方についても含みのある一言を残す。

「事件を知る事が、事件を引き起こす事もあるのです」かなめ

終盤では、かずひこを遠ざけようとしていた理由を認める。そして月美の身に起きたことに対しては、宮司としてではなく身内として動揺を見せる。「申し訳ありません、かずひこ様……少し、一人にさせておいて下さい……」

最後に刻美の処遇を裁定するのも彼女である。保護を認めたうえで時之龍の力は規制する、という条件付きの決着になる。

⛔ 前作のかなめは舶用神社の巫女で、学院運営には関与していなかった。本作で理事長を兼ねているのは設定の変更にあたる。また前作では夫である校長・鮒紀の存在が明示されるが、本作ではその夫が確認できない。

冥土珠美

冥土珠美 めいど・たまみ 舶用神社のメイド
冥土珠美
読みたまみ
立場舶用神社に仕えるメイド
正体人間ではない。タマタマと呼ばれる存在
口癖「きゃはははは……」

初登場の時点で人間ではないことが明かされている。地の文も「正体がタマタマなんて思えないなぁ」と書いており、隠された正体としては扱われていない。かずひこの気配を探知できるため、神社側の連絡・捜索役として動き回る。亡霊を相手に平然と世間話をするなど、人ならざるものとも話が通じる。

珠美は前作『晴れのち胸さわぎ』の敵役と同一存在である。本作はタマタマが前作の龍神事件にも現れたことを明記しており、会議室倒壊事件についても「マッスルタマタマが殴り込んできた騒ぎ」と説明している。前作で彼女は「私は隣の舶用神社でメイドをしてます」と名乗ったが、それは嘘だった。本作ではそれが実際の立場になっている。敵役が神社に仕える側へ回っているわけである。

作中では、彼女の状態がかずひこの居場所を判断する手がかりにもなっている。地の文が「珠美が縛られてるって事は、自分本来の時空に違いない」と考える場面があり、時空の見分けに使われる。

終盤には、神社の側の立場からかずひこにこう言い放つ場面もある。

「一刻も早く封印されて下さい、かずひこ様。」冥土珠美

ただし人ならざる存在としての出自そのものが、本作で改めて解明されることはない。前作を踏まえて初めて背景が分かる人物になっている。

破導法師

破導法師 はどうほうし かずひこの前世
破導法師
読みはどうほうし(漢字の読みは作中で確認できない)
立場時之龍のもとに封印されていた法師
緊縛の行によって体得した、時間を止める法力
目的一貫して「龍に選ばれし者」を捜している

時間への干渉が起きたことで復活し、物語の敵対者として現れる。その力は生まれつきのものではなく修行で得たものであるため、力だけを取り上げることができず、本人ごと封印するしかない。かずひこを見つけたときの第一声が「いたとも、龍に選ばれし者よ。お前を待っていたのだ」である。

破導法師の正体は、かずひこの前世である。終盤でかずひこ自身がそれを認める。

来歴は本人の口から語られる。若い頃から緊縛の行で修行を重ねて時間を止める法力を得たが、その力は戦に利用され、多くの死をもたらす結果になった。次の戦場へ送られることを拒んで逃亡し、山中でキミという女性に助けられる。正体を明かしても彼女は拒まなかった。だがやがて追手によって封印される。その封印を行ったのが、千尋の前世にあたる巫女である。

雪美との対峙では、封印ではなく「この時代で命を閉じる」という誓いを引き出される。そして終盤は敵対者ではなく、事態を説明し警告する側に回る。

「誰の仕業か知らぬが、このままだとまた、同じ様な事が起こり、わしらはずっと今日に閉じこめられ、先へ進む事がかなわなくなるぞ。」破導法師
「さよう……その上、時之龍に無理をしいれば、いずれは反動がやって来るぞ。」破導法師

キミと月美の関係については、本人がこう述べている。「そう……見た目は月美殿とは違っていたが、性格は似たところがあった……」

そして作中の最終場面に登場するのが破導法師とキミである。物語の最後の話者はキミで、その語尾は月美のものと同じである。

「人間のえにしは不思議なものじゃのう、キミよ……」破導法師
「そうですねぇ、破導様。またこうして歩けるなんて、夢のようですぅ!」キミ

時之龍

時之龍 ときのりゅう 時の化身
読みときのりゅう(作中にふりがなあり)
正体世界の「時」そのものを象徴する龍
位置紅龍・蒼龍よりも遙かに上位の存在
関係日宮の巫女は、時之龍を暴れさせない使命を負う

刻美が時間移動を行うと姿を現す巨大な生物。月美でさえ文献でしか知らない存在で、地の文は「時刻の化身」と表現し、その咆哮を原始の恐怖を体感させるものだと書く。かずひこは最初「時之龍っていうと、"えいえいおー"とかってヤツかッッ」ととぼけ、以後も軽口を叩き続ける。

時之龍は紅龍・蒼龍より遙かに上位の存在で、遙か昔に日宮の巫女が二龍を仲裁できたのもこの力を借りたからだと明かされる。時間へ干渉した者を庇護する一方、無理を強いれば反動が来るとされる。

かずひこが時之龍の力を行使できるのは、前作由来の龍神の力を持つためである。時之龍は彼を「龍に選ばれし者」と呼ぶ。

「時之龍の力を持つ、龍に選ばれし者よ、汝の望む行き先は……」時之龍

修学旅行の三日目が繰り返されたのは、かずひこの時空に対応する龍の頭がねじ曲げられ、未来が過去につながれていたためである。それを元に戻すのは別時空の月美だった。

終盤では荒れ狂い、「時之龍の力を持たない者達よ、この時之龍に何の用だッ」と敵対的に振る舞う。かなめは「悪くすれば時之龍様が暴れ、時間が崩壊してしまう可能性も……」と警戒する。それでいて最後には、巫女に対して封印の実行を促す側に回る。

「時之龍の力を許されし巫女よ、時の番人としての力を振るい、時の静寂を乱す意識を封印するべし……ッ」時之龍

⛔ 時之龍という存在は前作には一度も登場しない。時間・前世・転生をめぐる体系は、まるごと本作から導入されたものである。

結城なぎさ

結城なぎさ ゆうき・なぎさ 幼なじみ
結城なぎさ
読みゆうき・なぎさ
立場中学からの幼なじみ。修学旅行先の宿で働いている
呼び方かずひこを「かずりん」と呼ぶ
関係飼い犬のジローがいる

さっぱりとした気性で、働くことを苦にしない。「体動かしてると、よけいなコト考えずに済むもの。悩み多き青春なんて、私には無縁だわ」と言い切る一方、かずひこの生活を気にかけて「寝不足ッ 睡眠とらなきゃダメよ」と世話を焼く面倒見のよさもある。

なぎさは刻美をめぐる過去の証人にあたる。かずひこが刻美の名を出したとき、彼女も同じ記憶を持っていることが分かるのである。

「え……刻美ちゃんって、あの……子供の時野原で助けた、あの刻美ちゃんッッ」結城なぎさ

かずひこ一人の夢や思い込みではなかったことが、ここで裏づけられる。当時の刻美は記憶を失っていたとも地の文が記す。ただし刻美本人は人違いだと否定しており、この食い違いは最後まで解消されない

自身の恋愛については、終わったこととして距離を置いて語る。「私……あんなに好きだった彼と別れても、涙一つこぼれなかった……。」再会したかずひこが変わっていないことには安堵を示し、最後は千尋との関係を後押しする側に立つ。「ウン。それじゃね、かずりん。千尋さんと仲良くするのよ。」

その他の登場人物

塔堂真紀

とうどう・まき 修学旅行のバスガイド

古都観光のバスガイドで、修学旅行の担当。極度に気弱で言葉に詰まり、案内の途中でしばしば倒れる。運転手が「なんだ、塔堂君倒れたのかッ 今日はまた早いな」と受け流すほど常態化している。日本史を勉強しようとして大学を受けた経緯を語る場面もある。自己評価が極端に低く、「私がいなくなっても、誰も……ティッシュがなくなった程度にしか感じないんだわ……」とまで言うが、うまくいったときには素直に前を向く。破導法師が「龍に選ばれし者」を捜していたことは、彼女を通じて確認される。⚠ 作中には「藤堂 真紀」という別表記も現れる(劇中のテレビ番組ごっこの場面)。本編の自己紹介はいずれも「塔堂」である。

桃木千秋

桃木千秋

ももき・ちあき 千尋の姉・現国教師

千尋の姉で、舶用学院の現国教師。校内では「桃木先生」と呼ばせる。語尾を伸ばす柔らかな口調でおっとりしており、生徒からの人望も厚い。大食家として描かれ、地の文は「あれを3杯食べてもスタイルが崩れない千秋さんは一種のミステリー」と評する。現国教師らしく古典の知識が豊富で、補習では出題側に回る。物語の中では、季桜に個人的な関心を示す場面や、根倉から思いを打ち明けられて断る場面がある。時間が巻き戻された二度目の一日でも同じ出来事がほぼ同じ経過をたどることの、証人のひとりでもある。

徳永博子

徳永博子

とくなが・ひろこ 新聞部

新聞部の生徒で、一人称は「あたい」。自らをジャーナリストと規定し、取材と裏取りを行動原理にしている。情報を対価として扱う交渉をし、見出しを即座に考える職業意識もある。前作の事件の当事者でもあり、当時の経緯を把握している側の人物。千尋が前世を知りたがった理由を見抜いて、鈍いかずひこに言い放つのも彼女である。かずひこが別の時空から戻った直後、様子のおかしい彼を見て騒ぎが広がりかけたとき、それを収拾したのも博子だった。将来はニュースキャスターではなく新聞記者になりたいと語る場面がある。

木塔

読みは作中で確認できない クラスメート

かずひこのクラスメートで、女性への関心を隠さず詩的な言い回しで口説き続ける。千尋を「桃木さん」、月美を「日宮さん」と呼び、双方に好意を示す。地の文からは「エロエロ唐変木の木塔」と呼ばれ、本人もその評を受け入れている。⛔ 前世の因縁に組み込まれている人物で、千尋の前世である巫女と結ばれた相手の転生が木塔にあたる。本人はこの事実を知らされない。持論の「愛という形は、当事者2人の相互関係で作り出される」という台詞は複数の時空をまたいで同じように現れ、時空が変わっても人物が変わらないことの目印にもなっている。

井闇

いやみ 政経の教師・生徒指導

政経担当で生徒指導の中心にいる教師。前作にも同じ役どころで登場しており、かずひこに目をつけ続けている点も変わらない。千尋が「これ以上因縁付けられてかずが退学するなんて嫌よッ」と心配するとおり、本作でも彼の目は光っている。⛔ なお前作では、退学裁定を潰された井闇の恨みの思念が巨大なタマタマを呼び出しており、彼自身がその張本人だったことを覚えている側の人物にあたる。

季桜

きざくら 体育教師

舶用学院の体育教師で、前作から続投している。「スポォッツ」という独特の言い回しも変わらない。本作では千秋が個人的な関心を示す相手にもなっている。前作ではオオタマに身を挺して立ち向かい敗れた経験があり、自分の姿が写し取られて事件の犯人に仕立てられたこともある人物である。

清水・根倉

しみず/根倉の読みは作中で確認できない 学院の生徒

いずれも前作から続投する生徒。清水は前作では生徒会書記で、本作ではかずひこの後輩として登場する。根倉は前作でも図書室の常連として顔を出していた人物で、本作では千秋に思いを打ち明けて断られる場面がある。

ジロー

ジロー なぎさの飼い犬

なぎさが飼っている犬。かなりの高齢で、なぎさは「ジローは、人間で言ったらもう40歳越えてるわよ」と説明する。散歩は飼い主の義務だと言い切るなぎさの人柄が、この犬を通して出ている。