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ネタバレゾーン — 晴れのちときどき胸さわぎ

このゾーンにはネタバレが含まれます。
天津船刻美の正体、日宮月美が「一番目の巫女」であることと定められた死、早乙女かずひこの前世である破導法師、千尋と木塔の前世、繰り返される修学旅行三日目の理由、そして結末まで、すべて明かしています。未プレイの方はまず作品トップページをご覧ください。

詳細レビュー
ネタバレFAQ — 真相に関する質問
天津船刻美の正体は?

月美の死の瞬間に弾き出された、月美の心の一部である。刻美自身が「私は、月美の一部なのよ」「私と月美は同一人物なのよ」と語る。実体を保っていられるのは時之龍の力によるもので、その力を失えば存在も消える。したがって月美を救うことと刻美が存え続けることは両立しない。この二択が終盤の葛藤の中心になる。

刻美はなぜ時を越えてきた?

もっとも幸せだった時間に留まりたかったからである。物語の核心にあたる場面で、幼いかずひこの前に立った刻美が泣きながらこう告白する。「私は……一番幸せだった時間の中で、いつまでも暮らしたかっただけなのに……それはいけないコトなのッ」。時間への干渉も、学院の事件も、旅先の騒動も、すべてこの願いから始まっていた。プロローグで夕闇に消えた少女がそこにいた理由が、ここでようやく分かる。

「一番目の巫女」とは? 月美の運命は?

日宮には時之龍の力時之龍を知る力という二つの力が伝えられており、その時点で最も能力の高い巫女の中に封印される。それが一番目の巫女で、当代が月美だった。前作で月美が舶用学院へ招かれた本当の理由もこの力にある。そして月美には死の運命が定められている。本人はそれを「人はいつか死にますけど、それが私の場合明日だと、ただそれだけのことだと思うんです」と淡々と受け入れている。

かずひこの前世は?

破導法師である。終盤でかずひこ自身がそれを認める。破導法師は緊縛の行によって時間を止める法力を得た法師で、その力が戦に利用されたことを厭って逃亡し、山中でキミという女性に助けられた。やがて追手に封印されるのだが、その封印を行ったのが千尋の前世にあたる巫女である。かずひこが時之龍の力を扱えるのは前世のためではなく、前作から持ち越した龍神の力によるものである。

千尋や木塔にも前世がある?

ある。前世の相関は四人分そろっていて、かずひこ=破導法師/月美=破導法師の想い人キミ/千尋=破導法師を封印した巫女/木塔=その巫女と結ばれた相手という対応になる。現世で結ばれているかずひこと千尋は、前世では封じる者と封じられる者だった。しかも千尋に言い寄る木塔が、前世では巫女と結ばれた相手にあたる。前世の縁だけを見れば、現世の関係は逆立ちしていることになる。木塔本人はこの事実を知らされない。

集団緊縛事件の犯人は?

破導法師である。時間を止めた状態で人を縛って回っていたため、目撃者の証言では説明がつかなかった。動機は「彼女と出会うきっかけになった事件を繰り返し続けた」ことにあり、前世でキミが自分を捕らえに来た経緯を再現しようとしていた。最終的に、刻美の時間移動で発端より早い時間帯に戻って破導法師を捕らえたことで、事件そのものが起きなかったことになる。地の文も「緊縛事件は完全に抹消されたみたいだな……」と確認している。

時之龍とは何者?

世界の「時」そのものを象徴する龍で、紅龍・蒼龍よりも遙かに上位の存在とされる。遙か昔に日宮の巫女が二龍を仲裁できたのも、この時之龍の力を借りたからだと明かされる。時間へ干渉した者を庇護する一方、無理を強いれば反動が来る。日宮の巫女は龍神の嫁となる役目のほかに、時之龍を暴れさせない使命を負っている。かずひこは「龍に選ばれし者」と呼ばれる。

修学旅行の三日目が繰り返されるのはなぜ?

かずひこの時空に対応する龍の頭がねじ曲げられ、未来が過去につながれていたためである。それを元に戻すのは別時空の月美だった。本作には複数の時空が存在し、別時空の人物は性格そのものが異なる。地の文は硬い口調の月美を「笑わない月美ちゃん」と呼び分け、眼鏡をかけた千尋の存在も時空を見分ける目印にしている。珠美が縛られているかどうかも判断材料に使われる。

冥土珠美の正体は? 前作とどうつながる?

人間ではなく、タマタマと呼ばれる存在である。これは隠された正体ではなく初登場の時点で明かされている。⛔ そして前作『晴れのち胸さわぎ』の敵役と同一存在である。前作で珠美は「私は隣の舶用神社でメイドをしてます」と名乗ったがそれは嘘だった。本作ではそれが実際の立場になっている。前作の敵役が神社に仕える側へ回っているわけである。

結末はどうなる? 刻美は救われた?

かずひこは時之龍への干渉に踏み切り、定められていたはずの月美の死は動く。月美の「……運命って……変わるんですねぇ……」という一言がその答えである。エピローグでかずひこは千尋にすべてを話し、「数ある未来の選択の中から千尋を選んだ」と告げる。一度は「オレは約束を守れなかったんだ」と悔いるが、そこへ刻美が現れる。かずひこの龍神の力によって実体化したのである。時之龍の力は月美の内へ戻るが、刻美は「お兄ちゃんとまた一緒に居られるんだもんッ ゼンゼン平気よッッ」と笑う。最終場面は前世の側で、破導法師とキミが並んで歩いて幕が下りる。

前作をやっていないと分からないことは?

いくつかある。月美がかずひこを「御主人様」と呼ぶ理由(日宮の巫女は蒼龍の許嫁で、その蒼龍が前作でかずひこの体内にいた)、たびたび言及される「龍神事件」の中身(前作の物語そのもの)、津安留迂神と府安留迂神が蒼龍と紅龍を指すこと、蒼玉が何であるか、そしてかずひこがなぜ龍神の力を持っているのか。前作の結末で記憶を封じられた人物はいないため、登場人物は前作の出来事をそのまま覚えている前提で話が進む。本作単体でも筋は追えるが、これらは説明されないまま前提になっている。

前作から変わった設定はある?

ある。前作では巫女が二龍を鎮めた手段は祈りのみだったが、本作ではそこに時之龍の力が加わっている。かなめの立場も、前作では学院運営に関与しない神社の巫女だったのが、本作では学院の理事長かつ神社の宮司になっている。そして最も大きいのは、時之龍・前世・転生をめぐる体系がすべて本作からの導入であるという点。時之龍も刻美も破導法師も一番目の巫女も懐中時計も、前作には一度も出てこない。人物の出入りもあり、前作にだけ登場するのは白石押絵・紅涼子・校長の鮒紀、本作から加わるのが日宮雪美と刻美である。