用語集 — 晴れのちときどき胸さわぎ
『晴れのちときどき胸さわぎ』の固有設定用語を解説します。▼ネタバレ詳細を含む項目はアコーディオン内に格納されています。タグをクリックするとカテゴリを絞り込めます。読みは作中でふりがなや音写が示された語だけを添えました。
時刻そのものの化身とされる巨大な龍。時間への干渉はすべてこの存在の力を借りて行われる。
- 序盤での意味
- 刻美が時間移動を行うと現れる巨大な生物。月美は「この御方は時之龍様です、御主人様っ。私も文献でしか知りませんが……」と述べ、日宮の巫女にとっても文献上の存在であることが示される。地の文は「この巨大な生物が時之龍ッッ ……時刻の化身……ッ」と表現し、その咆哮を「オレ達の心まで震わせるほどに大きく、そして原始の恐怖を体感させる」とする。
- 真相・詳しい意味
- 月美の説明により「時之龍様はこの世界の時の象徴」であり、紅龍・蒼龍よりも遙かに上位の存在であることが明かされる。時間へ干渉した者を庇護する一方、無理を強いれば反動が来るとされ、破導法師は「時之龍に無理をしいれば、いずれは反動がやって来るぞ」と警告する。終盤では荒れ狂い「時之龍の力を持たない者達よ、この時之龍に何の用だッ」と敵対的に振る舞う。破導法師は「時の狭間で、時之龍に食われる結果になるやもしれん」と述べ、かなめは「悪くすれば時之龍様が暴れ、時間が崩壊してしまう可能性も……」と補足する。
- 作中での使用
- 巫女が力を用いるたび「我を呼び願いし、時之龍の力を許されし巫女よ。」という定型句で応答する。かずひこは「時之龍っていうと、"えいえいおー"とかってヤツかッッ」と最初にとぼけ、以後も「ウニ野郎」「反抗期の時之龍なんて大嫌いだぞ」などと軽口を叩く。頭部を失った姿を「ワラビみたい」と評する。
時之龍の別表記。作中の話者名タグは一貫してこちらが使われている。
- 序盤での意味
- 「時之龍」の別表記。話者名タグは全編を通じて で統一されており、地の文・台詞中の「時之龍」と表記が分かれている。
- 真相・詳しい意味
- 指すものは同一で、意味の差は作中から確認できない。
時之龍が座す、時の流れの外側の場。時間移動はすべてここを経由する。
- 序盤での意味
- 時間移動の際に必ず経由する場。地の文は「ここは時之龍の空間だ。目の前には時之龍が無限の大きさでのさばってるぞ」と描く。周囲の時間から切り離されているため、追われている場面からの避難先としても使われる(「オレ達は食堂の生徒達から逃げるように、時之龍の空間へ移動したッッ」、)。
- 真相・詳しい意味
- 移動の中継点であると同時に、時之龍と直接対話できる唯一の場でもある。終盤では時之龍が荒れ、「時之龍の空間のうねりに身が翻弄され」、「オレ達は、荒れ狂う時之龍の空間に木の葉のように翻弄されるッッ」という状態になる。周囲の騒音などの影響で移動できなくなることもある(「だが、周りの騒音やら何やらの影響なのか、時之龍の空間へ移動できないッッ」)。
- 作中での使用
- 刻美が「龍の胴よ、時之龍ッ 4名様、昼休みの食堂へッッッ」のように行き先を告げる形式が定型化している。かずひこ単独では「時之龍、刻美ちゃんの所に行こうと念じたら、月美ちゃんの所へ行ったぞ。ちゃんと運んでくれよッッ」と制御に失敗する。
時間へ干渉する力。日宮の巫女に受け継がれ、通常は巫女自身の内に封印されている。
- 序盤での意味
- 刻美が時間移動に用いている力。月美は「時之龍に許されし巫女にしか扱えません、ご主人様」と述べる。当初その所在は誰にも分からず、かずひこは知らないまま懐中時計を持ち歩いていた。
- 真相・詳しい意味
- 「普通は時之龍に許されし巫女の中にだけ、封印されているモノ」。遙か昔、紅龍と蒼龍を仲裁するために日宮の巫女が用いた力であり、その際に両龍から「時之龍の力と、時之龍を知る力は封印する」と誓わされた。以後は日宮の巫女のうち最も能力の高い者=一番目の巫女の内に封じられる。本作の時点では月美に封じられている。 - 刻美が持っていた分の力については、作中に二つの説明が併存する。月美は「初めは刻美様の中にあった時之龍の力を、刻美様が雪美様の封印を恐れて懐中時計に移し、ご主人様に託していたというのが事の真相みたいですねぇ」と推論する。一方、刻美自身は終盤で「かなめ叔母さんの言葉に従って、私は懐中時計に"時之龍の力"を封印したの」と語り、かなめが「ただし、その"時之龍の力"は規制させてくださいな」と条件を出したことを明かす。前者は月美の推測、後者は当事者の証言であり、後者が正確と読める。
- 作中での使用
- 破導法師は「龍に選ばれし者がその身に時之龍の力を通す、それだけのことだ」として転生を見るために利用する。かずひこが扱えることについて時之龍は「我に許されし巫女でないお前が時之龍の力を発動するには強い想念が必要だ。一心に念じてるかッ」と説明する。結末では刻美が「月美の中に戻ってるよッ 多分。」と述べ、月美自身も「さぁ……きっとそうなんじゃないですかぁッ」と曖昧に答える。
望む時刻を指定して到達するための力。時之龍の力と対をなし、一番目の巫女に封じられる。
- 序盤での意味
- 終盤まで語られない。中盤までは「時之龍の力」だけが単独で扱われている。
- 真相・詳しい意味
- 「時之龍の力」と対をなすもう一つの力で、任意の時刻を指定して到達するために必要とされる。雪美は「しかし、任意の時間にたどり着ける保証は何一つ無いですわね。任意の時間に戻るには時之龍を知る力が必要ですもの」と述べ、これが無い移動は行き先が定まらないことを示す。二つの力を併せ持つことが「正当な後継者の証」であり、一番目の巫女の条件となる。
- 作中での使用
- かずひこが刻美を追って過去へ向かう際、この力が無いことが最大の障害として立ちはだかる。刻美自身も「一番確実な記憶、それは修学旅行前々日だったの」「思い出せなければ、時間移動は出来ない」と語り、記憶の確かさが到達可否を左右することが示される。実際にかずひこは「時のうろこに刻まれし時の記憶」を念じることで代替する。
刻美が自らの時之龍の力を移し替え、かずひこに託していた時計。物語の鍵となる品。
- 序盤での意味
- 刻美がかずひこから借りていく時計として登場する。刻美はこれを握って祈り、時間移動を発動させる。
- 真相・詳しい意味
- 月美が「懐中時計に時之龍の力が封印されているんですよぉ、ご主人様ぁ」と看破する。刻美が自分の内にあった時之龍の力を移し替え、かずひこに託していたもの。かずひこが「という事は、オレは時之龍の力を持ってさっきまでうろうろしていたと……ッ」と気付く場面が転換点になる。破導法師の転生調べにも用いられ、かずひこは「コレを使えば、人の転生がわかる……この時計の、天性の才能ってわけだ。我ながらナイスなシャレだッ!」と駄洒落を言う。終盤では刻美が時間を止めて奪い返し、以後の展開を決定づける。
- 作中での使用
- 雪美に「その懐中時計は私が日宮の巫女として預からせていただきますわ」と取り上げられ、破導法師の協力で取り返す一連が中盤の山になる。別時空の月美が「これはお返しします、御主人様」「使い方を誤らないように。私に言えるのはそれだけです」と返却する場面もあり、懐に入れていたことからかずひこは「ホントに懐中時計だったわけだ」と述べる。
力や人を時の狭間へ閉じ込める日宮の術。力の継承という意味でも同じ語が使われる。
- 序盤での意味
- 日宮の巫女が対象を時の狭間へ閉じ込める術。雪美は破導法師について「破導法師は二度と自力で解けない封印を施した」と述べる。刻美に対しても別種の封印が施されている。
- 真相・詳しい意味
- 力そのものではなく本人ごと封じる必要がある場合がある。「破導法師の力は、彼が修行で体得した者なので、本人ごと封印しなければならなかった」。かなめは「破導法師の力は修行によって得た力であり、破導法師は自分の力で時間に干渉しているのです」「逆に、刻美さんは時之龍の力を持たない限り、時間への干渉ができないのです」と両者を対比する。 - 日宮の二つの力も「封印」という語で扱われるが、こちらは保管・継承の形式として機能している。同じ語が「敵対者の無力化」と「力の継承」の双方に用いられる点が本作の特徴で、月美が「それでは、私の封印を解きましょう、かずひこ様」と自ら申し出る場面はこの後者の用法。
- 作中での使用
- 月美が玉串・護符・呪詞で、雪美が包帯と龍牙乱舞陣で行う。終盤では月美がかずひこ自身を封印しようとする場面まで至る。
別の可能性の時空へ意識だけを飛ばすこと。移動先ではその時空の自分と重なる。
- 序盤での意味
- 懐中時計を握って念じることで発動する移動。当初はかずひこも仕組みを理解しないまま使う。地の文は「懐中時計を手にして意識を集中するが、いっこうに時空移動できず時之龍の空間に浮かんでいる」と失敗も描く。
- 真相・詳しい意味
- かずひこ自身の整理によれば「オレは確かに時空移動したが、それは単に可能性の世界に意識だけ飛ばしているだけなんだ。時間を操ったりは出来ないッッ」。地の文も「別時空へ意識だけ来ると、その時空のオレと一緒になるのか。変な感じだな」と述べ、肉体ごとの移動ではないことが示される。行き先は「近接した可能性」に限られる。
- 作中での使用
- 焦りや動揺で失敗することがあり、「パニクったオレは、ドコへ行くと言うよりもその場を逃げ出すために時空移動したッッ」といった暴発も起きる。終盤では懐中時計なしの独力での発動を試み、「徐々に体が熱くなり、オレは時空移動に入ったッッ」と成功する。かずひこが不在の間、元の時空の身体は「大口開けて突っ立ってる」状態になっていたことが博子の証言で分かる。
同一時空の別の時刻へ移動すること。日宮にとっては固く戒められた行為。
- 序盤での意味
- 同じ時空の別の時刻へ移動すること。刻美が拝詞を唱えて行う。
- 真相・詳しい意味
- 日宮にとっては禁忌にあたる。月美は「日宮の巫女として、度重なる時間移動は容認できませんから」と述べ、雪美は「時に干渉することをさせないようにするのが日宮の使命ですわ。何が起こるかわからないのに、危険を冒すような真似は絶対に許しませんわッッ」と繰り返す。時間へ干渉すると封印されていた破導法師が復活するという言い伝えがあり、実際にそのとおりになる(、破導法師本人も で「わしが時流の封印から解かれたのは、おぬしが時を遡ったからではないのかッ」と確認する)。
- 作中での使用
- かずひこは「何度体験してもスグレモンだなこの技は」「時間移動しても身体は普通のリズムを刻んでるんだもんな」と気楽に受け止める。一方で地の文は「破導法師を捕まえる為に数時間時を遡っただけでも、結構影響出たんだし」と振り返り、副作用の大きさを認める。井闇に事情を説明しようとして「井闇に時間移動なんて話をしても、信じるはずないしなぁ……」と諦める場面もある。
かずひこが移動できる範囲を定める原則。自分の人生に近い可能性の世界にしか行けない。
- 序盤での意味
- 時之龍がかずひこに告げる制約。「お前が行けるのは、お前の人生で近接した可能性のみだ」。
- 真相・詳しい意味
- かずひこの移動範囲を規定する原則で、物語上は「別時空で起きたことが自分の時空でも起こりうる」という予兆の根拠になる。地の文は「オレが時空移動できるのは、近接した可能性の世界だから……あの世界で起きることは、こっちの世界でも起きる可能性もあるわけだし……」と述べる。逆に「幼なじみの一人がいない、なんて時空に移動できるのかな……」と、遠すぎる可能性には届かない見込みも示される。
- 作中での使用
- かずひこは「近接した可能性か……。月美ちゃんと恋人になってる時空へ行けたのは、それが近接した時空だったって事だよなッ」と解釈する。
選択の分岐で生じた並行世界。人物の性格や起きた事件が微妙に違っている。
- 序盤での意味
- 選択の分岐によって生じた並行世界。かずひこはそこで「その時空のオレ」と重なる。
- 真相・詳しい意味
- 各時空は互いに独立しつつ、龍神事件のような大きな出来事は共通して起きている。別時空の月美は「別時空のかずひこ様、あなた様の時空でも龍神様事件は起こっている筈ですが……」と確認し、かずひこは「完璧に起こってるよ」と答える。時之龍の状態は全時空へ波及し、月美は「時之龍様のうねりが全時空に影響してるんですよ、かずひこ様ッ」と述べる。同一人物が時空をまたいで協力する場面もあり、月美は別時空の自分を「別時空の私の分身さん」と呼ぶ。
- 作中での使用
- かずひこが訪れる別時空では、月美の性格が厳しかったり、千尋が眼鏡をかけていたり、緊縛事件が起きていなかったりする。別時空の月美は別れ際に「二度と会わないのが自然なんですよ。さ、早く……」と告げる。
千尋が眼鏡をかけている別時空。そこのかずひこは恋人を作らない宣言をしている。
- 序盤での意味
- かずひこが訪れる別時空の一つ。千尋が眼鏡をかけていることから、かずひこが便宜的にこう呼ぶ。地の文は「紫の月美ちゃんと、眼鏡をかけた眼鏡千尋か……。2人の仲は相当深刻にすさんでるみたいだ」と記す。
- 真相・詳しい意味
- この時空のかずひこは龍神事件の際に「恋人を作らない宣言」をしており、そのため千尋とは恋人になっていない。緊縛事件も起きていない。この時空の月美が「龍神事件は確かに終わりましたが、新たな事件が起こるのです、千尋様」と予告し、本編終盤の伏線になる。終盤の危機では、この時空の月美が時之龍の空間に現れて刻美と共にかずひこを守る。
- 作中での使用
- 呼び分けのための地の文表現として全編で用いられる。千尋自身が「"眼鏡千尋"って、なんだか変な呼び方だけど……でも、嬉しい……」と反応する場面もある。地の文は「眼鏡千尋は、コレ以上ないと言う位に落ち込んでいる」と繰り返し描き、元の時空の千尋との落差が強調される。
時が止まった隙間。封印された者が長い時を過ごす場所でもある。
- 序盤での意味
- 破導法師が「今は時流の狭間に位置しているハズ……何故わしと話せるッ 貴様は何者ぞ」と述べる。時間が止まっている状態を指す語として現れる。
- 真相・詳しい意味
- 封印された者が置かれる場でもある。破導法師は「キミは抵抗したがむなしく、わしはその者の手によって時流の狭間に封印されてしまったのだ」と過去を語り、再会時には「待ったぞ、この時を……時流の狭間で、長い間……キ、キミ……」と述べる。月美の封印の詞にも「時の狭間へと誘い、千代に八千代に封印し給へ」とある。
- 作中での使用
- 「時を止める」行為と「封印の行き先」の双方に同じ語が用いられ、破導法師の力と日宮の封印が同じ層を扱っていることが示唆される。終盤、破導法師は「もしかすると時の狭間で、時之龍に食われる結果になるやもしれん」と危険を警告する。
時之龍の鱗。時の記憶が刻まれており、念じることで狙った時代へ届くとされる。
- 序盤での意味
- 登場しない。終盤、過去への突入時に初めて語られる。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師が「かずひこ殿、時之龍の中を突っ切りますぞッ 時のうろこに刻まれし時の記憶を一心に念じるのだ……ッ」と告げる。時之龍の体そのものに時の記憶が刻まれており、それを念じることで到達したい時代に届くという仕組みが示される。実際にかずひこは修学旅行・緊縛事件・龍神事件・入学式と順に遡っていく。
- 作中での使用
- 用例はこの一連の場面のみ。かずひこは「時の記憶を念じろってッ」と戸惑い、破導法師は「意識を集中して……行きたい場所を、時を力強く思い浮かべて……ッ」と指示する。破導法師とはぐれた後、かずひこは「一心にあの草原を念じる」ことで目的の時代へ到達する。
時の秩序を乱す者を封じる巫女の役目。時之龍が刻美に対してこの語を使う。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- 荒れ狂う時之龍が刻美に対して発する語。「時之龍の力を許されし巫女よ、時の番人としての力を振るい、時の静寂を乱す意識を封印するべし……ッ」。巫女の役目が、力を借りる側であると同時に時の秩序を守る執行者でもあることが示される。
- 作中での使用
- 用例はこの一箇所のみ。この直後、刻美は命令に従わず、別時空の月美と協力してかずひこを守る側に回る。日宮の使命に背く選択がここで確定する。
時之龍の首がねじ曲げられ、未来が過去につながれた状態。同じ一日が繰り返される原因。
- 序盤での意味
- 登場しない。かずひこが時之龍の空間で異常に気付くところから始まる。
- 真相・詳しい意味
- 時之龍の首がねじれ、未来が過去につながれてしまった状態。かずひこは「あの時之龍の頭、ワラビみたいになってるぜッ 目どころか、頭自体がないぞッ」と描写し、後に「だから、誰かが龍の首をねじ曲げて、未来を過去につなげちまったんだよ。今日が2回繰り返されたのは、そのせいなんだ」と説明する。原因は刻美である。別時空の月美が「ねじれし龍の首を元の姿に……ッ」と願うことで復元される。
- 作中での使用
- かずひこが元の時空へ戻れなくなる直接の原因として機能する。破導法師は「誰の仕業か知らぬが、このままだとまた、同じ様な事が起こり、わしらはずっと今日に閉じこめられ、先へ進む事がかなわなくなるぞ」と警告する。
同じ一日が繰り返され続ける現象。刻美が別れを避けるために引き起こした。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- ねじれし龍の首によって、修学旅行の同じ一日が繰り返される現象。かずひこは自分にとって「今日は二回目」であることを自覚し、自分がいなくても同じ事件が起き、似た解決の仕方をしていることを確認する。地の文は「時間の進み方とか、そういうのって、ある程度のゆらぎは吸収してしまうみたいだな」と整理し、かずひこは「何か面倒が起きたら、ほとぼりの冷めるまで他の時空に行ってれば、こびとさんが勝手に解決してくれるわけだッ!」と茶化す。
- 作中での使用
- 刻美が「お兄ちゃんッ 私と一緒にこの時間をいつまでも続けようよッッ 絶対に退屈させないからッッ」と提案する場面が、この語の情緒的な中心になる。刻美は「私はただ、幸せなこの時間の中で、いつまでも暮らしたいだけなのに」と訴える。
起きると決まっている未来。かなめが伏せていた、月美の事故を指す言葉。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- かなめが伏せていた前提を、破導法師が「……迎えねばならない未来がある、と言う事ですかなッ」と言い当てる。かなめは「時の流れというものは、人の意志、行動で簡単に変化します。当事者達の知る、知らざるで、起こる筈の事件が起きない事もあり得るのです。ですから……なるべくかずひこ様を遠ざけておきたかったのですが……」と説明する。その未来とは、翌日に月美が事故に遭うことを指す。刻美が救われるためには、その事故の時空へ接触する必要があった。
- 作中での使用
- 地の文は「未来は迎えるものだけど……改めてそう言われると、なんだかすごいいやな言葉に聞こえるぞッ」と受け止める。終盤、月美は「……運命って……変わるんですねぇ……」と言い、結末では「未来は変わるんですよねっ、御主人様っッ」と反転させる。
破導法師が語る運命観。同じ縁が繰り返されるという考えで、終盤で本人が言い直す。
- 序盤での意味
- 破導法師が自らの行動理由として語る運命観。「運命とは、常に同じめぐり合わせをつむぎ続ける物なのだ」「そう。だからわしは、彼女と出会うきっかけになった事件を繰り返し続けたのだ」。
- 真相・詳しい意味
- 千尋が前世を知りたがった動機と直結する。博子は「破導法師が言ったじゃんかよッッ "運命は常に同じめぐり合わせをつむぎだす"ってッ」「それなのに、否定的な結果が出たんだよッ 千尋、悩んでるよ……」と指摘する。物語の結論としては、破導法師自身が「だが、これから先、どのようなめぐり合わせをつむぎ出すか、それを決めるのは己自身だよ、月美殿」と言い直し、かずひこも「前世は前世。今は今だよ。未来は変わるんだ。なんだかんだといちいち制約されてたまるか」と応じる。
- 作中での使用
- 破導法師が人を縛って回っていた理由の説明として提示され、終盤で本人の口によって否定される構造をとる。地の文も「定められた運命を、その通りに歩むなんて、人生は電車のダイヤグラムじゃないッ! それに、電車のダイヤだって毎年変わるんだぞッッ」と重ねる。
神の力によってかりそめの肉体を得ること。刻美の体はこれで成り立っている。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- 刻美の肉体の性質を指す語。刻美は「私の体は現実の物じゃないもの。時之龍の力で実体化したかりそめの物だもの」「私の体の年齢は、記憶に左右されるの」と語る。かなめは「刻美さんの身体は様々な神の力のいたずらによって、実体化しているとはいえ、結局本体は月美さんなのですから」と説明する。結末では刻美が「お兄ちゃんの龍神様の力で本格的に実体化しちゃったみたいッッ やったぁッ」と述べ、恒久的な体を得たことが示される。
- 作中での使用
- 刻美が記憶を取り戻して「成長を始めた」ためにかずひこのそばを去らねばならなかった、という過去の説明に用いられる。「成長を始めた私は、すぐにお兄ちゃんを追い越す……」という台詞が、冒頭の別れの場面と結びつく。
刻美が時間移動の際に招く神。時間に関わる神だが、由来は作中で語られない。
- 序盤での意味
- 刻美が時間移動の際に招く神。「……この時刻みしからくりに招き奉りませ奉る、掛けまくもかしこき刻司辰神の大前に恐み恐みも白さく……‥」。
- 真相・詳しい意味
- 名の字面から時間に関わる神であることが示唆されるが、性格・由来は作中で説明されない。月美・雪美が招く津安留迂神・府安留迂神とは別で、時間移動に固有の詞である点が特徴。時之龍との関係も明示されない。
- 作中での使用
- 刻美が時間移動を行うすべての場面で唱えられる。「この時刻みしからくり」は懐中時計を指すと読めるが、作中に明示はない(推測)。
月美から分かれた意識。刻美の正体であり、二人は本来同一人物である。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- かなめが刻美の正体を説明する際の語。「時之龍の力と月美さんの裏の意識、すなわち刻美さんを」。刻美自身は「お兄ちゃん。私は、月美の一部なのよ」「月美が事故で死ぬ瞬間に、衝撃ではじき出された月美の心の一部が私なの。私と月美は同一人物なのよ」と述べる。実際には月美は死なず意識不明になり、その原因はかずひこが二人を救おうとして放った龍神様の力が強すぎたことにある。刻美が月美の内に戻れば月美は目覚める。
- 作中での使用
- 終盤の解明パートの中核をなす語。なお本作には、千秋が語るテレビドラマの筋として「女の子の父親が金目当てで悪魔に女の子の深層意識を売り、その代わりに悪魔が住み着いていた」という挿話が登場するが、刻美の設定とは無関係な劇中劇である。
時間を止める法力を持つ僧。かずひこの前世でありながら、現在にも同時に存在する。
- 序盤での意味
- 時間を止める法力を持つ僧。時が止まった中で女生徒を縛って回る人物として現れ、「緊縛とは現世に縛り付けられた心を開放する修行なり。 南無……」と唱える。かずひこは「「破導法師」だか「鳩を放置」だか知らないが」と茶化す。
- 真相・詳しい意味
- かずひこの前世である。懐中時計による転生調べで判明し、かずひこは「は、破導法師ッッ オレの前世は、破導法師だったのかよッ し、知りたくなかったぜ」と嘆く。ただし本人は現在の時間にも生きており、その事実を知って「なんと。かずひこ殿がわしの転生となッッ わしはこうして今、ここにおるというのにッ」と驚く。破導法師はこの矛盾を「ここまで時空が混乱していては、もはや何がどうあろうと不思議ではないが……」と受け入れる。終盤では自らの法力にかずひこの龍の力を重ねて過去への道を開き、「わしは……この時の為に、生かされていたのではないか、とな。キミの転生を救う、この時のために……」と述べる。
- 作中での使用
- 中盤以降は協力者に転じ、「わしは、ただの僧に戻る。緊縛寺で、読経でもして静かに暮らすこととしよう」と宣言する。結末での消息は明示されず、千尋の「破導法師はどうなったんだろうねッ」に対しかずひこは「さぁな……ま、簡単におっ死ぬようなタマじゃないと思うよ」と答えるにとどまる。その直後のエピローグで、キミと並んで歩く姿が描かれる。
破導法師が修行で体得した力。神から借りる巫女の術とは性質が異なる。
- 序盤での意味
- 破導法師が修行で体得した力。「これは破導の力なり。この世の真理の力であり、イカサマなどでは無いぞッッッ」。
- 真相・詳しい意味
- かなめは「破導法師の力は修行によって得た力であり、破導法師は自分の力で時間に干渉しているのです」と説明し、日宮の巫女が神から借りる力とは性質が異なることを示す。そのため封印も「本人ごと」行う必要がある。破導法師は日宮の術を見て「ぬぅッッ 日宮にも破導と同様の秘法がッッッ」と反応する。
- 作中での使用
- 破導法師の別れの挨拶「お主にも破導の恩恵がありますように……」という形でも使われる。雪美は「破導など、龍神様のお力にかなわぬ事を思い知らせてあげますわッッッ」と対抗する。
破導法師が術を発する際の言葉。意味は作中で説明されない。
- 序盤での意味
- 破導法師が術を発する際の言葉。「破導縛念如律令ッッッ」。
- 真相・詳しい意味
- 呪文としての意味は作中で説明されない。地の文は「破導法師は何やら怪しげな術を使って対抗する」とだけ記す。文言の構成上は「破導」+「縛念」+「如律令」であり、「急急如律令」型の呪文形式を踏襲しているが、作中には解説がない(形式の指摘は推測)。
- 作中での使用
- 破導法師の攻撃描写は「荒縄が舞い」「九字を切り」「喝ッッッ」といった要素で構成されることが多い。
破導法師が積んだ修行。心を解き放つと称し、その果てに時を止める法力を得た。
- 序盤での意味
- 破導法師が積んだ修行。本人は「緊縛とは現世に縛り付けられた心を開放する修行なり。 南無……」と説明する(雪美への挨拶では「緊縛の行とは現身より心を解き放つ技なり。南無……」と言い換える。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師の来歴の起点。「若き頃よりわしは、緊縛の行にて修行を重ねていた。長い苦行の末、わしはついに時間を止める法力を身につけたのだ」。その後「諸国を回り、その技で村人達に緊縛の行を伝えて行った」ことが、時の権力者に目をつけられる原因となる。修行の成果が戦に転用され、多くの死者を出したことが破導法師の悔恨の中心にある。
- 作中での使用
- 破導法師が事件を起こす際の名分として繰り返し唱えられる。周囲はこれを受け入れず、かずひこは「女の子を緊縛するなんて失礼な事をする奴はゆるさんッッ」と反発し、雪美は「こんなんで悟りが開けるなんて、山猿なみの精神構造ですわねッッ」と斬り捨てる。
破導法師が捜し続ける巫女。その転生した姿が月美であると判明する。
- 序盤での意味
- 登場しない。破導法師が「とある者の転生を捜しているのだ」と語る中で初めて名が出る。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師の来歴に登場する巫女。「旅姿の彼女はどこかの寺の巫女で、名を"キミ"と言った」。渓流に流された破導法師を助け、介抱した人物である。だがキミの帯びた使命は「"時間を止める坊主"を時流に封印すること」であり、破導法師はためらわず自分が当の坊主であると告げた。キミは封印せず、それまで通り接したが、次の刺客が現れ、破導法師は封印される。 - キミの転生した姿は月美である。懐中時計を用いた転生調べで判明する。破導法師は「月美殿ではない。彼女こそ、キミの転生した姿……」と述べるが、月美は「私は、ご主人様の物なんですぅ。他の方と一緒になるわけには参りません……」と拒む。破導法師は最終的に「わしはもう、キミと……キミの転生と共になる事はあきらめた」と述べる。
- 作中での使用
- かずひこの前世が破導法師であることと合わせると、「破導法師の願いは、わしの転生によって成就されておったのか……」という構図になる。エピローグ では、破導法師と並んで歩く「キミ」が話者として登場し、「そうですねぇ、破導様。またこうして歩けるなんて、夢のようですぅ!」と語る。この「キミ」が本人なのか転生した月美なのかは作中で明示されない(語尾は月美の話し方に一致する)。
京都にある寺。破導法師の居場所で、封印を解かれた後の住処にもなる。
- 序盤での意味
- 京都にある寺。なぎさから寺の名を聞いた千尋が「"緊縛寺"かしら、やっぱり……」と結びつける。かずひこは「"緊縛寺"かぁ……どんな寺なんだッ」と反応する。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師の居場所。「オレ達が緊縛寺に入ると、そこには破導法師が偉そうに立っていたッ」。破導法師は封印を解かれた後、「緊縛寺で、読経でもして静かに暮らすこととしよう。さらばだ……」と述べ、以後の拠点とする。終盤、月美が破導法師を訪ねる場面もここで起きる(地の文は「朽ちかけた本堂から、なにやら話し声が聞こえてくる」と描く)。
- 作中での使用
- 破導法師を捜す中盤の目的地として機能する。寺の由来や、破導法師との歴史的な関係は作中で説明されない。
懐中時計と龍の力で調べられる過去の姿。かずひこと千尋の前世は敵同士だった。
- 序盤での意味
- 千尋が清氷寺のおみくじ・占いをきっかけに気にし始める話題。かずひこは「星座で占えば、人の運勢は12種類しかない」と取り合わない。
- 真相・詳しい意味
- 懐中時計と龍の力を併用すると「過去に生きた者の転生した姿も、現在生きている者の前世の姿も、いかようにでも現せられる」。判明した関係は次のとおり(の博子による整理)。 - キミの転生 = 月美 - かずひこの前世 = 破導法師 - 千尋の前世 = キミではなく「破導法師を封印した巫女」 - その巫女が結ばれた相手の転生 = 木塔 - 博子はこれを「それじゃ、かずひこと千尋の前世の姿って、敵同士ってコトじゃんかッ」とまとめる。千尋が前世を知りたがった動機は、かずひことの関係の保証を求めてのことだと博子が指摘する。
- 作中での使用
- 千尋の落ち込みの原因として中盤以降の情緒を担う。千尋自身も「まぁ、前世で破導法師を封印したくらいだから……そういう関係なのかも……」と自嘲する。かずひこは一貫して「前世がなんだろうと、オレはオレだぜッ」「前世は前世。今は今だよ」という立場をとる。
前世の者が生まれ変わった姿。破導法師はキミの転生を捜して事件を繰り返した。
- 序盤での意味
- 破導法師の目的として提示される。「ただわしは、とある者の転生を捜しているのだ」「……恥ずかしながら、わしの好いたおなごだ……」。
- 真相・詳しい意味
- 前世と対をなす概念で、調べる手段は同じ。かずひこは「たとえ、前世がタヌキで来世がナマズだろうと、死刑囚と裁判官の関係だろうと、今のオレ達は今のオレ達だと思うんだが……」と受け止める。月美は「なんだか、時間とか転生とかが複雑になりすぎて、私にはよく判らないですぅ」と述べる。
- 作中での使用
- 破導法師の行動原理の説明として機能し、終盤では「キミの転生を救う、この時のために」と、彼が命を賭ける理由に転じる。エピローグでは「おそらくは来世でも……」という言葉で締めくくられる。
破導法師が知ろうとしていた法。転生を捜すための知識だが、内容は語られない。
- 序盤での意味
- 破導法師が逃走の理由として口にする。「いくつもの呼び名を持つ者よ、わしはまだ捕まる訳にはいかん。輪廻の法を知るまで……」。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師が転生を捜すための知識を指すと読めるが、「輪廻の法」の具体的な内容は作中で説明されない。千尋は転生調べの説明を聞いて「……輪廻転生で時を越えためぐり合わせ……」とつぶやき、この語が自分の関心に接続されたことを示す。
- 作中での使用
- かずひこは終盤、刻美の境遇について「そうなると、刻美ちゃんは時間の輪廻から逃れられず、以後未来の月美ちゃんは死んだままになる……」と、別の意味でこの語を使う。
破導法師が術の前に切る所作。九字・読経・喝が彼の力の発動手順を構成する。
- 序盤での意味
- 破導法師が術の前に切る所作。「不敵にも破導法師が右手で九字を切り、左手で懐から荒縄を取り出し叫ぶッッッ」。
- 真相・詳しい意味
- 破導法師の力の発動手順の一部。「そう言うなり、破導法師は中空に九字を切り、気合いを発したッ」。終盤、過去への道を開く場面でも「破導法師はそれだけ雪美さんに告げると、九字を切り、読経を始めた」と描かれる。
- 作中での使用
- 破導法師の術の演出として一貫して用いられ、日宮の巫女の玉串・拝詞と対比される。
破導法師の一喝。止めた時を動かし、施錠された扉さえ開けてしまう。
- 序盤での意味
- 破導法師の一喝。「喝ッッッ」の一声で止まっていた時が動き出す(「破導法師の一喝により、止まっていた「時の流れ」が再び動き出し、一斉に動き出した空間のざわめきが、静寂に包まれていたオレ達を包み込むッ」)。
- 真相・詳しい意味
- 時を戻す用途のほか、施錠された扉を開ける用途にも使われる。「こんな鍵、わしの喝一つで簡単にあくぞ」。地の文は「破導法師の喝があまりにでかい声なので、オレは思わず耳を押さえて悲鳴を上げた」「はっきり言って、今のは喝と言うより爆発に近かったぞッッ」と描く。
- 作中での使用
- 破導法師の脱出手段として繰り返し用いられる。かずひこは「こいつも便利なアイテムだなぁ」と評し、そこから「あいてむとはッ」という言葉遊びのやりとりに発展する。
破導法師の力。時を止める働きは、実は時を微かに遡る行為だと推定される。
- 序盤での意味
- 破導法師の力の呼び方。「長い苦行の末、わしはついに時間を止める法力を身につけたのだ」。
- 真相・詳しい意味
- 龍の力とは階層が異なり、地の文は「破導法師の法力も、雪美さんの呪詞も確実に上回る力……龍の力がッッッ」と序列を示す。終盤ではこの法力に龍の力を重ねる方法が採られる。「このわしの時を止める法力に、お主の龍の力を込める事で法力を増大させるのだ。うまくすれば過去へ向かう事が出来るかもしれん」。かなめは「時を止める行為は、時を微妙に遡る行為であり、結果的に止まっていると感じる、と推測するわけですねッ」と原理を推定し、破導法師は「さよう。時空の壁を越える事は出来るはず」と認める。
- 作中での使用
- かずひこはこの原理を「……要するに、上りエスカレーターを駆け降りるワケか」と言い換える。
二つの力を封じられた、日宮で最も能力の高い巫女。月美がこれにあたる。
- 序盤での意味
- 雪美の台詞に「"魑魅暴走事件を解決した煩悩男と鉄拳娘、それを見守るのんきなNO.1"って日宮系列の神社では有名ですわ」という形で「NO.1」の語が現れる程度で、意味は説明されない。
- 真相・詳しい意味
- 別時空の月美が明かす。「日宮には、"時之龍の力"と"時之龍を知る力"と言う二つの力が伝えられています。この二つの力は、その時点で存在する日宮の巫女の中で、もっとも能力の高い者の中に封印されるのです。1番目の巫女、とはそういうことです」。さらに「簡単に言えば、紅龍様、蒼龍様をいさめることの出来るほどの力が封印されている、日宮の最高の実力者。日宮の1番目の巫女とは、そう言う者のことです」と要約される。月美が龍神事件の際に舶用学院へ呼ばれた真の理由も、「あの時、もしも龍神様が暴走した時は、私の封印を解いて事態を解決する、そのためだったのです」と語られる。
- 作中での使用
- かずひこは「日宮のナンバー・ワンの巫女……以前、オレの時空でもそんな話を聞いたな……」と回想し、この称号が元の時空でも共通であることが示される。元の時空の月美も、かずひこに問われて二つの力の封印先が自分であることを認める。
かずひこの内に残る、奇跡を起こす神の力。救いと災いの双方の原因になる。
- 序盤での意味
- 前作の騒動でかずひこが得た力。千尋は「でも、かず龍の力って、龍神事件の後にちゃんと蒼玉へ戻したんじゃなかったっけッ どうして龍の力を使えたのかしらッッ」と疑問を呈し、返却済みのはずの力がかずひこに残っていることが明らかになる。
- 真相・詳しい意味
- かなめは「しかし、龍神様の力は神の力。奇跡をも起こせる力は人に大きすぎます」と述べる(地の文は「前回の龍神事件でオレが龍神の力を発揮できたのは、女の子に危険が迫ってる時だけだった」と発動条件を整理する。この力が終盤で二重の役割を果たす。月美と真紀を交通事故から救う一方、その威力ゆえに月美から刻美をはじき出し、月美を昏睡させた原因にもなる。雪美は「認めたくないのかもしれませんが、月美さんをこの状態にし、さらに刻美さんを作り上げたのはあなたですわっッッ」と告げる。結末では刻美を本格的に実体化させる。
- 作中での使用
- 破導法師は「今のわしには、龍の力の手助けがどうしても必要なのだ」として転生調べに求め、別時空では月美の封印を解く鍵にもなる。かずひこ本人は原理を理解しておらず、「オレ時之龍の力をどうこうするコトなんて出来ないぜッ」と繰り返す。
龍神の力を宿す者。破導法師と時之龍がかずひこをこう呼ぶ。
- 序盤での意味
- 破導法師がかずひこを呼ぶ言い方。初対面時から「……‥龍に選ばれし者があのようなオトコとは……」「龍に選ばれし者よ……近いうちに会おうぞ……ッッ」と告げる。
- 真相・詳しい意味
- 龍神様の力を宿す者を指す。破導法師は力を確かめたうえで「確かに本物だ。お前はまさしく、"龍に選ばれし者"……」と認める。時之龍も「時之龍の力を持つ、龍に選ばれし者よ、汝の望む行き先は……」とかずひこに応じる。
- 作中での使用
- かずひこ自身は「オレは死なないって。なんたって龍神に選ばれし男だからなッ!」と軽口に転用する。破導法師が過去を語る際の呼びかけとしても一貫して用いられる。
龍の力を納めるべき玉。返却したはずの力がかずひこに残っていた理由は語られない。
- 序盤での意味
- 龍の力を納めるべき玉。千尋が「龍神事件の後にちゃんと蒼玉へ戻したんじゃなかったっけ」と述べる形で言及される。
- 真相・詳しい意味
- 実際にはかずひこの内に力が残されたままだった。千尋は「もしかして、雪美さんはかずに龍の力がある事を知ってたのッッ どうして蒼玉じゃなくかずに……ッッ」と問うが、なぜかずひこに残されたのかは作中で明示されない。月美は「蒼龍様の力で使えるかもというのは、あくまでたとえですので確証はないんですけどぉ……」と留保を付ける。危険じゃんッ」と問い詰める場面がある。
- 作中での使用
- 前作の出来事を指す語であり、本作では現物は登場しない。
前作の当事者である二柱の龍神。両者の仲裁が日宮の掟の起源になっている。
- 序盤での意味
- かずひこが「紅龍も蒼龍も地の底へ帰ったのに、珠美だけ地上に残ったのはそういう訳だったんだな」と述べる形で、前作の当事者として言及される。
- 真相・詳しい意味
- 遙か昔、両者の争いを日宮の巫女が仲裁した。月美は「時之龍様は、紅龍様、蒼龍様よりも遙か上位の存在……日宮の巫女が仲裁できたのも、時之龍様の力のおかげなのです」と説明する。仲裁の後、両龍は封印される際に日宮の巫女へ「時之龍の力と、時之龍を知る力は封印する」と誓わせた。これが一番目の巫女という制度の起源にあたる。
- 作中での使用
- かずひこは「イヌも喰わない夫婦喧嘩の仲裁に入ったんだ。たいしたもんだ」「子供の喧嘩に親を呼んできたって感じッ」「要するに、ガキの喧嘩に高校生を呼ばないように、と約束させたんだな」と要約する。本作の現在時間には登場しない。
前作にあたる騒動。月美の赴任、恋人関係、龍の力など本作の前提がここで生まれた。
- 序盤での意味
- 前作にあたる騒動。作中では「この前の事件」「龍神さわぎ」「龍神様事件」とも呼ばれる。舶用神社が半壊してまだ修理中であることが本作の冒頭で示される(「舶用神社はこの前の大騒ぎで半壊して、まだ修理中のようだ」)。
- 真相・詳しい意味
- 月美が舶用神社へ来たきっかけであり、その真の理由は月美が一番目の巫女だったからだと終盤で明かされる。かずひこと千尋が恋人になったきっかけでもある(「最近までは単なる友人だったが、ある事件をきっかけに オレ達は恋人になった」)。珠美が地上に残る理由、かずひこに龍の力が残っている理由もこの事件に由来する。
- 作中での使用
- 別時空でも共通して起きているが、帰結は時空ごとに異なる。眼鏡千尋の時空ではかずひこが「恋人を作らない宣言」をしている。かずひこが過去へ遡る場面では、通過する時代の一つとして「これは、龍神事件……ッ」と現れる。
珠美の正体である種族。変幻自在で何でも食べ、龍の力さえ扱えるとされる。
- 序盤での意味
- 珠美の正体として地の文が明示する。「彼女の正体は魑魅〔すだま〕の一種で、霞〔かすみ〕という龍神のしもべだ」。
- 真相・詳しい意味
- 「変幻自在でなんにでも変身でき、なんでも食べ、龍の力を取り込み操ることさえ出来る自称万能生物らしい」とされる。地の文は「余談だが食うとオイシイらしいぞ。食いたくないけど」と付け加える。座敷牢では珠美が「魑魅魍魎」と宴会をしている場面がある。
- 作中での使用
- 雪美が前作を「魑魅暴走事件」と呼ぶ用例がある(「"魑魅暴走事件を解決した煩悩男と鉄拳娘、それを見守るのんきなNO.1"って日宮系列の神社では有名ですわ」)。この一文には、かずひこ・千尋・月美の三人の通り名がまとめて含まれている。
龍神のしもべである魑魅の一種。成長時に近くにいた者の意識を引き継ぐ。
- 序盤での意味
- 魑魅の一種で、龍神のしもべ。
- 真相・詳しい意味
- 成長時に「近くにいた意識」を引き継ぐ性質を持つ。月美は「タマタマ様は成長する時に"近くにいた意識"を引き継ぐらしいですから……」と述べ、珠美の性格がかずひこと千尋に似ているのは、前作で二人が龍神様の力で浄化された影響だと説明する。
- 作中での使用
- かずひこは「オレの目の前に千尋とオレの性格を受け継いだ珠美がいるぞ」と受け止め、千尋は「かずと珠美ちゃんって、なんか似てるのよねェ」と嫌がる。フットボール大の姿に変身して走り去る描写が繰り返される。
霞の俗称。鳴き声から取ったかずひこの呼び名で、変身後の姿もこう呼ばれる。
- 序盤での意味
- かずひこが霞を呼ぶ言い方。地の文は「ちなみに、オレは"霞"の事を鳴き声からタマタマと呼んでいる」と説明する。
- 真相・詳しい意味
- 珠美が変身した姿の呼称としても定着し、話者名タグにも が用いられる。月美は敬意を込めて「タマタマ様」と呼ぶ。前作の騒動の一つは「マッスルタマタマ」が起こしたと語られる。
- 作中での使用
- 「タマタマ……~ーッッッ」という鳴き声が全編で繰り返される。焦げた炭をおやつにするなど、食生活が地の文でたびたび話題になる(「にしても、焦げた炭をおやつにする珠美の……いや、 タマタマの食生活が計り知れないなぁ」、)。
舶用神社のメイド。正体は霞で、人情を学ぶため地上に残るよう龍神に命じられている。
- 序盤での意味
- 舶用神社のメイド。地の文は「彼女は"冥土珠美"といって、舶用神社のメイドだ。とは言っても、見たとおり人間じゃない」と紹介する。コウモリのような羽で空を飛び、千尋に「ひ、非常識が飛んでるッ」と評される。
- 真相・詳しい意味
- 正体は霞。龍神から「現世に残ってニンゲンの人情をもっと勉強するように言われてんのよ」と命じられて地上に残っている。名前の「冥土」はメイドに掛けた表記だが、その由来は作中で説明されない。
- 作中での使用
- かずひこの影武者を務める、座敷牢で亡霊と宴会をする、三百三間堂から「ヘンな、お人形みたいなでっかいの」を持ち出すなど、変身能力を使った騒ぎを起こす。終盤の別時空では月美に仕える立場で登場する。
前作中の騒動。マッスルタマタマが殴り込んで会議室が倒壊したとされる。
- 序盤での意味
- 井闇がかずひこの非常識さの証拠として持ち出す過去の事件。「では桃木君、キミに尋ねるが、先日の会議室倒壊事件が非常識ではなかったというのかねッ 少なくとも関係者である事は間違いないのだよ」。
- 真相・詳しい意味
- 地の文が「会議室倒壊事件というのは龍神事件の時に起こった事件の一つで、マッスルタマタマが殴り込んできた騒ぎの事だ」と説明する。前作中の出来事であり、本作では言及のみ。
- 作中での使用
- 井闇がかずひこを問い詰める材料として使われる。前作の騒動が学院内でどう記憶されているかを示す一例。
時之龍に関わる使命を負う巫女の家系。月美・雪美が属し、刻美も遠縁にあたる。
- 序盤での意味
- 月美・雪美が属する巫女の家系。刻美は「天津船」姓だが、かなめは「私と月美さんの遠縁に当たります」と述べる。
- 真相・詳しい意味
- 時之龍に関わる使命を負う一族で、内部に厳しい戒律を持つ。月美は「日宮の者は多かれ少なかれ戒律は重んじるものですしぃ……」と述べる。時之龍の力と時之龍を知る力を代々封印して受け継ぐ。破導法師は日宮の者を見て「おぬし日宮の巫女かッ ……ならばもうすぐ出現するかッ」「そう簡単に封印できると思わぬ事だな、日宮の巫女ども……」と警戒する。
- 作中での使用
- 「日宮の巫女として」「日宮の者として」という前置きが、月美・雪美の行動原理を示す定型句として全編で繰り返される。破導法師は日宮の術を見て「ぬぅッッ 日宮にも破導と同様の秘法がッッッ」と驚く。
月美と雪美がもといた社。二人はここから舶用へ赴任してきた。
- 序盤での意味
- 月美と雪美がもといた社。月美は雪美について「同じように日宮神社にいたんですよぉ。懐かしいですぅ!」と述べる。
- 真相・詳しい意味
- 月美は龍神事件の際、龍神の暴走を食い止める手伝いのため日宮神社から舶用神社へ赴任した。ただし終盤で、真の理由は月美が一番目の巫女だったからだと明かされる。雪美は「日宮から舶用学院の保健医として赴任してきただけの事です」とかなめが説明する。
- 作中での使用
- 舶用神社との対比で語られる。博子は「あたいの調査によると、その女の人は日宮神社でけっこう実力のある巫女らしいじゃんッ」と雪美について調べる。地の文は「月美ちゃんは俺に会うまで日宮神社でずっと巫女さんやってたんだもんなぁ。俗世間の物は何でも珍しいらしいぞ」と補足する。
龍神の嫁となることと、時之龍を暴れさせないこと。時間干渉の阻止がその中心。
- 序盤での意味
- 月美が説明する。「日宮の役目は龍神様の嫁になる事の他に、時之龍様を暴れさせない使命もあるのですぅ」。時間への干渉を止めることがその中心にある。
- 真相・詳しい意味
- 雪美は「時に干渉することをさせないようにするのが日宮の使命ですわ」「日宮の使命は私の最優先事項ですわッッ」と繰り返す。月美も「時間の流れを乱す者は、封印するのが日宮の使命……不本意ではありますが、これが私の役割なのです」と述べ、終盤ではかずひこ自身を封印しようとする。別時空の月美は「それが日宮の巫女の使命なのです。逃れることは出来ません、かずひこ様も私も」と、自分もまた縛られていることを認める。二つの力の継承という側面も含む。
- 作中での使用
- 月美と雪美がかずひこに協力するか否かを決める基準として機能する。月美は「もしもの場合、日宮の巫女としての立場を優先させていただきますので、お忘れ無きように……」と再三予告しており、終盤の展開がこの予告どおりになる。
月美が巫女を務める神社。宮司はかなめで、前作の騒動で半壊し修理中。
- 序盤での意味
- 月美が巫女を務める神社。宮司はかなめ。前作の騒動で半壊し、建築会社のテントが張られた修理中の状態で登場する。
- 真相・詳しい意味
- 刻美の捜索・保護の拠点となり、雪美が刻美を連れ帰る先でもある。結末では刻美が「ふっ……と気が付いたら、いつの間にか舶用神社の本殿にいたんだよッッ お兄ちゃん約束を守ってくれたッッ」と語り、実体化して現れる場所になる。
- 作中での使用
- 学院から逃げ込む避難先として繰り返し用いられる(「オレ達は風紀委員の追撃を振り切り、舶用神社の境内に身を潜めたッッッ」)。境内・物置・工事現場の資材など、修理中である設定が場面のたびに使われる。
巫女が術に用いる祭具。詞とともに神を招く器で、叩き落とされると術が止まる。
- 序盤での意味
- 巫女が術に用いる祭具。地の文は雪美について「目の前に月美ちゃんとは違う感じの巫女の格好をした女性が、両手に金属製の玉串を持って構えてるぞ」と描く。威嚇にも使われる(「玉串を持って威嚇しているぞッ」)。
- 真相・詳しい意味
- 拝詞の詠唱と一体で機能し、「この玉串に招き奉りませ奉る」という詞で神を招く器として用いられる。破導法師の術で叩き落とされると詠唱が中断され、「月美ちゃんは玉串をはじき飛ばされ立ちつくしてるッッッ」という状態になる。雪美は玉串を鳴らして包帯を放つ。
- 作中での使用
- 「月美ちゃんは玉串を両手で持ち、目を半眼にして構えると拝詞を唱え始めるッッ」という所作が定型として描かれる。終盤では月美がかずひこに向けて掲げる。
巫女が力を行使する際に唱える言葉。刻美は刻司辰神を招く拝詞を用いる。
- 序盤での意味
- 巫女が力を行使する際に唱える言葉。月美が「それにこの拝詞……危険ですぅ御主人様ぁッッ」と刻美の詠唱を評する。
- 真相・詳しい意味
- 刻美の拝詞は「……この時刻みしからくりに招き奉りませ奉る、掛けまくもかしこき刻司辰神の大前に恐み恐みも白さく……」に続き「……既に刻まれし時へ干渉するを許し給えと大前に参出で力預かりし御巫女の願い捧げ奉りて恐み恐みも白す……」と唱えられる。帰りは「既に刻まれし時から出発し時へ戻し給え」と文言が変わる。往路と復路で詞が対になっている点が特徴。
- 作中での使用
- 詠唱の直後に時之龍の空間へ移動する演出が定型化している。月美が拝詞を「危険」と評することで、刻美の行為が日宮の掟に反していることが早い段階で示される。
祓いのために唱える言葉。別時空の月美がかずひこを封じる際に用いる。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- 終盤、別時空で月美がかずひこを封印しようとする場面で用いられる。「そう言い放つと月美ちゃんは、玉串を掲げて祓詞を唱え始めたッッ」。地の文は「祓詞を唱えている月美ちゃんが、ふと顔を曇らせた」と迷いを描き、それでも「月美ちゃんはそう言うと、祓詞の続きを唱え始めたッ」と続行する。
- 作中での使用
- 用例は に集中する。同じ場面で珠美がかずひこの行く手をさえぎり、逃げ場がない状況が作られる。
封印などの術に用いる詠唱。護符と組み合わせて封印を成立させる。
- 序盤での意味
- 封印などの術に用いる詠唱。地の文は「月美ちゃんの呪詞の詠唱の中、不敵にも破導法師が右手で九字を切り、左手で懐から荒縄を取り出し叫ぶッッッ」と描く。
- 真相・詳しい意味
- 雪美の呪詞は破導法師の法力と拮抗する強さを持つが、地の文は「オレの中の"何か"が弾けるッッ 破導法師の法力も、雪美さんの呪詞も確実に上回る力……龍の力がッッッ」として、龍の力がその上位にあることを示す。
- 作中での使用
- 「もがいて逃れようとする破導法師ッ それを呪詞の詠唱と共に締め上げて押さえ込む雪美さんッッッ」「月美ちゃんが呪詞を唱えるごとに、破導法師の額に貼られた護符が共鳴するかのように光り始めるッッッ」など、封印の進行を段階的に示す描写に用いられる。
封印に用いる符。対象の額に貼り、呪詞と共鳴して封印を完成させる。
- 序盤での意味
- 封印の際に用いる符。「月美ちゃんはうなづいて懐から護符を取り出し、破導法師に近寄るッ」。
- 真相・詳しい意味
- 対象の額に貼り、呪詞と共鳴して封印を完成させる。実際に貼ったのは月美ではなく博子で、「博子ちゃんは月美ちゃんから護符を奪い取り、力まかせに護符を破導法師の額に張り付けたッッッ」と描かれる。作法とは無関係な人物が決め手になる点が本作らしい処理。
- 作中での使用
- 破導法師の封印の場面でのみ登場する。
日宮の巫女が拝詞で招く神。捕縛や封印の力を借りる対象で、由来は語られない。
- 序盤での意味
- 日宮の巫女が拝詞・呪詞で招く神。月美は「この玉串に招き奉りませ奉る、掛けまくもかしこき津安留迂神、府安留迂神の大前に恐み恐みも白さくッ」と唱える。
- 真相・詳しい意味
- 雪美は「掛けまくもかしこき津安留迂神、府安留迂神よッ 天津罪、国津罪、龍津罪の謹み無き人を捕らえる力を我にッッッ」と、捕縛の力を求める形で用いる。本作の中では性格・由来が説明されない。 ただし前作『晴れのち胸さわぎ』(1995・PC-9801)が正体を明言している(2026-08-21 追記。 参照)。 【かなめ夫人】名前を、紅龍様を"ファンルー"、蒼龍様を"ツァンルー"と呼びました。私達は津安留迂神、府安留迂神と崇めております。 | 崇め名 | 正体 | 音写 | |---|---|---| | 津安留迂神 | 蒼龍 | ツァンルー | | 府安留迂神 | 紅龍 | ファンルー | 裏づけとして、前作終盤でかなめ夫人が唱える拝詞が両者を直結させる。 【かなめ夫人】津安留迂神の御霊を、御身蒼玉の龍へ戻さんと恐み恐みも白さく‥‥‥‥!! 津安留迂神の御霊を蒼玉の龍へ戻す、すなわち 津安留迂神=蒼玉の龍=蒼龍=ツァンルー。音写の対応(ツァンルー→津安留迂/ファンルー→府安留迂)とも整合する。 したがって日宮の巫女が拝詞で招いているのは、前作の二柱の龍神そのものである。
- 作中での使用
- 月美と雪美の両方が用いることから、日宮の巫女に共通する神であることが分かる。刻美が招く刻司辰神とは別で、時間移動系(刻司辰神)と封印・捕縛系(津安留迂神・府安留迂神)で招く神が使い分けられている。
巫女が唱える罪の類型。時間への干渉にあたる龍津罪が本作独自のもの。
- 序盤での意味
- 雪美が捕縛の力を求める際に列挙する罪の類型。
- 真相・詳しい意味
- このうち龍津罪が本作独自の罪にあたり、時間への干渉がこれに該当する。月美の封印の詞は「龍津罪を犯したる破導法師命を時の狭間へと誘い、千代に八千代に封印し給へと御巫女の願い捧げ奉りて恐み恐みも白す……ッッ」であり、破導法師の罪名として明示される。
- 作中での使用
- 封印の正当性を示す語として用いられ、日宮の掟が神道の罪の体系に接続されている形をとる。破導法師を「破導法師命(はどうほうしのみこと)」と神格めいた呼び方で唱える点も、この詞の中でのみ現れる。
龍神の力を借りて対象を拘束する日宮の術。雪美の代表的な技。
- 序盤での意味
- 雪美が対象を拘束する術。破導法師との戦いで用いられる。
- 真相・詳しい意味
- 月美は「龍牙乱舞陣は龍神様の神聖なお力をお借りして行う術ですので、お金儲けに使うのはあまり……」と説明し、その使い道を戒める(博子が実演を頼み込んだ流れへの返答)。雪美は「まぁ、私の龍牙乱舞陣から自力で逃れるのは至難の業ですわ」と自負し、逃れられた際には「まさか……私の"龍牙乱舞陣"で縛り上げられた者が、自力でいましめを解くなんて……あり得ませんわッッ」と驚く。別時空では月美もこの術を使い、かずひこは「龍牙乱舞陣……雪美さんと同じワザ……ッッ」と反応する。
- 作中での使用
- 雪美の代表的な術として繰り返し登場し、包帯を用いた拘束と組み合わされる。元の時空の月美は使わず、別時空の月美は使う点が、二人の力量差の描き分けになっている。
月美がかずひこを呼ぶ呼称。別時空では「かずひこ様」となり、時空の目印になる。
- 序盤での意味
- 月美がかずひこを呼ぶ呼称。地の文は「この前の事件に関連して舶用神社にやって来た事がきっかけで、オレと知り合い、オレを"御主人様"と呼ぶ関係になった」と説明する。
- 真相・詳しい意味
- 別時空では月美がかずひこを「かずひこ様」と呼ぶため、呼称そのものが時空を識別する目印として機能する。終盤、かずひこは「オレの事を"かずひこ様"と呼ぶのは……眼鏡千尋の時空の月美ちゃんッッ」と即座に見分ける。別時空の月美が別れ際に「これで戻れますね、かずひこ様……いえ、御主人様……」と言い直す場面もある。
- 作中での使用
- 「御主人様」「ご主人様」の両表記が混在する。月美の語尾を伸ばす話し方と併せて、キャラクターの識別記号として全編で機能する。珠美も月美を「ご主人様」と呼ぶ場面があり(別時空の)、主従関係の対象は文脈で変わる。
眼鏡千尋の時空のかずひこが龍神事件の際に行った宣言。その時空の関係を歪めている。
- 序盤での意味
- 登場しない。
- 真相・詳しい意味
- 眼鏡千尋の時空でのみ起きた出来事。地の文は「……そう言えば、この時空のオレは、龍神事件の時に、"恋人を作らない宣言"をしたんだっけ……」と述べる。この宣言のために、その時空の千尋と月美の関係はこじれている。かずひこはこれを「この時空のバカオレは、"恋人を作らない"なんておろかな宣言をした様だし……」と評する。
- 作中での使用
- 別時空を識別する目印として機能する。博子も「何だよ、かずひこ。"恋人を作らない宣言"をしたヤツが、あんまりふらふらしてるんじゃないよ」と口にする。
かずひこ達が通う学校。理事長はかなめで、舶用神社と人的につながっている。
- 序盤での意味
- かずひこ・千尋・木塔らが通う学校。かずひこは生徒会長で、「オレの名前は早乙女かずひこ。舶用学院の生徒会長にして人類の手本となるべき男だぞッ!」と自称する。千秋が現国の教師を務め、地の文は「オレ達3人が通う舶用学院の現国の教師をしているぞッ!」と説明する。
- 真相・詳しい意味
- 理事長はかなめであり、ギャグイベントでも「舶用学院理事長の名は、伊達ではありませんよ」と述べる。雪美は保健医として赴任している。学院と舶用神社が人的につながっていることが、神社側の事件が学院内で起きる下地になっている。
- 作中での使用
- 井闇が「個人個人が舶用学院の生徒として、誇りを持ち、責任のある行動をして頂きたいと、僕は考えています」と説教の定型に使う。作中には「舶用学園」表記も8件あり、井闇とバスガイドの台詞に偏っている。
学院の食堂で起きた事件。破導法師の仕業で、かずひこが疑われたことから物語が動き出す。
- 序盤での意味
- 学院の食堂で起きた事件。井闇が「手短に話すとだね、今日の昼食時間に食堂で原因不明の集団緊縛事件が発生したのだよ」と説明する。物語の発端にあたる出来事で、かずひこが重要参考人にされる。かずひこ自身は「緊縛事件ってのが校内に発生して、オレはその重要参考人になっているのだ」と述べる。
- 真相・詳しい意味
- 犯人は破導法師。時間を止めた状態で人を縛って回っており、時が止まっている間の出来事なので目撃者からは説明がつかない。刻美の時間移動によって過去の時間帯に戻り、事件の発端でより早く破導法師を捕らえることで、事件そのものが起きなかったことになる。地の文は「クラスメイト達は修学旅行の話に花を咲かせている。その会話の中に緊縛事件の事はまったく現れない」「緊縛事件は完全に抹消されたみたいだな……」と結果を確認する。 - 破導法師が事件を起こす動機は「彼女と出会うきっかけになった事件を繰り返し続けた」ことにある。前世でキミが破導法師を捕らえに来た経緯を再現しようとしていた。 - 事件が消えた代わりに、時間移動の副作用で「二人かずひこ」の噂が発生する。
- 作中での使用
- 「緊縛事件」「無差別緊縛事件」の呼び方も併用される。眼鏡千尋の時空ではこの事件が起きていないことが、時空を識別する手がかりの一つになる。かずひこが過去へ遡る場面では、通過する時代の一つとして「緊縛事件を過ぎて……」と現れる。井闇は解決後も蒸し返し、かずひこは「井闇も退学退学って進歩がないなぁ。緊縛事件は解決したから関係ないだろッ」と応じる。
時間移動の副作用で生じた学内の噂。同じ時間に二人のかずひこがいた痕跡。
- 序盤での意味
- 集団緊縛事件が抹消された後、代わりに学内に広まっている噂。かずひこは「緊縛事件の代わりに、「2人のオレが縄跳び事件」か。平和で良いんじゃないかッ」と受け止める。
- 真相・詳しい意味
- 時間移動によって同じ時間帯に二人のかずひこが存在してしまった結果。清水の証言では「二人会長と季桜先生の格闘縄跳びの事なら聞いてるッス。何でも、分裂した会長が季桜先生に縄跳びをさせられて、季桜先生がワープしたとか」。千秋も「かず君が分裂したのよね」と伝聞する。
- 作中での使用
- 時間干渉の副作用が世界に痕跡を残すことの実例。終盤、博子は時間ループの話を聞いて「……ひょっとしてそれ、"二人かずひこ"のウワサの事かいッ」と結びつける。
別時空の月美が告げる予告。何を指すかは作中で断定されないまま終わる。
- 序盤での意味
- 眼鏡千尋の時空の月美が告げる予告。「龍神事件は確かに終わりましたが、新たな事件が起こるのです、千尋様」。
- 真相・詳しい意味
- 何を指すかは即座には明かされない。かずひこは「"新たな事件"……オレがこうして時空移動してるって、そのコトよりもっと何か別のことが起きるのかッ」と考え、後にも「昨日、眼鏡千尋の時空であそこの月美ちゃんが言っていた"新たな事件"ってのが、ちょっと引っかかるな」と気に掛ける。眼鏡千尋は終盤、かずひこから事情を聞いて「月美さんが言っていた"新たな事件"って、この事かしら……」と述べる。この語が具体的に何を指すかは、作中で断定されない。
- 作中での使用
- 別時空で得た情報が自分の時空の予兆になるという、「近接した可能性」の原則を物語に組み込むための装置として働く。
緋雲荘で起きた宝石の置き引き。手がかりは魚臭い手ぬぐいで、犯人の素性は不明。
- 序盤での意味
- 緋雲荘で起きた宝石の置き引き。被害者は都渡で、「ミーのスーパーゴージャスなジュエリィ達が……」と嘆く。
- 真相・詳しい意味
- なぎさが現場の状況を整理し、旧館・通用口・混浴露天風呂・旧館脇の勝手口といった経路を説明する。手がかりは「サカナ臭い手ぬぐい」で、かずひこは「犯人は顔を洗う習慣のあるサカナだってコトだ」「つまり敵は半魚人」と迷推理を披露する。犯人はかずひこが以前から「師匠」と呼んでいた「魚臭い置き引き犯」で、捕縛されると宝石を丸飲みして抵抗する。この人物の素性は作中で説明されない。
- 作中での使用
- 修学旅行中のサブ的な騒動。ここで千尋の落ち込みが再燃し(「まぁ、前世で破導法師を封印したくらいだから……そういう関係なのかも……」)、なぎさが「千尋さんの気持ちも考えてあげてよ、かずりん」と促す流れにつながる。
かずひこが会長、千尋が副会長、清水が書記を務める。井闇の説教の根拠にもなる。
- 序盤での意味
- かずひこが会長、千尋が副会長、清水が書記を務める。冒頭で千尋が「生徒会の仕事さぼって熟睡しないでよッッッ 生徒会長でしょッッ」と叱る。地の文は清水を「超がつくほど元気に微笑みかけてるこいつは清水といい、生徒会役員で書記をしてるぞ」と紹介する。
- 真相・詳しい意味
- 井闇がかずひこを叱る根拠として繰り返し使われる。「早乙女君……君は生徒会長ではないのかねッ 生徒会長は反面教師ではいけないのだよッ」「生徒会長とは生徒の見本となるモノであり、校外の人々が校風を判断する時の目安で……」。かずひこは修学旅行の実行委員も兼ねる。
- 作中での使用
- かずひこの立場と行動の落差を示す装置。清水は「生徒会の仕事が無くて、退屈で寂しいっすよーーッッ」と繰り返し、かずひこは書記の仕事を大げさに持ち上げてはぐらかす。緊縛事件の際は校内放送で「生徒会長の早乙女君。至急生徒指導室に出てきたまえ」と呼び出される。
博子が部長を務める部。事件に首を突っ込む動機になり、独自調査も行う。
- 序盤での意味
- 博子が部長を務める。かずひこは「博子ちゃんは新聞部に命をかけてるからなァ」と評する。
- 真相・詳しい意味
- 博子が事件に首を突っ込む動機になる。雪美について「あたいの調査によると、その女の人は日宮神社でけっこう実力のある巫女らしいじゃんッ」と独自に調べており、かなめにも取材している。千尋には「"外道生徒会長を取り巻く三角関係の愛憎の行方は"ってタイトルで記事にするからさ」と持ちかける。
- 作中での使用
- 修学旅行中も「緊縛事件についてのメモをまとめる作業もあるし、修学旅行の間に出す新聞も作らなきゃいけないし、今大変なんだよ」と作業を続ける。終盤、月美の事故について「悪い展開になって欲しくないね。事故なんか起きないに越したことはないよ。ジャーナリストのセリフとは思えないだろうけどさ……」と、立場を降りた言葉を残す。
井闇の指示で動く生徒たち。かずひこを追跡し、神社へ逃げ込む展開を作る。
- 序盤での意味
- 井闇の指示で動く生徒たち。地の文は「腕に腕章を付けてるトコロを見ると、井闇の犬、風紀委員達らしいなッ」と描く。
- 真相・詳しい意味
- かずひこを追跡する役目。「あッ 早乙女を見つけたぞッッ 笛を鳴らせ……ッッッ」と追跡が始まり、かずひこ達は舶用神社へ逃げ込む。
- 作中での使用
- 学院から神社へ場面を移すための装置として使われる。
井闇がかずひこを尋問する部屋。緊縛事件の締切と緊迫感を作る場所。
- 序盤での意味
- 井闇がかずひこを呼び出す部屋。「ここは舶用学院の生徒指導室だッッッ 目の前に井闇が偉そうに立ってるぞッッッ」。
- 真相・詳しい意味
- 集団緊縛事件でかずひこが重要参考人として尋問される場。〔見つけないと退学〕」という条件が課される。刻美も「さっきの時間より早い時間に破導法師を捕まえないと、お兄ちゃんは一生変態よッ」と危機感を煽る。
- 作中での使用
- 事件の締切と緊迫感を作る装置。校内放送で呼び出される演出が伴う。
集団緊縛事件の発端の場所。時間を遡って先回りするための目標地点になる。
- 序盤での意味
- 集団緊縛事件の関連場所。千尋が「じゃ、もう体育用具室の中には破導法師がッッ」と推測する。
- 真相・詳しい意味
- 食堂の事件より前の時間帯に破導法師が現れる場所で、時間を遡って先回りするための目標地点になる。月美が「じゃ、体育館に行くというのはどうでしょう。時間帯も昼休みより早いですしぃ」と提案する形で選ばれる。
- 作中での使用
- 時間移動の行き先として指定され、事件の発端を書き換える舞台になる。
千尋が思い詰めていく発端。おみくじと重なり、前世をめぐる本筋への導線になる。
- 序盤での意味
- 木塔が持ち出す商店街の遊び。「おい、かずひこ。占いのゲームとかした事あるかッ」「占いは、原理や理屈はどうあれ、その人の悩みを解決するための指針や心の支えにはなるものさ」。千尋は「相性占いか……基本的に信じてないけど、どうしよう……」と当初は距離を置く。
- 真相・詳しい意味
- 千尋が思い詰めていく発端。清氷寺のおみくじと重なり、「立て続けの占い攻撃にダメージ来たかなッ」と地の文が観察する。千尋は占いの本を何冊も買い込み、かずひこは「今までに、千尋が占いの本なんか買ってきたことあったっけか……ッ」と異変に気づく。月美も「占いのことが気にかかっている様子です、ご主人様ぁ」と報告する。かずひこは「千尋の奴、前世占いでちょっと落ち込んでいるだけさ」と説明する。
- 作中での使用
- 前世をめぐる本筋への導線。かずひこは「別に、運勢やら前世やらにあんなにこだわらなくても……」と最後まで理解が遅れる。清水の「TVでやってた今週の星占いの結果が"良縁に恵まれる"だったんスよッッッ」という別筋も併走し、こちらは結末で「占いも意外と当たるのね」と回収される。
舶用商店街の占い機。木塔が持ち出し、占い・前世の話題の前振りになる。
- 序盤での意味
- 舶用商店街の占い機。「そういって占いマシーンで占いをする木塔」「オレ達は占いマシーンで占いをしたッッ」。結果は印字されて出てくる。
- 作中での使用
- 修学旅行前日の商店街パートの一場面。後の占い・前世の話題の前振りになる。かずひこは千尋を「占いゲームにムキになる千尋……」と回想に含める。
千尋の鉄拳を模してかずひこが繰り出す技。野犬や置き引き犯に使われる。
- 序盤での意味
- 千尋の鉄拳。かずひこがこれを技名として扱う。野犬相手に「かずひこ、「千尋パンチ」で野犬を撃退」、「さすが千尋パンチ。野犬も裸足で逃げ出す破壊力だッ!」。
- 真相・詳しい意味
- 千尋本人の技ではなく、かずひこが千尋から受けた打撃を模倣して繰り出すという形で使われる。置き引き犯に対しても「食らえ、怒りの千尋パンチッ」と用いる。千尋は「意味不明な燃え方しないでよッ」と呆れる。
- 作中での使用
- 「千尋キック」という派生もある。かずひこは千尋の攻撃力を「だてに毎日オレで練習してたワケじゃないってコトだなッ」と自嘲的に評価する。
かずひこが千尋を呼ぶ言い方。千尋の意外な一面を描く場面で対比に使われる。
- 序盤での意味
- かずひこが千尋を呼ぶ言い方。地の文で「オレの目の前には大人の色気を漂わせるかなめさんと、巫女姿の月美ちゃん、鉄拳千尋がいるぞ」のように用いられる。
- 真相・詳しい意味
- 雪美が伝える通り名「魑魅暴走事件を解決した煩悩男と鉄拳娘、それを見守るのんきなNO.1」の「鉄拳娘」に対応する。
- 作中での使用
- 千尋が占いに真剣になる場面で、かずひこが「鉄拳千尋が占いにこだわる図は、プロレスラーが花束を選んでいるみたいで笑えるぞッッ」と落差を茶化す。逆に「こうしてみると、鉄拳千尋も女の子だよな……」と、見方が変わる場面にも使われる。
季桜が連呼する「スポーツ」の発音。あらゆる事象をこの語に還元してしまう。
- 序盤での意味
- 体育教師・季桜が連呼する「スポーツ」の発音。「はっはっはっはッ 早乙女ちゃん、一緒にスポォッツするかッッッ」「スポォッツには都道府県も国境もないぞッ」。
- 真相・詳しい意味
- 季桜の行動原理をすべてこの語に還元するギャグ。「枕投げだってちゃんとしたスポォッツだぞッッ」、「欲望はスポォッツで発散しようッッ」など、あらゆる事象をスポォッツに接続する。派生に「スポォッツマン」「スポォッツマンスピリッツ」「スポォッツ教師」がある。
- 作中での使用
- かずひこを強制的に運動させる、人を担いで運ぶ、座敷牢へ放り込むなど、場面転換の力技としても機能する。都渡をしごいて筋肉痛にする場面もある。
都渡の語尾。一人称は「ミー」で、蟻野と組んだ成金二人組の記号。
- 序盤での意味
- 都渡の語尾。「こんなナイスな建物は、愚民どもには勿体ないザンスね。ミーの様な選ばれた人間にのみ、ふさわしいんザンスッッ」。一人称は「ミー」。
- 真相・詳しい意味
- 蟻野と組んだ成金二人組の記号。地の文は「あれは確か、都渡とか言うヤツと蟻野とか言う女の下品な成金二人組だ」と紹介する。真っ赤なスポーツカーで現れ、修学旅行のバス旅行を「なんか凄くダサいザンスね」と嘲る。
- 作中での使用
- かずひことの衝突を繰り返す。おみくじ買い占め、宝石の置き引き被害、雇った人間によるお礼参りなど、複数の騒動の起点になる。座敷牢では珠美と亡霊の宴会に出くわして逃げ出す。
かずひこが木塔を呼ぶ言い方。キザな物言いをする級友への軽口。
- 序盤での意味
- かずひこが木塔を呼ぶ言い方。「エロエロ唐変木ッ お前は後ろで季桜とでも戯れてろッッッ」。
- 真相・詳しい意味
- 木塔はキザな物言いを好む人物で、「京都の女性は、琵琶湖の水面のように深みのある静けさをたたえている……」といった台詞を繰り返す。かずひこはこれを「ま、エロエロ唐変木、お前はそこで思う存分キザっててくれ」といなす。
- 作中での使用
- 「もみあげ唐変木」「唐変木」など、博子も罵倒語として用いる。
なぎさがかずひこを呼ぶ言い方。幼少期から変わらず、過去の場面でも使われる。
- 序盤での意味
- なぎさがかずひこを呼ぶ言い方。「かずりん……刻美ちゃんって名前以外憶えてないってホントッ」。
- 真相・詳しい意味
- 地の文は「彼女は結城なぎさと言って、幼なじみだ」と紹介する。緋雲荘を手伝っており、置き引き事件では現場の状況を整理する役目を担う。この呼び方は幼少期から続いており、過去へ遡った場面でも「行こ、かずりん」と幼いなぎさが呼ぶ。
- 作中での使用
- 呼称が時代をまたいで一貫していることが、終盤の過去の場面で幼なじみ関係を保証する働きをする。
かずひこの自称。破導法師の「いくつもの呼び名を持つ者よ」と呼応している。
- 序盤での意味
- かずひこの自称。「わしは時と場合によって名前が変わるんや。"千の名を持つ男"って呼んでや」。
- 真相・詳しい意味
- ギャグの言い回しだが、破導法師がかずひこを「いくつもの呼び名を持つ者よ」と呼ぶ台詞と呼応する。破導法師の場合は、かずひこが「「破導法師」だか「鳩を放置」だか知らないが」と名前をもじったことへの応答である。
- 作中での使用
- 別時空で名乗る場面にも使われ、その場をごまかす手段として機能する。
配色の派手な犬。舶用にも緋雲荘にもいるが、その理由は語られない。
- 序盤での意味
- 犬。地の文は「相変わらず、壊れたテレビみたいな配色だな」と描く。舶用にも京都の緋雲荘にもいる。
- 真相・詳しい意味
- なぜ舶用と京都の両方にいるのかは作中で説明されない。 かずひこは「ジロー姿を消すとき、何かが起きる……緋雲荘世界のジローの第一法則だ」と、場面転換の予兆として扱う。終盤では、ジローに導かれる形でかずひこが緊縛寺の月美と破導法師の会話に行き当たる(「ふとジローの脚が緊縛寺の前で止まる」)。
- 作中での使用
- 「ばう。」という鳴き声で相づちを打つ場面が長く続くやりとりがある。かずひこに噛みつくギャグイベントもある。眼鏡千尋の時空にもおり、千尋がなでている。
かずひこが勝手に開設を告知した相談室。修学旅行中の小ネタ。 ---
- 序盤での意味
- かずひこが勝手に開設を告知した相談室。「なになに……"早乙女かずひこ相談室開設のお知らせ"ッ」。
- 真相・詳しい意味
- 修学旅行中の小ネタで、本筋とは関わらない。
- 作中での使用
- かずひこの自己申告の多さを示す一例。
舶用学院と舶用神社のある町。京都へは電車と新幹線を乗り継いで向かう。
- 序盤での意味
- 学院と神社のある町。「舶用町から電車、新幹線を乗り継ぎ、オレ達は京都駅へとたどり着いた」。
- 真相・詳しい意味
- 具体的な所在地は作中で明示されない。京都へ電車と新幹線を乗り継いで向かう距離にあることのみが分かる。
- 作中での使用
- 修学旅行の出発地。日常編の舞台全体を指す語として使われる。公園・アパート・商店街など、前半の場面はすべてこの町の中で起きる。
舶用町の商店街。修学旅行の買い出しや占いマシーンの場面の舞台になる。
- 序盤での意味
- 町の商店街。地の文は「ここは舶用商店街だッ。狭くてちまちましてるが、必要なモノは一応一通り揃うようになってるぞッ」と描く。
- 真相・詳しい意味
- 修学旅行の買い出しの場であり、木塔が持ち出す占いマシーンもここにある。刻美を捜す場面では「刻美ちゃんを捜すっても、舶用商店街は狭いようで広いからなぁ」と繰り返される。
- 作中での使用
- 出発前日の準備パートの主舞台。「オレ達は舶用商店街を回り、修学旅行に必要な道具を買いあさったッッッ」。
刻美の名字の家。大正の頃に血縁が絶えたはずで、この矛盾が最初の手がかりになる。
- 序盤での意味
- 刻美の名字の家。かなめが「刻美さんの本名は天津船刻美といいまして、私と月美さんの遠縁に当たります」と説明する。かずひこは「オレ、刻美ちゃんの名字は知らないんだ。そうか、天津船か。変わった名字だなぁ!」と反応する。
- 真相・詳しい意味
- 月美が「かなめ様、天津船家が滅びたのはたしか大正の頃と聞いた事が……」と疑問を呈し、かなめは「天津船家は血縁が途絶えて、もうその名を継ぐ者はいないとでも言いたそうですねッ 月美さん」と返す。この違和感が、刻美が通常の存在ではないことの最初の手がかりになる。なぜかなめがこの姓を刻美に与えたかは作中で明示されない。
- 作中での使用
- 地の文は「月美ちゃんは、天津船って名前がなにか気になってるようだ。どうしたってんだッ」と、月美の反応を拾って伏線化する。博子の整理でも「かなめさんからの情報は刻美ちゃんが天津船刻美って名前だって事と、14歳って事」と扱われる。
京都への修学旅行。時間ループも月美の事故も、この旅行の期間中に起きる。
- 序盤での意味
- 物語の主舞台。冒頭から準備が進んでおり、千尋は「修学旅行の資料作りだってあったのに」とかずひこを叱る。かずひこは生徒会長かつ実行委員で、部屋割りも提案している。
- 真相・詳しい意味
- 行き先は京都。舶用町から電車と新幹線を乗り継ぐ。少なくとも3日目の夜まで描かれ、博子が「8時半。修学旅行3日目の夜、食後の自由時間だよ」と時刻を示す。最終日は二畳城を回って京都駅へ向かう。物語の中核である時間ループも、月美の事故も、この旅行の期間中に起きる。
- 作中での使用
- 井闇が規律の説教を繰り返す枠として機能する。「時間通り行動することもまた、授業の一環であり、修学旅行のプログラムの一つでもあるわけです」。かずひこが日程変更を求めても井闇は応じず、それが月美の事故を防げなかった一因となる。
修学旅行のバス会社。真紀の勤務先で、寮が一場面の舞台になる。
- 序盤での意味
- 修学旅行のバス会社。「『古都観光』とかかれたバスが並んでいる。あれが、オレ達のこれから乗るバスらしい」。真紀の勤務先で、彼女は「古都観光バスをご利用くだ……下さいまして、ま、まことに、ありがとうございます……」と挨拶する。
- 真相・詳しい意味
- 社名以上の設定は語られない。真紀が住む寮があり、終盤の一場面の舞台になる。都渡は「貧乏バス会社のバスガイド風情が偉そうに大きな口をたたくんじゃないザンス」と侮辱する。
- 作中での使用
- 真紀の自信のなさを描く文脈で繰り返し登場する。真紀は「会社は累積赤字5億円で倒産するんだわ」と極端な想像に走る。
京都での宿。新館と旧館があり、中庭の倉には座敷牢まで備わっている。
- 序盤での意味
- 京都での宿。「オレ達の京都における宿、その名も"緋雲荘"」。「大きな新しい建物と、かなり古めかしい建物が並んで建っている。コレが宿屋の必殺技、"新館と旧館"ってヤツだなッ!」と紹介される。千尋は「意外と良さそうな旅館ね、かず」と評する。
- 真相・詳しい意味
- なぎさがここを手伝っている。地の文は「なぎさだ。早起きだなぁ。ま、旅館を手伝うとなると、早起きは仕事のひとつみたいなもんなんだろうな」と述べる。中庭の倉に座敷牢があり、混浴露天風呂・大広間・男部屋・女部屋・ロビーなど、修学旅行編の場面のほとんどがこの建物内で起きる。地の文は終盤「刻美ちゃんも、かなめさんも、雪美さんもいない緋雲荘……」「なんだか、緋雲荘全体が寂しくなったみたいに感じる……」と、宿そのものを感情の器として使う。
- 作中での使用
- かずひこは「ジロー姿を消すとき、何かが起きる……緋雲荘世界のジローの第一法則だ」と、宿を一つの世界のように扱う言い回しをする。
緋雲荘の中庭の倉にある牢。かずひこの寝床にされるが、存在理由は語られない。
- 序盤での意味
- 緋雲荘の中庭の倉にある牢。かずひこが罰として寝泊まりさせられる。「ココって……ココは座敷牢じゃないかッ こんな所で寝泊まりしろって言うのかッッ」。地の文は「見事なまでに座敷牢だ。暗さといい、じめじめした感じといい、座敷牢評論家も五ツ星の座敷牢だッ」と描く。
- 真相・詳しい意味
- なぜ旅館に座敷牢があるのかは作中で説明されない。 かずひこ自身が「どうして旅館に座敷牢なんてあるんだよッッ」「なんで旅館に座敷牢なんてモノがあるんだッッ」と繰り返し問うが、答えは与えられない。なぎさに聞いても「かずりん、中庭の座敷牢に放り込まれたってウワサ、本当ッ」と話が逸れる。
- 作中での使用
- かずひこの夜の行動を制限する装置として働き、珠美が影武者を務めて抜け出す口実にもなる。珠美が亡霊やゾンビと宴会を開く場面もここで起きる。博子は「その上亡霊やらゾンビやら……最悪じゃん……」と評する。
緋雲荘の建物構成。旧館の構造が置き引き事件の推理で手がかりになる。
- 序盤での意味
- 緋雲荘の建物構成。到着時の地の文が「大きな新しい建物と、かなり古めかしい建物が並んで建っている。コレが宿屋の必殺技、"新館と旧館"ってヤツだなッ!」と紹介する。
- 真相・詳しい意味
- 置き引き事件の推理で、なぎさが「まず、犯行は旧館」と経路の説明に用いる。旧館脇の勝手口・通用口といった構造が手がかりとして機能する。
- 作中での使用
- 舞台の広さを担保する設定として使われる。
緋雲荘の風呂。置き引き事件の推理では脱出経路の一部として言及される。
- 序盤での意味
- 緋雲荘の風呂。井闇が「……混浴露天風呂の脱衣所の前で、一体何をしているのかね、と僕は聞いているんだがね」とかずひこを咎める。
- 真相・詳しい意味
- 設定上の意味はなく、修学旅行編の日常場面の舞台として機能する。置き引き事件の推理では「ちなみに通用口へは、混浴露天風呂からも出る事ができるわ」と、経路の一部として言及される。
- 作中での使用
- 消灯時間の規則と組み合わさって、かずひこが井闇に見つかる場面が繰り返される。
緋雲荘の食事処。一同が集まり、情報が共有される場面の舞台になる。
- 序盤での意味
- 緋雲荘の食事処。「オレ達が大広間にやってくると、旨そうな鍋料理がオレ達を迎えてくれた」。地の文は「食べ盛り伸び盛りの若人達の、元気いっぱいなそしゃく音が、飛び交う会話に入り交じって大広間に充満するぞ」と描く。
- 真相・詳しい意味
- 一同が集まる場として、情報が共有される場面に使われる。
- 作中での使用
- 食事の時間を区切る目印として繰り返し登場する。「食事の終わった大広間には、もう刻美ちゃんの姿はない」といった形で、人物の不在を示すのにも使われる。
修学旅行の規則。井闇と千秋が見回り、夜の行動できる時間を区切る。
- 序盤での意味
- 修学旅行の規則。井闇が「くれぐれも消灯時間と規則は守るように。違反者には、厳しい態度で接したいと考えています」と告げる。井闇と千秋が見回る。
- 真相・詳しい意味
- 夜の行動を制限する枠として機能し、かずひこの移動可能な時間帯を区切る。千秋は「もう、消灯時間は回ってるのよぉ。自分の部屋に戻りなさいねぇ!」と柔らかく、井闇は「消灯時間まで、ゆっくりと話をしようではないですか」と圧をかける形で対比される。
- 作中での使用
- かなめも「きちんと消灯時間は守って下さいね、かずひこ様」と釘を刺す。夜のパートの区切りを示す語として全編で用いられる。
修学旅行の行動枠。破導法師の捜索も遊覧船もこの時間帯に起きる。
- 序盤での意味
- 修学旅行の行動枠。井闇は「自由と無規制とは同義ではありません。限られた範囲内での、責任を持った行動の上になりたつ自由こそ、意味があるのです」と説く。
- 真相・詳しい意味
- 物語上、主要な出来事のほとんどがこの枠で起きる。破導法師の捜索、緊縛寺行き、琵琶湖の遊覧船、置き引き事件の解決などがすべて自由時間・自由行動として設定されている。千尋は破導法師に「あンたのおかげで、修学旅行が無茶苦茶だわッッ 自由時間にデートもできないのよッ」と抗議する。
- 作中での使用
- 井闇の説教の題材としても繰り返し使われる。「キミに自由時間を与えるとろくな事にならないと、ずっと考えていたのですよ」。
京都の寺。清水寺のもじりで、千尋が恋愛成就のお守りを買う場所。
- 序盤での意味
- 京都の寺。真紀が「私たちは今、清氷寺へと向かっているところです。清氷寺と言うのは、言うのは……えっと……」と説明に詰まる。実在の清水寺のもじり。
- 真相・詳しい意味
- 舞台としての機能が中心。おみくじ売場があり、千尋が「恋愛成就のお守り」を買ってもらう場所であり、都渡がおみくじを買い占めようとして騒ぎを起こす場所でもある。かずひこは「あまり知られてないんだが、それは幸福祈願のバンジーらしく、古くは清氷寺の設計思想にも組み込まれているんだそうだ」と、舞台からの飛び降りをでっち上げて都渡を落とす。
- 作中での使用
- 千尋が占いにこだわり始める起点。終盤、かずひこが千尋の待つ場所を思い出す拠り所として「恋愛成就のお守り」が効いてくる。なお、劇中のクイズ番組では実在名「清水寺」が使われており、本編のもじり名と使い分けられている。
京都の堂。三十三間堂のもじりで、珠美が仏像を持ち出す騒ぎが起きる。
- 序盤での意味
- 修学旅行で最初に訪れる観光地。「バスはまず、三百三間堂に到着した。真紀さんはアンチョコと旗を手に、決死の覚悟で臨んでいるぞ」。実在の三十三間堂のもじり。
- 真相・詳しい意味
- ここで珠美が「ヘンな、お人形みたいなでっかいの。一杯並んでたから、一つくらい無くなっても判らないと思ったんだよ」と仏像を持ち出しており、それがニュースになる。「本日、三百三間堂の仏像が消失してしまうという事件があり、関係者に動揺が……」。地の文は「三百三間堂の仏像が消失したくらいで動揺か」ととぼける。
- 作中での使用
- 都渡・蟻野との最初の衝突の場でもある。劇中のクイズ番組では実在名「三十三間堂」が使われる。
京都の寺。銀閣寺のもじりで、名前をめぐるかずひこの言葉遊びの舞台。
- 序盤での意味
- 京都の寺。真紀が「はい、ここは銀箔寺です。えっと、ここは、もともとは、え‥っと……誰かの別荘で……」と説明に詰まる。実在の銀閣寺のもじり。
- 真相・詳しい意味
- 名前をめぐるかずひこの言葉遊びの場として使われる。「銀箔寺ってくらいだから、アルミホイルで出来たギランギランの建物を期待していたんだが……」「スパンコール看板とかあって、ミラーボールが輝いてて。そのくらいやらないと銀箔寺は名乗れないぞッッ」。
- 作中での使用
- 観光地巡りの一場面。劇中のクイズ番組では実在名「銀閣寺」が使われる。
京都の城。二条城のもじりで、修学旅行最後の観光地になる。
- 序盤での意味
- 登場しない。最終日に訪れる。「オレ達は、最後に残った観光地、二畳城へと到着した」。実在の二条城のもじり。
- 真相・詳しい意味
- 「二畳城って言うからには……」と、名前からの連想でひとくさり言う場として使われる。地の文は「二畳城のヤツが、観光してくれ、と泣いて頼むから、仕方なくオレ達は観光してやる」ととぼける。
- 作中での使用
- 修学旅行の締めくくり。「オレ達は一通り二畳城を見学すると、再びバスに乗り、京都駅へと向かった」。
遊覧船に乗りに行く先。この日の出来事が時間ループで二度繰り返される。
- 序盤での意味
- なぎさが勧める場所。「明日、琵琶湖でも観光してきたらッ ステキな遊覧船が出てるのよ、結構お薦めね」。もじりではなく実在名のまま用いられる数少ない地名の一つ。
- 真相・詳しい意味
- 終盤の一日の舞台。「こうしてオレ達は、京都駅から電車に乗って琵琶湖に到着したッッ」。この日の出来事が時間ループによって二度繰り返されることになる。
- 作中での使用
- かずひこは「琵琶湖ッて言うのはな、塩分が濃くって体が浮く湖のコトなんだぞ」と木塔にでたらめを教える。博子の「いっぺん、琵琶湖に沈めてやろうかッ」など、罵倒の言い回しにも使われる。
琵琶湖の船。終盤の出来事が集中し、時間ループの性質を示す場になる。
- 序盤での意味
- なぎさが勧めた琵琶湖の船。千尋が「遊覧船かぁ……」と考え込む反応を見せ、地の文が「千尋は、遊覧船という言葉に首を傾げて、何やら考え込んでいる」と拾う。
- 真相・詳しい意味
- 終盤の出来事が集中する場。かずひこが不在の周回でも「オレがいなくても、大体同じ様な事件が起きて、似たような解決の仕方をしてるんだ」ということが、千尋と博子の報告によって確認される。時間ループの性質を読者に示す装置として機能する。
- 作中での使用
- 「私たちだけが遊覧船なんて、先生方のひんしゅく買うんじゃないですかッ」と根倉が心配し、千秋に相談する段取りが描かれる。地の文は「そして、オレ達の前には、結構ゴージャスな遊覧船があるぞッ」と到着を描く。
清氷寺で買うペアのお守り。離ればなれになっても引き合うとされ、帰還の決め手になる。
- 序盤での意味
- 清氷寺で買うペアのお守り。月美が「"恋愛成就のお守り"って書いてありますよぉ、ご主人様っ!」と見つけ、千尋が「恋愛成就のお守りかぁ……」と反応する。かずひこは「一番変わった恋愛成就のお守りをくれ」と注文し、「オレはペアになった恋愛成就のお守りを買い、千尋に渡した」。地の文は「まじまじと嬉しそうにお守りを見つめる千尋」と続ける。
- 真相・詳しい意味
- 終盤の重要な小道具に転じる。かずひこが命がけで過去へ向かう直前、地の文は「よく見ると恋愛成就のお守りを握っている。離ればなれになっても引き合うという、恋愛成就のお守り……か」と、その謂れを初めて明かす。時之龍の空間で消えかけたかずひこが元の時空へ戻る決め手も、このお守りの記憶である。「帰らないと、千尋に買ってやった"恋愛成就のお守り"が無駄になる……」。帰還の場面は「オレの前に、お守りを握る千尋が現れた」と描かれる。
- 作中での使用
- かずひこは「でも千尋、ああいった占いとか信じてなかっただろッ いらないって」と当初は不思議がる。千尋が占いや前世にこだわり始めた変化を示す最初の品でもある。
京都土産のキーホルダー。千尋が占いに思い詰めていく様子を映す小道具。
- 序盤での意味
- 京都土産。「千尋が指さしている物を見ると、何の事はない、ただのおみくじキーホルダーだ」。かずひこは「何で京都の土産がおみくじキーホルダーなんだッ それとも、引いてみると『吉どすえ』とか書いてあるのかッ」ととぼける。
- 真相・詳しい意味
- 千尋の心境を映す小道具。「千尋は、手にしたおみくじキーホルダーをじっと見つめてなかなか引こうとしない」「千尋はそっとキーホルダーを振って、なんだかおそるおそる、と言った雰囲気でおみくじを引いた。目がマジだ」。かずひこは「たかだかキーホルダーのおみくじに、何でそんなに真剣になるんだ……ッ」と困惑する。
- 作中での使用
- かずひこの助言「千尋、いい事を教えてやろう。大吉だったら自分の事だと思って、大凶だったら他人の事だと考えるんだ」が添えられる。ギャグイベント にも同じ小道具が登場する。
月美が探し続ける土産。元の時空では最後まで見つからない繰り返しネタ。
- 序盤での意味
- 月美が土産物屋で探す品。「"京都まんぢゅう"……ないみたいですね御主人様ぁ」。
- 真相・詳しい意味
- 探しても見つからないことが繰り返されるギャグ。「きっと、"京都まんぢゅう"とかありますよねッ 御主人様ぁ」、「"京都まんぢゅう"は無いですねぇ、やっぱり……」「"京都まんぢゅう"ありませんでしたかぁッ 博子様ぁ」と、旅行の最後まで見つからない。ただし では、かずひこが「おっ、京都まんぢゅうがあるぞッッッ」と発見する場面がある(別時空での出来事)。
- 作中での使用
- 月美の天然さを示す繰り返しネタ。
ローカルクイズ番組の称号。この番組内だけ京都の名所が実在名で出てくる。
- 序盤での意味
- テレビのローカルクイズ番組で、優秀者に贈られる称号。司会者が「優秀者には、"京一番"と言う、缶のお茶みたいな称号を授けますッッ」と告げる。
- 真相・詳しい意味
- 番組は「京都一番のしれモノ、じゃない物知りは誰だッッッ」という煽りで始まり、京都の歴史関係の問題を出す。この番組内の問題では実在の名所名がそのまま使われる(清水寺・養源院・三十三間堂・銀閣寺・渡月橋・大堰川など。〜)。本編の観光地がもじり名なのと対照的。
- 作中での使用
- かずひこが真紀とクイズ勝負をする場面の枠組み。真紀が勝つことで「ま、オレとクイズ勝負をして、真紀さん勝ったからな。自信も付いただろうし、大丈夫だろう」と、真紀の自信のなさを解消する流れになる。