ストーリー詳細 — 星空☆ぷらねっと
本作は長い共通パートから六人のヒロインへ分岐する青春恋愛アドベンチャー。母を喪って夢を封じた今村正樹が天美市で幼なじみたちと再会し、やがて宇宙への夢を取り戻していく。共通パートで各ヒロインの痛みが提示され、いずれのルートも「願いを送り出す」結末へ収束する。 ▼ネタバレ詳細 は各ルートのクライマックスと結末を含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
発端 — 天美市への帰郷(共通パート)
七年前、母・今村夏樹を事故で喪い、「宇宙へ行きたい」という子供の頃の夢を封じてしまった高校二年生・今村正樹。父の意向で一年半前に再びこの天美市へ戻り、夢も希望も語らない「幽霊部員」として、半ば抜け殻のような日々を送っていた。
四月。再会した幼なじみたちは、それぞれの場所で別の姿になっていた。陸上特待生として孤高に走る相馬蘭子。剣道部主将として誰かを姉のように庇護する真田恭子。虚空を見つめて言葉を返さない藤原佳多奈。学園カフェ「迎賓館」で正樹をからかう一年後輩の山本ゆかり。そして、もう会えないと思っていた星見瞳。瞳は脳天気な明るさで、幽霊部員の正樹を天文部へ強引に引き戻す。
「Passion is power/笑ってると元気になって、元気になると情熱が出て、情熱は活力で原動力で行動力なんだもん/だから…私は笑うの」
— 瞳、口癖について
ある日、母が働いていた廃工場跡で、正樹は母の元同僚でジョン・ウィリアムズと七年ぶりに再会する。元宇宙飛行士のジョンは、進学説明会で爆弾を投下する。太平洋上にSAS(国際航宙科学大学)という宇宙飛行士養成の大学が作られる、と。子供の頃にジョンと夏樹に教わった夢を、正樹は否応なく思い出してしまう。
「マサキ、夢はあるか?/なぜ、この街に戻ってきたんだい? つらい記憶のあるこの街に」
— ジョン、進学説明会で
同じ説明会の席で、ゆかりは「あたし、ここに行く」と即決してみせる。その純粋さを眩しく感じながらも、正樹はまだ夢に踏み出せない。そんな折、留学生サーシャ・ノーブルグを名乗る金髪の少女が騒動とともに転がり込み、正樹の小さな日常を揺さぶり始める。やがて体育祭で瞳が突然倒れ、保健室で意味の取れない寝言を漏らす出来事が起きる。封じてきた夢と、幼なじみたちが胸にしまった願いが、ここから一人ずつ、正樹の前で姿をあらわしていく。
「つわものどもが夢のあと……か」
— 正樹、母の働いた工場跡で
星見瞳ルート — 笑ってみせる約束 合格End 浪人End
脳天気な明るさで正樹を天文部に引き戻した幼なじみ・瞳。海合宿・文化祭・体育祭と季節をともに過ごすうち、彼女がやたら明るく振る舞う理由が、少しずつ正樹の胸に引っかかっていく。本作のメインルートにあたり、フィナーレを二つ持つ。
明るさの理由:瞳は先天性心疾患を抱えていた。体育祭で倒れた真因は日射病ではなく心臓発作で、最終的に進学説明会(SAS発表の場)でも倒れて入院する。彼女は子供の頃の正樹と交わした「今度会うときは、笑ってみる」という約束を、自分の核として生きてきた。自分は宇宙へ行けないと知りながら、正樹の夢を後押しするために明るくあろうとしてきたのだ。
「わたしね……転校した後になってやっと、自分の病気のこと知ったんだ/悔しかった……悲しかった……自分がこの世にいる意味なんて、もうないと思った」
— 瞳、真相を打ち明けて
体育祭で漏らした寝言は、心の奥で正樹の代わりに宇宙へ行く夢を見ていた証だった。流れ星に願ったのも、自分のことではなく「まーくんが宇宙飛行士になれますように」だった。
「わたし、一緒に宇宙には行けないけど、まーくんのことは一生…ううん、二生も三生も好きでいたいから……思い出にしたいから」
— 瞳、結ばれる場面で
夢の再起動:瞳の真意を知った正樹は、いったんは「無理に決まってる! 僕はもう諦めたんだ!」と諍うが、帰省先の実家で子供の頃の作文と絵を発見し、封じてきた夢に火が点る。天文部部長・ミート部長の叱責も背中を押した。
「色盲の私と違って、なんの障害もないお前が!/世の中にはな……平凡にすら達することのできない人間もいるんだ」
— ミート部長、正樹を叱責して
正樹は「瞳の見れない分を、すべて僕が見てくる。そして話すよ」と誓い、SAS受験へ踏み出す。
二つの結末:瞳ルートのみフィナーレが二つある。
- 合格End:正樹はSASに現役合格し、初飛行へ。打ち上げ空港特急の自由席に、土産を山積みにして瞳がサプライズで潜んでおり、キスして見送る。打ち上げ後、正樹は「来たんだ……宇宙に」「夜明けだ」と空の上で呟く。
- 浪人End:正樹は一年浪人する。退院して引っ越した瞳と、卒業式の翌春、天美の「ルーツの場所」で再会し結ばれる。「もう願いが叶っちゃった」と瞳は笑う。
「今度会うときは、笑ってみる」
— 瞳、約束の言葉(転校前夜)
藤原佳多奈ルート — 知性の光 覚醒End
虚空を見つめ、言葉を返さない一年生・佳多奈。彼女が事故で言葉を失った発端には、正樹自身の幼い好奇心が深く関わっていた。養護教諭・朝末先生に「対佳多奈方面軍総司令官」を任され、正樹は佳多奈の心と言葉を取り戻す日々を始める。
事故の発端:七年前、燃焼実験を「見たい」と望んだ正樹が、地理に詳しい佳多奈の手を引いて発射台付近の禁止区域に侵入したことが事故の引き金だった。佳多奈は額に破片を受け、前頭前野損傷による力動失語症に陥った。
「佳多奈の大切な知性を根こそぎ奪い取ったもの。/それは、僕の浅はかな好奇心だ」
— 正樹、回想して
もう一つの真実:ジョンから渡された両親の手記によって、佳多奈はもともと自閉症だったことが判明する。事故が原因ではなく、事故の損傷が症状を深刻化させただけだった。観測所のアイン教授は症例を専門医に送り、「成長しなおす機会が存在する/不治の病ではない」との見解を得る。
「君は佳多奈が、自分のせいで自閉症になったと思っていたのかな?/佳多奈は、もともと自閉症だったんだ」
— ジョン、正樹に
花火と覚醒:文化祭の花火が「あの日」と同じ閃光・轟音となり、佳多奈はパニックを起こして行方不明になり、給水塔で発見されて事故直後の状態へ「繰り返して」しまう。それでも正樹は諦めない。クリスマス、病室で泣きながら「どうして……こんなことに……なってんだろうな」と慟哭した正樹の頭を、佳多奈の手がそっと撫でる。
「……まー兄」
— 佳多奈、覚醒の瞬間に
その瞳に、知性の光が宿っていた。覚醒した佳多奈は「ずっと、一緒にいて」と正樹に願い、時間の感覚を学んで「2分、遅れてる」と時間厳守を求めるようになる。彼女が空を見ていた理由は、宇宙人と話せる日を待っての「コミュニケート」だったのかもしれない、とジョンと正樹は推測する。
覚醒End:数年後、佳多奈はSAS航宙エキスパートコース候補者選考試験の主席合格者となる。「現存する中で、もっとも若い宇宙飛行士候補生」として、文化祭のプラネタリウムで司会を務める姿が描かれ、正樹は「23時間後、また来るよ」を続けている。
真田恭子ルート — 身代わりでも、構わない 身代わりEnd
剣道部主将として近寄りがたく、いつも姉のように誰かを庇護する三年生・恭子。その過剰な庇護欲の根には、幼くして喪った弟の存在と、押し付けられた婚約問題が横たわっていた。
卓の喪失:真田家は四人兄妹ではなく、本当は五人だった。乳児期に破傷風で亡くなった末弟・卓の存在を、長兄・誠兄が正樹に明かす。
「生後すぐに卓は死んだ。破傷風だった/その頃の恭子は、魂が抜けたようだったよ」
— 誠兄、恭子の過去について
七年前、母を喪って心を閉ざした正樹を、恭子は廃工場に二日間連れ込んで「逃避行」をした過去がある。「逃げよう、正樹/流れ星、好きだろ?」と。その時、二人を見捨てる態度を取った相手こそ、後に押し付けられる婚約相手・大介だった。
婚約と修羅場:恭子は強引な婚約破棄のために常軌を逸した装いで顔合わせの席に現れるなどの暴走を見せる。クリスマス・イブ、大介が木刀で正樹を襲撃するが返り討ちに遭う。その一部始終を次兄・弘兄が盗聴器で録音していた。
「所詮てめえは……卓の身代わりなんだよ……」(大介)
「だから、その身代わりが必要だったと言ってるんだよ!!」(正樹)
— 大介との闘争で
夜のアパート前で、弘兄は恭子にこの録音を再生して聞かせる。正樹が「弟の身代わりでも構わない」と本気で言っていることを、恭子はようやく受け入れる。
身代わりEnd:婚約は破談となる。誠兄の根回しで、正樹を戸籍上の弟として迎える手続きまで進められていた。
「なに、俺はお前を本当の弟に等しいと思っていたからな。それが、戸籍上でも実現されるよう計らってやっただけだ」
— 誠兄、親心を語って
クリスマス・イブに二人は結ばれ、恭子は「ああ、二人分」のお茶を入れて笑う。
相馬蘭子ルート — もう一度、走らせるために 送り出しEnd
陸上特待生として孤高に走り続ける蘭子。慎太郎は「天狗になった」と評するが、その走りの正体は罪悪感だった。恋人になった蘭子が走ることをやめてしまったとき、正樹はあえて別れを選ぶ。
リレー事件と葬式前夜:蘭子のルーツには二つの傷がある。小学校時代のリレー大会で、蘭子は怖くて逃げ、走らなかった。親友・慎太郎が「先生、走る奴おりますわ」と参加表明する中、欠場した蘭子の代わりにリレーへ出た正樹は転倒してしまう。もう一つは、母の葬式前夜、転校直前の正樹の家に押しかけて告げた言葉だった。
「私が、今村くんのお母さんに……お母さんの代わりになってあげるから」
— 蘭子、葬式前夜に(拒絶される)
この拒絶が二人の決別の原点となり、蘭子は罪悪感から「走り続けること」で償おうとしてきた。
「今村くんが走れって言ったから、私、走り続けたんだよ/だから今村くんは、私のルーツなの」
— 蘭子、走り続けた理由を語って
走ることをやめた恋人:恋人になった蘭子は「もう、いいよ/陸上、辞める」と走ることから降りようとする。それは束の間の安らぎであっても、彼女の生きる芯を手放すことだと正樹は気づく。
送り出し作戦:クリスマス・イブの校庭、正樹は心ない罵倒で蘭子を突き放す。彼女を傷つけ、追いかけさせて、もう一度トラックへ送り出すための芝居だった。
「もう男女はイヤだ」「瞳の方が百倍は可愛いよ」
「こんなとこで、いつまでも甘えてんな、バカ蘭子っ!!」
— 正樹、蘭子を突き放して
追いかけた蘭子の走りを、ライバルの高倉聡美が時計で計っていた。
「自己新よ、相馬」
— 高倉聡美、走り終えた蘭子に
送り出しEnd:高倉の推薦で、蘭子は長丘体育大学付属校への編入が決まる。蘭子はSASではなく陸上の道へ。正樹は「ギネスブックに名前が乗るかも知れないよ」と笑って彼女を送り出す。
サーシャ・ノーブルグルート — 無償の騎士 Believe me End
「ティーナ・アップフェラー」名義で騒動とともに転入してきた金髪の留学生・サーシャ。天然で無垢な彼女の正体は、バルト海の小国・フスクス王国の第二王女だった。身分が、彼女と正樹の前に大きな壁として立ちはだかる。
正体露見:修学旅行先で、サーシャが使おうとした外国紙幣の肖像画が彼女自身だったことから、正樹は正体に気づく。そして文化祭、体育館の屋上で、体育講師として潜入していた暗殺者イワンがサーシャを襲う。護衛のディネイが重傷を負いながら撃退し、イワンは屋上から飛び降りる。
「わたし、サーシャ・ノーブルグと申しますです」
— サーシャ、正体を明かして
身分という苦しみ:サーシャは「自分のために誰かが傷つく」ことを極端に恐れていた。窓の外で遊ぶ庭師の子供たちを眺めるだけだった孤独な少女時代の願いを、ディネイが代弁する。
「身分が、あの子を苦しめています/友達もおらず、本当の自分も知らず、ただ敷かれたレールの上を歩くだけの人生に何の意味があるのでしょうか」
— ディネイ、サーシャの本音を代弁して
かけおちと帰国:父・ルオネル国王の急逝と帰国命令を受け、サーシャは正樹と田舎へ「かけおち」する。だがディネイが追いつき「内乱が起こるかも知れないということです」と告げると、サーシャは国へ戻ることを選ぶ。正樹は「サーシャが変えなくちゃ」と背中を押す。出会いの日に正樹へ渡していた無償の騎士の指輪だけを、二人を結ぶ約束として。
Believe me End:数年後の記者会見で、サーシャは公の場で正樹への愛を宣言する。
「……NOです。私は婚約するつもりはありません。心に決めた人がいますから……/とてもやさしい……あなたと同じ日本の方です」
— サーシャ、記者会見で
女王に即位したサーシャは君主制を廃止して民主制へ移行し、SAS設立への巨額援助を主導する。やがて「もー王女じゃないのです/普通の人」となって、宇宙飛行士候補生となった正樹とそば屋で再会し、抱擁を交わす。
「Believe me」
— サーシャ、ラストの一行
山本ゆかりルート — 火星まで競争 Mars End
学園カフェ「迎賓館」で正樹をからかう一年後輩・ゆかり。ノリと勢いの女王だが、正樹を一途に想い続けてきた。「あきらめるのってキライ」な彼女が、宇宙への夢に正樹を巻き込んでいく。
即決即行:ゆかりはSAS説明会のパンフを見て「あたし、ここに行く」と即決し、ジョンに英会話の特訓を受けて本気で勉強を始める。体育祭ではゆかりと正樹が百メートル対決をするなど、彼女のペースに巻き込まれた日々が続く。
「あたし、ここに行く/勉強する/それも勉強する/受かればいいのよ、要は」
— ゆかり、SASパンフを見て
宝くじと宇宙旅行:ゆかりは宝くじ四等十万円を当て、さらに一等千万円を当てる。その使い道は、なんと民間の宇宙旅行プランだった。
「宇宙、行こうかと思って/アメリカの会社が、民間の宇宙旅行プラン、始めたって」
— ゆかり、千万円の使い道について
作文の発見:田舎に押しかけたゆかりは、押し入れから正樹の小学校時代の作文を発見する。これが正樹の決定的な再起のきっかけになる。
「ほら、やっぱり/ねぇ。なろうよ、宇宙飛行士。いっしょにさ」
— ゆかり、正樹の作文を見つけて
Mars End:正樹がSASに現役合格して日本を離れた後、ゆかりは一年遅れで合格する。「先輩、約束破ったもんね/ずっと一緒にいるって言ったのに」とエアメールでぼやきながらも、「あたしも必ずそこに行くから/絶対絶対、行くからね」と追いかけてくる。やがて滑走路で、テクノスーパーライナーで一日先回りしていたゆかりがサプライズで再会し、正樹に抱きつく。
「火星に行くんだよ?/いつまでも、一緒なんだからね。火星に行くのも……その先も」
— ゆかり、滑走路の再会で
お正月帰省 — どの願いも選ばなかった先 共通End
いずれのヒロインとも決定的な一歩を踏み出さなかった場合に辿り着く、静かな帰結。どの願いも背負わないまま、正樹は実家で家族と正月を過ごす。
各ルートに進まず一冬を越えると、正樹はお正月に田舎の実家へ帰省し、墓参りをする。父や妹・朝子と過ごす穏やかな時間のなかで、正樹は自分の進路について考え始める。ヒロインとの恋は確定しないものの、封じてきた夢に向き合う最初のきっかけがここに置かれている。
「自分の道を決めるのは、自分なんだから」
— お正月帰省の場面で
進学パンフレットを取り寄せ、「パンフレット、もらってきてくれる?」と次の一歩を踏み出そうとするところで、この帰結は静かに閉じる。特定のヒロインと結ばれない代わりに、正樹がようやく自分の進路を自分で選ぼうとする「再起の入口」を描いたニュートラルな結末といえる。
エンディング一覧
本サイトの調査で確認できた結末は、主要六ヒロインの七エンドと、お正月帰省の共通エンドを合わせた計八件。なお製品の公式表記ではエンディング数13とされており、差分の五件はオリジナル版の実機解析や移植版の追加シナリオに由来する可能性があるが、本調査では確認できていない。
| 種別 | エンド名 | ルート | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| 合格 | 合格End | 星見瞳 | SAS現役合格・初飛行。空港特急に潜んだ瞳が見送る。「来たんだ……宇宙に」 |
| 浪人 | 浪人End | 星見瞳 | 一年浪人。退院・引っ越しした瞳と卒業式後にルーツの場所で再会し結ばれる。 |
| 救済 | 覚醒End | 藤原佳多奈 | クリスマスに「まー兄」と覚醒。数年後SAS主席合格。「23時間後、また来るよ」を継続。 |
| 身代わり | 身代わりEnd | 真田恭子 | 婚約破談、誠兄の養子手続き示唆。クリスマス・イブに「弟の身代わりでも構わない」と結ばれる。 |
| 送り出し | 送り出しEnd | 相馬蘭子 | 正樹が罵倒で突き放し、追いかけた蘭子が自己新。陸上の道へ送り出される。 |
| 大河 | Believe me End | サーシャ | 帰国・女王即位・民主化・SAS援助。普通の人となってそば屋で再会、「Believe me」。 |
| コミカル | Mars End | 山本ゆかり | 正樹が現役合格、ゆかりは一年遅れで合格。滑走路で再会、「火星まで競争」。 |
| 共通 | お正月帰省共通End | 共通 | どのヒロインとも結ばれず、お正月に帰省。「自分の道を決めるのは、自分なんだから」と進路を考え始める。 |