ストーリー詳細 — 遺作
本作は桜蘭学園の旧校舎に閉じ込められた小暮健太が、館の主のように徘徊する用務員・伊頭遺作の脅威に翻弄されながら脱出路を探る、フロア探索型のサスペンスアドベンチャー。物語は発端から、閉じ込め、各階の探索、真相の露見、時計台の対決を経て、焼死・生還・恋愛成就を含む全9エンディングへと分かれていく。 ▼ネタバレ詳細 はクライマックス・真相・各結末の描写を隠しています。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
発端 — 最後の夏休みと、館の主
舞台は桜蘭学園。主人公・小暮健太は高校最終学年の生徒で、楽天的で好奇心が強く、推理小説とパソコンに親しむ少年。親友の島田陣八に「学園最後の夏休みに思い出を作ろう」と誘われ、仲間たちとひと夏を過ごしていた。
終業式の日、健太は新聞部の陣八とともに、用務員の伊頭遺作と校内で遭遇する。遺作は女子生徒への破廉恥な行状を繰り返しており、健太たちはその姿を侮辱する。学園にはもう一つ、暗い影があった。一年前、榊美由紀の妹が殺された事件が、未解決のまま残されていたのである。
夏休みのあいだ、健太は陣八の手配で遊園地や市民プールへ出かけ、里香・美緒・琴未らと平穏な日常を過ごす。だがその裏で、陣八はすでに遺作に脅迫され、ひそかに動き始めていた。物語の冒頭には、一篇の詩が置かれている。
「誰も定められた運命から逃れる事はできない/そう、たとえ扉の向こう側に不幸が待ち伏せしてたとしても/あなたは操られた人形のようにその扉を開けてしまう」
— プロローグ、作品のテーマ詩
閉じ込め — 鳴るはずのないチャイム
登校日の夕方五時、健太は差出人不明の手紙で、普段は使われていない旧校舎の五階・音楽室へ呼び出される。昭和初期に建てられた焦げ茶色の木造校舎には、健太のほかにも何人もの生徒と担任教師が、それぞれ別々の手紙で同じ部屋に集められていた。
音楽室に集まったのは、健太・陣八・里香・美緒・明美・美由紀・琴未・宗光・担任の高島久美の九人。全員が揃った直後、鳴るはずのない校舎のチャイムが鳴り響き、扉に鍵がかけられる。窓という窓には外から板が打ちつけられ、出入口は施錠されていた。閉じ込められたと気づいた一同に、得体の知れない恐怖が走る。
「いかに私達を困らせるか考えてる人が、そう簡単にここから出してくれるはずがないじゃない。」
— 榊美由紀、遺作の目的を早くも看破して
様子を見に行こうとした高島先生が、廊下で黒い人影に突き飛ばされて戻ってくる。襲撃者が遺作だと判明し、間もなく理科実験室で、高島先生が机にロープで縛りつけられているのが見つかる。健太が駆け寄ろうとすると、彼女は必死に制止する。
「こ、来ないで!! 健太君、お願いだからこっちに来ないで!!」
— 高島久美、拘束された姿を見られて
校舎の中には、館の主のように徘徊する何者かの気配がある。健太たちは、五階のこの部屋から下の階へと、脱出路を探り始める。
旧校舎の探索と、遺作の脅威
健太は機械油や錆びた鍵、各種の道具を探し、仕掛けを解いて各階の扉を一つずつ開けながら、五階から下の階へと降りていく。だが、健太が階を上下するあいだに、仲間が一人、また一人と姿を消していく。各階の扉には赤ペンキで《怨》の字が記されている。
形状記憶合金の鍵や石膏像に隠された鍵など、校舎には数々の仕掛けが施されている。健太は推理小説で培った観察眼でそれらを解き、美由紀と行動を共にしながら下階を目指す。天井裏の柱にはロープでくくりつけられた猫がおり、美由紀がハシゴで救出する場面もある。健太は生まれつき猫が苦手で、その鳴き声に怯える。
探索のさなか、健太は視聴覚室にたどり着く。そこには八ミリビデオデッキがあり、遺作が一人ずつ連れ去ったヒロインの陵辱を録画したテープが残されていた。遺作は自分の犯行を記録し、誇示することに執着する男だった。
健太はこの探索パートで、遺作の犯行を八ミリビデオ越しに目撃する側に立たされる。本作の凌辱は、加害者である健太が手を下すものではない。連れ去られた仲間の「拘束姿の発見」「テープに残された断片的なセリフ」「事後の放心状態」という間接的な手法で示唆されていく。加害は一貫して遺作(および運搬役の陣八)が担い、健太はそれを救出・目撃する立場に置かれている。
遺作はテープのなかで、見ているはずの健太を名指しで挑発する。
「このビデオを、健太のガキが見てるんだよ。」
— 伊頭遺作、ビデオ越しに健太を挑発して
連れ去られたのは、まず担任の高島久美。遺作は過去に自分を見下げた相手だと私怨を口にしながら辱める。続いて気丈な明美、幼い容貌の里香と、テープは増えていく。
「ふん、いつも俺の事を見下げてた女が……いい気味だ。」
— 伊頭遺作、高島へのビデオで私怨を口にして
「早くロープを解きなさいよ!!」「くっくっく、この威勢がいつまで続くかねぇ。」
— 幹原明美/伊頭遺作、気丈な抵抗とその嘲笑
親友の明美が消えた美緒は、自ら囮になることを選んで単独行動し、連れ去られる。残された宗光も放送室で襲われ、ロープと猿ぐつわで拘束されているのを健太が救出する。男性である宗光は性的被害を受けず、「目障りだから」拘束されただけだと美由紀は分析する。
「ちぇっ、健太は男だからいいよ。私達は遺作の餌食になるのを待つしかないんだぜ。」
— 芹沢美緒、自ら囮になる前の独語
そして遺作が「特に気に入っていた女」として、健太が密かに想う琴未が最も執拗に陵辱される。連れ去りの実行役は、表向き被害者として振る舞っていた陣八だった。
本作には、謎解きを解いてヒロインを守れるほど陵辱映像が見られず、守れないほどテープが解放されるという逆説的な構造がある。クリアを目指す進行と、過激な描写の回収とが相反する設計になっている。
真相露見 — 鍵を開けたのは誰か
テープと校舎の痕跡を手がかりに、美由紀の推理が一つの結論にたどり着く。最初に音楽室を施錠したのは、外から侵入した何者かではなく、内側にいた人物だった。
美由紀は、音楽室がそもそも施錠されておらず、最後に入室した人物がチャイムを合図に扉を開け、遺作が外から閉めたのだと見抜く。黒板に書かれた数字も、各階の《怨》の字も、その人物の仕業だった。指し示された名は、健太の親友・陣八である。
「いいえ、鍵を開けたのが陣八君よ。」
— 榊美由紀、共犯者を見抜く核心の推理
問い詰められた陣八は、号泣しながらすべてを告白する。きっかけは、理事長室に仕掛けた盗聴器だった。学校の金を使い込む理事長の不正を知ってしまった陣八を、同じく盗聴を働いていた遺作が押さえ、退学と逮捕をネタに脅迫したのである。
「くっくっく、俺と同じ事をするやつがいるとはな。」
— 伊頭遺作、盗聴器を仕掛けた陣八を脅迫する発端
「簡単な事だよ、清純なフリをした雌犬どもの写真を撮ればいい。」
— 伊頭遺作、陣八に協力を強要して
陣八はこうして、女子の盗撮・体操着の窃盗・手紙の配布・《怨》の字書き・そして連れ去りの運搬役にされていた。里香も琴未も、彼が遺作の元へ連れて行ったのである。だが脅迫の根はもっと深いところにあった。一年前、陣八は遺作に命じられ、ひそかに交際していた相手——美由紀の妹——を呼び出した。抵抗されてもみ合った末に彼女は頭を打って気絶し、遺作は陣八に「死んだ」と思い込ませた。
「い、遺作さんとの約束を破ったら、僕は退学どころか刑務所行きなんだよぉ!!」
— 島田陣八、妹を呼び出した回想
「人を死なせた」という思い込みを人質に取られ、陣八は以後ずっと共犯に縛られてきた。健太は親友の裏切りを知りながら、彼を憎みきれずにいる。陣八は涙ながらに、最上部の時計台へ続く真鍮の鍵を健太に手渡す。
時計台の最終対決
健太と美由紀は、陣八から受け取った鍵で三階の小さな扉を開け、垂直のハシゴを登って最上部の時計台へ向かう。そこに、この事件のすべての真相と、最後の脅威が待っている。
時計台には、捕らえられた仲間が全員、裸で拘束されていた。目の前の光景に、美由紀は言葉を失う。
「健太君、こんな事が許されていいの?」
— 榊美由紀、全員の拘束を目にして
飛びかかった健太は伊頭遺作に羽交い締めにされ、薬を嗅がされる、あるいはナイフの柄で殴られて気絶し、時計台の柱に裸で縛りつけられる。遺作は健太の体を椅子代わりに使い、その目の前で榊美由紀をも辱める。そして遺作は、この事件の最大の真相を口にする。
「あんたの脅迫状に書かれていた通り、妹を殺したのは俺さ。」
— 伊頭遺作、時計台で真相を明かして
「あの馬鹿、気絶してるお前の妹を死んだと思い込んだみたいだぜ。」
— 伊頭遺作、陣八は殺人犯ではなかったと暴露して
一年前に美由紀の妹を実際に殺したのは、陣八ではなく遺作自身だった。陣八は気絶しただけの彼女を「死なせた」と信じ込まされ、ずっと人質に取られていたにすぎない。遺作がこれまでクビにならずに済んだのは、理事長の不正を握っていたからである。
「俺が捕まれば、理事長もおしまいだからねぇ。」
— 伊頭遺作、理事長の不正に守られている根拠
そして遺作は、最終計画を語る。保健室のベッドにガソリンを撒いて旧校舎を放火し、自分だけ脱出して、共犯の陣八を含む全員を焼き殺す。そのうえで「生徒が肝試しをしていて失火した」と偽装するという筋書きだった。高島先生は首吊り自殺に見せかけて連れ去ろうとされる。
「お前達はここで肝試しをしてて、ロウソクの火がカーテンに燃え移ったのさ。」
— 伊頭遺作、放火による焼殺と偽装の計画
ここから先は、健太の選択と脱出の成否によって、結末が大きく分かれていく。捕縛されたまま脱出に失敗すれば、健太も仲間も炎に包まれて焼死する。一方、美由紀の機転で遺作を扉際まで後退させ、隙を突くことができれば、生還への道が開ける。
焼死・捕縛の結末 焼死 捕縛
脱出に失敗した場合、または時計台で単独行動して捕縛された場合に到達する、救いのない結末群。遺作の放火計画が成就し、健太たちは旧校舎とともに炎に呑まれる。
これらの結末では、冒頭のテーマ詩が示した「定められた運命」が、最も暗い形で果たされる。
焼死の結末(一つ目・三つ目のエンディング):脱出に失敗すると、校舎は火の海となる。一つ目の結末では、給食室で炎に包まれ倒れる明美の姿を、健太はただ見つめるしかない。それでも「扉を開けた事を後悔してはいけない」と地の文は突き放す。三つ目の結末では、健太は煙のなかで目を閉じ、ベッドでの目覚めを願うが、炎に呑まれて二度と目を開けることはない。
捕縛の結末(二つ目・五つ目のエンディング):時計台で単独行動して捕縛された場合に至る。健太はハシゴを登った先で遺作に羽交い締めにされ、薬を嗅がされて、あるいはナイフの柄で後頭部を殴られて気絶する。柱に裸で縛られ、遺作の「最後のお楽しみ」へと続いていく前段で幕を閉じる。
分岐の起点(四つ目のエンディング):健太・美由紀・陣八の三人で時計台に到達した道筋。健太は飛びかかるが薬で気絶・捕縛される。だがここで美由紀が遺作を挑発し、扉際まで後退させることで、生還への分岐が開かれる。
生還 生還
美由紀の機転によって旧校舎から脱出し、館の主の脅威を脱する結末。最も大きな救いが訪れる道筋である。
脱出後、健太は仲間とともに校庭で警察を待つ。そこで、ある告白がなされる。
生還の結末(六つ目のエンディング):美由紀の挑発で扉際まで遺作を追い込んだ隙に、健太たちは脱出に成功する。残された遺作は、ペンキで足を滑らせて転落し、旧校舎のなかで変死体となって死亡する。後に全員が、首の折れ曲がった遺作の死体を囲む。
脱出後、里香が涙ながらに事件の発端を告白する。美由紀に馬鹿にされた腹いせから、美由紀の名を騙って遺作に手紙を出したことが、すべてのきっかけだったのだと。
「わ、私が遺作さんに手紙を出したの。……榊さんの名前で手紙を出せば、きっと遺作さんは榊さんにひどい事を。」
— 赤川里香、事件の発端を告白して
だが美由紀は「赤川さんに罪はない」と、里香を庇う。健太は陵辱の証拠が映ったビデオテープを警察に渡さず、美由紀とともに焼却することを選ぶ。仲間の名誉を守るための決断だった。
「悪いけど、これだけは美由紀の言う通りにできない。」
— 小暮健太、証拠ビデオを焼却する場面
陣八は最後まで健太を裏切れず、自首を決意して警察へ向かう。
後日の結末 ビター 成就
生還した後の余韻として、喪失のビターエンドと、二人のヒロインそれぞれとの恋愛成就エンドが用意されている。生還の代償と、わずかな救いとが描かれる。
生還の余韻に、もう一篇の詩が添えられる。
「あなたは開けられた扉を閉め/再び平穏無事な世界へと戻る/しかし心に刻み込まれた記憶は/永遠に消え去る事はないのだ」
— 地の文、生還の余韻
ビターな後日の結末(七つ目のエンディング):二学期、深い傷を負った仲間たちが次々と学園を去っていく。高島先生は辞職して所在不明となり、宗光は父=理事長が犯罪者となって退学。美緒も学園を去る。健太と美由紀だけが辛うじて普通に話せる相手として残される。だがある日、健太の机に再び差出人不明の手紙が置かれている。冒頭のテーマ詩のように、定められた運命が再び巡り始めることを示唆して幕を閉じる。
琴未との結末(八つ目のエンディング):半年後、健太は密かに想い続けていた琴未と結ばれる。遊園地や動物園のデートを重ね、琴未が初めて作った手作り弁当を渡される、相思相愛の結末。
「あなたと琴未の気持ちだけは永遠に変わらない」
— 地の文、琴未との結末
美由紀との結末(九つ目のエンディング):半年後、男性不信だった美由紀が、探索の相棒だった健太と結ばれる。妹を失い、男を信じられずにいた彼女が、健太にだけは心を開いていく。
「健太君は違うわ。……男の人なんて、みんな変な事しか考えてないと思っていたから。」
— 榊美由紀、男性不信が解けた告白
遊園地デートで、美由紀は二時間かけた弁当を渡し、キスを交わす。
「私を絶対に離さないって約束して」
— 榊美由紀、美由紀との結末で
エンディング一覧 — 全9エンド
| 種別 | エンド | 到達局面 | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| 焼死 | 一つ目のエンディング | 脱出失敗 | 給食室が火の海となり、炎の中に倒れる明美の姿を見つめるしかない。「扉を開けた事を後悔してはいけない」。 |
| 捕縛 | 二つ目のエンディング | 時計台で単独行動 | ハシゴを登るが羽交い締めにされ、薬で気絶。柱に裸で縛られ「最後のお楽しみ」へ続く前段。 |
| 焼死 | 三つ目のエンディング | 脱出失敗 | 煙の中で目を閉じ目覚めを願うが炎に包まれる。「あなたは二度と目を開ける事はない」。 |
| 分岐 | 四つ目のエンディング | 時計台到達(三人) | 健太が飛びかかるも薬で気絶・捕縛。美由紀の挑発で遺作を後退させ、脱出を図る分岐の起点。 |
| 捕縛 | 五つ目のエンディング | 時計台で捕縛 | ナイフの柄で後頭部を殴られ気絶。柱に裸で縛られ「最後のお楽しみ」へ。「馬鹿なやつだ」。 |
| 生還 | 六つ目のエンディング | 脱出成功 | 旧校舎から脱出。遺作は転落して死亡。里香が手紙の件を告白し、健太は証拠ビデオを焼却して仲間を守り、陣八は自首を決意。 |
| ビター | 七つ目のエンディング | 生還後の後日 | 仲間が次々学園を去り、健太と美由紀だけが残る。喪失の中、机に再び差出人不明の手紙が(ループ示唆)。 |
| 成就 | 八つ目のエンディング | 琴未個別 | 半年後、健太は浅川琴未と交際。手作り弁当を渡される相思相愛の結末。 |
| 成就 | 九つ目のエンディング | 美由紀個別 | 半年後、男性不信だった榊美由紀が健太と交際。遊園地デートでキスを交わす。 |