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ストーリー詳細 — 加奈〜いもうと〜

このページには加奈〜いもうと〜の全ネタバレが含まれます。血縁不在の真実、加奈の余命と臨終、ペンダント遺言、移植手術の結末、香奈への臓器提供など、結末に直結する情報を全て掲載しています。

本作は長く穏やかな共通ルートを経て、加奈の生死と隆道の選択によって6つのエンディングへ分岐するビジュアルノベル。ED1のみハッピー側、ED2/ED3/ED4は加奈の死別系、ED5/ED6は加奈の臓器提供を経た静かなビター系で、それぞれ独立した結末を持つ。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

プロローグ — 加奈の合格報告

大学一年生の藤堂隆道は、長期入院中の妹・加奈双葉学園補欠合格を受け、録音機能つきのペンダントを贈る。

現在時制(隆道大学一年生)から物語が始まる。加奈は中学三年間の出席日数不足にもかかわらず、補欠合格で双葉学園入学が決まった。隆道は新製品の録音ペンダントを購入し、「合格おめでとう!」のメッセージを録音して贈る。ペンダントは三分のメッセージを五本録音できる仕様で、この時点では兄から妹への祝いの小道具にすぎないが、後のED2「追憶」で加奈の遺言メディアとして物語の最終楽器になることになる。加奈は艶やかな黒髪に白く透き通った肌、極端な内気と本の虫としての知性を併せ持ち、隆道のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。隆道は加奈の絶対的保護者として人生の余暇のほぼ全てを彼女に費やしてきた。物語はここから幼少期・小学校・中学・高校の回想を多層的に積み重ねながら、現在時制を少しずつ進めていく。

「お兄ちゃん」(加奈/物語最初の声)

幼少期 — 蜂事件と「お兄ちゃん」の始点

幼少期の家族ハイキングで起きた蜂事件と、看護婦・美樹との出会い。隆道の中で加奈を「守る対象」として認識する原点。

家族ハイキングで滝場面・牛乳パック吐瀉・花輪・蜂遭遇のエピソードが連続する。父は隆道に「強い男になりなさい」と告げ、これが隆道の生涯のテーマになる。蜂の巣を踏みかけた加奈を庇って隆道は肩・背中に多数刺され入院。「いみじくも加奈が俺のことを『お兄ちゃん』と呼んだのは、この時がはじめてのことだった」と隆道は記録する。蜂事件の傷の一つが左手に残り、ED1のクライマックスで加奈に唇でなぞられる重要モチーフとなる。隆道はこの時、泣きじゃくる加奈にウメバチソウの花輪を編んでやり、加奈はその時の押し花を本のしおりにして生涯大切に持ち続ける。入院期間に新人看護婦の美樹と出会い、ここから十年以上にわたる三人の関係が始まる。

「隆道、強い男になりなさい」(父)
「強くなるということはつらいものだと思った」(隆道/自分の弁当を加奈に渡しながら)

小学校 — 鹿島事件と十年の決別

小学校時代の鹿島夕美の「相性占い」発言、隆道のラブレター事件玉砕。これが十年の決別の起点となる。

小学校五年生時代、教室で夕美が雑誌の星座占いを見ながら「藤堂君とわたしって結構相性いいかも知んない!」と発言。これに勇気を得た隆道は机にラブレターを忍ばせるが、クラスメイトに勝手に開封されて「真剣に待ってます」を晒し物にされる玉砕事件が発生。隆道は十年近く「夕美の仕業」と信じて鹿島への憎悪を抱え続け、笑わなくなる時期もある。同時期、夕美が下駄箱に手作りの少女人形を入れて贈ろうとするが、隆道はそれを焼却炉に捨てる。この人形は後にED後半で夕美の手作りと判明する伏線となる。隆道は四天王と呼ばれる三人組(長瀬智樹・船津育郎・下田雅俊)と行動を共にし、健康な男子小学生としての世界を持つ一方、加奈の見舞いを続ける兄としての顔も育てていく。中庭からの加奈を見上げる場面、お手玉拾い、野良猫の死を埋葬する場面など、加奈の孤独を理解する瞬間が積み重なっていく。

「藤堂君とわたしって結構相性いいかも知んない!」(夕美)
「俺を加えた四人組は、クラスで四天王と呼ばれていた」(隆道)

中学期 — 伊藤勇太の登場と須摩子叔母の死

中学生になった加奈の自転車送迎、いじめ三人組、モデルガンを持つ伊藤勇太の登場。須摩子叔母のホスピス見舞いと看取り。

高校生の隆道は中学生になった加奈の送迎を担当する。校門前でいじめの三人組に絡まれているところに勇太がモデルガン(ロシア版グナックMFのモデルガン)を抜いて撃退するシーンが彼の初登場。加奈はかつて勇太に追い回されていた経験から最初は「きらい」と評しているが、勇太の真摯な謝罪と握手で受け入れていく。陸上で県記録を持つ勇太は強豪校の誘いを蹴って加奈のために地元高校を選択。

並行して隆道の父方の妹・須摩子叔母が乳ガン末期でホスピス入院しており、加奈・隆道が見舞いを重ねる。須摩子は加奈に乳房切除済みの胸を触らせて病名を告げ、「死をまっすぐに見つめて生きてみるのもいいかなって思ったから」「死を見つめる心が育たなければ、いざという時に納得できないまま人生が終わってしまうかも知れない」と語る。この死を見つめる強さは加奈の精神的支柱となる。須摩子の娘・香奈(同名の幼女、肝不全持ち)も登場し、加奈の親友になる。三人乗りの自転車エピソードを経て、須摩子は退院期間を三日確保したのち病院で息を引き取る。加奈はこの体験を経て、自分の死生観の土台を獲得する。

「私ね……乳ガンだったの」「死をまっすぐに見つめて生きてみるのもいいかなって思ったから」(須摩子)
「母上ーっ!」(香奈/須摩子初訪問時)

高校期 — 余命宣告と血縁不在の告白

大学に進んだ隆道は文芸サークルのコンパで夕美と再会し交際開始。加奈の余命「半年」が医師から宣告され、同時に父が血縁不在の真実を告白。隆道は移植ドナーを志願する。

高校生となった隆道は加奈の体調悪化を見守りながら、自分の中で芽生え始める「妹を超えた感情」と向き合うことになる。自転車後部座席で胸の感触を意識する場面、夏祭りで加奈の尻を撫でた時の「お兄ちゃん、えっち」の囁きで衝動が走る場面など、すでに境界線が揺らぎ始める。

EV40Aで医師から加奈の慢性糸球体腎炎が予後不良の遺伝子異常型へ進行したと告げられ、続けて父が「加奈とおまえに……血の繋がりなどありはしない」と血縁不在の真実を告白する。加奈は父の友人(妻に先立たれた病弱な男性)の遺児で、その友人もガン同然の身体で死亡したため藤堂家が養子に迎えた経緯がある。隆道は両親に激怒し「血の繋がりだけがそんなに大事かよ!」と暴言を吐くが、同時に「自分が血縁ではない」という事実が、加奈への独占欲・性愛の禁忌を緩める方向にも作用していく。隆道は腎移植のドナーを志願し、鹿島先生を頼ってドナー検査を強行する。

大学のコンパで偶然鹿島夕美と再会し、ホテルで初体験を経て交際を開始する。だが性交中・行為直前にも頻繁に加奈の顔がよぎる。卒業式で夕美が「あの手紙の公開は私がやったことじゃない」「ホンキで好きだったんだよ」と泣きながら謝罪し、十年の誤解が解ける。同日の卒業祝いパーティーで医師から改めて「お嬢さんの命は、もってあと半年です」が宣告される。加奈は新調した双葉学園の制服を着て二階から降りてくる、一夜限りの晴れ姿を披露する。

隆道は加奈の自慰目撃と全裸の出迎えに対し、最後の理性で「俺たち……兄妹なんだぞ」と拒絶する。だが家庭内では加奈と一緒に寝、衣装タンスから加奈の下着で自慰し、街帰りに傷の血を吸わせる場面で唇を寄せかけるなど、すでに境界を踏み越えつつある。加奈はアポトーシスの知識から「人はどうして死ぬんだろう?」を考察する精神的成熟を見せ、ついに「生きたい」「生きたいよ、もっと」と懇願する。ここで隆道の移植決意が固まる。最後の退院期、勇太に告白されて加奈は丁重に断り、隆道に「わたしの日記にはね……お兄ちゃんのことばっかり、書いてあるんだ」と打ち明ける。

「現在は、小康状態に入っています。これから行う全ての治療は、延命治療だとご認識下さい」(医師)
「お嬢さんの命は、もってあと半年です」(医師)
「他人同士に生まれるくらいなら、死んだ方がましだもん……」(加奈)

ED1「はじまりのさよなら」 HAPPY

移植手術が成功し、加奈と肉体的にも結ばれて同居期間を経たのち、加奈自身が自立を選んで家を出ていく、本作で唯一の加奈生存ルート。

最後の一夜を「抱かない」選択をして倫理を保ったのち、移植手術が行われる。隆道と加奈は血縁がないにもかかわらずミスマッチゼロ(HLA六分類が完全一致、数万人に一人の奇跡)が成立し、拒絶反応なく移植が成功する。長い夢の中で加奈と再会し、覚醒後の入院期間を経て加奈は退院。隆道が大学から帰宅すると掃除中の加奈と再会、互いに「好きだ」「お兄ちゃんのこと……好き」と相思相愛を確認、加奈から「退院のお祝い」として不意打ちのキスがあり、続けて「もう後悔したくない。だから……わたしに触って」と懇願される。隆道は「もう人間失格でもいいや、俺」と一線を越え、二人は結ばれる。加奈は処女を捧げ「後悔してない」と笑う。隆道の左手の蜂事件の傷に加奈が唇を寄せる、長年の伏線回収のキスが描かれる。

同居期間が始まる。両親も加奈の元気な姿を見て泣き、家族の和解が成立する。だが半年ほどの同居の末、加奈は「兄妹のままじゃ、何にもならないから」と書店住み込み就職を選び、隆道のもとから自立して旅立つ。隆道は号泣しながら「行ってこい、加奈」と送り出す。「おまえの中にある腎はな、俺のと同じ腎なんだ。だから、おまえがどこにいるか感じることができるんだ。一心同体だ、な?」が隆道の最後の言葉となる。

「もう後悔したくない。だから…………わたしに触って」(加奈)
「もう人間失格でもいいや、俺」(隆道)
「兄妹のままじゃ、何にもならないから」(加奈)
「行ってこい、加奈」「行ってきます!」(隆道→加奈)

ED2「追憶」 BAD

移植失敗で加奈死亡。半年後の墓前で、加奈が遺したペンダントの五本目「愛しています」を聴いて隆道がようやく時計を動かしはじめる、再起バッドエンド。

「告白」を選択して移植失敗系へ。加奈は最期に物語冒頭で贈られたペンダントに五本のメッセージを録音する。最初の四本は徐々に弱り「死にたくないよおぉぉ……わたしまだ死にたくないよぉぉぉ……」と恐怖を吐露し、最後の五本目で「愛しています」と締めくくる。

加奈の死から半年、隆道は精神停止のような状態で日々を過ごしてきた。夕美の運転で加奈の墓参に向かい、墓前で残されたペンダントを再生する。一本ずつ加奈の声を聴き、最後の「愛しています」で隆道はようやく号泣する。「足りなかった『何か』は補われ、今、半年という時間を経て、ようやく俺の時計は動きはじめる」が締め。夕美との関係はまだ「恋人ではなく、けれど他人ではない」微妙な距離で、再起の伴走者として描かれる。

「死にたくないよおぉぉ……わたしまだ死にたくないよぉぉぉ……」(加奈/ペンダント遺言四つ目)
「愛しています」(加奈/ペンダント遺言五つ目・最後)
「足りなかった『何か』は補われ、今、半年という時間を経て、ようやく俺の時計は動きはじめる」(地の文)

ED3「迷路から」 BAD

移植失敗・加奈死亡後、隆道が現実否認の錯乱状態に陥り、夕美が「加奈のかつら」をかぶる強引な芝居で正気に戻すルート。

ED2系と同じく移植失敗で加奈は死亡するが、隆道の心理崩壊が深く進行する。隆道は現実認識を拒否し、家中で加奈の幻覚を探し続ける。「加奈の部屋」のドアの「KANA」プレートを見て加奈がまだそこにいると信じ込み、自室と加奈の部屋を彷徨い続ける。「あの返事をしてないのに……っ!」と保留にした応えを反芻し続ける統合失調的な状態に陥る。

夕美が見かねて介入する。まず「いくじなし、いくじなし……っ!」と隆道を殴り、それでも変わらない隆道のために、ついに加奈の長い黒髪のかつらをかぶって加奈の部屋に座る。隆道が部屋に入ると、加奈の姿に見える夕美が「加奈ちゃん……もう死んだんだよ」「加奈ちゃん……最後まで立派に生きたよ……だからさ、ね?……祝福してあげようよ」と告げる。隆道がかつらを外した夕美の正体に気付き「加奈じゃ……なかったのか……」と崩れる瞬間が、現実への帰還点となる。「長い悪夢は終わりを告げ、ようやく、俺は自分の時間を歩き始める」で再起する。

「いくじなし、いくじなし……っ!」(夕美)
「加奈ちゃん……もう死んだんだよ」(夕美/かつら芝居)
「私……隆道君のこと……絶対に見捨てたく……絶対に……」(夕美)

ED4「雪」 BAD

移植を選ばず、最後の外泊で海を見たのち、家族と美樹に看取られて加奈は雪の夜に息を引き取る。翌春に病室の鉢植えウメバチソウが咲く、看取り完結エンド。

「外泊」を選択し、移植選択をしないまま最後の退院期へ。海への外泊で砂浜を走り、隆道におんぶされながら「もう走れない」加奈の遺願が果たされる。最後の一夜も「抱かない」選択を維持し、加奈の「明日、病院に戻ったら……もう帰ってくることはないと思うけど……今まで、本当にありがとう……長い間、お世話になりました」という今生の別れの挨拶を受ける。

病院に戻った加奈は、家族・美樹・香奈・叔父に看取られる中、鎮静剤投与で意識を沈める。「もう……いいよね……頑張ったよね……」が最後のセリフ。深夜三時頃、「呼吸することもなく」加奈は静かに息を引き取る。窓の外には「もしわたしが死んだら、雪を降らせてみようかな」の予言通り、季節外れの雪が降っている。父は隆道に「よくやったな隆道……おまえは昔、私とした約束を、よく守りきった」「私はおまえを誇りに思う」と肩を抱き、初めて隆道を「息子」として承認する。

夢の中で加奈と別れの場面が挿入される。「今度、生まれてくる時は……お兄ちゃんの家の隣に住んでる幼なじみって設定がいいかな」と加奈は微笑む。三日後、隆道は加奈の病室の鉢植えウメバチソウを持ち帰り中庭の花壇に植え替える。加奈と二人で種まきした幼少の追憶が挿入され、翌春、雪解けと同時に「鉢植えの蕾は、雪解けと同時に、白い小さな花を咲かせた」。香奈は「やっと咲いたけど……ちこくなのじゃ」と泣き笑いで見届ける。

「もう……いいよね……頑張ったよね……」(加奈/鎮静剤投与前)
「今度、生まれてくる時は……お兄ちゃんの家の隣に住んでる幼なじみって設定がいいかな」(加奈/夢の中の別れ)
「私はおまえを誇りに思う」(父)
「鉢植えの蕾は、雪解けと同時に、白い小さな花を咲かせた」(地の文)

ED5「おもいで」 BITTER

加奈の死後、ドナー登録の事実が判明し肝臓が香奈に移植される。日記が『命を見つめて』として刊行され、隆道は教職と司書の道を歩む。夕美との再会はないまま静かに一周忌を見据えるエンド。

ED4系の流れの後、加奈の死直後に移植コーディネーター・織笠が藤堂家を訪ねる。加奈が誰にも相談せず単独で臓器バンクにドナー登録し、意思表示カードを書いていた事実が判明する。隆道は怒り狂うが、織笠は「私はこれが正しいことだと思ってます。そして、日本の臓器移植に対する意識の低さもよく知っています」と冷静に説得し、加奈の意思に従って香奈の肝臓提供を依頼する。「レシピエントは……霧原香奈さんです」——同名の従妹で、肝不全を抱えていた少女。

香奈は塞ぎ込んだ後、もとの明るさを取り戻し中学進学を迎える。隆道は復学し、引越し屋アルバイトをこなしながら加奈の日記を清書する。日記の最終ページには、アポトーシスの考察、「死は遺伝子の本能」考察、聖書からの引用「死ぬ日は生まれた日に優る」、ドナー登録宣言、「願わくば、明日のわたしが、今日のわたしより優れた人間でありますように……」という祈り、そして「今日、海を見た。もう恐くない」という最終文が並ぶ。隆道は号泣する。

日記は『命を見つめて』として出版され、口コミとインターネットで話題になり第五刷まで増刷される。隆道は印税を医療関係に寄付し、教職課程と図書館司書資格を取って新しい人生に踏み出す。秋空を歩きながら背後に加奈の声を聴き、「同じ悲しい思い出でも、胸が引き裂かれそうなものと、そうでないものがあることを最近知った」と内省する。「一周忌にはきっと、思わず目をみはるような白い雪が降るだろう」と静かに区切りをつける。夕美との再会は描かれず、隆道は香奈との約束(遊園地・紅葉狩り)を一人で抱えたまま新しい日々を歩く。

「レシピエントは……霧原香奈さんです」(織笠)
「私はこれが正しいことだと思ってます」(織笠)
「今日、海を見た。もう恐くない」(加奈の日記最終文)
「一周忌にはきっと、思わず目をみはるような白い雪が降るだろう」(地の文)

ED6「今を生きる」 TRUE寄り

ED5と同じ流れの先で、大学キャンパスで『命を見つめて』を読み終えた夕美と再会、紅葉狩りに連れ立つ。本作のグッドエンド寄りの再生エンド。

ED5と同じ織笠→香奈手術成功→隆道の復学→引越し屋アルバイト→紅葉の流れの後、大学キャンパスで読書中の夕美と再会する。夕美が読んでいたのは『命を見つめて』。夕美は「これ、読んだよ」「いろんなことがあったんだね……隆道君」とはじめて隆道を名前で呼び、「許してやってもいい」「私が口出しする余地なんてなかった」と告げる。さらに「鹿島先生にも会ってない?……みんなで紅葉狩り」と隆道を病院の偲ぶ会+紅葉狩りへ連れ出す。夕美は「免許取って、車買ったんだ」「車は親のお下がりだけどね」のチャーミングな自己紹介をしながら、弁護士志望の大学生として十年の屈託を超えた成熟した距離感を提示する。

結末で隆道は加奈に向かって独白する。「今はもういない人間の意思が、今を生きる俺の指標になっているんだ。だから……おまえの死は、悲しい終わりなんかじゃなかったよ」。加奈の遺した『命を見つめて』が、夕美にも香奈にも、隆道自身にも、生き続ける糧となって連鎖していく。本作の中で最も再生に振り切れた結末。

「これ、読んだよ」「いろんなことがあったんだね……隆道君」(夕美)
「許してやってもいい」「私が口出しする余地なんてなかった」(夕美)
「今はもういない人間の意思が、今を生きる俺の指標になっているんだ」(隆道/独白)

エンディング一覧 — 全6エンド

PC版(1999)収録の正式エンドは全6種。リメイク版『加奈…おかえり!!』や攻略サイトで「ベストエンド」「ノーマルエンド」等と表記されることがあるが、バージョンによって呼称が異なるため、本ページではPC初出版の名称で統一している。

種別 エンド名 ヒロイン 結末概要
HAPPY ED1「はじまりのさよなら」 加奈(生存) 移植成功で加奈生存。兄妹を超えて結ばれ同居期間を経たのち、加奈が書店住み込み就職で自立。隆道は号泣して見送り「一心同体だ」と告げる。
BAD ED2「追憶」 加奈・夕美 移植失敗で加奈死亡。半年後の墓前でペンダント五本目「愛しています」を聴き、隆道がようやく時計を動かしはじめる。夕美は再起の伴走者。
BAD ED3「迷路から」 加奈・夕美 加奈死後、隆道が現実否認の錯乱状態に陥る。夕美が加奈のかつらをかぶる強引な芝居で「加奈ちゃん……もう死んだんだよ」と告げ、隆道は現実に帰還する。
BAD ED4「雪」 加奈 移植を選ばず、家族と美樹に看取られて加奈は雪の夜に息を引き取る。父から「私はおまえを誇りに思う」と承認される。翌春、鉢植えのウメバチソウが咲く。
BITTER ED5「おもいで」 加奈・香奈 加奈の意思で香奈に肝移植。日記が『命を見つめて』として出版される。隆道は教職・司書の道へ。夕美との再会はないまま、静かに一周忌を見据える。
TRUE寄り ED6「今を生きる」 加奈・香奈・夕美 ED5と同流れの先で、大学キャンパスで『命を見つめて』を読み終えた夕美と再会、紅葉狩りに連れ立つ。「今を生きる俺の指標」として加奈の意思が引き継がれる再生エンド。