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ストーリー詳細 — Kanon

本作は5人のヒロインルートで構成される恋愛ADV。共通ルートから各ヒロインのルートへ分岐し、それぞれで「奇跡」と「失われた記憶と約束」をめぐる物語が展開される。 ▼ネタバレ詳細 はアコーディオン内に格納されています。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

共通ルート

1月7日、主人公・相沢祐一は7年ぶりに雪の降り積もる地方都市へ戻り、いとこの水瀬名雪の家に下宿することになる。商店街でぶつかった謎の少女・月宮あゆとの奇妙な再会、陸上部員の名雪、記憶を持たない居候・沢渡真琴、夜の学校で剣を振るう川澄舞、デパート前に立ち尽くす病弱な美坂栞——慌ただしく動く日常の中で、5人のヒロインとの交流が始まる。

祐一は幼少期のこの街での記憶を断片的にしか持っていない。商店街を走るあゆ、毎朝祐一を起こしに来る名雪、水瀬家に転がり込んでいる記憶喪失の真琴——それぞれとの日々が積み重なる中、ユーザーの選択肢によって物語はいずれかのヒロインのルートへ分岐していく。分岐点となるのはおおよそ1月15日前後。共通ルートの段階では各ヒロインの抱える秘密はほとんど明かされず、穏やかな日常描写が続く。

北川潤(名雪の同級生)が随所でギャグ担当として登場し、テンポを軽くしている。水瀬秋子はいつも温かい夕食を用意しており、下宿先の雰囲気が共通ルート全体の情緒的な基盤になっている。

あゆルート TRUE END BAD END

商店街を走り回る不思議な少女・月宮あゆとの交流を深めるルート。あゆが繰り返す「探し物」の正体と、7年前の約束の意味が明かされていく。

あゆが街を走り回っている理由は「探し物」があるから——そう繰り返す彼女の正体は、7年前に木から落下して以来、病院で植物状態のまま眠り続けている少女の、意識が外の世界に現れた存在だった。

「探し物」の正体はふたつある。ひとつは赤いカチューシャで、木の根元の地面に埋まっていた。もうひとつは、7年前に幼い祐一に告げた約束——「ずっとそこにいるから、迎えに来て」という言葉の成就だった。

「ずっとそこにいるから、迎えに来て」(あゆ、7年前の約束)

祐一があゆと過ごす時間が積み重なるにつれ、あゆの存在は次第に薄れていく。ルート終盤、祐一は病院でベッドに横たわる現実のあゆと対面する。

TRUE END:祐一の願いと奇跡によって、あゆは長い眠りから目覚める。春になった街で、赤いカチューシャをつけたあゆが祐一の元へ走ってくる——7年越しの約束がついに果たされる。

「探し物、見つかったんだよ…」(あゆ)
「だから…ボクのクッキー、楽しみにしててね」(あゆ、エピローグ)

BAD END:奇跡が発動せず、あゆが目覚めないまま物語が終わる。祐一は雪の中、ひとり答えの出ない問いを抱えて立ち尽くす。

名雪ルート TRUE END

いとこの水瀬名雪と向き合うルート。毎朝の「朝〜、朝だよ〜」という声とともに始まる穏やかな日常が、ある出来事を境に大きく揺らぐ。

名雪の母・水瀬秋子が交通事故に遭い入院する。祐一にとって下宿先の主人であり、名雪の精神的な支えでもある秋子の不在は、名雪を深刻な引きこもり状態に追い込む。

学校にも来なくなり、部屋から出ることもできなくなった名雪と、祐一は根気強く向き合い続ける。陸上部への復帰、日常への帰還——名雪が少しずつ立ち直っていく過程が丁寧に描かれる。

TRUE END:秋子が回復し退院する。冬が終わり春が近づく頃、名雪は陸上部のトレーニングを再開し、二人の日常が戻ってくる。

「春まで、もう少しだよ」(名雪、エピローグ)

真琴ルート TRUE END

記憶も素性も不明な居候・沢渡真琴と過ごすルート。「あぅ」という口癖と肉まんへの執着、そして徐々に明かされていく彼女の正体が、作中でも特に印象的な物語を形作る。

真琴の正体は、水瀬家近くの丘に棲む妖狐だった。7年前、幼い祐一が丘で手当てをしてくれた温もりへの想いが積もりすぎて、人の姿をとるようになった——それが真琴という存在の始まりだった。

人の姿をとって生きることには代償が伴う。日を追うごとに記憶が失われ、言葉を忘れ、感情の輪郭がぼやけていく。転んで膝を擦りむくたびに狐としての本来の姿に引き戻されるように、真琴は少しずつ「人である時間」を失っていく。

天野美汐はこの事実を知るただひとりの人間として登場する。かつて同じ存在と出会い、最後まで見届けた経験から、祐一に真琴の正体を告げる。

「あの子が自らの命を引き替えとして手に入れた、わずかな煌めきです」(天野美汐)

真琴は少女漫画の一節を繰り返し口にする。「恋はいつだって唐突だ」——その言葉が、真琴と祐一の関係を静かに象徴している。

「したい…けっこん」(真琴)
「春がきて…ずっと春だったらいいのに」(真琴)

ルート終盤、言葉も記憶もほとんど失った真琴は、祐一と一緒に丘へ向かう。手首の鈴が鳴る中、祐一は告げる。

「ずっと、いっしょにいような」(祐一)
「結婚しようか、真琴」(祐一)

真琴は微笑み、そして丘の上で消えていく。春のエピローグ——拾い猫のぴろが水瀬家に戻り、丘を一匹の小さな狐が走る。それが真琴の生まれ変わりを示唆する、本作でも指折りの「泣きエンド」として記憶される結末だった。

舞・佐祐理ルート TRUE END

夜の学校で謎の「魔物」と戦い続ける無口な少女・川澄舞と、彼女の親友・倉田佐祐理をめぐるルート。魔物の正体が明かされる時、物語は大きく動く。

祐一は夜の学校で剣を構える舞と出会う。魔物を倒し続けるという彼女の行動は傍目には異様に映るが、祐一は舞を信じて共に戦うことを選ぶ。

魔物の正体——それは舞自身が持つ「力」が生み出した、感情の負の具現化だった。幼少期から意図せず周囲に害をもたらしてきた力が、舞の無意識の中で暴走し魔物として現れていた。魔物を倒すことは、舞がその力と向き合い受け入れることを意味していた。

「でも、あたしって踊れないし」(舞、舞踏会のシーンで)

ルート後半では佐祐理の過去も明かされる。幼い頃、弟・一弥を料理中の事故で傷つけてしまったという自責を、ずっと明るい仮面の下に隠して生きてきた佐祐理は、舞の自傷をきっかけに限界を迎え自傷未遂に至る。

TRUE END:舞が自らの力を受け入れ、魔物が消える。麦畑のシーンで復活した舞、祐一、佐祐理の三人が笑顔で未来を歩み始める。佐祐理エピローグでは「佐祐理はそう思いますっ」という彼女らしい言葉と共に、日常への帰還が描かれる。

栞ルート TRUE END BAD END

デパート前に立ち尽くす病弱な少女・美坂栞とのルート。姉・香里との複雑な距離感と、余命宣告を受けた難病——それでも「奇跡」を信じようとする栞の言葉が胸に刺さる。

栞は難治性の病を抱え、余命宣告を受けていた。名雪の友人である姉・美坂香里は、妹の死を恐れるあまり意図的に距離を置いており、栞もその事情を知りながらも一人でデパート前の時間を過ごしていた。

祐一と過ごす時間の中で栞は少しずつ前を向いていく。「奇跡なんて信じられないけど、信じてみようと思います」——その言葉が、このルートの核心を一文で語っている。

「奇跡なんて信じられないけど、信じてみようと思います」(栞)

TRUE END:奇跡的な回復により栞は命を取り留める。香里との長い断絶も解け、姉妹の和解が実現する。春の陽光の中、栞の笑顔と香里の涙が重なる結末。

BAD END:奇跡は起こらず、栞は逝去する。祐一は栞との時間を胸に抱えたまま、春を迎える。

エンディング一覧

種別 ルート 結末概要
TRUE あゆルート 奇跡によりあゆが目覚め、春の街で祐一と再会
BAD あゆルート 奇跡発動せず、あゆは目覚めないまま終幕
TRUE 名雪ルート 秋子が回復し退院、名雪と祐一の日常が戻る
TRUE 真琴ルート 丘で消滅した真琴、春にぴろ帰還・子狐が丘を走る(生まれ変わり示唆)
TRUE 舞・佐祐理ルート 魔物討伐・舞が力を受け入れ、三人で未来へ
TRUE 栞ルート 奇跡的回復・香里と栞の和解
BAD 栞ルート 栞逝去、祐一は春を一人で迎える