新藤エレナのレビュー — 河原崎家の一族2

新藤エレナ
新藤エレナ
陵辱を採点表で斬る女
8.5/10
8.5 / 10

シコれるわ。それも、物語が止まらないから止まらないのよ。これは認める。

陵辱ADVよ。陰惨で、痛い描写も多い。でもこの作品、その陰惨さが全部物語の歯車として噛んでいるの。エロのためのエロが一つもない。館の恐怖とタイムループという土台に、Hシーンが最初から組み込まれている。だから陵辱の一つひとつに意味が乗っていて、ただ嬲るだけのシーンが存在しない。シチュの幅はエルフ陵辱ものの最上位、テキストの密度も高い。痛みの方向が人を選ぶのと、山場以外の密度差で満点は外したけれど、エロと物語の相乗効果という一点では抜けているわ。8.5。鬼畜が守備範囲なら、迷わず手に取りなさい。

スコア詳細

Hシーンの質 8
ヒロインの魅力 8
シチュの多様性 9
文章力・描写力 8
エロと物語の相乗効果 9
ボリュームと密度 8

陵辱ADVとして手に取ったわ——前提を言わせて

2003年、elf。山奥の館に閉じ込められた者たちが、薬と拷問と陵辱に巻き込まれていく18禁の館ホラーよ。エルフの陵辱ものという血統に、タイムループと脱出サスペンスが乗っている。

なぜこれを手に取ったか。陵辱ADVには二種類あるの。シチュだけ並べた抜き作りの量産品と、陵辱が物語の必然として機能している作品。前者は数を見れば飽きる。後者は稀だけれど、当たると一段上のシコさが出る。本作は「館ホラー+タイムループ+鬼畜」という看板を掲げている——この組み合わせなら、陵辱が単なる飾りで終わらない可能性がある、と踏んで開いたわ。

舞台は河原崎縄綱という老人が支配する屋敷。主人公の優馬は恋人の杏奈とともにこの館へ招かれ、そこで薬と狂気に飲み込まれていく。Hシーンの数はかなり多い。薬による発情誘導、拷問道具、恋人の前での陵辱まで、陵辱ものの引き出しがほぼ全部入っているわ。ただ、この作品が普通の抜きゲーと違うのは、その陵辱が「館から脱出する」という物語の骨格と最初から噛み合っている点よ。それを確かめたかったの。

陰惨だけれど、雑じゃない——Hの基本性能は高いわ

結論から。陵辱の質が高い。それも、書き手が分かってやっている類いの高さよ。

本作のHは陰惨よ。薬で理性を溶かされ、拷問道具にかけられ、大切な人の前で堕とされる。普通ならここで「ただ痛いだけ」「ただ嬲るだけ」になりがちなの。でも本作は違う。被害者の内側が壊れていく過程を、一行ずつ書いている。苦痛と快楽と罪悪感が同時に走る瞬間を、逃げずに描く。だから陰惨さがちゃんと圧として効くわ。

キャラの反応も粒が立っているわ。同じように薬を打たれても、淫乱に堕ちる者、最後まで芯を曲げない者、完全に崩壊する者——全員が違う壊れ方をする。誰を抱いても同じ反応、という記号化が起きていない。陵辱もので一番多い手抜きがこれなのに、本作はそこを丁寧にやっているの。Hシーンの質は8。鬼畜の品質として、上位に置けるわ。

ヒロインの魅力も連動している。とくにメインヒロインは、ここまで陰惨な目に遭わされながら一本の芯を最後まで通す。その芯の強さが、陵辱の中で逆に際立つのよ。エロで記号になるどころか、エロで人格が浮かび上がる側のヒロインね。

シチュの幅が異常よ——9を付けるわ

エルフ陵辱の見本市ね。それも全部、雑にやっていない。

薬による発情誘導、拷問道具を使った責め、覗き見、恋人や婚約者の目の前での陵辱、屈辱的な扱い、口腔、素股、破瓜、中出し。陵辱ものの引き出しがほぼ全部入っているわ。しかも一つひとつのトーンが違う。被害者ごとに堕ちる過程の描き分けがあって、同じパターンの使い回しがほとんどないの。

これは数を揃えただけの粗製品とは違う。各シチュが館という舞台と、屋敷の主の目的に結ばれているから、これだけ並べても散らからないのよ。シチュの多様性で9を出すのは私でも珍しいけれど、本作は値する。バラエティだけでなく、各シチュの完成度まで揃っているからこその9よ。

エロが館とループを回している——これが本作の核心よ

本題はここ。エロが飾りか、必然か。答えは出ているわ。

私が普段「エロのためのエロは論外」と切るのは、Hシーンを抜いても物語が成立してしまう作品が多いからよ。Hが本編のおまけ、ファンサービス、惰性で入っているだけ——そういう作品はノベルゲームで出せばいいでしょ、と切り捨てる。

本作は真逆なの。Hシーンを抜いたら、物語体験そのものが崩れる。陵辱の一つひとつが、館からの脱出という物語の骨格に組み込まれている。ネタバレになるから詳しくは言えないけれど、この作品では「一周目に味わった陰惨」が、後の展開で別の意味を持って効いてくる構造になっているの。だから陵辱を削ると、後で効くはずの手応えが丸ごと消える。エロが物語装置として働いているわ。

屋敷の主の動機も、エロと地続きよ。彼の歪んだ欲望が、そのまま陵辱の形で実行されている。Hシーンが悪役の核を語っているの。エロが飾りなら、こんな書き方はしないわ。エロと物語の相乗効果で9を付けるのは、この一点に対してよ。陵辱ADVでここまで噛み合っている作品は、そう多くない。

「エロのためのエロ」を私は論外と切る。でもこの作品は逆よ。物語のためのエロが、結果としてちゃんとシコれる場所まで届いている。順番が正しいの。

— 新藤エレナ

8.5——陵辱が物語の必然になっている、稀な一本よ

満点にしない理由を言ってから、結論を出すわ。

引っかかるのは二点。一つは、陰惨さの方向がはっきり人を選ぶこと。痛みを伴う重い描写が複数あって、ここを「シコい」と取れる人と、痛みで萎える人にきれいに分かれるわ。私は鬼畜の質として高く評価するけれど、実用一本で測ると上振れも下振れもある。万人にシコれるとは言わない。それは正直に置いておく。

もう一つは密度差。山場のシーンがしっかり書き込まれている分、そこに届かない短いシーンとの落差が見える。Hシーン全体を一段の高水準で揃えきれてはいないの。だから密度は8。とはいえ山が確かに高いから、総合は8.5まで上がっているわ。

結論。エロゲーである必要は、完全にあった。本作のエロは館の恐怖とタイムループに最初から組み込まれていて、削ったら物語が瓦解する。「エロを抜いても成立する」という言い訳が一切通用しない。物語のためのエロが、ちゃんとシコれる温度まで届いているの。これは一級品だわ。鬼畜・陵辱が守備範囲で、エロが物語に奉仕する作品を評価できる人には、迷わず投資に値するわ。痛みの描写への耐性だけは必要ね。シーン別の採点と、最後に来る救済のHの話は、クリアしてからもう一本のほうで確かめて。