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新藤エレナのレビュー — 河原崎家の一族2

新藤エレナ
新藤エレナ
陵辱を採点表で斬る女
8.5/10
8.5 / 10

シコれるわ。それも、物語が止まらないから止まらないのよ。これは認める。

奈津子が婚約者の健吾の目の前で堕ちていくシーン、真樹の木馬、杏奈の剃毛。陰惨よ。でもこの作品、陰惨さが全部物語の歯車として噛んでいるの。陵辱の一つひとつが、ループ後の屋敷で「阻止する対象」として伏線になっている。エロのためのエロが一つもない。「健吾を救うため」奈津子が崩れ、それを覚えている優馬が次の周回で奈津子を救おうとする。エロが恐怖と物語を回している。テキストの密度も、シチュの幅も、館とループへの統合度も高水準よ。唯一の救いがepilogue3の杏奈との初体験——これが対比として効くから、陵辱の側まで含めて実用性が立っている。8.5。エルフ陵辱ものの中でも、物語との相乗効果という一点で抜けているわ。

スコア詳細

Hシーンの質 8
ヒロインの魅力 8
シチュの多様性 9
文章力・描写力 8
エロと物語の相乗効果 9
ボリュームと密度 8

奈津子・真樹・杏奈——一つずつ採点していくわ

陰惨だけれど、雑じゃない。これが本作のHの基本性能よ。

まず本作で最も惨い場面から。奈津子が婚約者の健吾の目の前で堕とされるシーンよ。健吾の口に木玉をはめて窒息で脅し、奈津子は彼の命を救うために主人公の優馬を口で受け、胸で挟み、最後は受け入れる。薬で理性を失った奈津子が「気持ちいぃ……優馬君、凄いぃ……」と漏らした瞬間、健吾が「俺達、おしまいだな」と言って、稲垣の合口で胸を貫かれる。「健吾を救うため」という大義名分で女が崩れていく筋立てが緻密よ。苦痛と快楽と罪悪感が三つ巴になって、被害者の内側が壊れる過程を一行ずつ書いている。鬼畜系の品質として、ここは高い。シコさで言えば人を選ぶけれど、書き手は分かってやっているわ。

真樹の木馬は別の意味で凄絶ね。鎖で吊るされ、三角木馬の極太の張り型に体重で押しつけられて、性器が裂けて鮮血を流す。「痛い……よぉ……恥ずかしい……よぉ……」と泣く真樹の脇で、縄綱が「勃たぬ……勃たぬ……むうぅ……」と不能を嘆く。加害者の側の機能不全まで同時に描くのがこの場面の独自性よ。ただ嬲るだけじゃない。支配欲と老いと不能が一緒くたになって、陵辱が縄綱という人物の内面まで照らしている。実用性そのものより、シーンとしての完成度で評価するわ。

杏奈の剃毛・破瓜(拷問部屋)も挙げておく。縄綱・稲垣・美香の前で陰毛を剃られ、「車の鍵を探せ」という名目で処女を奪われる。陰惨だけれど、ここでも杏奈は壊れない。後の周回で優馬が「お風呂に入らないで」と指示してこの剃毛を未然に防ぐ——つまり一つひとつのHが、後で潰せる的として置かれているの。キャラ反応も粒が立っている。淫乱に堕ちる鈴音、芯を曲げない杏奈、崩壊する奈津子。同じ薬を打たれても反応が全員違う。記号になっていない。Hシーンの質は8。

シチュの幅が異常よ——9を付けるわ

エルフ陵辱の見本市ね。それも全部、雑にやっていない。

剃毛、三角木馬、薬による発情誘導、覗き見、近親(縄綱の血統的執着)、恋人の前での陵辱、首輪をつけての犬扱い、口腔、パイズリ、素股、破瓜、中出し。陵辱ものの引き出しがほぼ全部入っているわ。しかも一つひとつのトーンが違う。奈津子の犬扱い——首輪をつけられ性器に枝を挿され「わんっ」と答えてしまうムスターファの場面は、人格崩壊の終着点として置かれている。美香の浴室誘惑は「奉仕」を装った薬の罠で、後ろで縄綱や稲垣が覗いている。鈴音の堕落は「最初は淫乱、やがて被虐、最後は母性」という三段階で書き分けられている。

同じパターンの使い回しが、ほとんどないのよ。これは数を揃えただけの粗製品とは違う。各シチュが館という舞台と縄綱の儀式という目的に結ばれているから、並べても散らからない。シチュの多様性で9を出すのは珍しいけれど、本作は値する。

エロが館とループを回している——これが本作の核心よ

本題はここ。エロが飾りか、必然か。答えは出ているわ。

この作品の構造を言うわ。優馬は薬で「堕ちた優馬」になり、自分の手で真樹を納屋に連れ込み、杏奈を突き放し、鈴音に手を出す。加害者になる。やがて石造りの地下で目覚めて「俺は何て事を……」と全てを思い出し、正気の優馬として動き始める。そして最終ループでは記憶を持ったまま屋敷を再訪し、選択肢を変えて一つずつ陵辱を未然に防いでいく。つまり本作の陵辱シーンは、後で潰すために存在しているのよ。

これが効いている。「お風呂に入らないで」で杏奈の剃毛を防ぎ、真樹を部屋から出さなければ木馬を防ぐ。奈津子も薬を盛られる前に救出できる。プレイヤーが一周目に味わった陰惨が、二周目の「救済の手応え」に直接変換される。エロを削ったら、この救済の重みは消えるわ。陵辱がなければ、何を防いだのかが分からない。Hシーンを抜いたら物語体験が崩れる——これがエロと物語の相乗効果の最高水準よ。

そして縄綱の動機がエロと地続きなのもいい。日記に書かれた「死しても尚やつらから若さを吸い取り、必ずや我が肉体を復活させてやる」。余命一年の老人が、若い肉体への執着を性的支配として実行している。彼の不能(真樹の木馬で「勃たぬ」と嘆く)まで含めて、陵辱が縄綱という悪役の核を語っているの。エロが本編の悪を説明している。飾りなら、こんな書き方はしないわ。相乗効果は9。

「エロのためのエロ」を私は論外と切る。でもこの作品は逆よ。物語のためのエロが、結果としてちゃんとシコれる場所まで届いている。順番が正しいの。

— 新藤エレナ

epilogue3の杏奈——唯一の純愛が、全部を成立させているわ

陵辱だけなら、ここまでの点は出さない。対比があるのよ。

本作で唯一の合意の恋愛Hが、真ED後の杏奈との初体験よ。屋敷跡で「ここは叔父様の望んだ最後がある場所。でも優馬が変えてくれたから、今は何の意味も持ってない」と語った杏奈が、優馬と初めて結ばれる。半年つきあって未だキスすらしていなかった奥手な杏奈が、「キスをしたあと、下着が濡れてた」「私、女の子で、ちゃんと一つになれる部分を持ってるんだな……って」と、性に対する素直な気持ちを肯定的に口にする。「今も、これからも、ずっと……優馬だけ……」で締める。

この一本が効くのは、ここまでの全部が陰惨だったからよ。薬・恫喝・拷問で奪われる性をさんざん見せられた後で、初めて「奪われない性」が来る。だからこの初体験がシコさと安堵の両方を運んでくる。陵辱と純愛のコントラストを最後の一発に賭ける構成——本作はこれが正しく機能している。直後にループ境界の「ユウマ……」が響いて物語が再帰するのも、余韻として効いているわ。

10にしない理由——人を選ぶ陰惨さと、概要止まりのシーン

高く付けたけれど、満点ではないわ。理由を言っておく。

一つは、陰惨さの方向がはっきり人を選ぶこと。真樹の木馬で性器が裂けて流血する、未成年に近い少女が拷問される、犬扱いで枝を挿される。実用性という観点では、ここを「シコい」と取れる人と、痛みで萎える人にきれいに分かれるわ。私は鬼畜の質として高く評価するけれど、実用一本で測ると上振れも下振れもある。万人にシコれるとは言わない。それは正直に置いておく。

もう一つ。杏奈や真樹への継続的な陵辱の一部が、本編進行の中で概要程度の扱いに留まる場面がある。山場の奈津子・木馬・剃毛がしっかり書き込まれている分、そこに届かない短いシーンの密度差が見える。Hシーン全体を一段の高水準で揃えきれてはいないの。だから密度は8。とはいえ、山が確かに高いから総合は8.5まで上がっているわ。

8.5——陵辱が物語の必然になっている、稀な一本よ

結論を言うわ。エロゲーである必要は、完全にあった。

この作品のエロは、館の恐怖とタイムループという物語装置に最初から組み込まれている。陵辱が伏線になり、救済の手応えになり、悪役の核を語る。「エロを削っても物語は成立する」という言い訳が、本作には一切通用しないの。それどころか、エロを削ったら物語が瓦解するわ。私が普段「エロのためのエロは論外」と切るのと真逆。物語のためのエロが、ちゃんとシコれる温度まで届いている。これは一級品だわ。

シチュの幅は陵辱ものの最上位、テキストは奈津子の崩壊と杏奈の初体験で密度を見せ、相乗効果は文句なし。引っかかるのは陰惨さが人を選ぶ点と、山場以外のシーンの密度差だけ。それでも、ここまで物語とエロが噛んだ陵辱ADVは多くないわ。

誰に勧めるか。鬼畜・陵辱が守備範囲で、なおかつエロが物語に奉仕する作品を評価できる人には、迷わず投資に値するわ。痛みの描写に耐性のない人は、奈津子と木馬の二点で脱落する可能性があるから、それは先に言っておく。最後の杏奈まで辿り着けば、全部が一本の線で繋がる。以上よ。