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ストーリー詳細 — やるドラシリーズ Vol.2 季節を抱きしめて

本作は一本の物語が各所の選択で枝分かれし、Good 5種・Normal 4種・Bad 18種の計27種の結末を持つ。以下では物語の流れを時期ごとにまとめ、その時期に迎える結末を添えた。麻由の正体については、展開によって本人の語る説明が異なる。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

春の構内 — 悲恋桜の下の少女

一年の浪人を経て地方都市の大学に入った主人公は、予備校仲間の国立トモコと春の構内を歩く。トモコは主人公に好意を寄せているが、恋人なのか友達なのか、二人の関係はまだ決まっていない。大学の高台に立つ悲恋桜にまつわる伝説を聞いたあと、主人公はその樹の下で、倒れている制服姿の少女を見つける。目を覚ました少女は、自分のことを何も覚えていなかった。

同じ大学への合格を、国立トモコは素直に喜ぶ。トモコは主人公に親友以上の関係を望んでいるが、主人公は彼女を恋人と認めるか、友達と呼ぶかで答えを濁す。

「二人とも同じ大学に入れてよかったよね」(国立トモコ)

構内で主人公が聞いた悲恋桜の伝説は一つではない。落ち武者と笛を吹く娘が恋に落ち、娘の父が若者を毒殺して桜の下に埋め、娘も後を追って自害したという話。寺を追われて宝を盗んだ僧侶を、妹が嘘をついて姉から奪い、首を吊った姉の血の花びらで僧侶と妹が息絶えたという話。そして大学で恋人たちが別れるという噂。その樹の下に、制服姿の少女が倒れていた。主人公が見て見ぬふりをしようとしても、トモコは少女を助けるよう促す。

少女の顔を見た主人公は、高校の同級生で憧れの相手だった桜井麻由を思い出す。文化祭で作った煮物や肉じゃがが評判で、野良猫に餌をやり、桜の咲く季節を好んだ少女だった。高校時代の麻由は、桜にまつわる怖い話を嫌っていた。

「自分の名前に<桜>がつくからっていうわけじゃないけど、こんなに優しい花をつける桜の樹にそんな怖いお話があるのってイヤなの」(桜井麻由)

目を覚ました少女は主人公を痴漢と思って蹴りつけるが、トモコが誤解を解くと素直に謝る。少女は倒れた理由も、どこから来たのかも覚えていない。主人公は携帯電話の番号を渡し、困ったら連絡するよう言い残して、アルバイトへ急ぐ。

「ごめんなさい。私……チカンだと……」(少女)
「……わたし……記憶喪失……なんですか?」(少女)
「もし、なにか困ったことがあったら電話していいから」(主人公)

この春の始まりで、物語が幕を閉じることもある。BAD 「春の日の妄想編」では、拒まれるはずがないと思い込んだ主人公がトモコを抱こうとし、危ないという声に続いて、トモコの声が聞こえなくなっていく。「一撃必殺拳編」では、トモコを殴ってしまった主人公が、一人のガールフレンドを殴った後悔と、自分は間違っていないという気持ちの間で揺れ、親父に叱られて反省しようと思う。「春の日の反省編」では、反省した主人公が、来年こそはきっと、と願う。

タウン誌の星占い — 再会と二つの約束

主人公は叔父の編集長と二人で、無料の街情報誌タウンボックスを作っている。締切に追われ、トモコに差し入れや取材を助けてもらう日々のなかで、主人公はもう一度あの少女に会いたいと願う。夜の悲恋桜、少女からの電話、繁華街の人混み。わずかな手掛かりをたどった先で、主人公は少女と再会し、ある頼みごとを引き受ける。

主人公の担当する星占いの欄は、十二星座の名前以外に何の知識もなく、気分で書いているものだった。それでも欄は評判がいい。

「ここだけの話、このタウン誌の星占いの内容はなんの根拠もない、まるっきりのデタラメなのである」(主人公の語り)

編集部では停電が起き、トモコが差し入れを持ってくる。原稿に追われる主人公の代わりに、トモコは大学の友達のユウコとメグミを連れて取材に出る。編集長は、競馬の大穴で得た金の残りを入れた財布を落としたと騒ぐ。夜、悲恋桜へ戻った主人公は、まだ咲いていない樹の下に花びらが落ちているのを見つけ、少女の居場所を教えてくれる気がして拾い上げる。

少女からの電話の手掛かりを頼りに、主人公は繁華街を捜し回る。下宿の階下に住む綺麗なお姉さんとも、この頃に出会う。やがて再会した少女は、街で拾ったタウンボックスで街のことを知り、主人公の書いた星占いに温かさを感じていた。

「なにか占い師サンのあったかさが感じるんです。この占い読んでると……」(少女)

少女は忘れてしまった誕生日の代わりに、出会った日を新しい誕生日に決める。呼び名を決めるときには、主人公が心の中で思い浮かべていたのと同じ名を選んだ。

「よぉし! あなたに出会ってからの事はよく覚えてるから、私の誕生日は今日!
つまり、4月15日!」(少女)
「決めた!
<麻由>って呼んでください!」(少女)
「これからでも構わないなら、君の記憶捜しを始めよう!」(主人公)

こうして、麻由の記憶捜しが始まる。一方で、再会の場面にも結末は潜んでいる。BAD 「いやらしいボク編」では、謝る少女に主人公が不適切な要求を続け、公園で頭を打って運ばれた末に、自分も少女も誰なのか分からなくなる。

制服の手掛かり — トモコとの衝突

麻由が着ていた制服を手掛かりに、二人は学校を捜し始める。書店、制服に詳しい知人、思いもよらない店。けれども、どこで聞いてもその制服を知る人はいない。成果のない捜索が続くなか、麻由をどこに泊めるかという相談をきっかけに、二人とトモコとの間に溝が生まれていく。明るく振る舞う麻由も、胸の内には不安を抱えている。

二人は書店を回り、全国の女子高生の制服を撮影している予備校時代の友人を訪ね、ブルセラショップにまで足を運ぶ。友人は初めて見る制服だと答えたうえで麻由に撮影とポーズをせがみ、店員は買い取りと勘違いして値段をつける。どこでも学校は分からず、麻由は友人にスカートを覗かれたと怒る。

「友達は選んだほうがいいですよ!
スカートの中いきなり覗くなんてサイテー!」(麻由)

自分を信じてついて来る麻由を見て、主人公は彼女の信頼を傷つけかけた自分を省みる。麻由は、明るさの裏にある不安を打ち明ける。

「……記憶を取り戻そうとして、ボクを信じてついて来てくれてるのに……」(主人公の語り)
「……私だって自信なんかないけど、でもなにもしないよりはした方がいいでしょう?
それに、私こんなんだから明るくしてないとなんだか……滅入りそうで……」(麻由)

麻由をどこに泊めるかを相談していた二人は、トモコとぶつかる。トモコは嫉妬をあらわにし、記憶喪失なら家族も捜しているはずだと、病院か警察へ連れていくよう具体的に迫る。麻由が二人の前から姿を消す展開もある。

「いいわね! あなたは。彼に構ってもらえて! 私も記憶喪失だったらよかったわ!」(国立トモコ)
「本当に記憶喪失っていうんなら、病院か警察に連れていけばいいじゃない!」(国立トモコ)

翌日、主人公は星占いの欄で再会を呼びかけ、トモコは前日の言い過ぎを謝る。トモコはこの後も、締切前の食事の約束で編集部を助けてくれる。

「あ、それはそうと、ゴメンねきのうは……
きのう?
うん……あの子の事……
いいよ……トモコの言う事だって間違ってないし」(国立トモコ・主人公)

BAD 「トモコ三連発編」では、麻由をめぐってトモコと言い争った主人公が、トモコに「なにすんのよっ!」と拒まれ、許しを求めることになる。

日曜日の約束 — 去年の春の記憶

主人公は担当する星占いの欄に、麻由と日曜日に会うための段取りをそっと忍ばせる。ところがトモコもまた、締切を手伝ったお礼に、同じ日曜日のデートを望んでいた。重なってしまった二つの約束を前に、主人公は日曜日をどう過ごすのかを決めなければならない。その胸の奥では、去年の春の出来事が繰り返し思い出されている。

去年の春、主人公は高校の同級生の桜井麻由を呼び出したが、想いを告げられないまま別れた。その帰り道、麻由は交通事故で亡くなった。主人公は訃報を信じられず、告別式の遺影を見て初めて泣いた。麻由の家族が引っ越すまで、主人公は自分を責め続けた。少女を放っておけない気持ちの奥には、この後悔がある。

「そしてその帰り道、麻由は交通事故に遭って……二度とあの笑顔を見る事はできなくなってしまった……
あの時、ボクが告白してもう少し麻由を引き止められたのなら、あんな事にはならなかったのに……」(主人公の語り)

編集部では、主人公が牡羊座の欄に曜日と店と注文の品を書き込み、喫茶四季での再会を麻由に呼びかける。締切を手伝ったトモコは、お礼代わりにデートをせがみ、誌面の案内と同じ日曜日の同じ店と時間を提案してくる。

「だったら……こんど、デート誘ってよ!」(国立トモコ)

日曜日の過ごし方で、物語は大きく分かれる。トモコと午後を過ごす展開では、トモコが予備校時代に贈った尻尾のキーホルダーを主人公がまだ使っていると知って喜び、二人はキスを交わす。麻由と再会する展開では、麻由が出会いの日に知らない男性から財布をもらっていたことが分かる。装飾から、それが編集長の落とした財布だと主人公は気づく。猫に餌をやる麻由を見て、主人公は自分が人を助ける責任を自問し、やがて麻由を自分の部屋に泊めることにする。兄と思って頼ってほしいという約束だった。

「私があげたキーホルダー。ほら、尻尾のヤツ」(国立トモコ)
「お・に・い・さん!」(麻由)

部屋を片づけて料理を始めた麻由は、こういうことなら自然に手が動くと話す。綺麗なお姉さんに寄り道を誘われる展開では、お姉さんが、店に来る大学の先生から聞いた話として、悲恋桜の資料が大学にあることを教えてくれる。

「うん……こういう事はなんだか出来る気がするんです」(麻由)

この日曜日の前後には結末が多い。BAD 「男の浪漫編」では、四季に戻らず、お姉さんの働く匹季に入った主人公が、麻由とトモコへの謝罪を叫びながら幸福を感じる。「そして誰も来なかった編」では、四季で二時間待っても麻由は来ず、トモコを殴るところを見られたせいだと思った主人公が、鳥になりたいと嘆く。「怖いおじさん編」では、お姉さんにキスをした主人公が怖い男に脅され、どこかへ連れていかれるのかと考える。「幻の写真集を見た編」では、写真の本を最後のページまで見た主人公の心臓が止まりかけ、麻由の声が遠のいていく。

ひとつ屋根の下 — 同居とキスの意味

主人公の部屋で、麻由との同居が始まる。食事を作ってくれる麻由、風呂、無防備な寝顔。兄代わりのはずの主人公は、誘惑と自制の間で揺れ続ける。大学の授業もタウン誌の仕事も相変わらず待ってはくれず、授業中には居眠りまでしてしまう。そしてトモコには、まだ何も話していない。隠し事を抱えたままの毎日に、トモコからの問いが投げかけられる。

眠る麻由に近づいた主人公は、本人の承諾もないのにと思いとどまる展開がある。大人の話だと言われた麻由は、自分は子供なのかと問い返す。お姉さんの部屋に誘われた主人公が、誘惑かと身構えたら、一晩の仕事は模様替えの手伝いだったという展開もある。

「……だからって、していい事と悪い事があるっ! それに本人の承諾もなしに……」(主人公の語り)
「……私、子供ですか?」(麻由)

同居の朝、麻由は桜の花を見ると心が弾むと話す。主人公から部屋の鍵を渡された麻由は、改まって頭を下げる。

「よくわからないんですけど、桜の花を見てると心が弾むんです」(麻由)
「ふつつかものですが、よろしくお願いします」(麻由)

授業中に居眠りをした主人公は、罰として教授に資料の返却を命じられる。資料を運ぶ途中で倒れた主人公は、トモコに助けられて病院へ運ばれる。医者の診断は寝不足だった。病院では、看護婦たちが4月15日に運ばれた事故の患者の意識が戻らないことを話している。

学校巡りを前に、トモコは主人公を問い詰める。前日のキスは何だったのか。トモコに謝って別れる展開と、キスは本気だったと伝え、トモコに記憶捜しへ送り出される展開がある。

「昨日のキスはなんだったのよ? 浮気者!」(国立トモコ)
「それで……決していい加減な気持ちからじゃないよ!」(主人公)
「早く行きなさいよ! あの子の記憶捜し、手伝うんでしょ!」(国立トモコ)

高校巡りと花見の騒ぎ — 病院の患者

二人は市内の高校を一校ずつ回るが、麻由の通っていた学校は見つからない。途中で警官に呼び止められても、麻由は前を向こうとする。やがて花見の季節を迎えた悲恋桜では、酔った男が枝を折ろうとし、麻由がそれまでにない激しさで抗議する。この一件をきっかけに、主人公は病院で気になる話を耳にし、麻由もまた自分自身に戸惑い始める。

女子校の校門に残った主人公は、痴漢を警戒していた警官に交番へ連れていかれそうになるが、麻由が兄の迎えだと言うと警官は納得して去る。成果がなくても、麻由は主人公を励ます。

「それに市内の高校生じゃないって、わかっただけでも一歩前進です。感謝してます」(麻由)

悲恋桜の下では、部長や社長への怒りを桜にぶつける花見の男が樹を傷つける。麻由は男に向かって叫ぶ。男が枝を抱えて倒れる展開、主人公が動けない展開、飛び出した主人公がけがをする展開がある。けがをした主人公は、再び病院へ運ばれる。二度目の搬送に驚いた看護婦は、麻由に似た身元不明の患者がいることを主人公に知らせる。

「桜の樹をいじめちゃダメェーッ!」(麻由)

記憶が戻れば麻由と別れることになるかもしれない。そう恐れた主人公は、麻由を病院に連れていく道を選ばない。仕送りに頼る学生では麻由の幸せを保証できないと、警察への相談を考える場面もあれば、今の自分にできることをしようと考え直す場面もある。

「この時、麻由の記憶喪失を治す事よりも、麻由と一緒にいる事を、ボクは選んだのだった……」(主人公の語り)

主人公は、高校時代の桜井麻由との会話も思い出す。東京の大学への進学を語った麻由は、別れ際に妹のことを口にしていた。

「私、妹いるんだけど……あの子がね……あなたの事……」(桜井麻由)

麻由は、自分が誰なのかをまずはっきりさせたいと話し、桜の一件のあとは自分自身を怖がるようになる。お姉さんは主人公に、悲恋桜で知り合った婚約者を亡くし、睡眠薬で後を追おうとしたことを打ち明ける。夢に出てきた彼が、こっちへ来てはいけないと首を振ったのだという。別の展開でお姉さんが語るのは、大学の先生から聞いた、もう一つの桜の伝承だった。桜の好きな僧侶と病弱な女性の悲話で、娘の死後、神が娘を桜の精にして、花の季節だけ二人を一緒にさせたという。

「……自分が怖いんです……」(麻由)
「私ね……昔、自殺しようと思った事あったの……」(綺麗なお姉さん)
「そうしたら桜の花が咲くたびに悲しむお坊さんを哀れんだ神様が、娘を桜の精として生まれ変わらせて」(綺麗なお姉さん)

お姉さんは、同居が知られても大家は自分の伯母だから何とかしてあげると請け合う。大学では主人公がトモコとその友達に出くわす場面があり、やがて鍵がなくなったことが、のちの衝突につながっていく。

雨の日 — 鍵と占いの秘密

なくした鍵は、トモコの手に渡っていた。トモコは鍵の飾りから、その持ち主に気づいていた。そして雨の日、鍵をきっかけに、主人公が隠してきた麻由との同居と、星占いに込めた秘密が明るみに出る。トモコの想い、麻由の信頼、主人公の迷い。それぞれの気持ちがぶつかり合い、ここから物語はいくつもの結末へと分かれていく。

雨の悲恋桜で、トモコは主人公に鍵を返す。主人公がトモコに気持ちを伝え、麻由との同居を打ち明ける展開では、トモコは自分が大切にされていると知り、主人公を独り占めしようとしてきた自分を省みる。そして、麻由のもとへ行くよう主人公の背中を押す。

「そう思ったら、今までキミを独占しようと縛りつけていた自分が、なんだか嫌になってきたの」(国立トモコ)
「でも、心のどこかでつながっていれば、いつかキミは私の所に帰ってくる……」(国立トモコ)
「……行ってあげて……あの子の所に……」(国立トモコ)

家に戻った後の展開は分かれる。BAD 「不安な春編その1」では、部屋に残っていた麻由の記憶は戻らないまま、二人は新しい生活と新しい記憶を作ろうとする。GOOD 「トモコ編」では、麻由が部屋から姿を消し、主人公はトモコを大切な人だと感じて、二人で春の道を授業へ向かう。麻由は家に帰ったのだろうと主人公は考える。NORMAL 「トモコ雨の中編」でも、部屋に戻ると麻由はいない。トモコとの仲は少し進んだのかもしれないが、また麻由に去られてトモコに慰められる自分を、主人公はかっこ悪いと思う。あの麻由は本当に一緒にいたのか、春が見せた幻だったのではないかという思いが残る。

トモコが鍵を届けに主人公の部屋を訪ね、そこで麻由と鉢合わせする展開もある。BAD 「ちぎられたキーホルダー編」では、帰宅した主人公が無残な姿のキーホルダーを見つける。麻由は姿を消し、数日後にはトモコも遠い存在になって、主人公の心にも桜にも春は来ない。

鉢合わせの場で、トモコは合鍵を渡したことを責め、主人公が星占いを使って麻由を呼び出していたことを明かし、主人公を詐欺師と非難する。初めて男の子に贈ったキーホルダーにも怒りが向く。仕掛けを知った麻由は傷つき、雨の中へ飛び出していく。

「こんなものっ!」(国立トモコ)
「……ずるい……」(麻由)

麻由を追おうとする主人公を、トモコは引き止める。嫌な態度だと分かっていても、失うのが怖いのだと。BAD 「そしてボクは一人編」では、トモコを抱いてもなお、主人公の心は麻由を追い続け、トモコの慰めを受けながらも麻由を忘れられない。心の穴は残り、桜は春を見せない。一方で、主人公がトモコの想いを大切にしようと決める展開もあれば、トモコが言い過ぎを謝り、麻由の記憶捜しを一緒にすると申し出る展開もある。

「君が……好きなのよ……もうどうしようもないくらい……」(国立トモコ)
「私もあの子の記憶、一緒に捜してあげる……」(国立トモコ)

雨の中で麻由に追いついた主人公の言葉は、同情とも、愛情とも受け取られうる。同情だと受け取った麻由は、好きだったのは勘違いだったと言う。互いの気持ちを伝え合えば、麻由は一緒にいたいと答える。BAD 「不安な春編その2」では、トモコも加わった三人の暮らし、あるいは麻由と二人の暮らしが続いても、麻由の記憶は戻らないまま、二人はこれからの記憶を作ろうとする。

「かわいそう? 今までの事、私に同情してたからなんですか?」(麻由)
「……私も……一緒にいたい……」(麻由)

麻由の告白 — 夜明けまでの伝承調査

記憶を取り戻した麻由は、主人公を愛しているからこそ一緒にはいられないと告げる。そして麻由は、自分が何者なのか、なぜ記憶を失っていたのかを語り始める。それは悲恋桜の伝承と深く結びついた話であり、夜が明けるまでに救わなければならない命の話でもあった。残された時間は朝まで。主人公は病院と図書館と桜の間を走ることになる。

「……私……あなたを愛してる……だから、あなたとは一緒に居られないんです!」(麻由)

告白の場面で物語が閉じることもある。BAD 「桜伝説編その1」では、麻由に欺いたと言われ、主人公は桜の精の世界へ連れていかれる。

麻由は、自分が主人公の知っている麻由、高校時代の桜井麻由だと明かす。事故で死んだ麻由は桜の精となった。悲恋桜の呪縛は、不幸に死んだ女性の魂を桜に縛りつけ、春のあいだだけ現世に姿を現させる。愛した男の血で桜を咲かせるまで、その束縛は解けない。そこへ、事故で危険な状態にある妹の魂までが引き寄せられてきた。麻由は妹が縛られるのを防ぎ、現世に引き止めようとして妹の魂と融合し、その時に記憶を失ったのだという。記憶が戻ったことが、妹を桜へ引き込む鍵になってしまった。

「私は、あなたが知っている麻由……高校時代一緒だった麻由……」(麻由)
「妹を……桜の樹を助けてあげて下さい……」(麻由)

朝までに呪縛を解かなければならない。主人公は、病院で会った麻由に似た患者を麻由の妹だと考え、名簿や高校の友人を頼りに家族の居場所を捜す。名前の似た病院へ向かってしまえば、残された時間は削られていく。桜木総合病院の患者の家族の居場所を伝えると、病院は警察を通じて家族に連絡を取る。

大学図書館で、主人公は悲恋桜の本を手に取る。怨霊話を紹介するだけで成り立ちを書いていない『悲恋桜 伝承と伝説』、霊を見たという主婦の目撃談を載せた『真説! 悲恋桜』。真実が書かれていたのは、以前、運んでいる途中で主人公の頭に当たった資料『悲恋桜-その伝承と変遷-』だった。そこには、悲恋桜の反対側にあった椿の伝承が、樹が失われた後も話だけ残り、桜の怨霊話に重なっていった経緯が記されていた。

調べが実らなければ、夜明けは容赦なく訪れる。BAD 「桜伝説編その2」では、資料が役に立たないまま朝を迎え、主人公は自分の終わりを思いながら、麻由の愛を最後の救いと受け止める。「桜伝説編その3」では、呪いの樹を言い当てられなかった主人公に、麻由がもうダメだと告げる。

呪いの樹は椿だった。主人公がその真実を悲恋桜に語りかけると、呪縛は解け、麻由の妹は命を取り留める。

約一年後、麻由は、自分が優しい春を伝える桜の精になったと語り、もう悲恋桜とは呼ばれなくなるだろうと話す。

「優しい春を伝える桜の精になったんです……」(麻由)

主人公は、この桜が悲恋桜ではなく思い出桜と呼ばれるよう、真実を伝える努力を続けると約束する。救出の後には二つの結末がある。NORMAL 「麻由の妹は?編」では、妹は助かって大学に通うが、麻由であった時の記憶は残っていない。主人公は、麻由と過ごした数日間の優しい思い出を忘れない。GOOD 「桜の精編」では、麻美は主人公と同じ大学に後輩として入り、主人公が作った悲恋桜の研究を手伝う。二人は思い出桜の下から、新しい一歩を踏み出す。

「……ボクもこの桜が<悲恋桜>じゃなくて、<思い出桜>になるように真実を伝える努力をするよ……」(主人公)
「先輩! 遅れちゃいますよ、集合時間!」(麻美)

麻由のいない春 — 新米の桜の精

麻由が姿を消したまま、季節は静かに進んでいく。部屋に戻っても麻由はいない。捜し続ける主人公のそばに最後まで残るのは誰なのか。トモコ、そして下宿の階下のお姉さん。一方で、桜の下で眠っていた主人公のもとを、麻由がもう一度訪れる展開もある。そこで麻由が語る正体は、別の展開で語られたものとはまったく違っていた。

麻由を捜して戻った部屋に、誰もいないことがある。BAD 「トモコ去る編」では、部屋から麻由もトモコもいなくなり、桜の下で一日を過ごすのが主人公の日課になる。来年こそいいことがあるようにと願いながら。部屋にトモコが残っている展開では、トモコは見つからない麻由の捜索を手伝い、主人公を励ます。

「元気……出してね……」(国立トモコ)

麻由とトモコの両方を失い、濡れたまま帰った主人公を慰めたのは綺麗なお姉さんだった。GOOD 「お姉さん編」では、一週間後、桜の下で再会したお姉さんが、亡くなった婚約者の分まで明るく生きたい、前を見て歩きたいと話す。主人公となら新しい道を歩けそうな気がすると。主人公は、新しい出会いと愛を得る。

「……私、もう前を見て歩こうかと思って……」(綺麗なお姉さん)
「彼の分まで、明るく生きなきゃいけないのにね……」(綺麗なお姉さん)
「……あなたとなら新しい道を歩けそうな気がするの……」(綺麗なお姉さん)

BAD 「もうボクは若くない編」では、主人公は麻由に再会できないまま、何十年も思い出を追い続け、毎年のように桜を訪れる。

桜の下で居眠りをしていた主人公のもとを、麻由が再び訪れる展開がある。ここで麻由が語る正体は、高校の同級生の魂の話とは別のものだ。麻由は春を告げる新米の桜の精で、桜に降りる時に足を滑らせて記憶を失ったのだという。主人公と出会ってからのことは覚えていて、トモコとの関係も気にしていた。主人公が新しい思い出を一緒に作りたいと申し出ても、麻由は人間の世界では暮らせないと答え、ほかの土地へ春を告げに行かなければならないと話す。そして来年の再会を約束する。

「私はまだ新米の<桜の精>なんです」(麻由)
「私はあなたの世界では暮らせないんです」(麻由)
「来年もこの<悲恋桜>の下で、いえ、この<思い出桜>の下でお会いしましょう」(麻由)

この再訪の後には三つの結末がある。NORMAL 「麻由はどこへ?編」は、麻由と再会しないまま迎える春と、桜の精と別れる春が、同じ余韻に行き着く結末。主人公は麻由が本当にいたのかと問いながら、暖かな記憶を忘れずにいる。GOOD 「麻由編」は、桜の精と別れた後、主人公が二人の麻由を胸にしまい、もう戻らない時間をかけがえのない思い出だと語る結末。GOOD 「ベリーグッド!」は、別れの後、桜の下でトモコに起こされ、友達に戻った二人で駅前へ歩きながら、主人公が二人の麻由とのかけがえのない時間を胸に残す結末。

トモコに起こされた主人公が、麻由の気遣いを話してトモコと仲直りし、二人で授業へ向かう場面もある。

雨の日にトモコの想いを受け止め、彼女を大切にすると決めた主人公にも、新しい春が来る。NORMAL 「ボクの春編」では、一週間後、主人公はトモコと春の道を歩く幸せを感じる。けれども、麻由がいったい何者だったのかという疑問は、胸に残ったままだ。

エンディング一覧

開発元の旧公式サイトのエンディングリストに載る分類と番号の順に並べた。Good 5種・Normal 4種・Bad 18種の計27種。

種別 エンド名 結末概要
GOOD Good 01「麻由編」 新米の桜の精と別れた主人公が、二人の麻由を胸にしまい、戻らない時間をかけがえのない思い出と語る。
GOOD Good 02「桜の精編」 呪縛が解けた約一年後、麻美が大学の後輩として悲恋桜の研究を手伝い、二人は思い出桜の下から新しい一歩を踏み出す。
GOOD Good 03「トモコ編」 麻由が部屋から姿を消した後、主人公はトモコを大切な人だと感じ、春の道を授業へ向かう。
GOOD Good 04「お姉さん編」 麻由とトモコを失った主人公が、前を向こうとするお姉さんと桜の下で再会し、新しい出会いと愛を得る。
GOOD Good 05「ベリーグッド!」 新米の桜の精と別れた後、トモコに起こされて友達に戻り、駅前へ歩きながら二人の麻由との時間を胸に残す。
NORMAL Normal 01「トモコ雨の中編」 麻由がまた部屋から去り、トモコとの仲は少し進んだかもしれないが、慰められる自分をかっこ悪いと思う。麻由は春が見せた幻だったのかという思いが残る。
NORMAL Normal 02「麻由の妹は?編」 呪縛が解け、麻由の妹は助かって大学に通うが、麻由であった時の記憶は残っていない。主人公は数日間の優しい思い出を忘れない。
NORMAL Normal 03「麻由はどこへ?編」 麻由と再会しない春、あるいは桜の精と別れる春の後、主人公は麻由が本当にいたのかと問い、暖かな記憶を忘れずにいる。
NORMAL Normal 04「ボクの春編」 雨の日にトモコを大切にすると決めた主人公が、一週間後にトモコと春を歩く。麻由の正体への疑問は残る。
BAD Bad 01「春の日の妄想編」 トモコを抱こうとした主人公に、危ないという声が響き、トモコの声が聞こえなくなっていく。
BAD Bad 02「いやらしいボク編」 謝る少女に不適切な要求を続けた主人公が、公園で頭を打って運ばれ、自分も少女も誰なのか分からなくなる。
BAD Bad 03「男の浪漫編」 お姉さんの働く匹季に入り、麻由とトモコへの謝罪を叫びながら幸福を感じる。
BAD Bad 04「怖いおじさん編」 お姉さんにキスをした主人公が怖い男に脅され、どこかへ連れていかれるのかと考える。
BAD Bad 05「幻の写真集を見た編」 写真の本を最後のページまで見た主人公の心臓が止まりかけ、麻由の声が遠のく。
BAD Bad 06「不安な春編その1」 部屋に残った麻由の記憶は戻らないまま、二人は新しい生活と記憶を作ろうとする。
BAD Bad 07「不安な春編その2」 トモコを交えた三人、あるいは麻由と二人の暮らしが続くが、記憶は戻らないまま、これからの記憶を作ろうとする。
BAD Bad 08「桜伝説編その1」 麻由に欺いたと言われ、主人公は桜の精の世界へ連れていかれる。
BAD Bad 09「桜伝説編その2」 資料が役に立たないまま夜明けを迎え、主人公は自分の終わりを思い、麻由の愛を最後の救いと受け止める。
BAD Bad 10「桜伝説編その3」 呪いの樹を言い当てられず、麻由がもうダメだと告げる。主人公は終わりを思い、麻由の愛を救いと感じる。
BAD Bad 11「もうボクは若くない編」 麻由に再会できないまま、主人公は何十年も思い出を追い、毎年のように桜を訪れる。
BAD Bad 12「トモコ三連発編」 麻由をめぐってトモコと言い争い、拒まれた主人公が許しを求める。
BAD Bad 13「そして誰も来なかった編」 喫茶四季で二時間待っても麻由は来ない。トモコを殴るところを見られたせいだと思い、鳥になりたいと嘆く。
BAD Bad 14「ちぎられたキーホルダー編」 無残な姿のキーホルダーが残され、麻由は姿を消す。トモコも遠い存在となり、心にも桜にも春が来ない。
BAD Bad 15「そしてボクは一人編」 トモコを抱いても心は麻由を追い、慰めを受けながら忘れられない。心の穴と春を見せない桜が残る。
BAD Bad 16「トモコ去る編」 部屋から麻由もトモコもいなくなり、桜の下で一日を過ごすのが日課になる。来年にいいことを願う。
BAD Bad 17「一撃必殺拳編」 トモコを殴った後悔と、自分は間違っていないという気持ちを抱き、親父に叱られて反省しようと思う。
BAD Bad 18「春の日の反省編」 反省した主人公が、来年こそはきっと、と願う。