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用語集 — 痕 -きずあと-

「痕 -きずあと-」の固有名詞・世界観用語をネタバレ全含みで解説します。柏木家と鶴来屋を巡る現代の物語から、「鬼の血」「エルクゥ」「前世」といった核心設定、隆山温泉・雨月山の地名まで全33語を収録。各エントリの「ネタバレ詳細」を開くと真相が表示されます。

人名
次郎衛門 じろうえもん 人名(伝説)

雨月山の鬼物語に登場する、鬼を退治した強い侍。観光パンフレットにも名が残る伝説の人物。

真相
エルクゥ皇族三女エディフェル(楓の前世)と相愛だった人間の侍。彼女から鬼の力を授けられ、鬼たちと対等に戦える唯一の人間となった。末妹リネットを利用してエルクゥ族を滅ぼすが、ひとり残されたリネットの孤独を見て「残された一生を掛けて償う」と決意し、彼女を深く愛するようになる。
現代での意味
主人公・耕一の前世にあたる。亡者たちが「恨めしや次郎衛門」と繰り返す対象であり、初音ルートで耕一が直感的に過去を理解する瞬間が訪れる。
柳川 祐也 やながわ ゆうや 人名

県警の若い刑事。長瀬の部下として登場し、当初は新人の心構えを発散する真面目な青年に見える。

正体
柏木家とは別系統の鬼(エルクゥ)の血を引く末裔で、隣駅の連続殺人事件の真犯人。鬼化すると身長が二倍になり、肩骨が広がって角と牙、刃のような爪が伸びる。柏木家を「同族」として狩りの対象に定める。
思想と最期
「したいからする。それだけだ」と言い放つ快楽殺人犯で、薬で人間を堕落させて陵辱する。各ルートのクライマックスで耕一に撃退・撃破され、決着がつく。
リネット りねっと 人名(前世)

亡者の声で繰り返される「裏切り者」の名。物語序盤では名前だけが響く。

真相
エルクゥ皇族四姉妹の末妹。星間航行の船「ヨーク」を操れる唯一の血統。三人の姉たちを亡くした末に、侍・次郎衛門にエルクゥの武器を渡して同族を絶滅へと導いた。初音の前世にあたる。
作中での役割
初音ルートで、初音自身のアイデンティティとして明かされる。亡者たちの怨嗟と、次郎衛門との愛の物語の中心人物。
リズエル りずえる 人名(前世)

楓ルートで言及される「姉」の名。過去の記憶のなかで呼びかけられる存在。

真相
エルクゥ皇族の長女。一族の掟に従い、人間と恋に落ちて離反した妹エディフェルを自らの手にかけた。千鶴の前世にあたる。
作中での役割
楓ルートで「リズエルを許してあげて」と過去の楓に語られ、千鶴が背負った罪と赦しのテーマを担う。
アズエル あずえる 人名(前世)

楓ルートで言及される、姉ふたりのうちのひとり。エルクゥ皇族の次女。

真相
エルクゥ皇族次女。長女リズエルとともに、人間と恋した妹エディフェルを裁いた側。梓の前世と推定される(梓=アズエルの対応は本作の記述から推定されるもので、他の三姉妹のように明示的な断定はされていない)。
作中での役割
「リズエルとアズエルの死をきっかけにリネットが裏切った」と語られ、皇族の悲劇の発端として言及される。
エディフェル えでぃふぇる 人名(前世)

楓の夢のなかで、耕一が呼びかける少女の名前。懐かしくも胸が苦しくなる記憶の存在。

真相
エルクゥ皇族の三女。鬼討伐隊の侍だった耕一の前世(次郎衛門)に恋し、自らの細胞を与えて鬼化させ、その命を救った。だが一族の掟により、姉リズエル・アズエルの手で殺される。楓の前世にあたる。
作中での役割
楓ルートで耕一の覚醒した記憶として呼ばれ、前世の愛と喪失が現代へと引き継がれる構造の鍵となる。
地名・場所
隆山温泉 たかやまおんせん 地名

物語の舞台となる地方の温泉街。柏木家の屋敷もこの地にある。

真相
鶴来屋グループが実質的に支配する温泉街。鬼伝説で知られる雨月山のふもとに位置し、古代エルクゥが漂着した土地と地続きにある。
雨月山 うづきやま 地名

隆山近郊の山。地方の鬼伝説の舞台として観光パンフレットにも載る。

真相
古代、エルクゥの星間航行船「ヨーク」が漂着した地。後に侍・次郎衛門によって鬼たちが滅ぼされた歴史を持つ。地下には洞窟があり、滅ぼされたエルクゥの亡者が住処としている。
作中での役割
初音ルートで耕一たちが探索する場所。お守りが洞窟に近づくと自ら震えて方向を示す。
水門 すいもん 場所

山道を登った河原にある、忘れ去られたような古い水門。

真相
11歳の夏、妹分の梓が落ち、耕一が飛び込んで助けようとした際に初めて鬼化した運命の場所。このとき左足にワイヤーロープによる傷を負う。千鶴ルート・楓ルートのクライマックスもここで起こる。
象徴性
「俺の思い出の場所」と千鶴に呼ばれる。鬼化の起点であり、物語の円環を閉じる象徴的舞台。
鶴来屋本館 つるぎやほんかん 場所

鶴来屋の中心となる15階建てのビル。隆山温泉のランドマーク。

詳細
最上階に会長室があり、現在は長女・千鶴の仕事部屋となっている。10年前は祖父・耕平、8年前から父・賢治、そして今は千鶴へと、激しい入れ替わりを経て継承されてきた。柏木家の歴史の重みを象徴する場所。
401号室 よんまるいち 場所

阿部貴之の部屋。一見ありふれたアパートの一室。

真相
柳川が拠点とした犯行現場。住人の阿部は意識を吸われて「抜け殻」にされていた。梓ルートでは、ここにかおりと響子が監禁され、クライマックスの主舞台となる。
402号室 よんまるに 場所

401号室の隣室。序盤では触れられない。

真相
柳川祐也の自室。隣の401号室と隣接しており、警察の調査によって両室の関係性が判明する。柳川が拠点を二室にまたがって構えていたことが事件解明の手がかりとなる。
仏間 ぶつま 場所

柏木家の屋敷の一室。亡き賢治の位牌が安置されている。

詳細
三女・楓が「何時間も」過ごす場所で、亡き父を悼む拠点として描かれる。序盤、千鶴の悲しげな横顔を耕一が目撃する場所でもあり、柏木家の喪失と哀しみを象徴する空間。
概念・設定
鬼の血 おにのち 概念

物語の核心に関わる血脈。序盤ではその正体は伏せられている。

真相
エルクゥの遺伝子そのもの。柏木家と柳川家など複数の家系に受け継がれており、満月の夜に殺戮衝動と人間離れの身体能力を発露させる。
作中での開示
クライマックスで、柏木家の四姉妹すべてにこの血が流れていることが明かされ、一族の悲劇の根源として位置づけられる。
エルクゥ えるくぅ 種族

楓ルートで初めて口にされる種族名。最初は名前だけが提示される。

真相
星間を渡る狩猟種族の自称。より鮮やかな炎を宿す生命(獲物)を求めて、星から星へと旅を続ける。意識を信号化して伝え合う能力を持つ。地球の人々が「鬼」と呼んできた存在こそが、このエルクゥである。
来歴
雨月山に漂着した一隻が地球の人間を「獲物」として狩り続け、後に次郎衛門に滅ぼされた。その血脈が現代の柏木家・柳川家へと受け継がれている。
狩猟者 しゅりょうしゃ 概念

夢のなかで「俺は狩猟者なんだ」と繰り返される、耕一を脅かす自己呼称。

真相
エルクゥの自称。生命の炎をその手で散らすことを至高の快楽とみなす存在を指す。柳川が「俺と同じ狩猟者の血が流れている」と柏木家を見抜く場面で、両者が同族であることが示される。
鬼の細胞 おにのさいぼう 概念

前世の物語に関わる設定。序盤では触れられない。

真相
エルクゥの細胞。瀕死の他種族に与えると体内に根付き、強い再生力で命を救う代わりに、鬼の力を宿らせる。エディフェルが瀕死の侍(次郎衛門)に施したのがこの技法であり、人間が鬼化する起点となった。
鬼の遺伝子 おにのいでんし 概念

鬼化のメカニズムに関わる設定。序盤では触れられない。

真相
エルクゥの遺伝子。鬼化の際に細胞のひとつひとつを活性化させ、骨と筋肉を生物の限界まで強化し、刃のような爪を伸ばす。鬼の血を引く者の肉体を、文字どおり「化け物」の身体へと再構成する。
満月の鬼化 まんげつのおにか 概念

鬼の血を引く者が、満月の夜に変容を起こす現象。

真相
満月の夜、鬼の血を引く者の内に殺戮衝動と人間離れの身体能力が呼び覚まされる。耕一にとっては、理性で抑え込んできた「奴」が心の檻から解き放たれる瞬間であり、覚醒のたびに「檻が開く」描写が反復される。
生命の炎 せいめいのほのお 概念

エルクゥの価値観の根幹をなすイメージ。序盤では触れられない。

真相
エルクゥが獲物の死に際に見るという「ぱっと明るく散る炎」。彼らにとって、美しい生命ほど鮮やかな炎を散らすと信じられている。「生命は消える瞬間、ぱっと明るく炎を散らす。それはとても、とても美しい」という台詞が、狩猟種族の倫理を象徴する。
同族の匂い どうぞくのにおい 概念

鬼の血を引く者同士に関わる感覚。序盤では触れられない。

真相
エルクゥが互いを認識する嗅覚的なシグナル。鬼化した耕一が千鶴を、柳川がかおりを同族と見抜く手がかりとなる。「混じりけのない高潔なる狩猟者の匂い」と描写され、鬼化時に強く感じ取れる。
心の檻 こころのおり 概念

冒頭の悪夢で「理性という名の檻に『奴』を閉じこめておくこと」と語られる、耕一の内面の比喩。

真相
主人公が11歳の夏に初めて鬼として目覚めた経験を、自我を守るために記憶ごと封印した心象。鬼覚醒のたびに「檻が開く」描写が反復され、クライマックスで耕一はその鍵が「ずっと手の中にあった」と気づき、自ら檻を開けてしまう。
痕(きずあと) きずあと タイトル

本作のタイトル。一見シンプルな二文字が、物語の核心を貫く三重の意味を担う。

三重の意味
(1) 鬼の血が一族に残した呪いの「痕」、(2) 各登場人物の心に残る愛と喪失の「痕」、(3) 耕一が11歳の水門事故で左足に負ったワイヤーロープによる物理的な「痕」。この三つが重なり合ってタイトルとなる。
テーマ
結末で千鶴が「みんなの心の痕(きずあと)が癒えるそのときを…」と語り、本作のテーマそのものを言い表す。
不思議な夢 ふしぎなゆめ 概念

楓が「小さい頃から見る」「ある男の人を見ると懐かしくて胸が苦しくなる」と語る夢。

真相
前世エディフェルとしての記憶。耕一(前世・次郎衛門)を見ると胸が苦しくなるのは、前世で結ばれた愛の名残ゆえ。楓ルートでは、性交渉のさなかにこの夢の記憶が耕一と共有され、二人の前世が明かされる鍵となる。
明晰夢 めいせきむ 概念

「見ながらにして、自らこれを夢だと自覚できる夢」と耕一が定義する現象。

真相
耕一が連続殺人事件を内側から体験していた夢の正体。実は柳川の意識との同調状態であり、夢で見た殺戮の映像が現実の事件と一致することに耕一は慄然とする。「最近はいつも明晰夢を見る」という独白が、彼が事件に引き寄せられていく予兆となる。
心の鏡 こころのかがみ 概念

「夢は無意識の自分を映す心の鏡」と耕一が独白する慣用句。

意味
耕一が自身の鬼化への警戒を保つための自戒。心理学の理論を念頭に置き、千鶴も同じ言葉を口にする。夢を「無意識の鏡」と捉える姿勢が、後に明晰夢の正体(柳川との同調)と対比される。
四十九日 しじゅうくにち 概念

耕一が柏木家に滞在する理由となる、父・賢治の法要。

詳細
耕一は一か月前に父・賢治を転落事故で失っており、その四十九日を控えて「うち1週間ほど」柏木家に滞在することにしている。この滞在期間が物語全体の時間的な枠組みとなり、四姉妹との再会と事件の幕開けを結びつける。
道具・アイテム
お守り おまもり アイテム

初音が首から下げる、父・賢治が遺した不思議な石。青く半透明で乳白色の筋が入り、5cmほどの肉食動物の牙の形をしている。

真相
賢治は「地球外の物質」「遠い昔、宇宙人が地球に持って来た」と説明していた。実はエルクゥの技術品で、亡者を浄化する青白い光を放つ。雨月山の洞窟に近づくと自ら震えて方向を示す。
作中での役割
初音ルートのクライマックスで、亡者と次郎衛門の前世記憶を浄化し、初音(リネット)が背負った裏切りの罪を救う鍵となる。
ヨーク よーく 道具(船)

前世の物語に関わる装置。序盤では触れられない。

真相
エルクゥが操る星間航行用の箱船。皇族のリネットだけが操作できた。雨月山に漂着した一隻は「リネットのミス」によって故障し、エルクゥ族が地球に取り残される原因となった。
作中での言及
亡者の声として「ヨークに受胎させよ」と語られ、滅びたエルクゥの執念を象徴する。
性格反転キノコ せいかくはんてんきのこ アイテム

千鶴が庭で採って料理に入れてしまった毒キノコ。番外ルートに登場する。

真相
キノコ図鑑に「セイカクハンテンタケ」として記載される、食べた者の性格を反転させる毒キノコ。番外ギャグルートで、初音が不良化、楓が陽キャ化、梓が深窓の令嬢化し、千鶴の本性に疑惑が向く騒動を引き起こす。
組織・関連
柏木家 かしわぎけ 組織・家系

由緒ある地方の名家。鶴来屋グループ創業者・耕平の家系で、耕一の父方の実家。四姉妹が暮らす。

真相
古来「鬼の血」(エルクゥの遺伝子)を引く一族。当主は、鬼として目覚めた一族を始末する義務を負う。「呪われた柏木一族」と週刊誌に書かれるほど、事故や死亡が続出してきた家系でもある。
四姉妹と前世
長女・千鶴、次女・梓、三女・楓、四女・初音は、いずれもエルクゥ皇族姉妹の生まれ変わりとして物語に位置づけられる。
鶴来屋 つるぎや 組織・旅館

隆山温泉の最高級旅館。15階建てビルの本館、別館5つ、巨大駐車場、3つの大浴場と露天風呂を持つ。

詳細
耕一の祖父・柏木耕平が50年前に中堅旅館を買収し、20年で組合を牛耳る大旅館に育て上げた。天皇陛下も宿泊した実績を持つ。経営難の小企業を破格で買収・吸収合併して築かれた「鶴来屋グループ」の中核であり、隆山温泉一帯を実質的に支配する。
継承
耕平から父・賢治、そして現在は長女・千鶴へと会長職が継承されている。耕一にとっては祖父の歴史そのものの象徴。
雨月山の鬼 うづきやまのおに 伝説

観光者用パンフレットにも載る、この地方の御伽話の鬼。物語の入口となる伝承。

真相
実在した狩猟種族エルクゥの記録。星間移動の船が雨月山に漂着し、人間を獲物として殺戮を続けた歴史が、御伽話として語り継がれたもの。雑誌記者の響子が冗談半分で「化け物なんじゃない?」と口にするが、それが事件の真相に直結する。