ストーリー詳細 — 痕 -きずあと-
序盤の四十九日準備は共通の一本道で進み、選択によって各姉妹のルートへ分岐します。 ▼ネタバレ詳細 は各ルートの結末まで含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。
導入 — 四十九日・四姉妹・連続殺人
父の四十九日が近づくなか、主人公・耕一は父の実家である柏木家を訪れる。久しぶりに迎える「家族」のような日々の裏で、耕一は毎夜の奇妙な悪夢に苛まれ、隣町では原因不明の連続殺人が起きていた。全ルートに共通する序盤の流れ。
20歳の大学生・柏木耕一は、1か月前に飲酒運転の転落事故で死んだ父・柏木賢治の四十九日を控え、ほとんど別居同然だった父の実家に1週間ほど滞在することにする。地方の名門旅館・鶴来屋を率いる由緒ある屋敷では、父と暮らしていた4人の従妹姉妹が耕一を出迎える。
母性的で穏やかな長女・千鶴、勝ち気で口の悪い次女・梓、無口で本心の読めない三女・楓、純真で甘えん坊な末妹・初音。久しぶりの家族の食卓、姉妹同士のじゃれ合い、耕一を慕う初音との散歩。穏やかな田舎の夏の終わりだった。
だが耕一は連日、奇妙な悪夢を見る。心の中に閉じ込めた「もうひとりの自分」が朝を待ち焦がれる夢だ。
「俺はお前自身なのだから。」「朝はまだかあぁーッ!」(心の中の声)
そこへ、隣駅で発生した原因不明の連続殺人事件と、父の事故死を再調査するために屋敷を訪ねてきた二人の刑事が、不穏な影を落とす。中年のとぼけた古狸・長瀬と、若く端正な柳川祐也。父の死が「事故ではない可能性」を告げられ、耕一の見る悪夢は次第に現実と重なり始める。
やがて耕一は、鬼化した視点で4人を惨殺する夢を「内側から」体験する。翌朝のニュースでそれが実際に起きた事件だと知り、耕一は自分が犯人ではないかと激しく怯えるようになる。連続殺人の犠牲者には、梓の高校の後輩・日吉かおりや、千鶴の取材に来た雑誌記者・相田響子も巻き込まれていく。
真相の核 — 柏木家に流れる鬼の血
各ルートで段階的に明かされる、物語全体の根幹となる真相。柏木家が背負った「鬼の血」、父の死の意味、真犯人の正体、そして耕一自身が封じた記憶。
柏木家は鬼の一族。柏木家は古来「鬼の血」を引く一族だった。その正体は、星間を渡る狩猟種族・エルクゥの遺伝子である。鬼の血を引く者は満月の夜に殺戮衝動と人間離れの身体能力を発露させる。柏木家の当主は、鬼として目覚めた一族を自らの手で始末する義務を負っていた。
父・賢治の死の真実。耕一の父・賢治は、自らのなかで鬼化した自我を抑えるためにアルコールと睡眠薬で自分を殺し、転落事故に偽装して自殺していた。「呪われた柏木一族」と週刊誌に書かれるほど続いた事故死の連鎖は、この血の宿命の表れだった。長女・千鶴は妹たちの母を演じながら、いずれ目覚めるかもしれない耕一の鬼を「自分が手にかける」覚悟を密かに抱いていた。三女・楓だけが父からこの真実を聞かされており、耕一の傍にいる辛さから無口になっていた。
真犯人・柳川。隣町の連続殺人の真犯人は、同じく鬼の血を引く若い刑事・柳川祐也だった。柳川は阿部貴之の部屋(401号室)を犯行拠点とし、かおりや響子を連れ去って陵辱していた。柳川は柏木家を「同族」として狩りの対象に定め、襲撃を仕掛けてくる。耕一が見ていた殺戮の悪夢は、柳川の意識と同調した明晰夢だった。
耕一が封じた記憶。耕一は11歳の夏、水門で溺れかけた梓を救おうと川に飛び込み、ワイヤーに足を絡めて死を意識した瞬間に初めて鬼へと目覚めた。彼は三姉妹を殺そうとし、寸前で理性によってそれを抑え込み、その記憶ごと心の奥に封印していた。これが心の檻であり、タイトル「痕(きずあと)」は鬼の血の呪い・各人の心の傷・耕一が足に負ったワイヤー傷の三重を意味する。
前世の記憶。四姉妹と耕一の因縁ははるか前世にまで遡る。耕一の前世は雨月山の鬼を退治した伝説の侍・次郎衛門。初音の前世はエルクゥ皇族の末妹・リネット、千鶴の前世は長女・リズエル、楓の前世は三女・エディフェルである。梓の前世は次女・アズエルと推定される。これら前世の悲恋と裏切りの物語が、現代の四姉妹に「痕」として残っている。
千鶴ルート — 長女の覚悟
母代わりとして妹たちを守ってきた長女・千鶴。彼女は柏木家当主として、いつか耕一の鬼が目覚めたときに「自分が手にかける」という覚悟を抱いていた。真夜中、裸の千鶴が耕一の前に現れる。
連続殺人と悪夢に揺れるなか、ある真夜中、裸の千鶴が耕一の前に現れ「私、綺麗ですか」と問う。耕一は千鶴の様子がいつもと違うことに戸惑う。二人は結ばれ、その後、千鶴は柏木家の鬼の血の真実と、父・賢治が鬼化を抑えるために自殺し事故に偽装したことを耕一に打ち明ける。
「だからこそ苦しい…私は…あなたを…」(千鶴)
クライマックスは思い出の場所・水門。千鶴は耕一に、自らの鬼を呼び覚ますよう促す。
「耕一さん、あなたも自らの鬼を呼び醒ましなさい。そして、…私を殺してください」(千鶴)
グッドエンド:千鶴に刃を向けられた衝撃で耕一の心の檻が開き、鬼の力が覚醒する。そこへ柳川が闖入するが、力を制御した耕一が柳川を撃退し、瀕死の千鶴を救う。翌朝、屋敷で口づけが再開され、妹たちとの平穏な秋の日常へと帰っていく。
「ちからを…つかい…こなせる…のですね…?」(瀕死の千鶴)
バッドエンド:耕一が千鶴に「殺してくれ」と頼む、あるいは鬼を呼び覚ませず斬られる結末。耕一は千鶴の腕のなかで息絶え、夢のなかで母代わりに抱かれる。別ルートでは、鬼の真実を知った耕一が妹たちとの関係を絶ち、別居を選ぶ「別れの覚悟」エンドもある。
梓ルート — 次女との相愛
口が悪く乱暴だが、誰よりも家族思いの次女・梓。後輩・かおりが柳川に連れ去られた事件をきっかけに、耕一と梓は真犯人の拠点へと迫っていく。
梓の後輩・かおりが連続殺人の被害に巻き込まれる。犯人を「もちろん、殺してやる」と決意する梓とともに、耕一は柳川の拠点である401号室へと踏み込む。そこで柳川が鬼として覚醒する。
グッドエンド:耕一が柳川を撃退してかおりを救出する。事件後、病院での療養を経て、梓は素直になれなかった想いをついに口にする。
「あたし、ちっとも辛くないよ…」「あたし、あんたのことが好き」(梓)
「俺、ようやく解った。…お前のこと、女の子として愛してるんだって」(耕一)
互いの想いを確かめ合い、清々しい朝を迎える相愛の結末。
バッドエンド:梓を信じきれなかった、あるいは説得に失敗した場合、怪物化した柳川が拳銃を乱射し、梓は耕一をかばって被弾死、耕一も頭を撃ち抜かれる。さらに、401号室に踏み込んだ際に柳川が先に覚醒した場合は、耕一たちが制圧され、梓が柳川に陵辱される長尺の結末になる。
「ふっふっふっ…奴らを狩れば、その瞬間、ゲームの幕が切って落とされる」(柳川)
楓ルート — 前世の記憶
耕一を頑なに避け続ける無口な三女・楓。彼女は父から鬼の血の真実を聞かされた唯一の妹であり、「小さい頃から見る不思議な夢」に苦しめられていた。その夢の正体が、二人を結ぶ前世の記憶だった。
楓は耕一に「明日、帰ってください」と冷たく告げる。だが避け続ける態度の裏には、抑えきれない想いがあった。
「明日、帰ってください」(楓)
「…す…好き…でした…」(楓)
ついに想いを打ち明けた楓と耕一が結ばれたとき、楓が「小さい頃から見る」と語っていた不思議な夢が、二人で共有する前世の記憶として覚醒する。楓の前世はエルクゥ皇族の三女・エディフェル。鬼討伐隊の侍だった耕一の前世に恋し、自らの鬼の細胞を与えて鬼化させ、命を救った娘だった。エディフェルは一族の掟により、姉たち(リズエル=千鶴、アズエル=梓)の手で殺された過去を持つ。楓は耕一から鬼の血と父の自殺の真相を改めて聞かされる。
クライマックスは水門。千鶴が耕一の鬼を呼び覚まそうとする場面で、楓は前世から続く愛ゆえに行動する。
グッドエンド:耕一が前世の記憶を取り戻して鬼の力を制御する。クライマックスで楓は身代わりとなって倒れるが、翌朝、奇跡的に生還して耕一と再会する。前世の悲恋を越えて結ばれる結末。
バッドエンド:水門での攻撃を耕一が呆然と見ているだけの場合、楓が耕一をかばって身代わりに死亡する。夢のなかで再会を約束するのみで終わる。
初音ルート — 雨月山と亡者
耕一を「お兄ちゃん」と慕う純真な末妹・初音。父・賢治が遺した不思議なお守りを首から下げる彼女は、前世から続く因縁の中心にいた。花火の夜、お守りが発光し、二人は雨月山の洞窟へと導かれていく。
花火の夜、初音が父・賢治から貰ったお守りが突然発光する。それに導かれて二人は雨月山の洞窟へと足を踏み入れる。洞窟の奥では、無数の亡者たちが「恨めしや次郎衛門」と繰り返し呻いていた。
洞窟の奥で初音は、自らの前世がエルクゥ皇族の末妹・リネットであったことを語り出す。
「リネットは…わたし。初音として生まれ変わる前の、遠い昔のわたしの名前なの…」(初音)
リネットは、姉たちを継ぐために、人間の侍・次郎衛門にエルクゥの武器を渡し、同族を絶滅へと導いた。亡者たちはそのとき滅ぼされた同族の怨念であり、次郎衛門=耕一の前世を恨み続けていた。
グッドエンド:耕一が初音にお守りを握らせ、亡者の囁く欲望に抗う。お守りが放つ青白い光と、父・賢治の声によって、亡者と前世の怨念が浄化される。
「これからは、お前がこの子を守ってやれ」(父・賢治、声のみ)
前世の罪と恨みが解け、耕一と初音は合意のうえで結ばれ、二人の新しい関係が始まる。
バッドエンド:耕一がお守りを初音に渡さず自分で握り続けた場合、亡者に身体を奪われ、初音を強姦してしまう悪夢の結末。さらに、亡者の囁きに従って欲望に屈する選択をした場合、初音にリネットを復活させてしまう破滅的な結末に至る。
番外 — 性格反転キノコ/宇宙人
本編のシリアスな伝奇ホラーとは対照的な、メーカー恒例のギャグ系番外ルート。
性格反転キノコ:千鶴が庭で採ってきた性格反転キノコを料理に入れてしまい、食べた姉妹たちの性格が一斉に反転する。初音は不良に、楓は陽キャに、梓は深窓の令嬢へと豹変し、千鶴自身の「本性」も疑われるギャグ番外。
宇宙人「ガチャピン」:UFOで漂着した異星人ガチャピンが登場する番外ルート。彼は実は、自身のバクテリアで街の住民を全滅させた責任を取って人間救済の研究を続ける善意の科学者だった。耕一の誕生日サプライズを準備していたところを誤射されてしまう悲劇のオチ。
全エンディングを達成すると、千鶴がお祝いコメントを述べる全エンディング達成メッセージが表示される。
「すべてのエンディングを達成しました! おめでとうございまーす!」(千鶴)
エンディング一覧
1996年のオリジナル版を基準に、本編グッド4・本編バッド7・番外3の計14エンディング。後年のリニューアル版(2009年版)ではエンディング数が増補され計26とされる。
| 種別 | エンド名 | ルート | 結末概要 |
|---|---|---|---|
| GOOD | 千鶴・水門の朝 | 千鶴 | 千鶴の覚悟を受け、鬼を覚醒・制御して柳川を撃退。翌朝、屋敷で口づけを交わし平穏な日常へ。 |
| BAD | 千鶴・自害/心中 | 千鶴 | 耕一が「殺して」と頼む、または鬼を呼べず斬られ、千鶴の腕のなかで息絶える。 |
| BAD | 千鶴・別れの覚悟 | 千鶴 | 鬼の真実を知った耕一が妹たちとの関係を絶ち、別居を選ぶ。 |
| GOOD | 梓・相愛の朝 | 梓 | 401号室で柳川を撃退しかおりを救出。病院後に互いの想いを確かめ合う清々しい朝。 |
| BAD | 梓・銃殺 | 梓 | 梓を信じきれず、怪物化した柳川の銃弾で梓が被弾死、耕一も撃たれる。 |
| BAD | 梓・柳川陵辱 | 梓 | 踏み込み時に柳川が覚醒、制圧されて梓が陵辱される長尺の結末。 |
| GOOD | 楓・前世再会の朝 | 楓 | 前世の記憶を取り戻し鬼を制御。楓は身代わりに倒れるが翌朝奇跡的に生還し再会する。 |
| BAD | 楓・身代わり死 | 楓 | 水門での攻撃を耕一が呆然と見るのみで、楓が身代わりに死亡。夢で再会を約束して終わる。 |
| GOOD | 初音・浄化の朝 | 初音 | 洞窟でお守りを初音に託し欲望に抗う。父の声で亡者を浄化し、初音と合意で結ばれる。 |
| BAD | 初音・亡者支配 | 初音 | お守りを自分で握り続け、亡者に身体を奪われて初音を強姦してしまう。 |
| BAD | 初音・欲望に屈する | 初音 | 亡者の囁きに従い欲望に屈し、初音にリネットを復活させる破滅的な結末。 |
| 番外 | 宇宙人「ガチャピン」 | 番外 | 誤射された善意の異星人が、実は耕一の誕生日を祝うために来ていたと判明する悲劇。 |
| 番外 | 性格反転キノコ | 番外 | 千鶴の毒キノコ料理で、初音不良化・楓陽キャ化・梓令嬢化と姉妹の性格が反転するギャグ。 |
| 番外 | 全ED達成メッセージ | メタ | 全エンディング達成時の千鶴の祝福コメント。梓のメタ抗議で締める恒例の楽屋オチ。 |