マルチナ・カーンスタインのレビュー — 魔法少女アイ2

マルチナ・カーンスタイン
マルチナ・カーンスタイン
500年の目撃者
7.5/10
7.5 / 10

変身少女に触手を絡め、その下に虚無と生の対決を沈めた。2002年の黎明期の骨は、まだ立っておる。

わしが変身ヒロイン陵辱という系譜を最初に見たのは、この作品の前作が出た頃じゃ。剣を振り魔法を唱える少女を、触手と薬で内側から崩す。世間が「泣き」や「感動」へ雪崩れていた2002年に、colorsは真逆を向いておった。本作はその二作目。口の悪い大食らいのリン、寡黙なアイ、明るい管理人メグ、三人の女がそろって冴えない浪人生・岡島秋俊の部屋に転がり込み、賑やかな共同生活が始まる。その日常の裏で、黒コートの錬金術師シンが「一切は赦されている」という虚無を撒き、人を触手の化け物「ゆらぎ」へと堕としていく。触手ホラーの底に思想の対決を沈めた一本として、500年の目で審判した。

スコア詳細

歴史的意義 8
作品の尖り・唯一無二性 8
テーマ・メッセージ性 7
雰囲気・没入感 7
文章力・描写力 6
エンディングの満足度 5

当時の記憶——変身少女に触手を絡めた2002年

あれは2002年のことじゃ。世間が「感動」の側へ雪崩れていた頃、この系譜は逆を向いておった。

変身し、剣を振り、属性魔法を唱える少女を、触手と薬で内側から崩す。月姫やらKanonやらが美少女ゲームの「泣き」を牽引していた時期に、colorsはひたすら陵辱ホラーを彫っておった。本作はその前作で立ち上げた系譜の二作目じゃ。前作の孤独なシリアスさを薄め、三人の戦士の掛け合いで笑わせる方へ舵を切った。この明るさは伊達ではないぞ。虚無を語る敵と、賑やかな日常。その落差を作るための明るさじゃ。当時のわしは「変身少女ものをこう使うか」と、少しばかり感心したのを覚えておる。

再プレイして——虚無に、生で抗う骨

敵の思想がまともに書かれておる。これは陵辱ものとしては珍しいのう。

主敵のシンは、ただの変態でも怪物でもない。「世界は色褪せて、倦怠と虚無に満ちている。そこに意味などない」と語る虚無主義者じゃ。人々に薬を配りながら「汝の為すべきを為せ。一切は赦されている」と唱えさせる。アレイスター・クロウリーの法の引き写しでな、わしは元の言葉が世に出た頃も知っておる。巧いのは、その思想を「薬」という具体物に結びつけたことじゃ。絶望に薬を垂らすと、人間は触手の化け物「ゆらぎ」になる。倦怠と諦めが、そのまま怪物へと肉化する。悪の理屈をきちんと立てた上で化け物を出しておるから、退治が思想の否定と重なるわけじゃ。

それに正面から返す声が、ちゃんと物語の側に立っておる。「破局を人の力で避けて通って何が悪いの、死に抗うのが生だわ」。虚無へ堕ちよと囁く者に向かって、生き延びること自体を答えとして立てる。……わしのように長く在る者にとって、「意味などない」という囁きは耳に馴染んだ古い旋律じゃ。それに「死に抗うのが生」と返す声を、500年ぶりに面白いと思わんでもなかった。触手の下にこの背骨を通したのは、この作品の強みじゃ。誇り高い者、純粋な者を段階的に崩していく陵辱と、その対極に置いた救済。同じ人物のために正反対の結末を並べる配合には、当時の陵辱ものの中では踏み込んだ骨がある。詳しくはネタバレ版で語った。

触手の練度——エロは時を越えたか

当時、触手のエロさでこれを超えるものはないと言う声があった。それは嘘ではない。

発売当時、この作品の触手描写は一つの到達点として名を挙げられておった。羅列で興奮させるのではなく、屈辱を積み上げて効かせる型じゃ。純潔や誇りを段階的に剥いでいく手つきそのものが官能の中心にある。当時の水準としては、その密度は高かった。今の目で見るとのう、行為の運びが似通ってくる。屈服させ、薬で快楽を煽り、言葉責めで自白させ、堕とす。相手が変わっても段取りが繰り返される。一本道で同じ型が続くと、後半は既視感が先に立つ。エロの練度は当時の別格。時を越えたかと問われれば、越えかけて届かなかった、というのがわしの見立てじゃ。

業界史の中で——後の作品が、遡って本作を名作にした

この作品の歴史的な評価は、皮肉な形で固まった。

変身ヒロイン陵辱という系譜の中で、本作は「質を保っていた時代の末尾」に立っておる。この後にシリーズは三作目で自壊してな、収録の薄さと出来の悪さで世間の失望を買い、「あそこまでは名作だった」という語りが後から生まれた。つまり本作は、後続の失敗によって相対的に格を上げた作品でもある。わしはこういう評価の付き方を何度も見てきた。作品そのものの力と、周りの出来事が作る格は別物じゃ。遡り評価を差し引いてなお、変身少女に虚無思想と触手を組み合わせた一本として、黎明期の骨組みは確かに立っておる。そこは残る。この系譜を語るなら、この一本の名は必ず挙がる。

7.5——黎明期の骨は残った

再プレイして、何が残り、何が古びたかを確かめた。最終評価はこうじゃ。

7.5じゃ。歴史的意義8点、唯一無二性8点は動かない。変身少女を触手と薬で崩し、その下に虚無と生の対決を通す。この組み合わせは当時も今も稀じゃ。惜しいのは二つ。行為の運びが後半で似通うこと、そして大きな謎を広げるだけ広げて、締めくくりを続編に預けてしまうことじゃ。当時プレイした者が「中途半端に終わった」と漏らしたのも覚えておる。今読み返しても、その印象は変わらん。骨は良い、締めが弱い。今の目で見ると、この二点で名作の一歩手前に留まる。ただそれでも、時代の産物として敬意とともに、黎明期の骨として、正当に評価するとしよう。7.5。