スフィーが最高すぎて、ゲームの仕組みが邪魔に感じるくらい好きになってしまった。
キャラに全力で萌えたい人にとって、スフィーは答えだと思う。食いしん坊で騒がしくて、幼体化への劣等感がリアルで、健太郎のそばを居場所にしていく過程が全部正しい。わたしにとってまじかるアンティークはほとんどスフィーゲーだった。他のヒロインもちゃんと個性があって解釈一致できたし、SLGパートへの不満を差し引いても8.0は揺るがない。
スコア詳細
まじかる☆アンティークとは——2000年Leafの骨董屋SLG
Leaf制作、2000年。骨董屋「五月雨堂」を舞台にした経営SLG+ADVのハイブリッド作品。
主人公・宮田健太郎は両親に押しつけられた骨董屋の店番をしながら、空から落ちてきた異世界の魔女スフィーと同居することになる。スフィーは健太郎を蘇生した代償で幼体化していて、健太郎は半径30mを離れると死ぬ身体になった。半年後にスフィーは帰らなくてはならない。この「期限付きの同居」という設計が全ルートの感情的な軸になる。ヒロインは5人。スフィー、結花(幼馴染)、リアン(スフィーの妹)、みどり(財閥令嬢)、なつみ(無口な女子高生)。SLGパートで骨董店を経営しながらヒロインとの関係を深めていく。
スフィーについて——食いしん坊と幼体コンプレックスの組み合わせが全部正しい
このキャラを設計した人、わかってる。
スフィーは本来21歳の魔女なのに、幼体化で子供の外見になってしまっている。この設定から来る劣等感の描かれ方がすごく解釈一致だった。「ちんちくりんだもん!!」という言葉が作中に出てくるんだけど(クリア後の詳細はもう一本のほうで話す)、この一言だけでスフィーの核心が見える。自分の姿への不満と、それでも好きな人のそばにいたいという感情のすれ違いが、ちゃんとキャラの言動として描かれている。食いしん坊という属性も、記号として貼り付けられてるんじゃなくて、スフィーの感情の動き方と一致している。腹が減ったら騒ぐし、ホットケーキが出てくると目の色が変わる。こういう細かい一貫性があるキャラは信頼できる。
「神様って意地悪だよね。この世界がこんなにいい世界じゃなかったら、あたし、泣かなくてすんだのに……」という台詞がある。帰還を前にしての言葉で、騒がしくて食いしん坊な普段の姿と全然違う温度がある。このギャップの落差の作り方も、このキャラを書いてる人が分かってやってる感じがして好き。
他ヒロインも個性が立っている——第一声でわかる
結花の「いっぺん死んでこ~い!」となつみの「つぼ、好き」が同じシーンで来る。
ヒロインの初登場の台詞って、そのキャラの全部が詰まってると思っている。結花の「いっぺん死んでこ~い!」は幼馴染の20年分の距離感と信頼が一気に出てる。なつみの「つぼ、好き」は無口で無表情なキャラが自分から言葉を出した、その瞬間の重みがある。リアンは「私の初めての人は、健太郎さんしかいません……」という台詞があって、控えめで誠実なキャラ造形が一本筋が通っている。みどりはお嬢様だけど骨董への愛が本物で、「これで帰りにワンピースが買えます!」という値引き応諾の台詞が可愛すぎる。みんな萌えポイントが別々で、スフィー以外を選んでも解釈一致できる。それはすごく誠実な作りだと思う。
SLGへの不満——キャラに萌えてる時間を邪魔してくる
これ、経営しなくていいんじゃないかな……ってなった。
本音を言うとSLGパートが苦手だった。骨董屋の経営数値を管理しながら半年進めていく仕組みは、別に悪いものじゃないんだけど、わたしがやりたいのは「スフィーと話す」であって「売上を伸ばす」じゃないので。SLGの成否がルート到達に関わる設計になっているから、攻略を気にしながらプレイしないといけなくて、キャラへの没入が途切れるタイミングが何度かあった。みどりルートはSLGの達成(経営賭けに勝つこと)がヒロインとの関係を動かす仕組みになっていて、そこだけはSLGとADVがつながってる感じがした。他のルートでもこれくらい有機的に絡んでくれたら、SLGへの不満がもっと薄れたと思う。
8.0——スフィーを好きになれる人に届く作品
「分かってる」キャラを書ける人がいた、という証拠の作品。
SLGへの不満はある。でもスフィーが好きになれた時点でわたしの評価は動かない。食いしん坊で騒がしくて、幼体化への不満を抱えながらも健太郎のそばを選んでいくその感情の重ね方が、全部「このキャラとして正しい」。他のヒロインも個性が立っていて、どのルートを選んでも解釈一致できる。8.0。
