「ちんちくりんだもん!!」——この一言で、わたしのスフィー評価は完成した。
純白ドレス事件でスフィーが本来の姿になって「ちんちくりんだもん!! 今のあたし!」と泣いた瞬間、このキャラの核心が全部出てきた。幼体化コンプレックスの形がはっきりした。Hシーンが「その延長線上で機能している」ことも分かった。なつみ/ユユの設計も含めて、このゲームには「分かってやってる」部分がちゃんとある。8.0は揺るがない。
スコア詳細
純白ドレス事件——「ちんちくりんだもん!!」が全部
これを書くためにこのレビューを書いている、といっても過言ではない。
スフィーには緑石のペンダントがあって、月の光に当たると本来の姿、つまり21歳の大人の女性に一時的に戻る。スフィールートの中盤、健太郎がそれを見てしまう場面がある(純白ドレス事件)。予告もなく目の前に本来のスフィーが現れて、二人とも固まって、そしてスフィーが泣き崩れながら言う——「ちんちくりんだもん!! 今のあたし!」。
この一言で、スフィーというキャラの形が全部出てくる。本来の姿があって、それが「大きい」ことも知っていて、でも今の自分は「ちんちくりん」で、健太郎の前でそれを恥ずかしいと思っている。感情の複雑さが全部この一言に入ってる。健太郎は靴を拾って「お姫様の忘れ物だ」「ちゃんと可愛いぜ」と言う。この返し方も含めて、このゲームを書いてる人はスフィーのことが分かってると思った。
H-1のシーン(幼体Lv状態での初体験)で、スフィーが「けんたろ大きい胸の方が好きでしょ? あたし本当は結構胸大きいのに……。だから、今のあたし…なんか悔しくて……」と言う。健太郎が「どんな大きさだろうが、自分の好きな女の子の胸が一番なんだからさ」と返す。純白ドレス事件を経て読むと、このやり取りが別の密度で読める。コンプレックスへの直接的な応答として機能している。Hシーンに感情文脈があると評価したのはこういう構造があるから。
Lv制HシーンとコンプレックスH——対比構造が機能している
分岐によってLv1、中間Lv、Lv4(本来の姿)の3バリエーションがある。この設計は意地悪で面白い。
Lv1(幼体のまま)のHシーンと、Lv4(緑石ペンダントで本来の姿に戻った状態)のHシーンは別の体験として用意されている。Lv4のHシーンでは健太郎が「凄いな……。スフィーの胸……」と普通に驚く。Lv1では幼体への罪悪感と「でも好きだ」という感情が共存するテキストになっている。「目の前の獲物を食べちゃいけないと思いながら、その獲物の一番美味しい食べ方を夢想してしまっている」という健太郎の地の文が正直すぎて笑えつつ、それが「コンプレックスを持つスフィーへの愛」と地続きになってる設計は正直だと思う。
Hシーンの感情文脈スコアを7にしたのは、全体的な密度が均一ではないから。スフィー方面は丁寧だけど、他のルートのHシーンはそこまでではない。でもスフィーだけでも「このキャラで正しいHシーンを書けてる」と言える。それだけで価値がある。
なつみ/ユユの設計——「制服と裸」が何を意味するか
なつみルートを最後にやった人の多くが、最初の「つぼ、好き」に戻って読み直したと思う。
なつみの初登場の台詞は「つぼ、好き」で、チラシ配りで五月雨堂に迷い込んで骨董の壷を見つめながら言う一言だった。無口で無表情な女子高生の、唯一の自発的な発言として印象に残る。後半で明かされるなつみの正体——グエンディーナの魔女の血を引く特殊能力者で、分裂した本音人格ユユが無自覚に魔力を行使してきた——を知った上で読み直すと、「つぼ、好き」に別の意味が見えてくる。なつみにとって骨董屋という場所は「居場所がない自分」が初めて感情を素直に出せた場所だったということが、後から分かる。
心の世界のシーンで、なつみが「制服は覆い隠そうとする気持ちの、裸は正直な気持ちの現れだから……」と言う。制服のなつみとユユ(裸)の対比が、そのままこのキャラの内面の設計になってる。なつみが「裸になる」ことが自己受容と直結していて、それがHシーンと融合している構造は、かなり分かってやってる。スフィーとは別の方向で「感情文脈があるHシーン」になってた。8.0はスフィーへの評価だけど、なつみ/ユユの設計も「分かってる」と思う根拠の一つ。
8.0——「分かってるキャラ」が二人いた
スフィーだけでなく、なつみ/ユユの設計も「分かってる側」だった。それが8.0の根拠。
クリア後に改めて振り返ると、このゲームには「分かってやってる」部分と「できていない」部分が明確に分かれている。スフィーの幼体コンプレックスとHシーンの連動、なつみ/ユユの制服と裸の設計——この二つは「分かってる側」だった。SLGパートとの連動や、テキストの密度にムラがあること——これは「できていない側」。両方を正直に言って、それでも8.0が動かないのは、「分かってる側」の部分がわたしにとって十分に刺さったから。スフィーが最高だったし、なつみ/ユユルートのクリア後に「つぼ、好き」を読み返したときの感触は本物だった。8.0。
