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ストーリー詳細 — ねがぽじ ~お兄ちゃんと呼ばないでっ!!~

本作は共通ルートから3ヒロインへ分岐する構成で、桜庭香澄の系統だけが物語の核心へ踏み込み、途中の選択によってさらに悲劇的なバッドへ分かれる。蛍坂小鈴夕凪美奈萌の2ルートは超常に触れず、恋愛として決着する。 ▼詳細を読む はネタバレを含みます。 プレイ済み設定をするとアコーディオンがデフォルトで展開されます。

プロローグ — 更衣室の三秒

体育の授業前、女子更衣室。着替えをぐずるまひるに親友の桜庭香澄がしびれを切らし、ショック療法とばかりに下着を剥ぎ取る。そこにあってはならないものがあった。

物語はこの一場面から始まる。香澄が見たものを理解するまでの数秒が、そのまま作品の全体像を規定してしまう。

「普通、女には装備されてない」/「まひる、あんた・・・もしかして、あんた・・・」/「あんたぁ、男だよぉぉっっ!!」(桜庭香澄)

まひる本人の反応は絶叫ひとつ。だがのちに彼女は、自分は男に「なった」のではないと訂正してみせる。

「それはビミョーに違うんだな。なったんじゃなくて、最初からそうだったの」(広場まひる)

医師の検査を経て、まひるは生物学的に男だと確定する。二ヶ月の入院と経過観察のあいだも、まひるの一人称は「あたし」のままだった。この作品が扱うのは体の変化ではなく、体が裏切っても揺らがない自己認識のほうである。

共通ルート — 復学、疎外、そして髭

復学したまひるを待っていたのは、席を離すクラスメート、入部を断る運動部、後輩に譲られた放送部の居場所、そして学園からの転学勧奨だった。落ちるところまで落ちた夜、妹のひなたが押しかけてくる。

復学初日から、まひるの立場は宙に浮いている。教室ではあからさまに避けられ、体育のあとの着替えでは男子に覗かれて泣く。空元気で笑ってやり過ごすが、一人になると胃が痛む。

「いくら男だって言われても・・・・あたしは何も変わらないんだから・・・・こんなことされたら・・・・耐えられないよ」(広場まひる)

放送部では、まひるが休んでいるあいだにお昼のMCを引き継いだ1年の蛍坂小鈴がいて、部長の夕凪美奈萌からは「もう放送室に来ないで」と告げられる。もっとも美奈萌のこれは小鈴の立場を守るための言葉で、のちに放課後の二人放送という折衷案を出してくるのも彼女である。

決定打は顧問の柳川による転学勧奨だった。学園の動揺を鎮めるために、まひるのほうが出ていくべきだという理屈である。

「学園内の動揺が、広場さんを排斥しようという形を取りつつあります」/「いっそ他の学園で再出発した方が、広場さんにとって良い結果になるのではないか」(柳川)

これを知った香澄は真っ向から反対するが、同時に現状のままではいられないことも認めている。父が代議士のまひるは家族に迷惑をかけまいと実家を出て一人暮らしを始めていたが、そこへ妹のひなたが転がり込み、タイトルが回収される。

「お兄ちゃんっ」/「お兄ちゃんだけが頼りなのぉぉぉ!!」(ひなた)

ひなたは無愛想で毒舌だが家事は万能で、まひるの生活を丸ごと引き受けてしまう。そして共通ルートの終わりに、まひるは自分の顎に髭が生えているのを見つけ、カミソリを手に取る。物語はここから各ルートへ分かれる。

桜庭香澄ルート(真ルート) TRUE

香澄が「広場まひる男らしくさせるクラブ」を結成し、空回りの特訓が始まる。だがまひるの背に生えたのは男らしさではなく、一枚のだった。学園コメディが伝奇へ反転する、本作の本筋。

剣道部への入部を断られ、机に落書きをされたまひるを見かねて、香澄は非公式の「男らしくさせるクラブ」を立ち上げる。一人称の矯正、ヘアサロン通い、甘味の禁止。だがこの奮闘は、男になったまひるに惹かれてしまった自分の心を否定したい、という香澄自身の裏返しでもある。

ベランダで空を見上げながら、まひるは何気なくこう漏らす。物語の結末を先取りした一言になっている。

「こうしていると、何だか飛べるような気がしてくるね」(広場まひる)

柳川の転学強要を二人で撃退したあと、化粧品売り場でまひるは自分の記憶に穴があることに気づく。そしてが生える。風呂で洗い、制服に穴を開けて隠しながら、まひる本人の感想はどこまでも軽い。

「・・・でっかいスズメ」(広場まひる)

プエルタでの試着中に片が香澄と透に見つかり、透はあっさり本物だと断定する。

「『男』の次は『羽』と来たか」(遠場透)

変貌は加速していく。人の生命が青いもやとして見えるようになり、心臓の音を獲物として感知する捕食本能が芽生え、十円玉を握り潰す怪力と縦長のモザイク状の瞳が現れる。それでも香澄はまひるの硬化した爪に頬を寄せる。

「怖くない。怖くなんかない。だって、これはまひるの一部だから」(桜庭香澄)

やがてまひるは、行方不明になっていた同級生・鈴原琴美の首なしの遺体を発見する。琴美を母体として生まれた天使が復活し、ひなたがそれを撃退したことで、ひなたにも翼があることが露見する。そして真相が語られる。天使は雌雄のない単独の捕食種で、繁殖は人間の雌を捕らえて片翼を移植し、事後に母体の首を落とすことで行う。羽は天使の脳であり、記憶であり、生命そのものだ。まひるは太古から生き、愛する者を失い続けて壊れた天使だった。小学生のひなたを森で襲って殺したのもまひるで、憐憫から自分の片翼を移植して蘇生させたのである。

「まひるは・・・自分の記憶すらも置き換えていた。広場まひるとして過ごした日々に」(ひなた)
「わたしは、まひるを守る。まひるが望む限り、『広場まひる』を守り続ける」(ひなた)

透が対天使の罠を設営し、決戦前夜にまひると香澄は和解して結ばれる。別れの予感を抱えたままの、最初で最後の交わりだった。

襲来した天使との戦いは商業施設の中を逃げ回る消耗戦になり、透の罠が発動し、香澄がひなたを叱咤して押し返す。最後にまひるは完全な天使の姿で飛来して敵を仕留めるが、力尽きて墜落し、駆けつけた警官隊の銃撃を受けて倒れる。

「まひるが一番きれいだっ!!世界でいちばんっ!!」(桜庭香澄)

春。行方不明のまひるを待ち続ける香澄のもとに、白い羽根が舞い込む。

「例えこれが幻でも、私は構わない。…お帰り」(桜庭香澄)

香澄はベランダから虚空へ身を投げ、妖精の森壊れた天使がいるという詩で幕が下りる。恋の成就と死が同じ一歩に重なる、本作でただ一つの真相全開示ルートである。

桜庭香澄ルート バッド BAD

香澄の体をまさぐる場面で「まだ続ける」を選ぶと、二人は決裂する。超常には一切踏み込まないまま、暴力と流血だけが積み上がっていく系統。

手を止めずに続けると、香澄は号泣し、まひるから贈られたペンダントを叩きつけて去る。ペンダントは中学時代、落ちてきた岩を掲げて香澄を守り、5針縫う怪我を負ったまひるへの返礼として二人を結んできた品で、それが床に転がることで関係の終わりが示される。

まひるは不登校になり、久しぶりに登校した屋上で3年の不良3人に囲まれる。

「表向きは男なんだろ?だったらかまうものか」(不良)

透が駆けつけて救出するが、この一件を知った香澄は3年の教室に単身乗り込み、バトンを手に十人ほどをなぎ倒す大乱闘を演じる。止めに入ったまひるは弾みで壁に頭を強打し、意識不明になる。

この系統では、透がまひるへの恋心を打ち明ける場面も置かれている。恋の決着としてではなく、痛みの並走として。

「香澄より、俺の方がずっと苦しいんだぞ」(遠場透)

幕引きは病室である。眠り続けるまひるを前に、香澄は自分が惹かれたのが誰だったのかを認める。

(独白)「香澄が心を奪われたのは、いま目の前にいる、この少女であることに。」
「口移しに、"愛してる"」

言葉は届き、恋は形になる。ただし受け取る側の意識はない。真ルートの死とは別の意味で、取り返しのつかない結末になっている。

蛍坂小鈴ルート HAPPY

まひるの放送に憧れて入部した1年生との恋。極度に内気な後輩が、まひるのために涙で顧問に食い下がるまでの物語で、壊れたピンマイクに込めた願かけが最後に回収される。

導入は小鈴の視点から始まる。まひるを校舎じゅう探し回り、二年の教室で忌避されるまひるの実態を目の当たりにする。小鈴にとってまひるは憧れであり、目標だった。

「まひる先輩は、あたしの目標なんです」(蛍坂小鈴)

プエルタでの初デート、ナンパからの救出、満員電車での痴漢事件と、まひるに守られる経験を重ねて距離が縮まる。小鈴が肌身離さず持っていた壊れたピンマイクは、じつはまひるがプールに飛び込んだ拍子に壊した物で、それをお守りにしていた健気さがまひるの胸を打つ。

山場は柳川である。ゴキブリを使った嫌がらせに耐えかね、柳川がまひるを放送部から締め出そうとしたとき、人見知りで教室にも入れなかった小鈴が涙ながらに食い下がり、決定を撤回させる。この一点で、二人の関係は憧れから対等な想いへ変わる。

部屋を訪ねてきた小鈴に、まひるは長い告白をする。結ばれ方は段階を踏んでいて、本編の終わりでは愛撫だけで果ててしまい、その切なさに小鈴が泣く。後日談にあたる後半で、小鈴のほうから踏み込んでくる。

「まひる先輩、最後までしてくれないからっ!!」/「わたし、せんぱいとひとつになりたい・・・」(蛍坂小鈴)

初めて完全に結ばれたあと、小鈴はピンマイクに何を願っていたのかを明かす。

「叶ったというか・・叶いすぎたってトコでしょうか?」/「まひる先輩と、お友達になりたいってだけでしたから」(蛍坂小鈴)

天使にも翼にも触れない、まっすぐな大団円である。

夕凪美奈萌ルート HAPPY

放送台本の誤字を巡るツッコミ合いから始まる、毒舌部長との二人放送。幼い日に美奈萌がまひるを「天使さま」と取り違えていたことが明かされ、まひるが転校を選んだうえで前を向いて終わる。

放課後の二人だけの番組「午後のティーラウンジ」が二人の場所になる。文系は得意だが機材の配線はからきしという美奈萌と、赤点常連のまひるという組み合わせで、毒舌の応酬がそのまま距離の詰め方になっている。

このルートの核心は回想にある。中学に上がる前の森で、美奈萌は男装していた当時のまひると出会い、その姿を「天使さま」と信じてプロポーズまでしていた。放送室で美奈萌がまひるのフルネームを呼ぶ場面は、その記憶と目の前の相手が重なった瞬間である。

「『広場まひるさん』」(夕凪美奈萌)

放課後放送の中止を通告されると、二人は将棋の賭けと停電騒ぎで場所を守り抜く。高所恐怖症の美奈萌が屋上の金網でパニックを起こす場面など、毒舌の下にある弱さが少しずつ開かれていく。

結ばれたあと、まひるは学園を離れて転校する道を選ぶ。逃げではなく、自分の居場所を自分で決めるという選択である。美奈萌はそれを引き止めず、追いかける側に回ることを誓って物語が閉じる。まひるが天使であることには最後まで触れないまま、「天使さま」という誤解だけがきれいに回収される構成になっている。

サイド掌編

放送室・妹・いじめを題材にした短い挿話群。恋の決着はつかず、日記の体裁で共通ルートへ戻っていく。

小鈴が全館放送の事故を起こし、美奈萌が恐怖症克服の予行演習を提案する挿話、ひなたが「お兄ちゃん大好き」というあざとい芝居を打って同居を勝ち取る挿話、そしてクラスのいじめがエスカレートし、まひるが反撃する挿話が置かれている。

いずれも本筋の分岐には合流せず、日記のフレームで締められて共通ルートの入口へ戻る。まひるの人柄と、周囲の悪意の質を補足する小品群として読める。

エンディング一覧

種別 エンド ルート 結末概要
TRUE 香澄トゥルー 桜庭香澄(真) まひるが天使の姿で敵を倒すが墜落し、警官隊の銃撃を受けて行方不明に。春、香澄が白い羽根に導かれてベランダから身を投げる。妖精の森の詩で幕
BAD 香澄バッド 桜庭香澄(分岐) まさぐりを続けて決裂。不良の暴行未遂と香澄の大乱闘の末、まひるが意識不明に。病室で香澄が口移しに「愛してる」と告げる
HAPPY 小鈴ハッピー 蛍坂小鈴 告白が実って結ばれ、壊れたピンマイクに込めた「お友達になりたい」という願かけが「叶いすぎた」と回収される
HAPPY 美奈萌ハッピー 夕凪美奈萌 幼少期の「天使さま」の記憶が明かされ、結ばれたのちまひるは転校を選択。美奈萌が「わたしが追いつく」と誓って前を向く

本作はエンド画面に固有のエンド名を表示しないため、上記のエンド名は当サイトで整理のために付けた呼称です。