脱がせるまでが長いの。そして長いところが、いちばん効くのよ。
この作品でいちばん実用になるのは、脱がせた後じゃなくて追い込みのほうだわ。写真を突きつけて、逃げ道を潰して、自分から従わせる。そこまでの手続きが延々と描かれるから、屈服した瞬間の落差が効く。フェチの網羅量も相当なもので、剃毛・緊縛・アナル・寝取り・媚薬・監禁と一通り揃っているのよ。ただし七人ぶん、脱がせた後の順番がほとんど同じ。そこは正直に引くわ。前戯は満点、本番は既視感。それで7.5。
スコア詳細
この作品について
1998年の elf。伊頭家の真ん中ね。
舞台は粛正音楽学院の女子寮。臭作は本物の管理人志望者を脅して履歴書を書かせ、その名前で寮に潜り込んだ偽物よ。潜入から一ヶ月、マスターキーで部屋に入って盗撮を重ねて、ネタだけ溜めた状態でゲームが始まるの。
期限は土曜の午後五時から月曜の朝まで。八人いる相手を、その時間で何人落とせるか。手順は決まっているわ。様子を窺って、仕掛けたカメラを回収して、写真を突きつけて追い込んで、屈服したら辱める。
私が手を出したのは、遺作に6.5、鬼作に8.5を付けているからよ。あいだの一本がどこに落ちるか、確かめないと気持ち悪いでしょ。
追い込みが、この作品の前戯なのよ
脱がせるところまでを、これだけ丁寧に書いた鬼畜ゲーは多くないわ。
普通の陵辱ものは、押し倒すところから始まるでしょ。この作品は違うの。写真を一枚テーブルに置くところから始まるのよ。
相手が青ざめる。言い訳をする。泣く。怒る。それでも逃げ道がない。そこで初めて「制服を着て部屋に来い」と言われる。——この段取りが、ヒロイン一人につき何段階も用意されているの。屈服するまでに何度も呼び出されて、そのたびに一枚ずつ剥がされていく。
これが効くのよ。身体を触られる前に、逃げ場を潰されているから。だから辱めの場面に入ったとき、相手はもう抵抗の形を失っている。実用として言うなら、盛り上がるのは服が脱げた瞬間じゃなくて、従うと決めた瞬間だわ。
臭作の口が上手いこと
この男、喋りで落とすの。表向きは慇懃な管理人「加藤さん」として敬語を使うくせに、括弧の中では別のことを考えている。この二重の話法が、そのまま脅迫の道具になっているわ。丁寧な言葉で追い詰めるほうが、怒鳴られるより怖いでしょう。
本人はそれを「美学」と呼んでいるの。「その場で犯る強姦魔とは違う」ですって。自分の手口に酔っている加害者は、書き手が楽しんで書いている証拠よ。私はこういうの、嫌いじゃないわ。
八人の反応差は、ちゃんと作ってあるわ
相手の顔ぶれは、実用の観点で見るとかなり親切な配分ね。
令嬢たち
近藤渚は一人で電車にも乗れないお嬢様。最後まで敬語を崩さないのに、途中で「ママぁ」と母親を呼ぶの。あそこは効くわよ。育ちの良さが崩れる音がする。
前島香織は理事長の孫娘で、高慢。権威を盾にする女が、その盾を一枚ずつ剥がされる過程が本体ね。水無月志保は名家の娘で、動作がとにかく遅い。反応が遅いという設定がそのまま責めの持続時間になるのは、よく考えてあると思うわ。
残りの四人
南雲千秋は自分を名前で呼ぶ幼児的な子。近親の妄想を吹き込まれて混乱するところが、この子の担当ね。趣味は分かれるでしょうけど、書き分けとしては明確だわ。
栗原朝美は姉御肌で、臭作を蹴り飛ばすくらい威勢がいい。その子が「仕返しを」と口にしながら空回りする——気の強い女が効かない抵抗を続ける絵は、それ自体が責めになっているわね。
藤間萌子には恋人のケンヂがいるの。この子は最後まで恋人の名前を呼び続けるのよ。呼べば呼ぶほど臭作が乗ってくる、という悪循環まで書いてある。寝取りが要る人はここね。
南綾香だけ扱いが別。写真じゃなくて倉庫に監禁して物理で押さえるの。合気道の有段者を吊り上げて拘束する、という力技。しかもこの人、最後まで殺意と侮蔑で返してきて、茫然自失にならない。成人の女がここまで折れないまま終わるのは、この作品で唯一よ。
そして高部絵里。この子だけは最後まで抱けないわ。それは後で書く。
評価①:フェチの網羅量は認める。手順の使い回しは認めない
まず良いところから。用意されている品目が多いのよ。
制服、処女、剃毛、荒縄の緊縛、アナル、近親の妄想、寝取り、媚薬、監禁、教師。一本のソフトにこれだけ詰めてあるのは1998年としては大盤振る舞いだわ。渚一人でもフェラ、正常位、後背位、緊縛の責め、剃毛、アナルと段階を踏むし、辱めのファイルは数万バイト級。尺で殴ってくるタイプの作品ね。物足りないということはないわ。
問題はここ
ところが七人分を並べて読むと、脱がせた後の順番がほとんど同じなの。
フェラ、挿入、剃毛、緊縛、アナル。脅迫の型も「制服を着て迎えろ」「写真をバラまく」でほぼ共通。違うのは相手の属性だけ。令嬢か、幼い子か、気の強い子か、彼氏持ちか。それを入れ替えれば別の場面に見えるでしょう、という作り方よ。
見えないわよ。三人目で気づくもの。
語彙も同じ問題を抱えているわ。肉壷、柔肉、肉人形——陵辱ものの常套句がぐるぐる回っているだけで、ヒロインごとの言い回しの差が、設定した属性の差ほど大きくないの。渚が「ママぁ」と呼ぶような一発はあるのに、地の文の温度がどの子でも同じなのよ。
綾香だけ別系統にできたんだから、やろうと思えばできたはずでしょう。そこが惜しいわ。
実用としての結論
一人目と二人目は強いわ。追い込みの手数が効いているから、屈服の瞬間まで持っていく力がある。三人目以降は、好みの属性の子だけ拾えばいい。全部順番に読む必要はないわね。
評価②:抱けない女を一人置いた、という判断
この作品の物語とエロの噛み合い方は、絵里の扱いに全部出ているわ。
絵里だけは、最後まで抱けないの。
通常進行だと、臭作は計画が終わった午前五時に管理人室で絵里を襲う。ところが裏ルートに入ると、そこで語り手の「俺」が起きるのよ。臭作の身体を操られて絵里を壁に押さえつけながら、「俺」は必死で押し留める。何時間も自分の顔を殴りつけて、指先が触れる寸前で止まるの。
——これ、エロとして評価していいのかしら、と一瞬考えたわ。結論から言うと、いいのよ。
なぜ成立するか
七人ぶん、この作品は「押し倒したら必ず最後までいく」という約束で進んできたわけでしょう。その約束を八人目で破るから、破ったこと自体が効くの。ずっと成立し続けていたものが、一度だけ成立しない。寸止めが機能するのは、前が全部貫通していた場合だけよ。順番が逆だったら何も残らないわ。
しかも臭作が「俺」に向かって「あの時のお前は自ら俺の姿となる事を望み、ガキ共を陵辱しまくった」と言い放つの。七人ぶん楽しんだのはお前だろう、って。——ええ、そうよ。それが何か。
そこまで言われてから止まるから、止まったことに意味が出るのよ。この作品は、エロを物語のために削ったんじゃないの。エロを全部やり切ったうえで、最後の一人だけ残したの。順序が正しいわ。
ただし実用の話に戻すと
絵里ルートには性的な描写がないの。心理と救済だけ。物語としては最高だけど、実用としては一本まるごと抜けるということでもあるわ。そこは正直に言っておく。この子目当てで来ると空振りするわよ。
7.5——遺作と鬼作のちょうど間ね
伊頭家の三本で、私はこれを真ん中に置くわ。数字の上でもそうなったのは偶然だけれど。
遺作に6.5を付けたのは、追い込みの手続きが荒かったからよ。鬼作に8.5を付けたのは、手続きも本番も両方きちんと書けていたから。臭作はその中間。追い込みは鬼作に迫るのに、脱がせた後で息切れするの。
フェチの品揃えは文句なし。前戯の丁寧さも文句なし。引くのは、七回同じ順番を見せられることだけ。それだけで一点は落ちるのよ。手を抜いた場所は、必ず数字に出るわ。
買うなら好きな属性の子を二、三人決めて、そこだけ深く追いなさい。全部を順番に読むゲームじゃないわ。そのうえで、最後の一人まで行き着いたら——止まる場面の意味が分かるようになっているから。
