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新藤エレナのレビュー — 最後に奏でる狂想曲(ネタバレあり)

新藤エレナ
新藤エレナ
陵辱シーンをスキップしない女
8.0/10
8.0 / 10

「愛のかけらもない」と宣言して、その通りに書き切った。それが評価よ。

ネタバレ込みで言うわ。この作品の陵辱は、主人公が雛子を殺した記憶を抑え込むための代償行為だった。だから一つ一つの責めが、ただの抜き素材じゃなくて「自分を鬼にしないと立っていられない男」の機能として置かれている。七瀬への「お兄ちゃん」呼び、優子の処女血、双子を並べて崩す構造——シチュの設計が立場ごとに別々で、同じ崩れ方をするヒロインがいないのが利いているわ。難点はテキストの密度と、薬物・スカトロに振り切りすぎて実用の射程が狭いこと。でも本分は果たしている。8.0。

スコア詳細

シチュの多様性 9
エロと物語の繋がり 9
Hシーンの質 8
実用性 8
ヒロインの魅力 7
文章力・描写力 6

愛ゼロの尋問陵辱を、エロとして測りに来たわ

2001年、たっちーの第1作。シナリオ担当が「前作とは違い、今回は『愛』のかけらもないHシーンばかりを書きまくりました」と本編内のあとがきで言い切った作品よ。

主人公・神条真人学院の臨時理事長として赴任し、表向きは穏やかな顔で生徒や同僚に接しながら、地下室で少女たちを「尋問」と称して責めていく。双子の華奈恵、空手部の優子、おっとりした沙緒里、警備員の美織、教師の養子、そして従妹の七瀬。標的は学院に集中している。陵辱に「愛のかけらもない」と前置きするエロゲーは多くないわ。普通は逃げる。逃げずに宣言した上で、その純度を最後まで保てるのか——そこを確かめるために手を取った。期待の角度は、そこに置いていたのよ。

陵辱の正体——「鬼だろうが悪魔だろうが」が全シーンを支えている

この作品の責めは、抜き素材であると同時に主人公の心理装置よ。それが分かったのが「人間じゃない?」の独白。

真相を知った今だから言える。真人がやっていた陵辱は、雛子を殺したのが自分だという記憶を封じ込めるための代償行為だった。だから「人間じゃない? おおいに結構だ。僕は雛子を失ったときから、自分が人間だなどとは思っていない。鬼だろうが悪魔だろうが、何にだってなってやる」という地の文が、全シーンの底に敷かれている。普通の抜きゲーなら主人公の動機なんて飾りよ。でもこの作品は、責める側の壊れ方が責められる側の壊れ方と同じ重さで書かれている。陵辱が物語の機能になっている。エロと物語の繋がりは迷わず9点。エロを削れば、この物語は成立しないわ。

立場ごとに崩し方が違う——優子・双子・七瀬の設計

シチュの多様性が9点の理由は、ヒロインの立場と崩し方が一対一で対応しているからよ。

優子は空手部主将。「最も強い女」から先に処女を奪う。背後から濡れていない状態で挿入して、「すごい血だな、先輩! これじゃあ裂けただけなのか、処女だったのかもわかんねーぜ!」と嘲笑する。鍛えた腹筋を鉄板ブーツで蹴り、希望を与えてから裏切って嘔吐させる。強者を強者として崩しているから屈服の落差が出る。双子は別だ。華奈恵に「桂と同じように、たっぷり中に出したよ」と告げて、片割れを先に犯した事実で精神を折る。並列の存在を一方で崩して他方を追い込む——双子という設定そのものが責めの構造になっている。崩し方がキャラの属性と噛み合っているのよ。これは設計しないと出ない。

七瀬——「お兄ちゃん」呼びが効いている最大のシーン

実用と物語が最も噛み合っているのは七瀬よ。従妹で同居人、最も近い肉親を犯すという越境。

「これが最後だぞ、七瀬。話すんだ。誰が雛子を殺した?」と問い質しながら、答えない七瀬を女子トイレの便器に押し付けて犯す。七瀬は最後まで「やめて、お兄ちゃん!」と呼び続ける。この「お兄ちゃん」が利いている。普通の陵辱なら名前か蔑称で呼ばせるところを、肉親の呼称を保たせたまま犯すことで、加害の重さが二重になる。しかも七瀬は雛子殺害の真相を一人で隠蔽していた女よ。彼女が口を割らない理由は「お兄ちゃんが嫌な思いをするから」だった。真人が真相を知らないまま最も愛情を向けてくれた相手を最も惨く扱う——この皮肉を知った上で読み返すと、シーンの意味が変わる。シコさと物語が同じ場所に立っている、珍しい一点だわ。

系統別エンドと「壊れる」の射程——ここで実用が割れる

系統別の称号エンドは設計として面白い。ただし実用の射程は、ここで人を選ぶわ。

恥辱・苦痛・官能・薬物・スカトロ・木馬。プレイ傾向ごとに称号付きのエンドが用意されていて、「お見事、恥辱系エンディングを無事迎えられましたネ☆」とマスコットが採点する。スタッフ自身が「『垂れ流し一筋』とか『鞭一筋』にプレイした場合のエンディングも用意しました」と語る通り、嗜好を一筋に振った先まで面倒を見ている。設計思想は評価するわ。ただし——優子の妊娠中の貫通、廃人化、養子のドッグフード、ゴルフボール30個詰めを華奈恵に蹴り出させる加害強要。ここまで来ると「シコれるか」より「悪意の見本市」に寄っていくのよ。薬物とスカトロに振り切ったぶん、官能描写としての実用は薄まる。これは欠点というより、この作品が選んだ純度の代償ね。「愛のかけらもない」を貫いた結果、抜きの射程が狭くなった。それを承知でやっているから却下はしないわ。でも実用は8で止めておくわ。

テキストの密度——ここがもう一段あれば

文章力は6点。シチュの設計は一級なのに、テキストがそれに追いついていない。

責めの段取りは書けている。でも官能描写そのものの密度が薄い。行為の順番と擬音で進む箇所が多くて、ヒロインの内側から書く一文が足りないのよ。優子の処女喪失も双子の同時責めも、シチュとしては最上位なのに、テキストが「何が起きたか」の説明に寄っている。「何を感じているか」の描写でもう一段引っ張れていたら、実用は9に届いた。2001年という時代を差し引いてもここは惜しい。シチュで勝ってテキストで取りこぼしている、というのが正直な内訳ね。

8.0——宣言を裏切らなかった鬼畜

真相エンドまで見た上での評価よ。

8.0。陵辱が主人公の贖罪の代償だという構造が全シーンを支えていて、エロを削れば物語が崩れる。立場ごとに崩し方を変えたシチュ設計、七瀬の「お兄ちゃん」のような物語と実用が重なる一点——ここは一級よ。失点はテキストの密度と、薬物・スカトロに純度を振ったぶん抜きの射程が狭まったこと。でも「愛のかけらもない」と公言して、逃げずにその通り書き切った。エロゲーである必要があったかと問えば、当然でしょ。これは陵辱でしか成立しない物語だわ。……認めるわ。8.0。